オールド・クロウ・メディスン・ショーはナッシュヴィルを拠点に1998年から活動するバンドで、古き良きアメリカの伝統音楽であるカントリー、ブルーグラス、フォーク、ブルース等を自分らの音楽に巧みに取入れ、現代に活かし人気を得てきました。約20年のキャリアを通じてインディーレーベルから9枚のアルバムを発表。2014年の前作『REMEDY』はベスト・フォーク・アルバム部門でグラミー賞を獲得し、その人気と実力を不動のものにしました。今作は2016年5月にナッシュヴィルで行われた『ブロンド・オン・ブロンド』完全再現公演をライヴ録音したもの。ディランの最高傑作と謳われる『ブロンド・オン・ブロンド』をオリジナル・アルバムの曲順に収録し、50年を経ても未だに豊潤な音楽性を持った作品として、未来に問う企画となっています。今作の発売に合わせ、5月4日からUS&EUツアー・スケジュールが組まれています。
ケッチ・シーコア(Vo,G)のライナーより一部抜粋僕はボブ・ディランが大好きだ。というか、愛している。対句と韻、ということであれば、ボブ・ディランの右に出る者はシェイクスピア以降存在しない。僕が音楽を生業にしているのも、単純にボブのようになりたい、ということ以外、なんの自然界の力も意志も理由も働いていない。手放しの賞賛を送るのが僕一人ではないことも知っている。地球上のありとあらゆる街角で、異口同音に人は賞賛を送る。だから2016年1月、ナッシュヴィルのレコード店でカントリー・ミュージック殿堂博物館のピーター・クーパーに呼び止められ、『ブロンド・オン・ブロンド』リリース50周年記念の祝賀にオールド・クロウの力を借りられないか?と頼まれた時、僕は即答したのだ、語気強く。「もちろん!」
変わること、移ること、くるくると回り、常に動き続けること。それをオールド・クロウ・メディスン・ショーはボブから学んだ。20年近くかかって、僕らはその教えを深く心に刻んだ。だから『ブロンド・オン・ブロンド』50周年ライヴのリハーサルの開始当初から、ボブがレコードでやったのと同じ演奏をする気は全くなかった。そうではなく、ボブ・ディランの50年分のやり方で演奏してみようと思った。だからカントリーもフォークもロックンロールもある。アコースティックでもエレクトリックでもやる。ヒルビリーもホウカムも、ゴスペル色濃い、ハヴァナギラ風ブルースもある。僕らが演奏で讃えたいのは、ポップミュージック界初の2枚組であるこの画期的なレコードであることはもちろんの事、わが国を代表する変幻自在のパフォーマーであるボブのレガシーだ。彼はどんな時も流行に抗ってきた。定義づけなど不可能に近い。同時に、このレコードで讃えられるべきは、様々なジャンルを取り入れつつ、独自の道を歩むナッシュヴィルのサウンドとその担い手たち。つまり、この力強く生命力あふれるアメリカン・ミュージックを、ルネッサンス期さながらの爆発する創造力で創り上げたプレイヤーやプロデューサー、ソングライターたちだ。
ここから50年・・・
詩人とロックンローラー、二つの個性が見事に融合した最高傑作。
‘66年作品。7枚目のアルバムで、60年代に生まれた最高のロック・アルバム。詩人とロックンローラーとしての二面性が見事に結晶した完成度の高い作品は彼の最高傑作と言われています。様々な人間関係にインスパイアされて生まれた詩の数々は時に複雑で難解ながらも深みある豊かな出来になっており、ラヴ・ソングでさえもウィットや奥深い意味を持ち、ディランが同時代のアーティストの中で如何に抜きん出ていたかを物語っています。フォーク・ロック・スタイルをより発展させた音作りはバラエティに富み、当時としては珍しいLP2枚組にまとめられた大作で、ロビー・ロバートソン、アル・クーパーなどが参加。ボブ・ジョンストンのプロデュースにより殆どがナッシュヴィルで録音されました。