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第319回 萩原健太のotonanoラジオ#201

2023/08/08 公開

白井良明(ムーンライダーズ)さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

白井良明(ムーンライダーズ)さんをゲストに迎えて(その1)

1.

ムーンライダーズ

冷えたビールがないなんて

『moonriders『FUN HOUSE years』BOX』

白井良明(ムーンライダーズ)さんをゲストに迎えて(その1)

2.

ムーンライダーズ

海の家(Mini Album Mix)

『moonriders『FUN HOUSE years』BOX』

白井良明(ムーンライダーズ)さんをゲストに迎えて(その1)

3.

ムーンライダーズ

春のナヌーク

『moonriders『FUN HOUSE years』BOX』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#201

『ディスコ・ボーイ~白井良明・作曲~ムーンライダーズ集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. ディスコ・ボーイ / ムーンライダーズ

白井良明さんをゲストにお迎えして、ムーンライダーズのファンハウス在籍時代(1994~97年)の音源を総まくりしたボックスセット『FUN HOUSE years』のお話をたっぷりうかがった『otonanoラジオ』。良明さんは超ベテランなのにいつまでも枯れることなく勢いがあって楽しいですねー。来週もワクワクです。というわけで、今週のプレイリストはムーンライダーズの過去作の中から、良明さんが作曲を手がけたナンバーをピックアップしてお届けします。こうやってまとめて良明さん作の楽曲を聞くと、ムーンライダーズの中での良明さんの位置というか、役割というか、期待というか、そういうものが浮き彫りになるようで興味深いかも。発表年順に古いほうから並べてみました。まずは1979年のアルバム『モダーン・ミュージック』より。作詞:鈴木博文、作曲:白井良明というライダーズ内“若手チーム”による作品です。
2. アルファビル / ムーンライダーズ

続いては1980年のアルバム『カメラ=万年筆』より。このアルバムは好きな映画をモチーフに独自の解釈で楽曲化するという“架空の映画サウンドトラック”。良明さんが題材として選んだのはジャン=リュック・ゴダールが1965年に監督したフランス映画『アルファビル』でした。作詞作曲:白井良明。
3. トンピクレンッ子 / ムーンライダーズ

1982年のアルバム『青空百景』より。今なお人気の高いライダーズ・ナンバーです。作詞は白井良明、作曲のほうは白井良明とムーンライダーズの名前が併記されていますが、良明さんらしさが炸裂する名曲!
4. NO.OH / ムーンライダーズ

1984年のアルバム『アマチュア・アカデミー』より。作詞作曲:白井良明。前曲「トンピクレンッ子」と連作になっている感じのごきげんナンバーです。
5. 犬にインタビュー / ムーンライダーズ

1985年のアルバム『アニマル・インデックス』より。作詞:サエキけんぞう&白井良明、作曲:白井良明。
6. 超C調 / ムーンライダーズ

1986年のアルバム『ドント・トラスト・オーバー・サーティー』より。アルバムのコンセプトは“各メンバーの得意分野(趣味)を禁止して、それ以外ならば何をやってもいい”というものだったとか。というわけで、このアンビエントというか、アヴァンギャルドというか、ダウナーなドリーム・ポップというか、そういう名曲が生まれたのでありました。声の処理がスーパーです。
7. Come sta, tokyo? / ムーンライダーズ

5年のブランクを経て1991年にリリースされたアルバム『最後の晩餐』より。良明さんのトワンギーなギターも印象的です。作詞作曲:白井良明。
8. 夢ギドラ85' / ムーンライダーズ

このあと、番組でも特集したファンハウス在籍期、キューン在籍期などを経て、21世紀、ついに設立されたムーンライダーズ・レコードからの初リリースとなった2005年のアルバム『P.W Babies Paperback(ポスト・ウォー・ベィビーズ・ペーパーバック)』より。東京の羽田近辺のことが歌われていると、ああ、鈴木兄弟だなと思い、隅田川近辺が歌われていると、ああ、良明さんだなと思います。後半のギター・ソロも素晴らしい。
9. 果実味を残せ! Vieilles Vignesってどうよ! / ムーンライダーズ

2006年のアルバム『MOON OVER the ROSEBUD』より。作詞作曲:白井良明。良明さんなりの辛辣なメッセージ・ソングかも。なんか、ちょっといい感じにニュー・ウェイヴ? ど〜よ?
10. むすんでひらいて手を打とう / ムーンライダーズ

2009年のアルバム『Tokyo 7』より。作詞作曲:白井良明。“ゆる~くぅむすんで/楽にぃひらいて/手を打ってLove you”って歌詞が良明さんらしくてごきげんです。
11. Masque-Rider / ムーンライダーズ

2011年のアルバム『Ciao!』より。作詞作曲:白井良明。良明さんの訥々としたヴォーカルがしみる仕上がり。
12. 駄々こね桜、覚醒 / ムーンライダーズ

去年、2022年にリリースされたアルバム『It's the moooonriders』より。作詞作曲:白井良明。これまた良明さんならではの、ゆるーいアジテーションが託された1曲です。

解説:萩原健太

白井良明(ムーンライダーズ)さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第318回 萩原健太のotonanoラジオ#200

2023/08/01 公開

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その2)

今週のオンエア曲

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その2)

1.

中川五郎

恋人よベッドのそばにおいで

『六文銭/中川五郎』

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その2)

2.

岡林信康

2.私たちの望むものは

『URC銘曲集―1 戦争と平和』

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その2)

3.

