2016年、ニュー・アルバム『暗黙の序曲』リリース後に、北米を回るコンサート・ツアーを敢行。このツアーはバンドのニュー・ラインナップ、ニュー・アルバム、そして彼らの代表作『永遠の序曲』の40周年を祝うツアーであった。本作はこのツアーの模様を余すところなく、2時間、19曲を収録。プロデュースは『永遠の序曲』も含め、長年の亘り、カンサスの作品に関わっているジェフ・グリックスマン。12都市でのパフォーマンスから、楽曲の重複なく収録。『永遠の序曲』をアルバム順に全曲演奏。2016年の最新アルバム『暗黙の序曲』からの楽曲も収録。「すべては風の中に」「帰らざる航海」など、70年代の代表曲も収録。『永遠の序曲』と『暗黙の序曲』の両作品 のイメージを融合させたアートワーク。
バイオグラフィー
1969年に米国カンザス州で結成。1974年にメジャー・デビューを果たす。同年に1st AL『カンサス・ファースト・アルバム』、翌年には2nd AL『ソング・フォー・アメリカ』と3rd AL『仮面劇』を発表。3枚はいずれもゴールドディスクを獲得。1976年には『永遠の序曲』を発表。「伝承」のシングル・ヒットも生まれ、アルバムは同年中に100万枚、トータルで400万枚以上を売る大ヒットとなった。続く1977年発表の『暗黒への曳航』も大ヒット、ここからは「すべては風の中に」が大ヒットし、バンドとして確固たる地位を築く。1983年に解散するも、86年に再結成。以後もメンバーチェンジをくり返しながらもコンスタントにアルバムを発表。2011年には日比谷野外での第2回プログレッシヴ・ロック・フェスで10年振りとなる来日公演が実現。2015年には結成40周年記念のドキュメンタリー『奇跡(ミラクルズ・アウト・オブ・ノーウェア)』を発表した。70年代~80年代、そして今もなお全世界のアリーナ、スタジアムでライヴ活動を積極的に行なうアメリカを代表するクラシック・ロック・バンドである。
カンサスは4作目となるタイトル未定のスタジオ・アルバムの曲作りとリハーサルを行うため、地元トピーカの廃業した小型ショッピング・モールにこもっていた。躍進をもたらすアルバムとヒット・シングルを生み出さなければ、恐らくトピーカに帰るしかないことは自分たちでも分かっていた…しかも今回は、永遠に! その後の展開は、実に驚くべきものだった。
カンサスはヒット・シングル「伝承」を携えて戻ってきたばかりでなく、『永遠の序曲』という傑作までも生み出したのだ。
それから40年の時が経ち、カンサスは今でも世界中をツアーし、あの廃業した小型ショッピング・モールで生み出した名曲を演奏している。『永遠の序曲』誕生40周年を祝う時が来たら、何か特別なことをして然るべきだとバンドは感じていた。
運命の定めと言うべきか、時を同じくして16年ぶりとなる新しいスタジオ・アルバム『暗黙の序曲』をリリースしたカンサスは、バンドのキャリア史上最大のショーを行うことを決定したのである!
彼らが用意したセットリストには、大ヒット曲だけでなく、知る人ぞ知る名曲や、『暗黙の序曲』からの新しい曲もいくつか含まれていた。さらに何とカンサス史上初めて、『永遠の序曲』がアルバムの曲順通りに全曲演奏されることにもなったのだ!
本作には、カンサスの『永遠の序曲』40周年記念ツアーで行われた12のショーから選ばれた19曲が収められている。
ケリー・リヴグレン、スティーヴ・ウォルシュ、デイヴ・ホープ、ロビー・スタインハート、ジェフ・グリックスマン、バッド・カーの各位に、特に深く感謝します。
「カンサスが一曲演奏し終える度にファンは跳び上がらんばかりだった。バンドはそれぞれの曲に果敢に取り組み、特に『少年時代の謎』、『黙示録』、『超大作』といった、過去に演奏されたことはあるにしても稀にしか聞けない曲では、恐らくこの夜の公演でもずば抜けて熱い、目も眩むようなプログレ・ジャムが繰り広げられた」──スコット・マーヴィス ピッツバーグ・ポスト・ガゼット紙
「新しいメンバーと新鮮な楽曲、そして明らかに見て取れるファンの興奮によって、カンサスはエネルギーを再補充したかのようだった。グループが真摯な活動を続けていけば、この公演でさえも、これから訪れるさらに素晴らしい何かの『序曲』となることが十分にあり得る」──ゲイリー・グラフ オークランド・プレス紙
「カンサスは、ひたむきさ、献身、情熱の証しである。彼らが大切にしているのは自らのレガシーであり…ファンであり…演奏そのものであり、自分たちの音楽だ。カンサスはただのバンドではない…超絶的なまでに優れたバンドだ!」──ジェブ・ライト Classic Rock Revisited.com
「カンサスは何度かの変遷を経てきたが、このコンサートは観る価値のあるものだ。そこにはラウドな音と華々しいライトショー、そして目を見張る音楽家魂がある。カンサスは最高潮の状態にあり、それによってこのショーは単なる懐古趣味を遙かに超越したものになっている」──トレヴァー・ウッズ Prog誌
「バンドは大ヒット曲のラジオ放送用ヴァージョンの再現に甘んずることなく、古い曲であっても新しいテイクとして取り組み、たっぷりとジャム・セッションを行っていた。また『リズム・イン・ザ・スピリット』などの新曲は、このバンドの創造性が尽きていないことを証明するものだった」──トム・ウォートン ソルトレイク・トリビューン紙
「昨夜、カンサスはウィルターン劇場の満員の聴衆を圧倒し、詰めかけたファンがまさに求めていたもの──本物のカンサスのショー──を与えてみせた」──ドナ・バランシア California Rocker.com
(翻訳:野村伸昭)
Photo by Michie Turpin Photography