【世界最速レポ!'88年のバービー@東京ドーム(完全ノーカット版映像)を見た!】
正直に告白すると、BARBEE BOYSの東京ドーム公演についての記憶はほぼ失われていた。それもいたしかたないだろうと言い訳したい。あの夜からすでに30年が経過しているのだ。
しかし幸運なことに劇場上映に先立って試写を拝見する機会に恵まれた。するとどうだ。KONTAのボーカルがオーバーチュアとなったオープニング曲「なんだったんだ? 7DAYS」の演奏が開始されたとたん、一気に30年前にタイムスリップし、あの夜のことが鮮やかによみがえってきたのだ。しかもリアルタイムでは遠目で確認できなかった各メンバーの表情、込めた思いが手に取るように伝わってくるではないか。今回初めて公開されることになったこの完全ノーカット・ライヴ・フィルムはひとつの“事件”かもしれない。
1988年は会場となった東京ドームが落成した年だが、その新しいドームスタジアムでコンサートを行なおうという野心的なアーティストがさっそく現れる。ミック・ジャガー、BOØWY、長渕剛──。そんな“前例のない会場”へ挑むべく名乗りを上げたひと組がBARBEE BOYSであった。
そもそもBARBEE BOYSは、IMASAが持つポップ&アバンギャルドの絶妙なバランスの上で、非常に優秀な男女の混声、パーマネントなブラスの導入など、日本の音楽シーンではハイスペックかつ特異な存在であった。そんな、少し斜め上を行っていたバンドが東京ドーム元年のラインアップに名を連ね、5万人を動員していたのだから、彼らも日本の音楽ファンもたいしたものだ。
当夜のBARBEE BOYSは極一部での演出的なテープ使用を除いて、徹頭徹尾5人のリズム、5人の演奏でこの大会場を熱狂させた、しかも非常に音楽的に。よみがえった記憶がリアリスティックな記録とシンクロする瞬間に何度も鳥肌が立った。
当時の熱量をそのままに、いやデジタルリマスタリングによる、それ以上の鮮明さで躍動する5人の姿を大スクリーン、そして大音量でぜひ体験してもらいたい。ルールなんてない。5人の呼吸を感じ、立ち上がり、歓声を上げ、BARBEE BOYSが放つ“音楽の夢と魔法”を全身で浴びようではないか。
文:芳賀崇 (ONEVISION CO.,LTD) ※1988年当時CBS・ソニー出版(現エムオン・エンタテインメント)より刊行の音楽専門誌『パチ・パチ』編集者としてBARBEE BOYSを担当。 2018年10月3日
ツアー「BARBEE BOYS STARS ON SPECAL」セットリスト
1982年にコンタ(vo、sax)、いまみちともたか(g)、小沼俊明(ds)が結成したバンドに、杏子(vo)、エンリケ(b)の順で加わり、84年、デビュー時の5人に。男女のツイン・ヴォーカルを特徴とし、男女間のさまざまな場面を、音と音の隙間を活かしたサウンドに乗せて表現するバンドだった。84年、シングル「暗闇でDANCE」でデビュー。86年リリースのアルバム『3rd BREAK』でブレイクし、TM NETWORK、REBECCAらとともにJ-ROCKの一時代を築いた。92年解散。