●LIVEレポート
『シーナの日』
鮎川誠プレゼンツ シーナに捧げるロックンロールの夜 Vol.4
LIVE ROKKETS 40+1
●LIVEレポート
『シーナの日』
鮎川誠プレゼンツ シーナに捧げるロックンロールの夜 Vol.4
LIVE ROKKETS 40+1
SHEENA & THE ROKKETS + LUCY
2018年4月7日18時47分開始
下北沢GARDEN/500人満員
デビュー40周年に突入した国内最強のロックンロールバンド、シーナ&ロケッツ。ギターをこよなく愛するロックンローラー鮎川誠。妻で女性ロック・ヴォーカルの草分け的存在のキュートでセクシーなシーナ。福岡発、ふたりで上京結成したシーナ&ロケッツは、1978年にシングル「涙のハイウェイ」でデビュー。「YOU MAY DREAM」「レモンティー」のヒットで一躍その名を轟かせ、ロックシーンのフロントに躍り出た。以降、5つの年代を股にかけるレジェンド・バンドとして圧倒的な存在を放ちながら精力的な活動を展開していくシナロケ。そんな最中の2015年2月14日、その2か月前までステージに上がっていたシーナが61歳の若さで突然この世を去ってしまう。しかし、シナロケは音楽活動を止めることなく残されたメンバーでシーナを意志を継ぐことを決めた。現在に至るまでライヴを中心にバンド活動を展開している。「今でもね。シーナはオレらとステージに一緒に立っている気がするんですよ」(鮎川誠/プロモーション取材より書き出し)。
そんなシナロケの40周年の幕開けに相応しい、鮎川誠の選曲・監修によるアルファレコード時代の楽曲から集められた2枚組ベストCD『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1』が2月28日に、さらにビクター時代の同『ゴールデン☆ベスト シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1』も3月29日に発売された。活発なリリースが展開されるなか、今年も“あの日”がやってきた。そして下北沢GARDENライヴに向けた鮎川誠の呼びかけはストレートなものだった。
── シーナが天国に上ってから丸3年が経ちました。
最後までステージに立ち続けたシーナ、
生涯ロックシンガーを貫いたシーナを偲んで
今年も下北沢で「シーナの日」を4月7日(土)に開催します。
シーナ&ロケッツの40周年記念ベストアルバム『ゴールデン☆ベスト 40+1』が
ソニーとビクターから発売されます。
鮎川誠がセレクトしたそれぞれ41曲入りの最新ベスト盤です。
中村宗一郎の新マスタリングでさらにビートが増したサウンドもぜひ楽しんでもらいたいです。
今度の「シーナの日」はこのリリースにちなんで、
40+1曲ライブでやりたいと思っています。(鮎川誠)──
開演前、ステージのスクリーンにはシナロケの数々のライヴシーンが映し出されていく。ありし日のシーナの顔がアップで浮かぶ。手をかざして拍手するファンが多い。会場に集まったファンの数だけ愉しみ方は様々だろうが、どうやらこの夜、下北沢GARDENに集結したファンの想いはひとつのようだ。──18時47分(シーナ)。スタート時間を知っている500人のファンが一瞬だけ身がまえる。次の瞬間、歓声が巻き起こる。その熱気をかき消すかのように愛器ギブソン1969 レスポールを抱えた鮎川誠がクールに登場。盟友、奈良敏博(ベース)と川嶋一秀(ドラムス)との掛け声から挨拶がわりと言わんばかりの「ロックンロールの夜」「マッドネス・シティ」を連奏。「今日は長い夜になるから途中でコンビニに買い出し行ってもらってええよ」(鮎川)。前半10曲はブルージーなフレーズが続く。時おり飛び出すえぐるようなスリリングなギターワークが耳に残る。
中山務(キーボード)が加わったところで鮎川誠にBaby Queen of Rock’n Roll Heartとアナウンスされて登場したのはルーシー(鮎川家三女)。もちろんQueenはシーナだ。「今日はシーナが愛したナンバーをたくさん歌います」(ルーシー)。偉大なロック女神の代わりではなく、ステージ上の鮎川誠の言葉を借りるならばスピリットを引き継ぐ同士としてステージに立ったルーシー。時に激しく、時にキュートに、幼少の頃から身の周りで鳴り響いていたであろうシナロケの青春レパートーリーを次々と披露する。会場を笑わせたのは父親を労うMCだった。「なんか41曲やるとか言ってるけど。誰か止めて(笑)。もう70歳だよ」。
