1993年、メンフィスの名門”アーデント・スタジオ”にて、トム・ダウドとマッスル・ショールズ・リズム・セクションとアルバムを制作したプライマル・スクリーム。録音された音源たちはその後姿を変え、『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』(1994年)に収録されることになるが、本来のオリジナル・アルバムは日の目を見ることが無かった・・・。四半世紀を経て、1993年のアーデント・スタジオでの音源がアンドリュー・イネスの自宅で発見され、”失われたメンフィス録音”のオリジナル・アルバムとして遂に発売となり、その”真実”が明らかになる──。収録曲全24曲は、全て未発表音源となり、Disc1は、「ジェイルバード」「ロックス」、「コール・オン・ミー」など、その後の華々しい楽曲の誕生に繋がる計9曲を収録した”ソウルフルなロックンロール・アルバム”(=THE ORIGNAL TOM DOWD ALBUM MIX)。Disc2は、“ARDENT OUTTAKES”と称された、初期リハーサル・ジャムなど計15曲を収録したレア音源集。
プライマル・スクリームは名盤『スクリーマデリカ』に続くアルバム制作の為1993年メンフィスの地を目指し、アーデント・スタジオにてプロデューサーのトム・ダウド、デヴィッド・フッド(ベース)、ロジャー・ホーキンス(ドラムス)ら、マッスル・ショールズ・リズム・セクションとレコーディング・セッション行なった。しかし、バンドと当時のレーベル、クリエイション・レコーズのボス、アラン・マッギーはその音源の出来に落胆し、新たにプロデューサー=ジョージ・ドラクリアスを起用、再びセッションを行なった。アーデント・スタジオでの音源パートは差し替えられ、現在知られている『ギヴ・アウト・バット・ドント・ギヴ・アップ』が完成し、1994年に発売された。
ボビー・ギレスピーはさらに「とてもいい意図をもって臨んだのに、何故かその後道を見失ってしまったような気がしたんだ」、「クリエイティヴィティがこういう風に道を誤っていくんだって教訓は間違いなくあるね。僕たちは常に前進し続けて振り返ることのないバンドではあるけれど、折角メンフィスに行ったのに当初意図していたことをせずに終わってしまったことを、僕は何年も悔やんできた。こんなに長い時間が経った後でこれらの曲を聴いたおかげで、すべてが大丈夫だってまた思うことができたよ。報われた気がするね」と語っている。