1978年のデビューから約40年、ポップ・インストゥルメンタル・バンドのパイオニアとして他の追随を許さない個性を発揮し続けているT-SQUARE。その豊かな音楽性だけでなく、サウンドそのものも常に時代時代の最先端をいくハイ・クオリティなものを提示してきたのは言うまでもないだろう。T-SQUAREがこれまでに発表してきた数々の名盤が、DSD/FLACの各フォーマットでの配信開始となった。ハイレゾならではの深みのある音質でT-SQUAREの軌跡を堪能してほしい。
2003年の25周年記念企画として制作された。歴代メンバーやゲストを迎えて演奏、レゾナンスTもプロデュースに参加。全7曲のうち①と⑦は書き下ろしで、残り5曲はセルフ・カバー。「カピオラニの通り雨」はカシオペアの野呂一生と安藤のアコースティック・ギター・デュオ、「勇者」は神保彰と則竹裕之のツイン・ドラム。「Mirage in the Vally」は、和泉宏隆(P)と伊東(Sax)のデュオ。自然なかたちでの録音が実現した。(オリジナル発売日:2003年9月18日)
2004年録音。安藤・伊東のユニット時代、期間限定のザ・スクェアの活動を経てバンド形態に回帰。哀愁漂うポップな安藤節を伊東がエモーショナルに吹き、キーボードが音色やハーモニーで色づけ、ドラムがストーリーをきっちりとまとめあげる。洗練され躍動感のあるバンドサウンドに一緒に演奏する心地よさが投影されている。きらびやかでパワフルな河野曲が、新時代のスクェアの幕開けを告げるかのよう。則竹フル参加のラスト作品。(オリジナル発売日:2004年4月21日)
2005年録音。河合マイケルがプロデュースに参加し、前作に引き続きバンド形態。ドラムに坂東慧が加入した。安藤の作品を中心に歌ものを2曲入れ、全体にふんわりと柔らかな質感。アコースティック・ギターや温かみのあるロックの要素を入れてまとめた。途中④のような辛口な曲がスパイスに。坂東は完成度の高いナンバーを提供しソングライターとしての才能を示す。以後スクェアは、若手とベテランが刺激しあいながら発展していく。(オリジナル発売日:2005年4月20日)
2006年録音。前年よりサポートに田中晋吾(B)が参加、新たなメンバーでツアーを重ねたのち「ロック」をテーマに取り組んだ。ずっしりとディストーションの効いたギターに重量のあるドラム、へヴィな8ビートを基調とし、変拍子を取り入れたメタル的な要素も取り入れる。あわせて伊東はEWI4000を導入、エッジのきいたサウンドを構築。ときおり加わるピアノやサックス、アコースティック・ギターがポップな清涼感を醸し出す。(オリジナル発売日:2006年4月19日)
2007年録音。メンバー間のジェネレーション・ギャップをエネルギーとし、急速にバンドとしてのまとまりが強まる。河合マイケルがプロデュースに参加。冒頭の河野曲「RONDO」はクールなサウンドに重厚なビート、スピード感をあわせ持ち、ぐいぐいと聴き手にアピール。2曲目、3曲目は安藤のハードなギターが炸裂。坂東・河野は爽やか系、美しいアコースティック系の曲を提供。通して聴くとクールな面も保ちつつ、爆発的なパワーがある。(オリジナル発売日:2007年4月18日)
30周年を迎える2008年に田中・和泉・則竹・須藤・宮崎の旧メンバーを加えた9人でスーパーバンドを結成、新旧メンバーが楽曲を提供。②のツイン・ドラム、③の伊東アルト・宮崎テナーの掛け合い、④⑨の坂東・田中、⑦⑩の須藤・坂東など。和泉によるタイトルチューンの⑤はスピリッツのときの6人など、曲の個性によってプレイヤーの組み合わせが面白く、化学反応が起こっている。スクェアの伝統と自由な試みがうまく融合した。(オリジナル発売日:2008年5月21日)
