スティーヴン・スティルスとジュディ・コリンズが10曲入りアルバム『エヴリバディ・ノウズ』をリリースする。50年という月日が紡いだ二人の歴史は名曲の宝庫であり、今そこに新たな息吹が吹きこまれる。アメリカン・ミュージック界きっての声の持ち主である二人が織り成す豊かなハーモニーに満ち溢れた1枚だ。
ジュディ・コリンズとスティーヴン・スティルスの出会いは1967年。たちまち激しい恋に落ちた二人だったが、その関係はスティーヴンに「組曲:青い眼のジュディ」という不朽の名作を書かせた。2018年3月21日に発売される『エヴリバディ・ノウズ』は、そんな長年の友であるアイコン二人による初のアルバム。愛情と遊び心と感情に溢れる1枚だ。50年間、二人が培ってきた特別な歴史を彩ってきた楽曲を、ジュディとスティーヴンは新たなヴァージョンに生き変えらせた。新曲も1曲、ジュディの書き下ろしによるものだ。さらにはボブ・ディラン、レナード・コーエン、トラヴェリング・ウィルベリーズ等アーティストの楽曲が二人ならではの解釈でカヴァーされている。
『エヴリバディ・ノウズ』に収められているのは、二人の豊かな歴史に欠かせない楽曲ばかりだ。英国フォークロック界の歌姫サンディ・デニーのペンによる「時の流れを誰が知る」をジュディは1968年、同タイトルのアルバムで取り上げているが、この曲のセッションこそ、ジュディとスティルスが初めて行ったレコーディングだった。運命のセッション終了後、スティルスはそのままスタジオに残って「ジュディ」のデモを録音した。長いこと行方不明になっていたこのデモテープは後日発見され、『Just Roll Tape/ジャスト・ロール・テープ』でついに日の目を見た。
「ソー・ビギンズ・ザ・タスク」も『Just Roll Tape』に収められていたスティルスのオリジナルだ。マナサスのデビュー盤、そして『CSN2012』でもレコーディングされているが、ジュディも1973年の『True Stories and Other Dreams/トゥルー・ストーリーズ・アンド・アザー・ドリームズ』でレコーディングしている。
「幸せの家」はジュディがスティーヴンとの関係をしたためた曲。プラチナセールスを記録した1975年の名盤『Judith/ジュディの宝物』の中でもひときわ輝いていた曲だ。
スティルスとの新たなコラボレーションは自分たち、そしてファンにとり、巡り巡って一つの円を完結させるものだとコリンズは言う。「私たち二人が作る音楽を聴いた人たちが思い出すのは、私たちのストーリーである同時に、彼ら自身のストーリー。昔好きだった人、付き合っていた人のことを一瞬思い出すの。二重らせんがグルグル回るみたいに、色んなものが、色んな目的のために飛び出してくるのよ、そこから」
アルバムにはボブ・ディランの「北国の少女」を始めとした、二人のデュエットによるクラシック・ソングのカヴァーも含まれている。若い頃からジュディが好んで歌ってきたレナード・コーエン作品を代表して選ばれたのは「エヴリバディ・ノウズ」。彼女がこの曲を取り上げるのは今回が初めてだ。トラヴェリング・ウィルベリーズの「ハンドル・ウィズ・ケア」でも二人の歌声は伸びやかに寄り添い合う。「クエッションズ」はバッファロー・スプリングフィールドのアルバム『Last Time Around/ラスト・タイム・アラウンド』でレコーディングされたスティルスの作品だが、その後、CSN&Yの『Deja Vu/デジャ・ヴ』収録の「Carry On/キャリー・オン」でも「Carry On/Questions」として後半部分に組み入れられた。
そして本作のためにジュディが書き下ろした唯一の新曲が「リヴァー・オブ・ゴールド」だ。
レコーディングはウェスト・ハリウッドのウェスト・レイク・スタジオにて行われた。プロデュースはスティーヴン・スティルス、ジュディ・コリンズ、マーヴィン・エッジオーニ、アラン・シルヴァーマン。参加ミュージシャンは、ピアノのラッセル・ウォルデン、ベースのケヴィン・マコーミック、ドラムスのトニー・ビアード。