中川五郎

終る

『終り はじまる』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#200

『男らしいってわかるかい~極私的URCベスト・セレクション』

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1. 男らしいってわかるかい / ザ・ディランⅡ

先週に引き続き中川五郎さんをお迎えして、日本のインディー・レーベルの草分け、URCレコードの特集をお届けした「otonanoラジオ」。半世紀前の日本のサブカルチャー・シーンの試行錯誤を興味深く追体験していただけたことと思います。というわけで、今週のプレイリストは当時URCレコードからリリースされていた楽曲の中からぼくが愛聴していたものを12曲ピックアップして並べてみました。極私的URCベスト・セレクションです。まずは先週の番組では「プカプカ」がオンエアされたザ・ディランⅡ。ザ・バンドのレパートリーとしておなじみのボブ・ディラン作品「アイ・シャル・ビー・リリースト」を日本語詞でカヴァーした1971年のデビュー・シングルです。
2. 悲しい気持で / 加川良

1971年に加川良がリリースしたファースト・アルバム『教訓』の収録曲。高田渡らとの交流でもおなじみだったシンガー・ソングライター、シバが作詞作曲した作品。シバ自身も1972年、やはりURCからリリースしたファースト・アルバム『青い空の日』では「淋しい気持ちで」というタイトルで歌っていました。
3. 空はふきげん / 金延幸子

当時“日本のジョニ・ミッチェル”などと呼ばれた女性シンガー・ソングライターの草分け、金の部幸子が1972年にURCからリリースしたファースト・ソロ・アルバム『み空』より。作詞:金延幸子、作曲:大瀧詠一、プロデュース:細野晴臣という顔ぶれで作られたナンバーです。
4. あかりが消えたら / 愚

その金延幸子がソロ・デビューする前に在籍していたフォーク・グループが“愚”。メンバーは金延さんに加えて、前曲でもアコースティック・ギターを弾いていた中川イサト、“アリちゃん”こと松田幸一、そして後にスタジオ・ミュージシャンやアレンジャーとして名を成す瀬尾一三。そんな“愚”が1970年にリリースしたシングル曲がこれです。作詞:門間裕、作曲:中川イサト。
5. されど私の人生 / 斉藤哲夫

1980年にカメラのCMソング「いまのキミはピカピカに光って」で大ヒットを飛ばす斎藤哲夫が1971年にURCからリリースしたセカンド・シングル。本人の作詞作曲によるナンバーですが、後に「いまのキミはピカピカに光って」の作曲を手がける鈴木慶一がギターとピアノでバックアップしています。
6. かくれんぼ / はっぴいえんど

細野晴臣、松本隆、大滝詠一、鈴木茂という顔ぶれで結成された“はっぴいえんど”のファースト・アルバム、通称“ゆでめん”もURCからのリリースでした。その中から作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一によるこの曲を。1970年のナンバーです。
7. ゼニがなけりゃ / 高田渡

この人こそが日本最強のフォーク・シンガーだったなぁ…と思います。高田渡。番組にゲストで来てくれたこともある高田漣くんのお父さんですが。そんな渡さんがフォークの祖、ウッディ・ガスリーの「ドレミ」という曲を下敷きに作った名曲を。何度かレコーディングされていますが、今回は1969年にURCから出たアルバム『汽車が田舎を通るそのとき』に収録されていたヴァージョンで。
8. 雨あがりのビル街(僕は待ちすぎてとても疲れてしまった)/ 遠藤賢司

“エンケン”こと遠藤賢司のアルバム・デビューもURCレコードからでした。というわけ で、1970年リリースのファースト・アルバム『niyago』からこの曲を。作詞作曲はもちろんエンケンさん。バッキングは、はっぴいえんどの細野、松本、鈴木によるものです。
9. 追放の歌 / 休みの国

番組でも話題になりましたが、当初URCは会費を払った会員にLPを配布する形で活動していました。しかもLPのA面とB面それぞれに別のアーティストの音源を収録したオムニバス・アルバム形式。1969年に配布された第一回作品は高田渡と五つの赤い風船のカップリング盤、第二回作品は六文銭と中川五郎のカップリング、そして第三回配布作品は高橋照幸がジャックスの谷野ひとし、木田高介、角田ひろ(つのだ☆ひろ)の協力を得て作り上げたユニット“休みの国”と岡林信康のカップリング盤でした。その第三回配布盤からのシングル・カット・ナンバーがこれです。高橋照幸のオリジナル。
10. もしもボクの背中に羽根が生えたら / 五つの赤い風船

前述した1969年のURC第一回配布作品『高田渡/五つの赤い風船』より。五つの赤い風船は、西岡たかしを中心に、藤原秀子、中川イサト、長野たかし、東祥高という顔ぶれで活動していたフォーク・グループ。観客を交えてみんなで歌うシング・アロング・ナンバー「遠い世界に」や、強烈なプロテスト・ソング「血まみれの鳩」などとともに彼らの名曲として歌い継がれているこの曲をどうぞ。
11. 愛する人へ / 岡林信康

URCといえば、やはりこの人。当時“フォークの神様”とも呼ばれた人気シンガー・ソングライター、岡林信康です。彼が1970年にURCからリリースしたセカンド・アルバム『岡林信康アルバム第二集〜見るまえに跳べ』より、A面1曲目に収められていたオリジナル曲を。バックをつとめているのはこの時期以降、ライヴ活動をともにすることになる“はっぴいえんど”の面々。加えてキーボードには渡辺勝が参加しています。
12. 一本道 / 友部正人

1973年当時、ラジオで吉田拓郎が“俺も日本のボブ・ディランとか言われたりすることがあるけど、本物の日本のボブ・ディランはこの人だ”と語っていたのが忘れられません。友部正人。彼が1973年にURCからリリースしたセカンド・アルバム『にんじん』より、彼の代表曲を。前年、キング・レコード傘下のベルウッド・レーベルからシングルとしてリリースされていたナンバーですが、そのアルバム・ヴァージョン。“中央線よ空を飛んであの娘の胸に突き刺され”という強烈なフレーズが話題を呼びました。

解説:萩原健太

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第317回 萩原健太のotonanoラジオ#199

2023/07/25 公開

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その1)

今週のオンエア曲

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その1)

1.