2009年、再び田中晋吾をサポートに加えた5人のバンド・サウンド。壮大なスケールのタイトル曲①から始まり、ドラマチックな②に続き、軽快なアルト・サックスのラテン・タッチのナンバー③へ、⑤でほっと一息、最後の明るくハッピーな⑩まで一気に流れるように展開していく。変拍子のイントロで始まり、ややトリッキーな河野・伊東の共作④、坂東曲⑥での安藤ギターにマッチしたメロディなど、さまざまな挑戦で楽しませてくれる。(オリジナル発売日:2009年5月27日)
2010年録音。ロックな方向に大きく振れていた前作まで比べてやや路線転換し、ジャズ的な部分や、セッション的な自由さ、抜け感を出している。まぶしく爽やかな①、しっかりとまとまった⑨など河野曲の存在感は大きい。王道フュージョンの⑦、ゆったりとしたバラードの⑩と伊東がひさびさに2曲提供。坂東・河野がメンバーがスクェアらしい曲をしっかりと作り、安藤は新しいスタイルを自由に展開する構図が生まれている。(オリジナル発売日:2010年5月26日)
2010年録音。安藤・伊東・河野・坂東・田中晋吾の5人のバンド・サウンドが固まってきたこともあり、長い間スクェアのライブで演奏され続けてきた人気の定番曲をセルフ・カバー。「OMENS OF LOVE」「宝島」「TRUTH」から「FORGOTTEN SAGA」まで、かなり注意深くオリジナルに忠実なアレンジだが、ソロのフレーズは当然ながら別のもの。EWIやシンセの音色も現代の機材を使い、スタンダード的な定番曲をすっきりと聴かせる。(オリジナル発売日:2010年10月27日)
2011年録音。メンバーそれぞれが現在面白いと感じる旬な要素を打ち出し、コンテンポラリーな快作。冒頭からスクェアらしいナンバーでぐっと聴き手に迫り、さらに個性のはっきりした1曲ごとに主張のはっきりした曲がバラエティ豊かに並ぶ。存在感のある伊東曲③、河野のクールで華やかな16ビート⑥、安藤曲はソウルフルにギターが歌う⑤やウクレレと口笛を入れてリラックスした⑦など。バンドとしての個性が明確化、進化した。(オリジナル発売日:2011年4月27日)
2011年、現メンバーによるライブ人気定番曲のセルフ・カバー企画の第2弾。元のアレンジに忠実でありながら、完全コピー的に近かった「宝曲」に比べて、現在のライブ・アレンジ的に若干の変更を入れている。ロックでポップな路線に振れているメンバーの個性がザ・スクェア時代の8ビートにうまくマッチ。「OMENS OF LOVE」「TWILIGHT IN UPPER WEST」のソロ部分など、肝になるフレーズを大切に残しつつ現在のバージョンとなっている。(オリジナル発売日:2011年10月26日)
2012年録音。河合マイケルを共同プロデューサーに迎え、現メンバーでの爽やかでポップな新作。安藤曲の8ビートで始まり、河野・坂東の若手ふたりの楽曲も往年のスクェア・サウンドの良さを見事に消化したメロディやハーモニー。終盤2曲は今の5人のカラーが強く、明るくキラキラしつつヒネリのきいた河野節。空に向かって羽ばたいて進んでいくような明るく軽やかな透明感、前向きさが全編を貫いている。(オリジナル発売日:2012年5月23日)
2012年のセルフ・カバー・アルバム。山下洋輔との「Japanese soul brothers」、勝田一樹と伊東の「big City」、日野賢治、光田健一などのジャズ・フュージョン畑、そしてラウドネスの高崎晃、BOW WOWの山本恭司、雅楽の東儀秀樹、クラシックの宮本笑里、アコーディオンのcobaなど、1曲ごとにゲストをフィーチャー。メロディの美しさや味わい、尖ったロックなフレーズなど、スクェアの楽曲の持つ個性がより深く明確に引き出されている。(オリジナル発売日:2012年11月14日)
