名曲に幸せな一服を。

ウィリー・ネルソン|ブルーグラス

Willie Nelson – Bluegrass

ウィリー・ネルソン『ブルーグラス』

ウィリー・ネルソン
『ブルーグラス』

(水)発売
♧解説・歌詞・対訳付 ♧SICP-6546 ♧¥2,640(税込)

  1. ノー・ラヴ・アラウンド
  2. サムバディ・ピック・アップ・マイ・ピーセズ
  3. グッド・ハーテッド・ウーマン
  4. サド・ソングス・アンド・ワルツェス
  5. ホーム・モーテル
  6. ユー・レフト・ミー・ア・ロング、ロング・タイム・アゴー
  7. イエスタデイズ・ワイン
  8. ブラッディ・マリー・モーニング
  9. スロー・ダウン・オールド・ワールド
  10. スティル・イズ・スティル・ムーヴィング・トゥ・ミー
  11. オン・ザ・ロード・アゲイン
  12. マン・ウィズ・ザ・ブルース

ウィリーが、こよなく愛してきた古典的名曲が
ブルーグラス的な演奏で再び!

 通算151作目となる『ブルーグラス』には、「オン・ザ・ロード・アゲイン」、「イエスタデイズ・ワイン」、「スティル・イズ・スティル・ムーヴィング・トゥ・ミー」、「グッド・ハーテッド・ウーマン」といった12の古典的名曲にブルーグラス的アプローチによる新鮮な解釈で臨んだテイクが収められている。ここでウィリーが選んだ12曲は、いずれも、多くのファンから愛され、彼自身も好んで歌ってきたもの。そのすべてがウィリーの自作曲で、「グッド・ハーテッド・ウーマン」は、歌詞、音楽ともにウェイロン・ジェニングスとの共作としてクレジットされている。

▼ウィリー・ネルソン「グッド・ハーテッド・ウーマン」の視聴はこちら

 長くウィリーの音楽活動を支えてきたバディ・キャノンがプロデュースを担当したアルバム『ブルーグラス』には、以下のミュージシャンがフィーチュアされている。バリー・ベイルズ(アップライト・ベース)、ロン・ブロック(バンジョー)、オウブリー・ヘイニー(フィドル)、ロブ・アイクス(ドブロ)、ジョシュ・マーティン(アコースティック・ギター)、ミッキー・ラファエル(ハーモニカ)、セス・テイラー(マンドリン)、ボビー・テリー(アコースティック・ギター、ガット弦ギター)、ダン・ティミンスキー(マンドリン)。バッキング・ヴォーカルは、ワイアット・ベアード、バディ・キャノン、メロニー・キャノン。

 アルバムのカヴァー・アートを任されたのは、ウィリーの息子で、マルチメディア・アーティスト、ミュージシャンとして活動をつづけているマイカ・ネルソン。これ以前に彼が父の作品のアートを手がけたものとしては、アルバム『アイ・ドント・ノウ・ア・シング・アバウト・ラヴ』と『ファースト・ローズ・オブ・スプリング』、2013年刊行の自叙伝で、ニューヨーク・タイムズ紙のベストセラー・リストにも選ばれた『ロール・ミー・アップ・アンド・スモーク・ミー・ホエン・アイ・ダイ : ミユージングス・フロム・ザ・ロード』がある。

Willie Nelson - Bluegrass
Photo:Pamela Springsteen

 ウィリーの新作アルバムは、アパラチア山脈で生まれたストリング・バンド・ミュージックがその原点となった音楽ジャンルへの深い想いを表現したものである。そのブルーグラスという名前は、ケンタッキー出身のソングライター/ミュージシャン/レコーディング・アーティスト、ビル・モンローのバンド、ザ・ブルー・グラス・ボーイズからとられた。彼が戦後すぐに残した作品の数々は、ウィリーのソングライターとしての感性と、アメリカのカントリー・ミュージック全体の方向性に多大な影響を与えたのだった。その重要なジャンルへの、ウィリーからの初のトリビュート作品ということになる『ブルーグラス』に彼は、自らのパーソナルな歩みと深い関わりを持つルーツ・ミュージックへの愛を示した曲を選んでいる。その12曲は、いずれも、彼のオリジナルで、トラディショナルなブルーグラスがヒルビリー・フォーク・ミュージックへとつながっていったその道筋を示すものでもある。選曲にあたっては、力強いメロディ、心に残る物語性、初期のブルーグラスの演奏スタイルの特徴でもあったバンド全体によるきっちりとまとまった間奏(米国フォーク・ソングのルーツ、つまりヨーロッパのメロディとアフリカのリズムを、ブルーグラス的に解釈したもの)に重点が置かれた。アルバム『ブルーグラス』によってウィリーは、彼自身が残してきた名曲に関する新たな真実を示しているのだ。

