鷺巣詩郎コメント
単なる「記録」以上の「録音録」を。
作編曲家という看板を掲げて40年近く。うち最近の20年間から15曲をピックアップしたのが、この『録音録』です。日本を代表するアーティストの方々との仕事、自分のアルバム、未発表音源、新曲、いろいろ欲張って収録しました。単なるベスト盤やコンピに終わらぬよう、ここはドンと自己主張させていただき「鷺巣が書き、鷺巣が録った」という視点での再構築を試みたのです。もちろんリマスタリングも施し、当時を振り返り、より詳しい記録や、ライナーノーツも綴りました。
いつ、どこで、だれと作り上げたものであれ、一期一会のレコーディング・パフォーマンスは、驚き、不可思議、秘めたる素晴らしさに満ちあふれてます!! まさに副題「The Hidden Wonder of Music」のとおり、あらためて沢山の新発見があり、自分でも本当に驚きました。何度も書き、何度も録り、そのたびに何度となく聴いてきたはずなのに……。
皆様にも、ぜひ同じ体験を味わっていただけましたら、とても嬉しいですし、それはまた作り手にとって、大きな願いがかなう瞬間でもあります。
2017年 如月 鷺巣詩郎
鷺巣詩郎(さぎすしろう)(作編曲家/プロデューサー)
1957年東京生まれ。本名同じ。 78年、編曲家、鍵盤奏者としてザ・スクエアのデビュー盤に参加。 79年にはリーダー作『EYES』を発表。80年代からは作・編曲家として多方面で活躍。アイドル歌謡曲をはじめ、『笑っていいとも!』の音楽や、中央競馬場の入場ファンファーレなども手がけた。90年代以降はロンドン、パリ、東京の3拠点で活動。オーケストラや合唱など大編成スコアがそのサウンドの代名詞。また現代を代表する劇伴作家でもあり『ふしぎの海のナディア』や『エヴァンゲリオン』シリーズなど庵野秀明監督との25年間以上ものコンビネーションは、世界中に熱狂的なファンを持つ。『ベルセルク』『進撃の巨人』、2016年の大ヒット作『シン・ゴジラ』の音楽も担当した。
作曲、編曲、総監督を鷺巣詩郎がつとめるフルオーケストラ交響楽コンサートが、下記日程で開催されます。『エヴァンゲリオン交響楽』以来20年ぶりとなる、鷺巣詩郎によるフルオーケストラ・コンサートです!
2017 年 3 月 22 日(水)昼公演:13 時~ 夜公演:18 時半~
2017 年 3 月 23 日(木)昼公演:13 時~ 夜公演:18 時~
[会場]Bunkamura オーチャードホール
著者:鷺巣詩郎 装画:安野モヨコ 帯コメント:庵野秀明
これまでの雑誌連載・寄稿がついにシリーズで書籍化! 『bmr』に連載されていた「Studio Vibe」(全147回)の前半に加え、当時の活動年表、エヴァ、父うしおそうじのピープロにまつわる原稿などを新たに追加した、現代を代表する劇伴作家による執筆の記録!
リズムとは「ミクロの化け物」であると同時に「ニュアンスの権化」でもある。まったく同じフレーズ(譜割り)を叩いても、バーナード・パーディーとジェイムズ・ギャドソンは天と地ほど違うだろう。ジョン・ロビンソンとスティーヴ・フェローンでも同じコト。超物理的に分析すればミクロのタイミングと音色の差なのだが、たとえそれらを同一にしてもニュアンスという壁に今度は突き当たってしまう。―本文より―