中川五郎

腰まで泥まみれ

『終り はじまる』

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その1)

2.

ザ・ディランII

プカプカ

『URC銘曲集―1 戦争と平和』

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その1)

3.

中川五郎

主婦のブルース

『終り はじまる』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#199

『花はどこへ行った~ピート・シーガー関連楽曲集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. We Shall Overcome / Bruce Springsteen

 中川五郎さんをゲストにお迎えして日本のインディー・レーベルの草分け、URCレコードにまつわる興味深いお話をいろいろうかがった『otonanoラジオ』。半世紀変わらぬ五郎さんの音楽に対する真摯な姿勢に改めて身の引き締まる思いでした。というわけで今週のプレイリストは、1960年代、五郎さんに多大な影響を与えたモダン・フォーク・リヴァイヴァルの旗手、ピート・シーガーの関連楽曲集です。ピート・シーガーは1919年生まれ。自作曲も歌っていましたが、それだけでなく、アメリカに古くから伝わる古い労働歌、霊歌、反戦歌など重要なトラディショナル曲を熱心に発掘/伝承し続けたフォーク音楽の偉大な探求者です。そんな彼が世に広めた名曲たちを、多彩なアーティストたちがカヴァーしているヴァージョンの中からぼくが好きなものをセレクトしてみました。まずはブルース・スプリングスティーンがシーガーにゆかりの曲ばかり集めて2006年にリリースしたカヴァー・アルバム『ウィ・シャル・オーヴァーカム:ザ・シーガー・セッションズ』から、そのタイトル曲を。黒人のメソジスト牧師でもあったチャールズ・ティンドリーが20世紀初頭に作った霊歌「アイル・オーバーカム・サムデー」を下敷きに、ピート・シーガーが公民権運動を戦い抜くための楽曲へと作り変えたものです。「勝利を我等に」という邦題で、1960年代、日本人フォーク・シンガーたちも広くカヴァーしていました。
2. How Can A Poor Man Stands Such Times And Live? / Ry Cooder

ブラインド・アルフレッド・リードが1929年、大恐慌時代の苦しい生活を歌ったプロテスト・ソング。ピート・シーガーが後年に受け継ぎ、以降、エリック・バードン、デヴィッド・リンドレー、ブルース・スプリングスティーンらがカヴァーしています。このライ・クーダーのヴァージョンは1970年、彼のファースト・アルバムに収められていたものです。
3. Turn! Turn! Turn! (To Everything There Is A Season) / The Byrds

ピート・シーガーが旧約聖書の『コヘレトの言葉』第3章を元に書いた曲。“平和の時。誓って言う。それはけっして遅すぎることはない”という歌詞が印象的な反戦歌です。今回は1965年に大ヒットしたザ・バーズによるフォーク・ロック・ヴァージョンで。
4. The Bells Of Rhymney / Cher

ウェールズの詩人、アイドリス・デイヴィスの詩にピート・シーガーが曲をつけたもの。リムニーという町に生まれ炭鉱の仕事をしていたデイヴィスが炭坑での災害やストライキの失敗などを綴った痛ましい物語です。これもザ・バーズのフォーク・ロック・ヴァージョンがおなじみですが、今回はそれを元にシェールが1965年、アルバム『オール・アイ・リアリー・ウォント・トゥ・ドゥ』でカヴァーしたヴァージョンで聞いてみてください。
5. Where Have All The Flowers Gone / Olivia Newton-John

ピート・シーガーが作った、世界でもっとも有名な反戦歌。「花はどこへ行った」という邦題で日本でも親しまれています。花はどこへ行った?→少女が摘んだ→少女はどこへ行った?→愛する男のお嫁に→男はどこへ行った?→兵士になって戦場へ→兵士はどこへ行った?→戦死して墓に→墓はどこへ?→花で覆われた…と続き、再び冒頭の、花はどこへ? と連環し、やがて最後、When will they ever learn? つまり、いつになったら彼らは学ぶのだろう…と、人間の愚かさを嘆く曲です。1962年に全米ヒットを記録したキングストン・トリオのヴァージョン以降も無数のアーティストがカヴァーしてきましたが、今回はオリヴィア・ニュートン・ジョンが2004年のアルバム『インディゴ:ウーマン・オブ・ソング』でカヴァーしたヴァージョンを。
6. Which Side Are You On? (feat. Lee Knight) / Kronos Quartet

1931年、炭鉱夫をはじめ、苦境に置かれた労働者たちに連帯を呼びかけるために書かれた曲。鉱山労働者の組合指導者だったサム・リースの妻、フローレンス・リースが作り、1940年代にピート・シーガーが広めました。ビリー・ブラッグ、ディーコン・ブルー、ドロップキック・マーフィーズ、ナタリー・マーチャント、アニ・ディフランコ、トム・モレロなど多くのアーティストがカヴァーしていますが、今回は進歩的な弦楽四重奏団、クロノス・カルテットがヴォーカルにリー・ナイトを迎えて2020年にレコーディングしたヴァージョンをセレクトしました。
7. Black And White / Three Dog Night

アメリカに古くから根付いていた人種分離政策を違法・違憲と判断し、公民権運動への道を大きく開いた1954年の最高裁判決に感動したデヴィッド・I・アーキンが歌詞を書き、アール・ロビンソンが作曲したフォーク・ソング。1956年にピート・シーガーがヒットさせました。今回は1972年、スリー・ドッグ・ナイトがカヴァーして全米ナンバーワンに輝いたヴァージョンで。歌詞をちょっと書き換えてオリジナルよりはメッセージをマイルドにしています。
8. Who Killed Davey Moore? / Bob Dylan

