松武秀樹(ロジック・システム)が野外フェスでパフォーマンス!
朝霧JAM(2017年10月7日)ライヴ・レポート

松武秀樹×朝霧JAM

  松武秀樹が自身の電子音楽ユニット“ロジック・システム”名義で、富士山の麓、朝霧高原で行われるイヴェント“朝霧JAM”に初出演を果たした。国内の野外ステージでのパフォーマンスは非常に貴重な機会といえる。松武本人にとっても、音楽生活45周年記念CDボックス『ロジック・クロニクル』の編纂、文化庁メディア芸術祭功労賞の受賞と、活動の節目となる出来事が続いており、今回の出演は、今後のさらなる音楽的進化への第一歩としての意味合いは大きかったのではないだろうか。

松武秀樹×朝霧JAM

  朝霧JAM初日の10月7日土曜日、心配された雨も上がり、ムーンシャインステージには、かつてYMOと共に海を渡った“箪笥”=モーグIIIcシンセサイザーを始めとした機材が鎮座。

  午後3時過ぎ、松武がたった一人でステージに上がる。フロアを背にしてモーグの前に座り、生命を吹き込むようにおもむろにツマミを操作すると、鼓動のような電子音のリズムが次第に立ち上がり、それはステージエリア全体を包み込むような重低音に発展していく。

松武秀樹×朝霧JAM

  そこからは約45分間にわたり、アブストラクトな音響ショウがノンストップで展開された。中間部で、YMO「LOOM(来たるべきもの)」でお馴染みになった無限音階ワザを挟み、ロジック・システムの新旧レパートリーがフロア対応の装いで繰り出される。YMO曲を挿入するようなわかりやすいファンサービスはなく、終始クールでハードコアなステージ構成で押し切ったが、朝霧に鳴り響いたモーグの生音は、富士山麓という場所との相乗効果でスピリチュアルな趣も加え、若いオーディエンスの身体も十分に揺らしていた。

松武秀樹×朝霧JAM

  終演後バックステージに松武氏を訪ねた。「野外はいいね~」と、オーディエンスの好反応や出音の素晴らしさに上機嫌な様子だった。松武氏一押しの日本酒「菊姫」でスタッフと共に乾杯。次なるライヴへの意欲を新たにしていた。

松武秀樹×朝霧JAM

Setlist
01. Patchwork 1
02. Unit 2K
03. Digiphone
04. 無限音階〜Automatic Collect, Automatic Correct
05. Patchwork 2
06. Turning Point
07. Ruins
08. Clash 2K

文:網師本博(ソニー・ミュージックダイレクト)
写真:鮎澤裕之(ソニー・ミュージックダイレクト/otonano)

松武秀樹/ロジック・クロニクル
2017年2月22日発売
MHCL 30437~41(CD5枚組)
¥10,000+税
高品質Blu-spec CD2仕様
選曲:田中雄二&松武秀樹/解説:田中雄二
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松武秀樹

松武秀樹 HIDEKI MATSUTAKE

1951年生まれ。71年より冨田勲のアシスタントとしてモーグ・シンセサイザーによる音楽制作を始める。78~82年、イエロー・マジック・オーケストラ(YMO)にプログラマーとして参加してレコーディングや世界ツアーに帯同、“YMO第4の男”の異名を取る。ジャンルを超えた多くのアーティストの録音に関わりながら、81年より自身のユニット「ロジック・システム」を始動し、アルバムの海外発売も実現。現在、一般社団法人日本シンセサイザープロフェッショナルアーツ代表理事。最新著書『松武秀樹とシンセサイザー~MOOG III-Cとともに歩んだ音楽人生』(DU BOOKS/2015)。2017年第20回文化庁メディア芸術祭「功労賞」受賞。

Logic System オフィシャルHP

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