2013年に出版した回想録『アメリカーナ』と2017年にリリースした同名アルバムで、アメリカを巡る自らの旅を振り返ったレイ・デイヴィス。続編にあたる新作『アワ・カントリー:アメリカーナ第二幕』(OUR COUNTRY: AMERICANA ACT II)を海外は6月29日に発売、日本盤は通常のCDプレーヤーで再生可能な高品質フォーマット“Blu-spec CD2”仕様にて7月4日に発売となる。新作はレイ・デイヴィスが全曲の作詞・作曲を手がけ、アレンジとプロデュースも担当、ガイ・マッシーとジョン・ジャクソンが共同プロデューサーを務めている。
キンクスの創設メンバーであるレイ・デイヴィスは、2013年に出版した回想録『Americana』と昨年リリースした同名アルバムでアメリカを巡る自らの旅を振り返った。『アワ・カントリー:アメリカーナ第二幕』はその続編となっている。ここでは、彼がアメリカに対して抱いているイメージが描き出され ―― アメリカからの影響が彼をどのように形成し、発展させていったのかが語られる。こうしてアメリカでの経験を振り返ったことをきっかけに、レイは自分の生き方を見つめ直した。そして自らのルーツを再発見し、敬意を抱き、称えるようになっていった。
『アワ・カントリー:アメリカーナ第二幕』のレコーディングは、前作に続いて、有名なロンドンのレコーディング・スタジオ、コンクで行われた。バックの演奏は今回もビル・シャンリー(ギター)とザ・ジェイホークスの面々が担当。さらにイギリス人ミュージシャン数名も参加を果たしている。興味深いことに、このアルバムにはレイの類い希な作品カタログに再び目を向けた曲もいくつか収められている。たとえばオープニングを飾る「アワ・カントリー」は、『アメリカーナ』のアルバム・タイトル曲のテーマ/メロディを発展させた楽曲である。また、ここでは、アメリカという国に刺激を受け、かつてレイ・デイヴィスが書き上げた一連の楽曲 ―― 「オクラホマ U.S.A.」 (キンクスの『MUSWELL HILBILLIES』に収録)、「ザ・リアル・ワールド」 (高い評価を受けた2007年のソロ・アルバム『WORKING MAN’S CAFÉ』に収録) 、「The Getaway」 (2006年の『OTHER PEOPLES LIVES』に収録) ―― のセルフ・カヴァー・ヴァージョンも併せて楽しむことができる。
この『アワ・カントリー:アメリカーナ第二幕』では、レイ・デイヴィス本人がアレンジとプロデュースを担当し、ガイ・マッシーとジョン・ジャクソンが共同プロデューサーを務めている。またレイは全曲の作詞・作曲も手がけている。
現在レイ・デイヴィスは、『アメリカーナ』と『アワ・カントリー』を基にした舞台と映画の制作に取り組んでいる。
また、2017年にレイ・デイヴィスが発表した、およそ10年振りのソロ・アルバム『アメリカーナ』は世界中で絶賛され。メディアには以下のような論評が掲載された。
「キンクスの伝説的アーティスト、レイ・デイヴィスが出した『AMERICANA』は、アメリカのロックンロールの歴史と自らのキャリアの両方で新境地を切り開くアルバムだ。原点回帰のエネルギーと散文的な語り口を合わせ持つこの作品は、レイが久方ぶりに出した傑作ソロ・アルバムとなっている」『Pitchfork』
「彼が今までに出した中で最もプライベートなアルバム」『Mojo』
「レイ・デイヴィスというソングライターは実に多くの人に訴えかける力を持っており、彼に並ぶ者はそうそういない。『AMERICANA』はそのことを思い出させてくれる会心のアルバムだ」『Uncut』
「聴き込むべきアルバムは多々あるが、『AMERICANA』はイギリスの名ソングライターのひとりから贈られた飛びきりの一級品だ。レイ・デイヴィスの作品カタログは高く評価されているが、これはその入門編ともいうべき秀作である」『American Songwriter』
「『AMERICANA』は大きなストーリーだ。そこには、きちんとした結末や簡単な解決策が用意されているわけではない。しかしデイヴィスは、未解決の問題を処理することよりも、むしろアメリカの二重の物語に目を向けている。アメリカでは幻想の世界と現実の世界が併存している。そのふたつの世界が互いに切り込み合い、互いの中へと染み込んでいくこともしばしば起こる。そんな国の姿を、現代を代表するソングライターのひとりの作品を通じて、我々はようやく理解できるようになったのだ」『Consequence of Sound』
1944年6月21日、ロンドン/マスウェル・ヒル生まれ。
1964年、弟のデイヴ(・デイヴィス)と共に、英国ロック史を代表するバンド=THE KINKSを結成。シンガー、ソングライターを務め、『ローラ対パワーマン、マネーゴーラウンド組 第1回戦』、『この世はすべてショー・ビジネス』などの名作、「ユー・リアリー・ガット・ミー」をはじめとした名曲の数々を世に送り出してきた。
スタジオ・ソロ・アルバムとしては『アザー・ピープル・ライヴズ』(2006年)、『ワーキング・マンズ・カフェ』(2007年)を発表。その他『リターン・トゥ・ウォータールー』 (1985年)、『ストーリーテラー』 (1998年)、『ザ・キンクス・コーラルコレクション』 (2009年)、『シー・マイ・フレンズ』 (2010年)など、ザ・キンクスの楽曲をベースに制作された作品なども発表している。
2017年、2013年に出版した回想録『アメリカーナ』と同名アルバムを発表。同年、芸術への長年の貢献が評価され、ナイト爵位を授与している。