▼ウィリー・ネルソン「スティル・イズ・スティル・ムーヴィング・トゥ・ミー」の視聴はこちら

 ウィリーの長いキャリアは、つねに多くの人たちから注目を集めてきたが、4月29日に90回目の誕生日を迎えた彼にとって、今年2023年は、とりわけ大きな意味を持つ年となる。トム・ズィミーとオーレン・ムヴァーマンが監督した5部構成のドキュメンタリー・フィルム『ウィリー・ネルソン&ファミリー』が、2023年1月のサンダンス・フィルム・フェスティヴァルで公開されていて、年末にはテレビ放映される予定だ。ウィリー・ネルソンの生誕90年を祝って4月29日と30日にハリウッド・ボウルで開催されたコンサート『ロング・ストーリー・ショート : ウィリー・ネルソン90』 には、多くのスター・アーティストが駆けつけた。まさに「一生に一度」という言葉がふさわしいこのイベントでは、ウィリーの生き方と音楽から影響を受け、刺激されてきた幅広い分野のアーティストたちが素晴らしい演奏を聞かせている。その2日間のコンサートを記録した映像作品『ウィリー・ネルソン90』は6月初旬にいくつかの映画館で限定公開されたばかりだ。

 2023年開催の第65回グラミー賞授賞式でウィリーは、2つのトロフィを授与されている。最優秀カントリー・パフォーマンス賞(ライヴ・アルバム『リヴ・フォーエヴァー:ア・トリビュート・トゥ・ビリー・ジョー・シェイヴァー』収録の「リヴ・フォーエヴァー」が対象)と、初の受賞となった最優秀カントリー・アルバム賞(アルバム『ビューティフル・タイム』が対象)の2つだ。彼はこれまでのグラミーで56のノミネーションを獲得し、そのうちの12の賞を受賞している。

 さらにウィリー・ネルソンは、2023年、ロックンロール・ホール・オブ・フェイムに迎えられる。「今年、ロックの殿堂に迎えられるのは、幅広い分野で活躍し、ロックンロールという言葉の定義をより明確なものとしてきたアーティストたちとその作品群だ」。ロックンロール・ホール・オブ・フェイム・ファウンデイションのジョン・サイクス会長はそう語る。「今年11月にニューヨークで行なわれる受賞セレモニーは、2つの大きな出来事を祝うものでもある。ウィリー・ネルソンの生誕90年と、ヒップホップの誕生50周年だ」。第38回ロックンロール・ホール・オブ・フェイムのセレモニーは、11月3日金曜日、ニューヨーク州ブルックリンのバークレイズ・センターで開催され、後日HBOで放送される。

 2023年の夏から秋にかけてウィリー・ネルソンは、家族や友人たちとともに、過去最大規模のアウトロー・フェスティヴァル・ツアーを敢行する。参加アーティストの豪華なラインナップなど、2023年アウトロー・フェスティヴァル・ツアーの詳細に、注目していただきたい。

 今年2023年11月23日にウィリーは、新たな著書も発表する。タイトルは『エナジー・フォロウズ・ソウト : ザ・ストーリーズ・ビハインド・マイ・ソングズ』。自ら選び出した160曲の歌詞の背景にある物語を明かし、未発表の貴重な写真やチケット類などとともにまとめたものだ。

Willie Nelson - Bluegrass
Photo:Pamela Springsteen

Willie Nelson

ウィリー・ネルソン

2012年2月、ウィリー・ネルソンは、ソニー・ミュージックエンタテインメントのカタログ部門、レガシー・レコーディングとのあいだで、歴史的な意味を持つ新契約を交わしている。ネルソンは、1975年に発表されて大きなヒットを記録した名盤『赤毛のよそもの』を皮切りに、同年から1993年にかけてコロムビア・レコードから多くのヒット曲、ヒット・アルバムを送り出しているので、この新契約はホームカミング的な意味を持つものともなった。レガシーから送り出される作品は、新たに録音された曲やパフォーマンスだけでなく、アーティスト本人によって大切に選び出されたアーカイヴ音源も対象としたもので、ウィリーの場合は、RCA時代のレコーディング作品なども含まれている。なお、レガシーとの契約以降、ウィリー・ネルソンはこれまでに同レーベルのもとで100万枚以上のアルバム売上を記録してきた。