豪華仕様のコンプリート・シングル・コレクション!
2枚組全36曲収録。
ゴールデン☆アイドル キャンディーズ
レッツゴーヤング「年下の男の子」 1977.4.17
©NHK
ひるのプレゼント「微笑がえし」 1978.3.31
©NHK
1973年4月から1976年の3月まで、岡山の片田舎で、進学校に通っていた僕は「帰宅部」だった。
帰宅部にとってのメリットは、いわゆる「FREEDOM」であること。だから運動したつもりで、「プロ野球」などのスポーツ中継も観たし、テレビの歌番組にも現を抜かしていた。
「レッツゴーヤング」「紅白歌のベストテン」「夜のヒットスタジオ」「ベスト30歌謡曲」「歌え!ヤンヤン!」「ゴールデン歌謡速報」など。
とにかくあの頃、毎日のようにたくさんの「歌の生番組」があって、おまけに全盛のAMラジオの番組ゲストに出演、しかも「明星」「平凡」「近代映画」「プレイボーイ」「平凡パンチ」といろんな雑誌の取材もこなした当時のアイドルは、肉体的にも、精神的にも大変だっただろうなぁ。
さて、「キャンディーズ」。
1973年秋、ラジオから流れてくる「あなたに夢中」で初めてキャンディーズを知った。「食べてしまいたいほど可愛い女の子たち」とは思えない「普通の女の子」だった。それが1974年秋、文化祭の頃、男女交際の別れにぴったりのバラード「なみだの季節」で僕はちょっとセンチ(今や死語)になり、そして1975年、セーラー服を着た高校の女子連中がなんともヘタな振りマネをする「年下の男の子」が大ヒット。「キャンディーズ」の名前が頭に刷り込まれた。
そして東京で青春を謳歌していた1976年、大人っぽい詩、転調を含むメロディ、そしてハーモニーと3拍子揃った傑作「哀愁のシンフォニー」が大好きになった。
でも、高校、大学と、僕の周りにはあいにく「キャンディーズ」の熱狂的なファンはいなかった。
ところが、レコード会社に入ってから、「ランちゃ~ん!」と叫ぶ先輩。「スーちゃんがいい。」「いやミキちゃんだよ。」
「業界用語」とはまた違った「ちゃん」付けをするキャンディーズファンの先輩社員たちに驚いた。
名古屋でCDの営業をやっていた頃には、豊橋市のレコード店でキャンディーズ好きの店長から「キャンディーズ神社」の話を聞かされて、
「なんですか。ソレ?」
なんでも、1977年、横浜のレコード店にいるときに、お店の中に「蘭好美樹大明神」を奉った手作りの小さな「キャンディーズ神社」を作ったら、マスコミにも取り上げられて、全国からファンが来てお賽銭も入れて帰っていったとか。信じられなかったけど、店長から当時掲載された雑誌も見せられて納得した。この神社は「ザ・ベストテン」にも登場したらしい。
「全キャン連」なる言葉も、この平井店長から教わった。
さらに、なんとかプラチナチケットを手に入れて、後楽園球場まで見に行って感動したという同僚や、チケットが買えなくて、後楽園球場の外で、中から漏れてくる音をずーっと聴いていたというCDジャケットのデザイナーまで僕の前に現れたものだから、自然と「キャンディーズ」入門書的知識が身についてしまった。
・3人それぞれカラーが決まっている(ピンク、ブルー、イエロー)
・紙テープを投げるときにはあらかじめ「芯」を取って、当たってもケガをしないようにしておく
・レコードセールス的にはそれほどではない「危い土曜日」がライブでは大人気。
・「哀愁のシンフォニー」では紙テープを投げる歌詞のところが決まっている。
などなど。
コアファンには失笑されそうな初歩的知識であるが、世間一般のキャンディーズのファンは、これぐらいのことしか知らないと思う。
僕は、「キャンディーズ」の熱狂的なファンではない。
でも、デビューから日が経つにつれて完成されてくる3人のぴったり合ったユニゾンと美しいハーモニーに癒され、「8時だョ!全員集合」の「マット運動」後のにこやかなポーズに元気をもらい、そして当時のタブーを破って解散宣言し、「本当に、私たちは幸せでした。」と言って去っていった潔さに驚いたファンの一人である。
このDVDは、アタマにハチマキをしてキャンディーズを追いかけ、解散に涙した強烈なファンだけでなく、昭和という時代に青春だった人たちが観ても、十分おもしろい内容である。
「レッツゴーヤング」「夜のヒットスタジオ」「8時だョ!全員集合」「ザ・ベストテン」など、どれか1度は観たであろう有名歌番組の出演シーンもDISC1、2、3に収録されているので、楽しいこと間違いない。
DISC4と5は、「後楽園球場」に行った人はもちろん、チケットがとれなかった人も、当時お金がなくて行けなかった人も、親に叱られて行けなかった人も、受験や地方にいるという理由で行けなかった人たちも、当時を体験できる待望の「ファイナル・カーニバル For Freedom」完全版だ。
当時、音響もモニターも発達していないのに野球場でライブをやるアーティストはほとんどいなかった。女性ではこの後楽園での「キャンディーズ」が最初ではないだろうか。
また、ブックレットに掲載されているライナーノーツもおもしろい。
DISC1から3は、衣装やエピソードも交えて高島幹雄氏が各曲の詳細な解説をしている。音楽評論家でもここまで執筆できないような解説だ。
DISC4と5は、中学生なのに一人でチケットを持って後楽園に行った鈴木啓之氏が幼いころの体験を交えながら解説をしている。(当時、鈴木氏に紙テープを分けてくれた大学生は今どこでなにをしているのかな。)
収録時間は、全部で約6時間30分である。
なお、歌番組については、「夜のヒットスタジオ」での冒頭のメドレー歌唱や、「8時だョ!全員集合」でのマット運動のポーズ、「ザ・ベストテン」での司会コンビとのトークは収録されておらず、歌唱シーンのみ収録していることをご了承いただきたい(笑)。
さあ、DVDでキャンディーズを観よう。
でも、あわてて観ることもないか。
これからも「キャンディーズ」は「永久に不滅」なのだから…。
『キャンディーズ メモリーズ FOR FREEDOM』の発売にあわせて、11月4日よりキャンディーズの全アルバム18タイトル、ならびに全シングル18タイトルの配信がスタート。
楽曲数はのべ341曲。「暑中お見舞い申し上げます」1曲のみすでに配信されていたが、それ以外の楽曲はすべて初めての配信となる。
※11月4日(水)0時より配信開始