●スペシャルREPORT
ワイヨリカ Wyolica
20周年ベスト・アルバム
『Beautiful Surprise~Best Selection 1999-2019~』
発売記念
“Beautiful Surprise Party”
2019年7月5日(金)@Sony Music OnSite
デビュー20周年となる5月21日に再結成を発表したワイヨリカ(Wyolica)が、8月7日にリリースするベスト・アルバム『Beautiful Surprise~Best Selection 1999-2019~』を記念するスペシャル・イベント“Beautiful Surprise Party”を7月5日に開催した。
ベスト・アルバム予約者から選ばれた会場いっぱいの参加者の多くは1999年発表のデビュー・シングル「悲しいわがまま」や2ndシングル「風をあつめて」からと思しき熱心なファンで、久々に揃ったAzumiとso-toが登場すると顔を輝かせながら、大きな拍手で迎えた。そんな熱のこもった歓迎に対して、少しはにかみながら深くお辞儀をするふたり。「みなさん、こんばんは。お久しぶりです、ワイヨリカ。みんな、なんか緊張してるでしょ?」というAzumiのくだけた挨拶で笑いに包まれ、会場が和やかな雰囲気に。そんな中、司会進行のライター・吉田可奈氏のナビゲートによって、イベントはトークからスタートした。
吉田さんからの「再結成に至ったきっかけは?」との問いに対して、「1、2年くらい前から、デビュー20周年を迎える2019年に何かかたちに残るものを出したいなと考えていたんです。残念ながら今、ワイヨリカの作品が欲しいとなっても手に取ってもらえることができない状況にもあるので、音源をまず聴いてもらうためにもベスト・アルバムをリリースしたいと思って。そんな中、ベストを出すんだったら、せっかくだし新曲も入れたいな、でも新曲やるんだったら再結成!? ということで、デビューからのスタッフのみんなにも相談しながら進めていったんです」とAzumiが答えると、so-toは「そうそう、懐かしい人たちと5回くらい飲みに行ったよね。うなぎと天ぷら食べて、美味しかったな〜」と脱力コメント。こんなふたりのやりとりも懐かしい。
『Beautiful Surprise~Best Selection 1999-2019~』には代表曲はもちろん、9年ぶりとなる新曲3曲とセルフカヴァー1曲を含む全30曲を2枚のCDに収録。そのレコーディングで印象に残っていることを聞かれると、「ずっとワイヨリカのサポートをやってくれていたベーシストの沢田(浩史)さんに来て弾いてもらって、懐かしい雰囲気だなと感じたのと同時に、曲が生きものみたいにできていく感覚も戻ってきた」とso-toが語ると、「そう、すぐにワイヨリカだなっていう空気感にすぐ戻れたよね。でも、懐かしむわけでもなかった、ほんとごく自然な感じで。実はアルバム1枚分くらい新曲を作ってるんですよ。でも、私もso-toくんもワイヨリカらしさを探りながら模索していったような過程だったので、けっこう大変でしたね。でも、so-toくんのギターと私の声があれば、やっぱりワイヨリカになるんだなぁって、実感しました。新曲<Beautiful Surprise>の歌詞のなかにはここに集まってくれたみなさんもきっと気が付くワードが散りばめられています。楽しみにしてください」とAzumiが振り返ってくれた。
トークパートが終了すると、まさに“Beautiful Surprise”として、その曲が演奏されることが告げられると、ライヴがあることを知らなかったファンはリリース前の新曲を一足早く生演奏で聴けるという喜びを大きな拍手で表していた。演奏のセッティング中にAzumiは、8月18日に行われるワンマン・ライヴに向けて、演奏する曲のリクエストをウェブを通じて募ることを発表。リクエストで1位になった曲は必ず歌いますと宣言した。