35周年にあたる2013年に、須藤・則竹・宮崎、田中豊雪(B)、田中晋吾(B)、仙波(Per)を加えた11人で録音。和泉が参加していない点が30周年と異なる。スーパー・バンドによるアルバムらしく、安定したスクェア・サウンド。お祝いムードの賑やかな坂東曲①に始まり、テクニカルな坂東曲⑥での則竹と仙波の長尺ソロ、サックスが掛け合う宮崎曲⑤、90年代のスクェアっぽい須藤曲④のスラップ・ベースなど、楽しみが盛りだくさん。(オリジナル発売日:2013年4月24日)
安藤と伊東がアメリカのミュージシャンとコラボ・ユニット「T-SQUARE plus」として製作したカバー・アルバム。本田期の名曲を中心にカバー。リッキー・ピーターソン率いるミネアポリス・チームは、オリジナルではピアノ・ソロだった和泉曲⑧、オリジナルではギターがメロディをとった④などをサックスで吹き、スムージーでメロウ。ダグ・ボッシ&ヴィンス・ディコラのLAチームの音は、リラックスした抜け感のあるロックになっている。(オリジナル発売日:2013年12月4日)
2014年録音。このメンバーでも歳月を重ねバンドとして熟成。スクェアの伝統にのっとりつつ、個性の豊かな曲が揃った。音数を絞りスペースを残すことで、作り込みながらもポップですっきりとしサウンドに。コンポーザーとして存在感を増す坂東・河野に対し、安藤も①②でリーダーとしての風格を示す。全体を通し、生き生きと躍動するメロディ、ポップな曲調、色彩感豊かなハーモニーが自然な陰影とともに疾走していく。(オリジナル発売日:2014年6月1日)
1985年、50本に及ぶ「リゾート」ツアーの中から収録された初のライブ盤。初期スクェアの安定期、田中豊雪 (b) 長谷部徹 (ds) 時代のポップで強力な演奏を真空パックしている。「アドベンチャーズ・メドレー」の勢いや、「ジャパニーズ・ソウル・ブラザーズ」でのベース・ソロから全パートでの怒涛のソロまわし、メンバー紹介の流れがいかにもスクェアのライヴで臨場感たっぷり。「フォーゴトン・サガ」も深みがあり美しい。(オリジナル発売日:1985年10月21日)
1990年、「ナチュラル」発売後10月に発売され、伊藤たけし時代の最後のライヴ・アルバム。本田雅人がホーン・セクションとしてゲスト参加しており、「リッキン・イット」ではソロを吹いている。「脚線美の誘惑」ではパーカッションのスティーヴ・レイド (per) と則竹裕之 (ds) のバトルが白熱。「ミス・ユー」はじめ、全国50ヵ所規模で毎年ツアーをしていたメンバーだけあって、勢い、こなれ具合、息の合い具合などが聴きどころ。(オリジナル発売日:1990年10月1日)
1991年、サックスを本田雅人を迎えた5人で、ザ・スクェア時代からのライブ定番曲をリアレンジして録音。ジェリー・ヘイが共同プロデュース、ブラス・セクションやマイケル・トンプソン (g) パウリーニョ・ダ・コスタ (per) などLAのミュージシャンと全曲で共演している。本田ならではの朗々としたメロディの歌いまわしが新鮮。かっちりとポップなスクェアらしさとLAのリラックス感・抜け感がうまくブレンドされている。(オリジナル発売日:1991年12月1日)
1992年、ザ・スクェア時代の名曲を奥慶一がオーケストレーションし、ロイヤル・フィルと共演。フレーズのやりとりがオーケストラのパート間で行われたり、ギターやフレットレス・ベース、サックスなど、メンバーがオーケストラをバックに、協奏曲のようにメロディを演奏したりする箇所などが聴きどころ。スクェアとオーケストラを融合させようとする意欲的なアレンジが面白い。(オリジナル発売日:1992年12月1日)
1993年の本田在籍時、ロイヤル・フィルとの共演企画の第2弾。壮大でクラシカルな「トゥモローズ・アフェア」に始まり、ジャジーな「バナナ」、ピアノ協奏曲風の「メモリーズ・オブ・アリス」、軽快なビートにストリングスが優美な「君はハリケーン」、最後に安藤のアコースティック・ギターで静かに冒頭の曲を繰り返して終わる。オーケストラが主のアレンジとスクェアが主のアレンジを曲ごとに明確に分けている。(オリジナル発売日:1993年8月21日)
