4年振りのアルバム『キャヴァリア』に寄せて
前作『Vagabond』を発表してから4年が過ぎました。そしてそのあいだに色々なことがありました。
大叔父から楽譜のコレクションを受け継いだこともそのひとつです。そこに記された古い民謡のメロディをピアノで奏でるうちに、私はいくつかの曲に心を奪われたのです。
「Deirdre’s Farewell To Scotland」も叔父から受け継いだ一片の楽譜にあったものです。紙は茶色く変色して、すぐにもボロボロになってしまいそうでたが、ハーモニウムで音を拾っていくと、和音の中からこの曲が生まれたころの世界が再現されていくように感じました。
「Maiden’s Lament」、それに「The Loch Tay Boat Song」も同じです。
ある曲が猛烈に気に入ってしまったなら、あとはいつも同じです。その曲から聞こえてきた美しい何かを自分以外の人たちにも発見してほしいと思うのです。私がこれらの楽曲の虜になったように、みなさんにも夢中になっていただきたいと願っています。
『Vagabond』のリリースから4年のあいだに起きた出来事のひとつには、成長した子供たちの独立という事件もありました。それは望んでいたようなかたちでは訪れず、私には変化を受け入れる心の準備もできていませんでしたが、それをきっかけに歌が生まれました。「Wonderful」と「Go Wisely」がその例で、どちらも子供たちの独立というテーマを掘り下げたものです。
古い歌を好む気持ちと新しい歌を求める思いは、私の中では分けられそうにありません。ブー・ヒュワディーンは「Old Song」という曲の中で、そうした私の気持ちをとてもうまく表現してくれています。そんな風に、気に入った曲を吹き込んでいくうちに、このアルバムは58分という長尺の作品になってしまいました。
グラスゴー、エディンバラ間をドライブするには申し分のない長さですが、それもあなたがこちらの方までいらっしゃる機会があればの話です。
『Cavalier』には、2017年の初めから、丸1年かけてレコーディングした16曲が収録されています。今回のレコーディングで、私たちは、どの曲もステージさながらに全員で揃って演奏し、3テイクから、多いもので5テイクほどを録音しました。そしてその中から最良のテイクを選び、アイディアを出し合いながら、オーヴァーダビングを施しました。
私には、技術的な説明を、これ以上細かく加えることはできません。このアルバムに貢献してくれたイアン・ハッチソンはトップ・クラスのスタジオ・エンジニアです。私はかなり前から彼と一緒に仕事をしたいと思っており、今回ようやくその思いを実現する機会に恵まれました。また、私は、この数年使用していたスタジオよりも、もっと広いところでレコーディング・セッションを行いたいと思っていました。この点、グラスゴーのグロワーム・スタジオは理想的で、仕事を進める上で最高の環境でした。
このアルバムの収録曲のレコーディングは、すべてスコットランドはグラスゴーで行っています。アルバムが完成するまでのあいだ、コンサート・ツアーもなく、時間に余裕があるときは、一も二もなくレコーディングにかかりましたし、ツアーに出ていない、時間に余裕のあるミュージシャンは逃さず捕まえて、レコーディングに協力してもらいました。私はどうしても今年(2018年)アルバムを発表したかったので、最後の数曲はゴーバルズ・スタジオでレコーディングしました。2018年という年は、私にとってとても重要な意味を持っています。私が誰かに聴いてもらうために歌をうたい始めてから、ちょうど40年目に当たるのです。
アルバム・タイトルは"Cavalier"としました。近ごろ、私はずっとそんな気分だったからです。
私はこれらの曲を発表することができて、心から嬉しく思っています。この年老いた女船乗りは、まだコンパスを片付けてはいません。
アルバムを聴いてくださって本当にありがとう。
エディ・xx