ライヴの準備が整うと、まずは7月31日にアルバム先行シングルとしてアナログ盤で発売される「Beautiful Surprise」を演奏。so-toが爪弾くアコースティック・ギターに導かれるようにして、すっと歌い出すAzumi。やさしさとぬくもりにあふれたメロディと共に歌われるのは、まるで過去の自分たちを描き出していくような言葉たち。止まっていた時間が再び流れ出した瞬間、参加したファンの中には目に涙を浮かべる人も。同じようにワイヨリカとの歩みを再び進めることになった喜びと感動に包まれていた。
「みんながじーんとして聴いてくれるこの感じ、久しぶりだな。ほんと、いつもじっくり聴いてくれていたじゃないですか、みなさん。本当に待っていてくれていて、どうもありがとうございました」とAzumiが感慨深く語った後、続いて演奏されたのは2007年に配信限定で発表された「星」。別れを決めたふたりの切ない恋愛感情をにじませたAzumiのヴォーカルと手を携えるように奏でられるso-toのギター。まさにワイヨリカらしい瞬間がまたしても訪れる。またしても涙するファンに向かって、感極まりながらも「今日は泣かないと決めてますから。泣かないぞ」と告げるAzumi。「みんな最初の頃はうまく歌えなかったけど、20年もやってると一緒に歌ってくれるようになったよね。今日もみんなの歌声が聴きたいな」と促してから、ラストの2000年発表の4thシングル「さあいこう」を歌い出した。
シングル発売から約20年、そして再結成に至るまでの6年という長い時間を飛び越えて、あのときの気持ちや想いをよみがえらせてくれる、これぞワイヨリカという普遍的なメロディ。「さあ、一緒に」という呼びかけから、一言一句淀みなく歌い上げるファンたち。互いにふたたびつながった瞬間を経て、復活のライヴが幕を閉じ、深い余韻が広がっていった。
「これからも息の長い活動をしていきたいと思います。人生には山と谷があります。僕らワイヨリカもゆっくりと進んでいきます」とso-toがコメントしてフィナーレかと思いきや、さらにサプライズが。今年3月に冨田恵一(冨田ラボ)プロデュースで11枚目のニュー・アルバム『波形』をリリースした、ワイヨリカと同じくデビュー20周年を飾るbirdがお祝いの花束を手にして登場。birdも20周年ベストアルバム『bird 20th Anniversary Best』が7月24日に発売されることがすでに発表されている。その予期せぬゲストにファンは喜び、ワイヨリカのふたりが驚く中、birdが花束を贈呈。そして、スタッフが用意した花束をAzumiがbirdへ手渡し、互いの20周年を祝った。
「あの頃、birdはアフロヘアーがつぶれちゃいけないって、新幹線でもずっと直角に座ってたよね」とAzumiが思い出すと、「そうそう、そうだったね。ずっと前のめりだった(笑)」と同期トークで大盛り上がり。birdがかけがえのない仲間の帰還を祝った後、ワイヨリカのふたりと会場のファン150人による記念撮影も実施。トークにライヴ、記念撮影と、ずっと待っていてくれたファンに惜しみないプレゼントを贈って、Azumiとso-toはステージを後にした。
7月31日の7インチ・シングルと8月7日のベスト・アルバムのリリース、そして8月18日の東京と31日の大阪のライヴを経て、ワイヨリカは完全復活する。さらなる新曲も楽しみにしながら、まずは懐かしいメロディと新たな名曲をじっくりと楽しもう。
文・油納将志 写真・佐々木理趣(otonano編集部)
ワイヨリカ(Wyolica)
北海道札幌市出身のAzumi(vo)と
大阪府出身のso-to(池宮創人)(g,programming)による
2人組音楽グループ。
名前はネイティヴ・アメリカンの言葉を用いた造語で“草原の民”の意。
それぞれに活動していた二人がオーディションを機に出会い、大沢伸一プロデュースとして
99年5月にシングル「悲しいわがまま」でデビュー。
ブラック・ミュージックを軸に、切ない歌詞や洒落たセンスとポップ感覚を合わせた
爽やかで甘酸っぱいサウンドで人気を博す。
2013年5月の正式解散発表後は、それぞれソロで活躍していたが、
デビュー20周年を期に再結成を発表した。
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