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『毎木7ライヴ・フィルム・フェス』10/5『LIVE FILM エレファントカシマシ 1988/09/10 渋谷公会堂』上映 ウド鈴木(キャイ~ン)登壇トークショー(T・ジョイPRINCE品川)の模様をレポート!
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毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023
ライヴに拘ったEPICレーベルからこれまで発表された80~90年代の珠玉のライヴ・フィルム7作品を全国19都市24カ所の映画館にて、9月21日(木)より毎週木曜よる7時から7週連続一夜限定上映するイベント『EPIC レコード創立45周年記念 毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023 -THE LIVE IS ALIVE!-』。その第三弾・『LIVE FILM エレファントカシマシ 1988/09/10 渋谷公会堂』T・ジョイPRINCE品川での上映にて行われたウド鈴木(キャイ~ン)トークショーのレポートをお届けします。
宮本浩次と同じような過剰さで彼らエレカシの魅力を訴えかけたウド鈴木の真っ直ぐな情熱にT・ジョイPRINCE品川の客席から拍手が巻き起こったのは、そこにいたのがエレカシのファンばかりだったからというだけではないだろう。
EPICレーベル創立45周年記念上映企画第2弾として9月21日の木曜日にスタートした『毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023』。3週目のこの日は、エレファントカシマシが1988年に行った初ホール・ライヴを収めた『LIVE FILM エレファントカシマシ 1988/09/10 渋谷公会堂』が全国各地の映画館で上映され、東京・品川のT・ジョイPRINCE品川では上映前に、エレカシの大ファンで知られるキャイ~ンのウド鈴木が登壇。エレカシのライヴに勝るとも劣らない熱さで彼らの魅力を語った。
『LIVE FILM エレファントカシマシ 1988/09/10 渋谷公会堂』は、1988年3月のデビューからわずか半年で実現した伝説的ライヴを全曲収録。ステージ後方の幕が引き上げられ、資材置き場のようなガラーンとした空間で繰り広げられた息づまる演奏を、演出を排した報道映像のようなクールさと執拗さで捉えた、文字通りのドキュメント作品だ。16mmフィルムで全編撮影された映像、デジタル・マルチテープで録音された音源は2017年にレストア・リマスタリングされ、近年のエレカシはもちろん、ユニコーンやKREVAなど独自のセンスでハードエッジな活動を展開するアーティストを手がけている映像作家、大沢昌史がディレクションを担当して、この完全版は完成した。
88年の収録現場で撮影監督を務めた故・坂西伊作は、企画段階からこのライヴに関わり、先に書いた剥き出しのステージや終始客席の照明をついたままにする、いわゆる「客電つけっぱなし」といった破天荒な“演出”で、このバンドの実相がオーディエンスの目にさらされる状況を用意した。もっとも、全てがさらされてしまうのはバンドだけでなく、例えばステージ上では身の隠しようがないから、フィルム交換のためにカメラを入れ替える映像スタッフの姿が映り込むこともお構いなし。文字通りノー・ギミックでエレカシのライヴを差し出すことが、坂西の最大のメッセージだったことは明らかだ。
当時は、まさにバブル景気真っ盛りの時代。生身の実体に触れることなく、ただ表層を消費していくことに明け暮れている人々には、白目を剥かんばかりの形相で♪心も身体も売り渡せ/金があればいい♪と歌う男の過剰な逆説はほとんど滑稽にしか見えなかったようだが、2023年の今、宮本浩次と同じような過剰さで彼らエレカシの魅力を訴えかけたウド鈴木の真っ直ぐな情熱にT・ジョイPRINCE品川の客席から拍手が巻き起こったのは、そこにいたのがエレカシのファンばかりだったからというだけではないだろう。88年当時、坂西が共感し、その核心をそれ以上でもそれ以下でもない有り様で世の中に差し出そうとしたエレカシの真っ直ぐな情熱が、現代においてはかなり希少で、しかしとても魅力的なものであることを多くの人が知っているのだ。