1994年、F1全盛期にサーキットに散ったアイルトン・セナ。彼に捧げる追悼盤がこのアルバムだ。悲痛なトーンの「ヘブン・ノウズ」(則竹) 、しっとりと語りかけるような「ソリチュード」(安藤) 、EWIの音色がポップな「ノー・エンド・ラン」(本田) 、「サラマンダー」(和泉) など、メンバーそれぞれの個性を出しつつ、1曲を除きマイナーでまとめ、落ち着いたトーン。メンバーのセナに対する哀悼の気持ちが表現されている。(オリジナル発売日:1994年10月1日)
1995年、ドイツ、イギリス、日本で録音。奥慶一のアレンジで、ミュンヘン・シンフォニーとは交響曲さながらのクラシカル路線で「ヘブン・ノウズ」「トワイライト・イン・アッパーウエスト」。シティ・オブ・ロンドン・ウインド・アンサンブルは吹奏楽で、ゴージャスな金管のハーモニーがスクェアと融合。オーケストラ共演の前二作と比較すると、オーケストラ側が主役にまわる部分が多く、原曲を大胆にアレンジした構成となっている。(オリジナル発売日:1995年2月1日)
1995年、アレンジャーにフィリップ・セスとレオン・ペンダービスを起用し、洗練されたNYらしいサウンドに。マイケル・ブレッカー (sax) が「ミス・ユー'88」「ファイナル・ドロップ・ゴール」、ほかにもマイク・スターン (g) 、コーネル・デュプリー (g) 、マーク・イーガン (b) など、ニューヨークのフュージョン・シーンを代表するトップ・ミュージシャンが参加。考え抜かれた適材適所な編成で、スクェアの魅力も再認識できる。(オリジナル発売日:1995年9月21日)
1996年、イタリア・カプリ島のスタジオとLAでレコーディング、ジャケット撮影はエジプト。変則16ビートの「勇者」 (則竹) 、フルートとアコギのデュエットが美しいボサノバ「ピオッジャ・ディ・カプリ」、ポップでテクニカルな「チャオ!!!」 (本田) など、作曲家としてメンバーが才能を存分に発揮、それをバンド全体で生き生きとした躍動感とスケール、美しさで表現。この時代のバンドとしての魅力がぎゅっと凝縮された1枚。(オリジナル発売日:1996年4月21日)
1997年、ひさびさの国内録音。安藤がサンプリングやループを取り入れた「バッド・ボーイズ&グッド・ガールズ」「カスバの少年」「メイズ」など、新しい路線へ走る。他のメンバーも本田が軽やかなボサノバ、須藤が壮大なバラードなど、これまでの得意パターンから脱却して新境地を開いた。模索によって生み出されたある種、実験的なアルバム。このアルバムを最後に本田、和泉が退団する。(オリジナル発売日:1997年5月21日)
1998年、サックスが宮崎隆睦に交代した直後の作品。前作とは一転、安藤の楽曲が多く、全体に安藤カラーで統一されている。爽やかなテイストで、ポップかつアンサンブルにまとまりがある作品。則竹の爽やかな「ザ・フォレスト・ハウス」、須藤のスラップがぐいぐいとはじける「エクスプローラー」などがほどよいアクセントとなっている。最後に「ジャパニーズ・ソウル・ブラザーズ」では歴代メンバーのソロ回しが満載。(オリジナル発売日:1998年5月21日)
1999年、前作の難波正司に代わり、松本圭司 (key) が演奏で参加。1曲目で思い切りロックなディストーションをきかせた安藤ナンバーで始まるが、「ア・デイ・イン・ブルー」「キャン・ユー・フィール・イット?」など、マイナーキーで、メロウな曲の比率が高い。宮崎はジャズ・テイストの楽曲を提供し、ぐっとバンドに馴染んできた。アルバムタイトル通り、甘く切なく、優しい感触が全編に流れている。(オリジナル発売日:1999年5月21日)