「阿久悠さんが俺らに書いてくれた詞です。聴いてください」と丁寧に紹介してから奏でられたのは「ロックの好きなベイビー抱いて」(1994年)。続いて、「『真空パック』(1979年)で一緒に仕事して最新作の『ROKKET RIDE』(2014年)に至るまでずっと詞を書いてくれた親友を紹介します。シーナがデヴィッド・ボウイよりカッコいいと言っていた男です」。ステージに招かれた英国人クリス・モズデルは、シーナに捧げる曲として「キャプテン・ギター・アンド・ベイビー・ロック」(1986年)をリクエスト。シナロケが鳴らし続けたロック40年歴史が次々と紐解かれていく。
開始からほぼ3時間が見えたところで初期人気曲「レイジー・クレイジー・ブルース」(1981年)まで到達。残すところあと2曲。マイクを通す息遣いもあらくなり、会場の熱気も沸点に。鮎川誠のストロークから黄金のギターリフが鳴り響きパーティに突入。シナロケ乾杯! ルーシー乾杯! ロックンロールに乾杯! と言わんばかりの「レモンティー」の大合唱に会場が揺れる。「みんなおつかれさん。今日はシーナ&ロケッツが40年住んでいるこの街の、このお気に入りのライヴハウスに来てくれて本当にありがとう! ついに40曲目が来ました。シーナがいつも俺に言ってた“MY FAVORITE SONG”です。夢を見ることは忘れないで言ってました。この曲です」(鮎川誠)。「YOU MAY DREAM」(1979年)のリズムが刻まれる。21時47分……この夜、シーナの夢は、アンコールの「アイラブユー」そしてデビュー曲「涙のハイウェイ」まで続いていく……。
最後に下北沢GARDENを訪れたファンの声をお届けしたい。
「スゴい内容。『シーナの日』はやっぱり特別なライヴですね。40+1ですか? 全部で42曲!? HPにも予告はされていたけど本当に演るとは思わなかった。休憩も入れないで演奏を続けたバンドは本当にスゴい。でもシーナがいたら、もう勘弁してくれ~って思ったかも(笑)」(50代・女性)
「最高でした! 感動しました!! 4回目のシーナの日です。<レイジー・クレイジー・ブルース>あたりからもう涙が止まらなかった。最後の<YOU MAY DREAM>は大声で歌っちゃいました>(50代・女性)
「セットリストは完璧ですね。今回はキーボードが入ったから今までの『シーナの日』でいちばん音に厚みがあったかも。ギターもいい音でした。ベストCDと同じように今日のステージのライヴ盤も出して欲しい。2枚組……3枚組(笑)!!!」(40代・男性)
「今夜のルーシーのヴォーカルはこれまでの共演のなかでいちばんバンドにはまっていた気がする。(シーナが宿っていた?)いや、逆に吹っ切れて楽しんでいる感じがしました」(60代・女性)
「楽しかったです! シーナさんがいたステージは残念ながら一回しか観たことなかったけど、鮎川さんの言うとおり今日はステージのどこかにシーナさんがいるような気がしました。やっぱり私は<レモンティー>が好き!!」(50代・女性)
「静岡から初めて下北沢に来ました。“聖地”でシナロケを生で聴けて嬉しかった。今これから呑みにいきま~す。いい店を知ってますか?」(40代・女性)
「レスポールが日本でいちばん似合う男がいました」(50代・男性)
写真/西岡浩記 レポート・文/安川達也(otonano編集部)
4/7(土)『シーナの日』@ 下北沢GARDEN SETLIST
- Rock'n Roll No Yoru ロックンロールの夜
- Madness City マッドネス・シティ
- Oh no! I'm flash ホラフキイナズマ
- Virus Capsule (Ayukawa - Shibayama) ビールス・カプセル
- Bun Bun ハチがブンブン
- JukeBOXER ジュークボクサー
- Radio Junk (Chris Mosdell-Takahashi Yukihiro) ラジオジャンク
- Dead Guitar デッド・ギター
- Stiff Lips スティッフ・リップス
- Sweet Inspiration スイート・インスピレーション
- Pretty Little Boy プリティーリトルボーイ
- Bon Temps Rouler ボントンルーレ
- Happy House ハッピー・ハウス
- Rock on Baby ロックの好きなベィビー
- A Main Lover 今夜はたっぷり
- Modern Dance モダンダンス
- Ballad Of Bonnie And Clyde ボニーとクライドのバラード