貴重なアーカイブ映像は、伝説を追体験できるだけではなく、時代の移り変わりのなかで生まれる意識の変化を浮き彫りにする効果も備えているようだ。「毎木」は、熱いだけでなく、なかなかに深い。
文:兼田達矢 撮影:山本佳代子
↑↑↑↑『毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023』スペシャルサイトはこちら↑↑↑↑
宮本浩次と同じような過剰さで彼らエレカシの魅力を訴えかけたウド鈴木の真っ直ぐな情熱にT・ジョイPRINCE品川の客席から拍手が巻き起こったのは、そこにいたのがエレカシのファンばかりだったからというだけではないだろう。
EPICレーベル創立45周年記念上映企画第2弾として9月21日の木曜日にスタートした『毎木7ライヴ・フィルム・フェスティヴァル2023』。3週目のこの日は、エレファントカシマシが1988年に行った初ホール・ライヴを収めた『LIVE FILM エレファントカシマシ 1988/09/10 渋谷公会堂』が全国各地の映画館で上映され、東京・品川のT・ジョイPRINCE品川では上映前に、エレカシの大ファンで知られるキャイ~ンのウド鈴木が登壇。エレカシのライヴに勝るとも劣らない熱さで彼らの魅力を語った。
『LIVE FILM エレファントカシマシ 1988/09/10 渋谷公会堂』は、1988年3月のデビューからわずか半年で実現した伝説的ライヴを全曲収録。ステージ後方の幕が引き上げられ、資材置き場のようなガラーンとした空間で繰り広げられた息づまる演奏を、演出を排した報道映像のようなクールさと執拗さで捉えた、文字通りのドキュメント作品だ。16mmフィルムで全編撮影された映像、デジタル・マルチテープで録音された音源は2017年にレストア・リマスタリングされ、近年のエレカシはもちろん、ユニコーンやKREVAなど独自のセンスでハードエッジな活動を展開するアーティストを手がけている映像作家、大沢昌史がディレクションを担当して、この完全版は完成した。
88年の収録現場で撮影監督を務めた故・坂西伊作は、企画段階からこのライヴに関わり、先に書いた剥き出しのステージや終始客席の照明をついたままにする、いわゆる「客電つけっぱなし」といった破天荒な“演出”で、このバンドの実相がオーディエンスの目にさらされる状況を用意した。もっとも、全てがさらされてしまうのはバンドだけでなく、例えばステージ上では身の隠しようがないから、フィルム交換のためにカメラを入れ替える映像スタッフの姿が映り込むこともお構いなし。文字通りノー・ギミックでエレカシのライヴを差し出すことが、坂西の最大のメッセージだったことは明らかだ。
当時は、まさにバブル景気真っ盛りの時代。生身の実体に触れることなく、ただ表層を消費していくことに明け暮れている人々には、白目を剥かんばかりの形相で♪心も身体も売り渡せ/金があればいい♪と歌う男の過剰な逆説はほとんど滑稽にしか見えなかったようだが、2023年の今、宮本浩次と同じような過剰さで彼らエレカシの魅力を訴えかけたウド鈴木の真っ直ぐな情熱にT・ジョイPRINCE品川の客席から拍手が巻き起こったのは、そこにいたのがエレカシのファンばかりだったからというだけではないだろう。88年当時、坂西が共感し、その核心をそれ以上でもそれ以下でもない有り様で世の中に差し出そうとしたエレカシの真っ直ぐな情熱が、現代においてはかなり希少で、しかしとても魅力的なものであることを多くの人が知っているのだ。
貴重なアーカイブ映像は、伝説を追体験できるだけではなく、時代の移り変わりのなかで生まれる意識の変化を浮き彫りにする効果も備えているようだ。「毎木」は、熱いだけでなく、なかなかに深い。
文:兼田達矢 撮影:山本佳代子
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