1999年、前作の難波正司に代わり、松本圭司(key) が演奏で参加。1曲目で思い切りロックなディストーションをきかせた安藤ナンバーで始まるが、「ア・デイ・イン・ブルー」「キャン・ユー・フィール・イット?」など、マイナーキーで、メロウな曲の比率が高い。宮崎はジャズ・テイストの楽曲を提供し、ぐっとバンドに馴染んできた。アルバムタイトル通り、甘く切なく、優しい感触が全編に流れている。(オリジナル発売日:1999年5月21日)
10年間離れていた伊東たけしが復帰、T-スクェアが安藤・伊東のユニットとして再出発した作品。LAにてヴィニー・カリウタ (ds) やエイブラハム・ラボリエル (b) 、ネイザン・イースト (b) ら現地ミュージシャンとレコーディング。伊東のサックスは深みを増し、安藤のギターは伸びやか。バンドをリセットした開放感とLAの雰囲気が入り混じり、明るく開放感があり、抜けのいいリラックスしたサウンドになった。(オリジナル発売日:2000年10月18日)
安藤・伊東の2人ユニットとなり新作リリース直前の2000年9月、チキンジョージで行われた20周年ライヴ。これを録音した2枚組アルバム。10年ぶりに伊東・和泉の懐かしいメンバーが集まり、往年のライヴ定番曲のほか、新作からの「フレンドシップ」を演奏。昔のライブ盤とはまた違って、曲の良さをじっくりと感じながら、じわじわと盛り上げるような演奏。華やかな和泉のピアノが、ソロ活動の成果を感じさせる。(オリジナル発売日:2001年1月24日)
2001年、安藤・伊東ユニットとしての2作目。ブラジルで現地ミュージシャンと録音。ギターとサックスが最高に優しく温かい音色を奏で、ユニゾンなどスクェアらしい要素も出しつつ、決め事は少なく、軽やかで心地よい上質なグルーブに心がやすらぐ。安藤は8曲を提供、トニーニョ・オルタ (g) がギターを弾いていて安藤は演奏しない曲があったりと、スクェアが理想とするブラジリアン・サウンドを追求している。(オリジナル発売日:2001年5月23日)
2001年、「T-スクェア・プラス」としてハードロックに挑戦した作品。「トゥルース」「ザ・フェイス」「ナイツ・ソング」などF1の放送で使われた楽曲のセルフ・カバーが中心。ダグ・ボッシ (g) 、フィル・スーザン(b) 、マット・ソーラム (ds) 、ニック・メンザー (ds) 、ボビー・キンボール (vo) ら、ロック系ミュージシャンが参加。重量感のあるビートと熱いディストーションに、美しいピアノやサックスも時折入るのがスクェアらしい。(オリジナル発売日:2001年9月19日)
2002年、安藤・伊東ユニットとしての3作目。アレンジャーにドン・グルーシンと、ラリー・ウィリアムズを迎え、ロサンゼルスで録音。古きよきアメリカのロックやブルースの要素の濃い、力強いサウンド。伝説的スタジオ・ミュージシャンでリズム・ギターのディーン・パークス (g) 、ビートルズのメンバーとの共演で知られるジム・ケルトナー (ds) 、チャック・レイニー (b) らと共演、安藤のギターが特にハッピーに冴え渡っている。(オリジナル発売日:2002年4月24日)
2002年、スクェアの作品から9曲を選んでヴォーカル曲にアレンジ、3人の女性シンガーが歌う。アメリカ人のマリーナ・ショウとヴァレリー・ピンクストンはブラック系でソウルフルなテイスト。そしてブラジルのヤラ・ネグレーテは「トゥルース」や「パーク・アベニュー・サウス」をポルトガル語で歌う。特に「湖の恐竜」 (スノーバード) 「ハーツ」などは、原曲のイメージを大切にしながら自然なヴォーカル曲として成立している。(オリジナル発売日:2002年8月21日)
2003年、25周年記念として期間限定で安藤、伊東、和泉、則竹、須藤がザ・スクェアとして13年ぶりに再結成、1年間の活動を行った。「風の少年」 (安藤) 「ユーロスター」 (則竹) など全員が曲を持ち寄る。和泉はピアノに専念し、キーボードは後にメンバーになる河野啓三が初参加。長年一緒にやってきたメンバーが揃った安心感、安定感に、円熟味や壮大さが加わり、懐かしいポップなスクェアが進化した形となった。(オリジナル発売日:2003年4月23日)