これは1963年にボブ・ディランが作った曲。試合で受けたダメージが原因で脳障害となり他界した黒人チャンピオン・ボクサー、デイヴィ・ムーアのことを歌ったものです。ディランは当時この曲をライヴではよく歌っていましたが、結局スタジオ・アルバムには収録せずじまい。代わりにピート・シーガーが1963年、フィル・オクスやトム・パクストンなど後輩フォーク・シンガーたちの曲を集めてリリースしたアルバム『ブロードサイド・バラッズVol.2』でレコーディングして世に広めました。今回は作者ディランの1964年ライヴ・ヴァージョンで。
9. Kisses Sweeter Than Wine / Bonnie Raitt & Jackson Browne

邦題「ワインより甘いキス」。農夫と死んでしまった牛について歌った伝統的なアイルランド民謡「ドリミン・ダウン」が原曲です。それをザ・ウィーヴァーズというフォーク・グループに在籍していた当時、ピート・シーガーが改作して広めました。これも多くのカヴァーが残されていますが、今回は1998年にリリースされたピート・シーガーへのトリビュート・アルバム『花はどこへ行った〜ソングス・オブ・ピート・シーガー』で、ジャクソン・ブラウンとボニー・レイットがデュエットしたヴァージョンをどうぞ。
10. If I Had A Hammer / Neville Brothers

これも「天使のハンマー」という邦題で日本でも親しまれてきたピート・シーガー作品です。“もしハンマーを持っていたら危険を打ち鳴らし、警告を打ち出し、同胞たちに愛をたたき込む”という歌詞のフリーダム・ソング。ピーター・ポール&マリーやブラザーズ・フォーといったフォーク・アーティストはもちろん、マーサ&ザ・ヴァンデラスやアレサ・フランクリンらソウル・アーティストたちにも広くカヴァーされています。今回はネヴィル・ブラザーズが1999年にカヴァーしたヴァージョンを。
11. Little Boxes / Devendra Banhart

1962年、同じような安普請の住宅を郊外に次々建設する開発計画と、それに伴う中流階級の適合主義的な態度を風刺する曲としてマルヴィナ・レイノルズが作った曲。彼女の友人だったピート・シーガーが翌年レコード化してヒットさせました。このヴァージョンは、2007年にリリースされたコンピレーション・アルバム『ソング・オヴ・アメリカ』でデヴェンドラ・バンハートがカヴァーしたものです。
12. Waist Deep In The Big Muddy / Pete Seeger

最後はピート・シーガー自らの歌声を。中川五郎さんが日本語でカヴァーした「腰まで泥まみれ」の原曲です。1967年のヴァージョン。

解説:萩原健太

中川五郎さんをゲストに迎えて(URCレーベル特集・その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第316回 萩原健太のotonanoラジオ#198

2023/07/18 公開

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その2)

今週のオンエア曲

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その2)

1.

小坂忠

ゆうがたラブ

『THE ULTIMATE BEST』

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その2)

2.

小坂忠

夢を聞かせて

『THE ULTIMATE BEST』

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その2)

3.

小坂忠

I believe in you(from Album『Chu's Gospel 2022』&『CCM TRIBUTE』)

『THE ULTIMATE BEST』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#198

『ポップ・シーンとゴスペル・シーンの両方で愛された海外歌声集』

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1. Gotta Serve Somebody / Bob Dylan

先週に引き続き高叡華さんをゲストにお迎えして、1960年代後半、日本のロック黎明期からシーン最前線で活躍なさってきた名ヴォーカリスト、小坂忠さんの歌声を堪能した「otonanoラジオ」。昨年、長い闘病生活ののち73歳で亡くなった忠さんですが、キリスト教の牧師さんでもいらっしゃった彼のソウルフルな歌声は、これからもぼくたちの胸に永遠に生き続けます。高さんのお話をうかがいながら、忠さんの盟友、細野晴臣さん選曲による究極の2枚組オールタイム・ベスト『The Ultimate Best』の収録曲を聞いて、そんなことを改めて確信することができました。というわけで、恒例のプレイリスト。今週は忠さんのように、ポップ・シーンとゴスペル・シーンと両方で愛された海外のアーティストの歌声を集めてみました。まずはボブ・ディラン。彼がユダヤ教からキリスト教へと改宗した直後、1979年から81年までの間にリリースされた“ゴスペル3部作”の第一弾アルバム『スロー・トレイン・カミング』の冒頭を飾っていたファンキーな名曲です。“大使だろうがギャンブラーだろうがドラッグ中毒者だろうが実業家だろうが、誰であれ絶対に誰かに仕えなければならない。仕える相手が悪魔か神かはわからないが…”と、ディランらしい信仰観が綴られています。
2. Why (With Stevie Wonder) / Kirk Franklin

伝統的なゴスペルの世界に最新のR&Bサウンドの要素を大胆に取り込んだ“アーバン・コンテンポラリー・ゴスペル”シーンのトップ・スター、カーク・フランクリンのナンバーです。2005年のアルバム『ヒーロー』より。ゲストにスティーヴィー・ワンダーを迎え、デニース・ウィリアムスの「フリー」のサンプリングなども盛り込んだごきげんな仕上がりです。
3. Come To The Cross / Dion

1950年代から現在まで、半世紀以上にわたって現役ばりばりの活動を続けるディオンもある時期、コンテンポラリー・ゴスペルのアルバムをリリースしていた時期がありました。そんな中の1枚、クリスチャン・ミュージックの専門レーベル“ミルラ・レコード”から1985年にリリースされた『キングダム・イン・ザ・ストリーツ』より、悩める者を十字架の下、忍耐強く待ち続けてくれている存在がいることを歌ったこの曲を。
4. Do Not Pass Me By (feat. Tramaine Hawkins, Trina Johnson & the Voices) / M.C. Hammer

