Strange Obsessionは
ずっと止まらない

80年代に人気を誇ったニューロマンティックス界の貴公子ザイン・グリフの『ヘルデン・プロジェクト//スパイズ』（2022年）に続く新作のタイトルは『ダブル・ライフ』。アルバムは2020年代にザイン・グリフがコラボレーターのクリス・ペインとともに創作した新曲と、1980年代の楽曲のカヴァー（デヴィッド・ボウイ、ゲイリー・ニューマンなど）で構成されている。現在、オークランドで充実した生活を送っているザイン・グリフの現在の心境が形になった新曲と、1980年代前半、ロンドンできらびやかながらも紆余曲折のあった青春時代のザイン・グリフの体験を今日に甦らせた楽曲がダブルとなって本作に収められているのだ。ボーナストラックとして、2023年に亡くなった坂本龍一と高橋幸宏の思い出のために、YMOの「以心電信」と、ザインが高橋のアルバムに提供した「ディス・ストレンジ・オブセッション」のセルフカヴァーが収められているのも聴き手の心を捉えるだろう。