1978年のデビュー作。ファンキーな「THE NUMBER」などジャジー端正な演奏。テーマでギターとサックスがユニゾンしてから、サックス・ソロ、ギター・ソロへ展開する手法など、既に端正なスクェア・サウンドの原型が確立。今なお涼やかな「夏」を感じさせる。(オリジナル発売日:1978年9月21日)
デビューから3ヵ月後に、当時の最新技術であるダイレクト・カッティングで録音された貴重な盤。ポップなメロディをジャジーなハーモニーで、心地よくしっとりと、切れ味鋭い演奏で聴かせる。(オリジナル発売日:1978年12月21日)
2枚目から半年後にリリース。8ビートの曲が増え、ぐっと明るくさわやかなロック/ポップス的な曲調に。シンセの音色も華やかで、フュージョン・ブームの空気が伝わってくる。(オリジナル発売日:1979年6月21日)
ヴォーカルを入れるなどAORを意識した実験的なアルバム。「TOMORROW'S AFFAIR」「GOOD NIGHT」など後のスクェアに続くバラードの基本形として貴重な曲。仙波清彦のパーカッションも存分に暴れており、自由な楽しさがある。(オリジナル発売日:1980年4月1日)
キュートで爽やかなマリーンのヴォーカルをフィーチャー。「IT'S MAGIC」が大ヒットとなる。コンパクトで、まとまりのよい曲が多い。ロック・テイストの8ビート「CHASE」、アンコール定番曲「LITTLE MARMAID」など、スクェア独自のスタイルが固まってきた一枚。(オリジナル発売日:1981年11月1日)
キーボード和泉宏隆とドラム長谷部徹が加入、ザ・スクェア初期のメンバーと個性が固まったアルバム。巧みに構築された安藤のメロディを伊東が吹き、それを支えるのはカラフルなキーボードの音色やかっちりしたリズム・セクション。メンバーが互いに魅力を引き出すバランスが完成した。(オリジナル発売日:1982年11月21日)
松任谷由実をコーディネーターに迎える。「君はハリケーン」「SABANA HOTEL」などのスクェアらしい楽曲のほかに、アコースティック・ギターをフィーチャーして透明感を表現した「カピオラニの通り雨」、田中豊雪のベース・ソロ満載の「STINGRAY」など、新たな試みも成功している。(オリジナル発売日:1983年5月21日)
当時、伊東たけしがサントリーホワイトのCMに出演し、「ALL ABOUT YOU」「TRAVELLERS」を演奏して一気に知名度を上げた。他にも「NIGHT DREMER」など名曲が多く、壮大なスケールを感じさせる。この時期でも特に人気の高い作品。(オリジナル発売日:1984年4月1日)
「夏」のアルバム・リリースが多いスクェアが、珍しく冬にリリース。憂いを帯びつつ輝きのある楽曲が多く、冬の夜空をイメージした。安藤が3曲、伊東が1曲、和泉が「遠雷」など3曲、既に退団していた久米大作の「いとしのうなじ」を提供。メンバーの作曲能力が個性豊かに花開いた。(オリジナル発売日:1984年12月1日)
ハワイで録音。和泉宏隆が作曲家・アレンジャーとして開花した作品。ポップな「OMENS OF LOVE」にはじまり、一日の終わりを感じさせるような名バラード「TWILIGHT IN UPPERWEST」で締めくくる。「FEEL ALREIGHT」「CHANCES」など爽やかでリラックスしたナンバーが充実、気分が盛り上がる。(オリジナル発売日:1985年4月1日)