近年では“クリスチャン・ヒップホップ”というジャンルも盛り上がっていますが。1991年にM.C.ハマーがリリースしたこの曲は、19世紀に作られた聖歌「主よわがそばをば(Pass me not, O gentle Saviour)」を下敷きに、ラップ・パートをぶちこんだ1曲です。
5. Great Gosh A'mighty (It's a Matter of Time) / Little Richard

ロックンロールのオリジネイターのひとり、リトル・リチャードも、そのワイルドな音楽性と裏腹に敬虔な牧師さんとしての顔も持っていました。そんな彼が1986年にリリースしたごきげんなゴスペル・ロックンロールを。“すげえぜ、万能なる神!”みたいなことをシャウトしています。
6. Thy Word / Amy Grant

全米のクリスチャン・ポップ・ミュージック・シーンを代表するトップ・シンガー、エイミー・グラント。彼女が1984年にリリースし、全米クリスチャン・アルバム・チャートの1位の座を61週にわたって独占した大ヒット作『ストレイト・アヘッド』より。
7. God Is Love / Marvin Gaye

1971年にマーヴィン・ゲイがリリースした傑作アルバム『ホワッツ・ゴーイング・オン』は、泥沼化するベトナム戦争や、貧困、警察の横暴、ドラッグ問題、児童遺棄、都市の退廃、秩序不安など、当時のアメリカに渦巻いていた社会問題に対するメッセージがこめられた1枚でした。そんな中、人間にすべてを与えてくれた慈悲深き神の思いに応えるため、愛と平和を求めていかなければいけないと歌った名曲を。
8. Nobody's Fault But Mine / The 77s

コンテンポラリー・クリスチャン・パンクとかコンテンポラリー・クリスチャン・メタルとか、ロックの分野でも人気を博しているクリスチャン・ソングがあります。その分野の人気バンドのひとつ、ザ・セヴンティーセヴンズのナンバー。ブラインド・ウィリー・ジョンソンが1920年代に作ったゴスペル・ブルースを1994年に独自のサウンドでカヴァーしたものです。
9. Heavenly Father / CeCe Winans

シー・シー・ワイナンズもグラミーを何度も獲得しているコンテンポラリー・クリスチャン・ディーヴァ。彼女が2001年にリリースしたセルフ・タイトルド・アルバムから1曲どうぞ。
10. The Lord Will Make A Way / Al Green

米南部メンフィスを代表するソウル・シンガーのひとり、アル・グリーンもキャリアの絶頂期、1976年に突然、牧師への転身をとげました。それまでは女性への愛を歌っていた彼は以降、神さまへの愛を歌うゴスペル・アルバムを多数リリースしています。そんな中から1980年のアルバム『ザ・ロード・ウィル・メイク・ア・ウェイ』から表題曲を。このアルバムも前出、ディオンのアルバム同様、クリスチャン・ミュージックの専門レーベル“ミルラ・レコード”からのリリースでした。
11. Home Where I Belong / B.J. Thomas

「雨にぬれても(Raindrops Keep Fallin' on My Head)」や「君を信じたい(Just Can't Help Believing)」、「ロックンロール・ララバイ」などのヒットで知られるB.J. トーマスももともと敬虔なクリスチャンだったため、多くのポップ・ゴスペル・レコーディングを残しています。本曲は彼が1995年に発表したアルバム『プレシャス・メモリーズ』の収録曲。
12. Wholy Holy / Aretha Franklin

ラストは泣く子も黙るクイーン・オヴ・ソウル、アレサ・フランクリン。1972年、マーヴィン・ゲイが作った聖なる歌を、ロサンゼルスの教会でライヴ録音した必殺の1曲で今回のプレイリストを締めくくりましょう。

解説:萩原健太

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第315回 萩原健太のotonanoラジオ#197

2023/07/11 公開

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その1)

今週のオンエア曲

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その1)

1.

小坂忠

ありがとう

『THE ULTIMATE BEST』

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その1)

2.

小坂忠

好きなんだから

『THE ULTIMATE BEST』

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その1)

3.

小坂忠

機関車(from Album『ほうろう』)

『THE ULTIMATE BEST』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#197

『マイ・フェイヴァリット小坂忠|もうひとつの“THE ULTIMATE BEST“』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. Hard To Say (偶然と必然の間) / 小坂忠

昨年の4月、長きにわたる闘病生活を経て、73歳で他界された小坂忠さん。日本のロック/ポップ音楽の黎明期からシーン最前線で活動なさってきた素晴らしいヴォーカリストであり、ソングライターであり、牧師さんであり、日本の新しいゴスペル・シーンの牽引者でもあった忠さんの歩みを、公私にわたる最大・最愛のパートナー、高叡華さんを迎えて振り返った「otonanoラジオ」。1960年代からの盟友、細野晴臣さん選曲による究極の2枚組オールタイム・ベスト『THE ULTIMATE BEST』を聞きながら忠さんのかけがえのない歌声を堪能しました。 とはいえ、確かに素晴らしい内容の『THE ULTIMATE BEST』ではありますが。CD2枚ぽっちで忠さんの魅力のすべてを網羅することなど、いくら細野さんでも到底できるはずもなく。惜しくも選から漏れた名曲・名唱はまだまだたくさん。ということで、今週のプレイリスト。残念ながら『THE ULTIMATE BEST』には収録されなかった曲の中からぼくの好きなものを12曲、ピックアップして並べてみました。基本的にはゴスペル系の作品以外のアルバムからのセレクションです。まずは2009年、佐橋佳幸、高橋幸宏、小原礼、Dr.kyOnらのサポートの下で制作されたアルバム『Connected』の収録曲から、忠さんの自作曲を。
2. 流星都市 / 小坂忠

