1988年12月9日にリリースされたアルバム「CAROL」は、「書籍(原作:木根尚登)」・「音楽(アルバム)」・「ステージ」で"CAROL"というストーリーを展開するという当時としては画期的なメディアミックス型の手法で成功を収め、音楽作品としても歴史的名盤として現在も極めて高い評価を得ている。
本作は、デビュー30周年を記念し、この名盤のコンセプト『CAROL』を再検証すべく様々な関連アーカイブを新装してまとめた完全生産限定盤BOX。音源はオリジナルLP盤を基にした2枚組CDと初のアルバム収録曲のインストゥルメンタル盤、映像は『CAROL TOUR FINAL CAMP FANKS '89』のライヴ映像を新たな素材で編集し全編収録、そして『CAROL GRAFFITI』をメインに構成した全84ページ写真集と、様々なマテリアルから『CAROL』へのアプローチを試みている。
また、今回の制作にあたり、「LP盤」の再現を重要なポイントとし、パッケージは30cm(アナログLP)サイズ、大きさ・重量感も併せ超豪華仕様となった。さらに、オリジナル発売当時の特典ポスター(リサイズ版)と特製グリーティング・カードを特別封入。
本作も歴史的アーカイブプロダクツになることは間違いない。
ロンドン録音による大作。アナログは2枚組。ビートルズも使用した旧エア・スタジオ等を使用、70年代の機材も活用するなど、TM NETWORKではアナログ志向なアルバム。時代的にCDへの過渡期だったことから、最後のアナログ盤となる可能性が高かったため、敢えてのアナログだったと考えられる。
盗まれた音を奪回する少女キャロルの物語を中心としたコンセプチュアルな内容で、ファンタジック・プログレ或いはサイエンス・ポップとも言える作品。ジャケットはミュージカルのポスターを想定し、物語の登場人物(に扮したメンバー)のイラスト。
物語にリンクしない曲では、映画『ぼくらの七日間戦争』主題歌「SEVEN DAYS WAR」、アニメ映画『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』主題歌「BEYOND THE TIME」といったシングルヒット曲等を収録。
『CAROL』を劇場音楽ということで捉えれば、サントラ的なインストゥルメンタル盤は不可欠であるという考えのもと制作。全ての音源をリサーチし、アルバム収録音源に対応したインスト音源を収録。制作途中段階では見つからなかったインスト音源も奇跡的に発掘され、「完全版」インストゥルメンタル・ディスクとなった。
1989年8月30日横浜アリーナ「CAMP FANKS '89」の映像を全編収録。このライヴの映像は2004年発売『CAROL the LIVE』でDVD化されているが、それとの一番大きな違いは、今回収録の映像は、同日の生中継(クローズド・サーキット)スイッチング映像ではなく、今作の制作段階で奇跡的に発見された10台のカメラ(すべて全編収録)60本を超えるテープを基に編集、全く違ったアングル/カットの映像となっており、映像・音ともに2004年版よりブラッシュアップされている。ゲスト出演のコロッケさん及び関係者の皆様のご協力を頂き、全編収録となりました。約144分。
写真集『CAROL GRAFFITI』を中心に構成した写真集。メンバーそれぞれの『CAROL』に関する最新インタビューも掲載(インタビュー・テキストは藤井徹貫氏)。
オリジナル発売時特典ポスター(リサイズ版)写真はこちら
ふじい てっかん1959年、山口県生まれ。1980年代初期より音楽ライターとして活動開始。『TMN"EXPO"ストーリー』『TMN最後の嘘(トリック)』ほか、TM NETWORK関連の数多くの著書がある。
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