今ではスーパー・プロデューサーとして知られるデイヴィッド・フォスター(key)とスティーリー・ダン「ペグ」の名演でも名高いジェイ・グレイドン(g)が組んだユニットが1980年に発表した唯一の作品。ヴォーカルにトミー・ファンダーバークを迎え、バック・ミュージシャンにはスティーヴ・ルカサー、ジェフ・ポーカロ、スティーヴ・ポーカロ、ビル・チャンプリンなど、豪華プレイヤーが多数参加。80年代AORの教科書ともいえるサウンドは、当時日本では絶大な支持を得、その音作りは、日本の音楽シーンに大きな影響を与えた。AORを語る時には必ず紹介される超名盤として、今なお売れ続けている作品。この度、日本独自企画として、メンバーのジェイ・グレイドンがオリジナル・マスターからあらためてリマスタリングを施した音源を使用して、カラー(ブルー)ヴァイナルのアナログ盤、SACDハイブリッド盤(7インチ紙ジャケ仕様)でリリース。さらに初となるハイレゾ音源(24bit/96KhzとDSD)での配信もおこなわれる。
ライナーノーツの中で、マスタリングを行ったジェイ・グレイドは「このプロジェクトには約10週間かかり、その間に僕は一晩オフを取っただけだった。プラグインを用いて自分が望む通りの音にするのは容易な作業ではなく、集中する必要があったからね。重要なのは、今回のマスタリングが以前のどのマスタリングよりも遙かに優れているということだ! 音響全体の輪郭が際立っているし、サウンドも迫力がある!」と語っている。
Jay Graydonジェイ・グレイドン(写真左)
1949年10月8日、ロサンジェルス生まれ。68年頃からジャズ系のセッションをはじめ、74年頃からポップス系のレコーディングにも参加するようになる。彼が一気に注目を集めるようになったのはスティーリー・ダンの1977年のアルバム『彩(エイジャ)』の収められた「ペグ」でのギター・ソロだった。1979年からはプロデューサーとして、マンハッタン・トランスファー、アル・ジャロウ、ジョージ・ベンソン等などを次々とヒットさせていく。そんな脂の乗った時期に結成されたのがエアプレイであった。80年以降もプロデューサー、ミュージシャンとして活躍を続けている。
David Fosterデイヴィッド・フォスター
1949年11月1日、カナダのブリティッシュ・コロンビア州生まれ。スカイラークというバンドで活動した後、ロサンジェルスに移り、セッション活動を開始。ジョージ・ハリスン、ロッド・スチュワートなどのアルバムに参加して注目を浴びる。1975年にブルース・ミラーのアルバム『Rude Awakening』を手始めに70年代後半には売れっ子プロデューサーとなり、ホール&オーツやアリス・クーパーなどのヒット作品を次々生んでいく。そんな時期、グレイドンと組んだユニットがエアプレイだった。その後はシカゴの「素直になれなくて」、タナリー・コールの「アンフォゲッタブル」、ホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」等など、数えきれないほどの大ヒット曲を制作。80年代には松田聖子をはじめ、多くの日本人アーティストも彼のプロデュースによってアルバムをリリースしていた。また、映画『セント・エルモス・ファイヤー』のサントラからは自身のピアノによる「愛のテーマ」も大ヒットしている。まさに70年代から90年代を代表する名プロデューサー。