ふきのとうは1974年から18年活動した。僕は24歳から42歳までということになる。
人生における大事な季節である。
デビューからのふきのとうの歴史が刻まれたオリジナルアルバムのすべてが現代によみがえった。
まさに音楽は時空を越えたロマン、そこにはやはりある程度良質なプロの音楽があったからこそ
成し遂げられたのだと思う。
デジタル全盛の時代、物事の正確さやクリアさも大事であるが、
やはり生身の人間の持つアナログな情感や人生の機微は
いつの時代にもなくしたくない根本であると思い未だ音楽の旅を続けている。

山木康世

50年前の深夜､羽田空港に到着した飛行機のタラップを降りた時の記憶は､
湿気を多く含んだ東京の夜の匂いと共に今でもはっきりと覚えている｡
生まれて初めて味わう梅雨の6月だった｡

僕が学生から社会人として歩き出したのはまさにふきのとうのデビューの時と重なる｡
20歳は過ぎていたけれど今思えばまだまだ世間を何も知らない地方出身のただの少年｡
アレンジャーをはじめ有能なスタッフには恵まれていたが､デビューアルバムを出したからといって､
あの頃の僕はアマチュア時代との差異はそれほど感じていなかった｡

ふきのとうの18年間を通していろいろなことを教えられそして成長していったのだと思う｡
出会い､裏切り､別離､そして絆･･･｡

今はことさら そのことに触れることはありませんが､音楽人生を50年も続けてこられた僕のネイティブは
このふきのとうの18年間にあるのだと思っています｡
それが再び1冊にまとめられたボックスとして世に出る｡

これを手にしてくれた皆さん､あなたの青春の思い出と重ねながら楽しんでくれたらうれしいです｡
そして､あなたの｢ふきのとう愛｣に感謝｡
そして､18年一緒に歩んでくれた山木康世さんに感謝｡

細坪基佳