- Blues No Kibun ブルースの気分
- Captain Guitar and Baby Rock キャプテン・ギター・アンド・ベイビー・ロック
- Catfish a.k.a. Namazu No Uta (Ayukawa Makoto) なまずの唄
- DoBuNeZuMi (Ayukawa Makoto) どぶねずみ
- Butikowase a.k.a. Bakudan ぶちこわせ(爆弾)
- Milk Nomi Ningyo ミルク飲み人形
- Omaega Hoshii(One More Time) おまえがほしい
- Taikutsuna sekai たいくつな世界
- Lollipop and rainbow ロリポップ・アンド・レインボウ
- One Night Stand ワンナイト・スタンド
- Baby Maybe ベイビー・メイビー
- Ukabino Peach Girl 浮かびのピーチガール
- Wai Wai Wai ワイ・ワイ・ワイ
- KonoMICHI この道
- Street Singer ストリート・シンガー
- Doshitemo Aitai どーしても逢いたい
- Rokket Ride ロケットライド
- Propose プロポーズ
- PinUP Baby Blues ピンナップ・ベイビー・ブルース
- Cry Cry Cry クライ・クライ・クライ
- Lazy Crazy Blues レイジー・クレイジー・ブルース
- Lemon Tea レモンティー
- You May Dream ユー・メイ・ドリーム
- I love you アイラブユー
encore - Namida No Hiway 涙のハイウェイ
SHEENA & THE ROKKETS SETLIST & TOURING HISTORY
■ソニー盤
ゴールデン☆ベスト
シーナ&ロケッツ EARLY ROKKETS 40+1
2018年2月28日発売 ¥3,000+税
・仕様:Blu-spec CD2仕様×2枚組 / 40曲+ボーナストラック1曲の全41曲収録 / 鮎川誠インタビューライナー付
・品番:MHCL-30493~4
・発売:ソニー・ミュージックダイレクト
■ビクター盤
ゴールデン☆ベスト
シーナ&ロケッツ VICTOR ROKKETS 40+1
2018年3月28日発売 ¥3,000+税
・仕様:SHM-CD×2枚組 / 40曲+ボーナストラック1曲の全41曲収録 / 鮎川誠インタビューライナー付
・品番:VICL-70238~9
・発売:ビクターエンタテインメント
シーナ&ロケッツ SHEENA & THE ROKKETS
鮎川誠、シーナを中心に結成。常に時代の中で革新的な存在であり、その活動のブレのなさにおいても日本のロックシーンで抜群の信頼感、存在感を誇る。
1978年10月にシングル「涙のハイウェイ」でデビュー。1979年10月に名盤2ndアルバム「真空パック」をリリースし、その後も「ユー・メイ・ドリーム」「ピンナップ・ベイビー・ブルース」など数々の名曲を発表する。
初ステージ以来、今日まで一切のブランクがなく活動し続け、2017年の11月23日に40周年を迎える。1978年にエルビス・コステロの前座としてデビューした際のオリジナルメンバー 奈良敏博(B)、川嶋一秀(Dr)と共に現在もエネルギッシュなライブ活動を続けている。
最初にやりたかった事が今も一番やりたい事だと鮎川誠はよく語るが、ロックが出来るところならどこにでも行く、どこでもやるというフットワークの軽さは、鮎川が69歳になる今もまったく衰えることはない。
2014年7月に発表したシーナ&ロケッツの18枚目の最新アルバム「ROKKET RIDE」はロング・セールスを記録中。
2016年シーナ&ロケッツのシーナとの出会いから、シーナ&ロケッツ結成秘話、これまでの生き方について語ったロングインタビュー本「シーナの夢」(西日本新聞社)を刊行。またそのロングインタビューを放送したCROSS FM「HAPPY HOUSE」は、日本放送文化大賞グランプリを受賞。2018年3月NHK福岡がシーナ&ロケッツの半生をドラマ化。(3/2夜7:30放送)
2015年2月14日シーナが病により急逝するも、鮎川誠はシーナのロックンロールハートを胸に抱いて走り続ける。オリジナルメンバーの奈良(B)、川嶋(Dr)を従えて全曲鮎川誠ボーカルにてシーナ&ロケッツを続行し、昨年11月には47都道府県ツアーを全県踏破して40周年目に突入した。