忠さんがレコード・デビューを果たしたのは1969年。細野晴臣、松本隆、柳田ヒロ、菊池英二らと結成したバンド、エイプリル・フールのリード・シンガーとしてでした。そんなエイプリル・フールの楽曲も『THE ULTIMATE BEST』には2曲ほどセレクトされていて。そのうちのひとつである「タンジール」(作詞:小坂忠、作曲:細野晴臣)という曲を下敷きに、1975年にリメイクされたのがこの曲です。もともと忠さんによって英語で書かれていた歌詞を松本隆さんが日本語で新たに書き下ろし、よりソウルフルなアレンジをほどこして、細野プロデュースによるシティ・ポップの元祖的名作アルバム『HORO』に収録されました。
3. Send-Oh / 小坂忠

ミッキー・カーティスのプロデュースの下、ハワイ・レコーディングされた1976年のアルバム『CHEW KOSAKA SINGS』より。忠さんの作詞・作曲。
4. フォーカスラブ / 小坂忠

1977年のアルバム『モーニング』より。作詞:松本隆、作曲:佐藤博。林立夫、細野晴臣、鈴木茂、佐藤博という超強力リズム・セクションがバックアップしています。
5. Sunshine / 小坂忠

『HORO』以来、25年ぶりに細野晴臣がプロデュースを手がけた2001年のアルバム『People』は、忠さんと細野さんの深い絆を感じさせてくれる名盤。それだけにそこに収録された全13曲中、なんと9曲が今回の『THE ULTIMATE BEST』にセレクトされているのですが。しかし、残る4曲にも名曲は多し。ということで、そんな4曲のうちのひとつ。佐橋佳幸のアコースティック・ギター、細野晴臣のベース、浜口茂外也のパーカッション…というシンプルなバッキングだけで歌われているこの小品をどうぞ。作詞・作曲:小坂忠。
6. いなか道 / 小坂忠

ぐっと時代をさかのぼって、1971年、忠さんのソロ・デビュー・アルバム『ありがとう』からの曲を。作詞・作曲:小坂忠。このころの忠さんはまさに“日本のジェイムス・テイラー”でした。
7. シェルター / 小坂忠

2009年のアルバム『Connected』からもう1曲。アルバムのプロデュースも手がけた佐橋佳幸の作詞作曲です。
8. オレンジの夕暮れ / 小坂忠

1976年のテレビ・ドラマ『気まぐれ天使』のサウンドトラック・アルバムより。音楽を手がけたのは大野雄二。そのうちいくつかのヴォーカル曲を忠さんが担当していました。その中から、今回ゲストにお迎えした高叡華さんの作詞、大野雄二さん作曲によるこの曲を。
9. 朝は好きかい / 小坂忠

さらに高叡華さんの作詞曲を。作詞:高叡華、作曲:小坂忠、編曲:細野晴臣というベストな布陣によるナンバーです。1977年の『モーニング』の収録曲。
10. Refrain / 小坂忠

2001年の『People』より忠さんの作詞作曲ナンバーをもうひとつ。
11. Sherry / 小坂忠

1976年の『CHEW KOSAKA SINGS』からカヴァー曲をひとつ。1960年代にフォー・シーズンズが大ヒットさせたナンバーです。高叡華さんにうかがったところ、“あ、あれはミッキーの趣味ね”とおっしゃっていました(笑)。ごきげんなカヴァー・ヴァージョンです。
12. 勝利者 / 小坂忠

2004年のアルバム『き・み・は・す・ば・ら・し・い』より。1984年、ロサンゼルス・オリンピックで初めて正式競技となった女子マラソンで、極度の体調不良の中、まるで夢遊病者のようにふらふらになりながらも完走し、世界を感動させたガブリエラ・アンデルセンのことを歌ったナンバーです。ひとりひとりに自分のレースがあり、戦いがあり、勝ち負けではなく、それをいかに走り切るかが大切であるということを歌った、忠さんならではの感動の1曲です。もちろん作詞作曲:小坂忠。

解説:萩原健太

高叡華さんをゲストに迎えて(小坂忠『THE ULTIMATE BEST』特集・その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第314回 萩原健太のotonanoラジオ#196

2023/07/04 公開

大江千里さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

大江千里さんをゲストに迎えて(その2)

1.

大江千里

ラウロ・ジ・フレイタス (Lauro De Freitas)

『Class of '88』

大江千里さんをゲストに迎えて(その2)

2.

大江千里

きみと生きたい (I Wanna Live with You)

『Class of '88』

大江千里さんをゲストに迎えて(その2)

3.

大江千里

魚になりたい (Time-bouncing Fish)

『Class of '88』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#196

『Class of ’88 〜1988年を飾った洋楽ヒット12選』

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1. Faith / George Michael

先週に引き続き、大江千里さんのブルックリンのご自宅とリモートでつないでお届けした「otonanoラジオ」。いかがでしたか? 千里さんの新作ピアノ・ジャズ・アルバム『Class of '88』にちなんで、先週のプレイリストでは1988年の邦楽シーンを振り返りましたが、今週は洋楽。1988年にシーンを賑わした洋楽ナンバーから12曲、ざっくりセレクトしてみました。1988年という年がどんな感じだったか、なんとなく思い出してもらえたらうれしいです。1980年代に入ってレコーディングの現場にデジタル技術が一気に流入してきて。機材も変わり、楽器も変わり。それまでのアナログ盤に取って代わってCDがメディアの主役の座について。当初は誰もがずいぶんと右往左往していたものですが。デジタル襲来のごたごたも1988年ごろになると少し落ち着いてきて、まあ、デジタルも便利でいいけど、アナログの良さも忘れちゃいけないよね…的な音作りがまた少しずつシーンによみがえってきた時期だったかも。そんな1988年の洋楽ヒット・プレイリスト。まずはワム!を解散してソロになったジョージ・マイケルのこの曲から。1987年の暮れにリリースされた同名アルバムからのシングルとして、翌88年に特大ヒットを記録しました。全米チャート1位、全英チャート2位。
2. Heaven Is A Place On Earth / Belinda Carlisle