ドラムに則竹裕之が加入。冒頭「LOVE IS IN MY SIGHT」に始まり、全編にわたって打ち込みシンセを多用。「DROP GOAL」はシンセ・ベースなど、新しい実験的サウンド。それでいてスクェアらしさ出ているのが面白い。「宝島」ではウインド・シンセのメロディがひときわ鮮やか。(オリジナル発売日:1986年3月5日)
ベース須藤満が参加。タイトル曲「TRUTH」はF1中継のテーマとなり、空前の大ヒット。全国に浸透した。音楽的には、16ビートの「CELEBTATION」「BREEZE AND YOU」「GIANT SIDE STEPS」など、強力にグルーヴする楽曲が増え、存在感あるサックスの音色にラテン・パーカッションが躍動感を加えている。(オリジナル発売日:1987年4月1日)
ロサンゼルスと東京で録音。「MISS YOU」での伊東と安藤のユニゾンからピアノ・ソロへの流れに代表されるように、メロウでポップ、都会的で陰影のあるサウンド。スラップ・ベースが躍動する16ビート「EL MIRAGE」など、ブラス・セクション、ストリングスも随所に入り、彩りを添える。(オリジナル発売日:1988年2月26日)
米国での活動開始によりT-スクェアに名前を変更してから初のアルバム。則竹・須藤の若手リズム・セクションが力を発揮。従来のスイートで爽やかな音楽性に、ユニゾンや超絶テクニック、ソロの応酬といったジャズ的でハードな要素が絡み、よりドラマチック、緊張とリラックスのメリハリがきいたサウンドへと進化している。(オリジナル発売日:1989年3月21日)
ラス・フリーマンのプロデュース。落ち着きと自然なぬくもりのある「DAISY FIELD」「WHITE MANE」、しっとりと幻想的な「WIND SONG」「LABYLINTH OF LOVE」など、ソフトで美しい雰囲気のアルバム。「LAST RAINDROPS」は、このアルバムを最後にスクェアを離れる伊東たけしに向けたはなむけにも思える。(オリジナル発売日:1990年4月21日)
新メンバー、サックスの本田雅人により「MEGALITH」に代表されるアグレッシブ・テクニカル・ファンキーな要素が一気に加わった。迎え撃つメンバーもスリルと緊張感に溢れた演奏を聴かせる。フルート入りのボサノバ、ソプラノ・サックスの「ROMANTIC CITY」など、新生スクェアの魅力が一気に開花した。(オリジナル発売日:1991年3月21日)
本田雅人とスクェアの個性が混じり始めた時期のアルバム。「FACES」「TRAFFIC JAM」などの引き締まったアンサンブル、「DANDELION HILL」「待ちぼうけの午後」のような温かく優しいニュアンス、透明感にあふれ疾走する「AMARANTH」など佳曲が揃う。(オリジナル発売日:1992年4月22日)
ソングライターとしての安藤、本田、和泉が互いの音を念頭に曲づくりを行い、それがはまってきたアルバム。安藤まさひろの「明日への扉」「PLAY FOR YOU」そして本田のバラード「JUST LIKE A WOMAN」、それぞれに独特の切なさと温かみがあり、このアルバムの個性を決定づけている。(オリジナル発売日:1993年4月21日)
本田期になってから初の「夏」をテーマにした作品。明るく疾走する「夜明けのビーナス」、ブラスが華やかな「夏の蜃気楼」、テクニカルな難曲「BAD MOON」、和泉宏隆のバラード「SWEET SORROW」で優しく終わる。ポップでありながら哀愁も漂い、この時期のスクェアらしさが確立されたアルバム。(オリジナル発売日:1994年4月21日)
ロンドン録音。8ビート「CROWN AND ROSES」や「HISTORY」など、気品あるドラマチックな展開で、さわやかなスクェアらしさの中にも重厚感がある。ひさびさにEWIを使った曲が半数を超えた作品。変拍子の名曲「LANDSCAPE」ではピアノ、ギター、ドラムとソロが移り変わる部分が聴きどころ。(オリジナル発売日:1995年5月21日)
アルバム解説:山本美芽