こちらは元ゴーゴーズ。これも1987年秋にリリースされた2作目のソロ・アルバムからのシングル・カット曲です。87年暮れに全米・全英チャートでともに1位の座に。そのまま1988年に突入して引き続き同年前半のシーンを大いに賑わしました。
3. Don't Worry, Be Happy / Bobby McFerrin

これなどデジタル全盛時代に逆行するアナログの極致。ヴォーカリーズと呼ばれるジャズ系の器楽的唱法を得意とするボビー・マクファーリンが、リズムもベースもハーモニーもすべて自身の声で多重録音したポップ・ヒット。
4. Need You Tonight / INXS

これも1987年秋にリリースされて、翌88年にかけて大ヒットを記録したナンバー。オーストラリアのロック・バンド、INXSの代表作です。全米1位、全英2位。全米の1988年の年間チャートでも2位にランクする戦績を残しました。
5. Never Gonna Give You Up / Rick Astley

1980年代後半から90年代アタマにかけてというと、イギリスのポップ・クリエイター・トリオ、ストック=エイトケン=ウォーターマンが大当たりをとった時期でした。彼らは最新デジタル技術を最大限に駆使したキャッチーなユーロ・ビートものを得意にしていたチームでしたが。そんなサウンドに、ブルー・アイド・ソウル的な持ち味が売りだったリック・アストリーのきわめてアナログな歌声を乗せたデビュー・ヒットがこれ。本国イギリスでは1987年夏に発売され5週連続1位を記録。その波が翌1988年、アメリカへと渡り、3月に2週連続全米1位を記録しました。
6. Sweet Child O' Mine / Guns N' Roses

デジタル時代にアナログなロック・サウンドの痛快な魅力を腕尽くで思い出させてくれたバンド、ガンズ・アンド・ローゼズが1987年に発表したファースト・アルバム『アペタイト・フォー・ディストラクション』の収録曲。翌1988年夏にシングル・カットされて全米1位に輝きました。
7. Got My Mind Set On You / George Harrison

元ビートルズのジョージ・ハリスンが、ELOのジェフ・リンをプロデューサーに迎えて制作した1987年の傑作アルバム『クラウド・ナイン』からのシングル・カット曲。ジェイムス・レイが1962年に放ったポップR&Bヒットのカヴァーです。翌1988年に入ってすぐ全米1位に輝き、ジョージにとってビートルズ時代以降初の記念すべきナンバーワン・ヒットとなりました。この成功を受けて、ジョージとジェフ・リンはボブ・ディラン、ロイ・オービソン、トム・ペティらを誘って覆面バンド“トラヴェリング・ウィルベリーズ”を結成することになります。
8. Groovy Kind of Love / Phil Collins

これもカヴァー。もともとは1965年にザ・マインドベンダーズが放ったヒットですが、それをフィル・コリンズが1988年に取り上げ、映画『バスター』の挿入歌としてリリースしたものです。目のつけどころがさすが。全米・全英ともに1位を記録しました。
9. 1-2-3 / Gloria Estefan & Miami Sound Machine

グロリア・エステファン&マイアミ・サウンド・マシーンが1987年半ばにリリースした通算10作目のオリジナル・アルバム『レット・イット・ルース』からは、翌1988年にかけて次々シングル・カットが生まれて、もうベスト盤のような1枚になってしまった傑作でしたが。そこからの最後のシングル・カット曲がこれ。アルバムからの5枚目のシングルとしてリリースされて、1988年、全米3位、全英9位にランクしました。
10. Angel / Aerosmith

エアロスミスの9作目のアルバム『パーマネント・ヴァケイション』も1987年半ばのリリース。たくさんのヒット・シングルを生んだ名盤でした。本曲はそこからの3作目のシングル・カット曲。1988年にリリースされて全米3位まで上昇しました。
11. Simply Irresistible / Robert Palmer

ロバート・パーマーが1988年にリリースしたアルバム『HEAVY NOVA』からのファースト・シングル曲。前出、ガンズの「スウィート・チャイルド・オブ・マイン」に阻まれて全米2位どまりに終わりましたが、ロバート・パーマーならではの痛快さが爆発した名曲です。「この愛にすべてを」を邦題で日本でもヒット。
12. Man In the Mirror / Michael Jackson

そしてマイケル。1987年半ばにリリースされたアルバム『バッド』からの第4弾シングルとして1988年2月にカットされ、見事全米1位に輝きました。こうやって振り返ってみると、この時期は1枚のアルバムからたくさんのシングルが次々リリースされて、それらの連続ヒットに支えられながらアルバム本体がロング・セラーを記録する、みたいな。1988年ってそういう年だったんだな、と改めて…。

解説:萩原健太

大江千里さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第313回 萩原健太のotonanoラジオ#195

2023/06/27 公開

大江千里さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

大江千里さんをゲストに迎えて(その1)

1.

大江千里

STELLA'S COUGH

『Class of '88』

大江千里さんをゲストに迎えて(その1)

2.

大江千里

APOLLO

『Class of '88』

大江千里さんをゲストに迎えて(その1)

3.

大江千里

ポエティック・ジャスティス (Poetic Justice)

『Class of '88』

大江千里さんをゲストに迎えて(その1)

4.

大江千里

コスモポリタン (Cosmopolitan)

『Class of '88』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#195

『Class of ’88 〜1988年に話題を集めた邦楽アルバム』

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1. ハワイへ行きたい / 大江千里

ブルックリンのご自宅にいる大江千里さんとリモートでつないでお届けした『otonanoラジオ』。デビュー40周年を記念して制作された新作アルバム『Class of ’88』のお話をあれこれうかがいました。ということで今週のプレイリストは、そのアルバムにちなんで、1988年という年に注目。この年に話題を集めた邦楽アルバム12作からそれぞれ1曲ずつ選んで並べてみました。まずは千里さん自身のアルバムからいきましょう。1988年に千里さんがリリースしたアルバムというと、7作目の『1234』。今回の『Class of ’88』でも再演されている「GLORY DAYS」を含む意欲作でした。そのアルバムからおなじみのこの曲をどうぞ。
2. SATURDAY NIGHT ZOMBIES / 松任谷由実

ユーミンが1988年にリリースしたアルバムというと特大ヒット作『Delight Slight Light KISS』なのだけれど。この時期のユーミンはいつも年末に新作アルバムをリリースしていたため、実際に1988年、チマタを賑わしていたのは1987年暮れにリリースされたアルバム『ダイアモンドダストが消えぬまに』のほうでした。というわけで、そちら、『ダイアモンドダストが消えぬまに』から、TV番組『オレたちひょうきん族』のエンディング・テーマとして土曜の夜を盛り上げたこの曲を。
3. センチメンタル カンガルー / 渡辺美里

“戦後最大のポップアルバム”なる勇ましいキャッチコピーのもと、1988年半ばにリリースされたのが渡辺美里の4作目『ribbon』でした。アルバムのラストを締めくくっていたのは大江千里さん作の「10 years」で。それをセレクトしようかなとも思ったものの、今回は反対にオープニング・チューンのほう、A面1曲目を飾っていたこの佐橋佳幸・作曲によるナンバーを聞きましょう。
4. 誰かの風の跡 / 桑田佳祐

サザン・オールスターズやKUWATA BANDでの活動を経て、桑田佳祐がリリースした初のソロ・アルバム『Keisuke Kuwata』も1988年にリリースされました。これはアルバムのラストに収められていた名曲。最近ユニクロのCMにも使われ改めて人気を博した曲です。
5. POISON MIND / REBECCA

レベッカ6枚目のオリジナル・アルバム『POISON』より。このアルバムも1987年暮れにリリースされ1988年に大ヒットしました。アルバムのオープニングを飾っていたナンバーを。もちろん作詞:NOKKO、作曲:土橋安騎夫による作品です。
6. A LONG GOODBYE(長い別れ) / 浜田省吾

少年から大人へ…というドラマを描いた浜田省吾の『DOWN BY THE MAINSTREET』(1984年)、『J.BOY』(1986年)に続く3部作の締めくくりとして、1988年にリリースされたアルバム『FATHER'S SON』より。
7. 美熱少年 / 米米CLUB

すんません。ぼくのプロデュース作も1曲。米米CLUBが1988年にリリースした4作目『GO FUNK』から、ライヴでもおなじみ、狂乱のファンク・チューンをどうぞ。
8. High Roller / 久保田利伸

久保田利伸が当時流行していた最新グルーヴ、ニュー・ジャック・スウィングの要素などを大胆に取り入れたサード・アルバム『Such a Funky Thang!』も1988年リリースの大ヒット・アルバムでした。そこからCMタイアップ曲としてもおなじみだったこの曲を。
9. FARAWAY FROM SUMMER DAYS / 中山美穂

1988年はアイドル・シーンも賑やか。聖子ちゃん、明菜ちゃんを筆頭に海外録音したり、新鮮なソングライターを起用したり、みんなそれぞれ興味深いアルバム作りに挑んでいました。そんな中から1曲。中山美穂が角松敏生をプロデューサーに迎えて制作したアルバム『CATCH THE NITE』の収録曲です。もちろん作詞、作曲、編曲、すべて角松敏生。
10. ひとつの椅子 / 稲垣潤一

稲垣潤一、8作目のスタジオ・アルバム『EDGE OF TIME』より。筒美京平、林哲司、岸正之、中崎英也、木戸やすひろなど多彩なソングライターが関わった1枚でしたが、今回はその中から作詞:秋元康、作曲:MAYUMIによるナンバーを。
11. 消息 / 竹内まりや

続いては1987年の夏にリリースされながら、1988年の年間チャートでもトップ30入りを果たすロングセラーを記録した竹内まりやのアルバム『REQUEST』から。このアルバムは前作『VARIETY』以降にリリースした自身のシングル曲や、他アーティストへの提供曲のセルフ・カヴァーを収めた1枚でしたが、1曲だけアルバムのため書き下ろし作品が入っていました。それがこの曲「消息」です。
12. 夢のポケット / 安全地帯

ラストは安全地帯が1988年にリリースした6作目『安全地帯Ⅵ〜月に濡れたふたり』からこの素敵なララバイを。

解説:萩原健太

大江千里さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第312回 萩原健太のotonanoラジオ#194

2023/06/20 公開

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

1.

YELLOW MAGIC ORCHESTRA

RYDEEN (ライヴ・アット・グリーク・シアター1979)

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その2)

2.

荒井由実

きっと言える

『ひこうき雲』

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その2)

3.

Kuni Murai

Wings To Fly (Tsubasa Wo Kudasai) [feat. Ko Iwasaki]

『Recollection』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#194

『ウォリー・ビーズ〜村井邦彦ワークス vol.3|プロデュース編』

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1. ウォリー・ビーズ / 細野晴臣&イエロー・マジック・バンド

先週に引き続き村井邦彦さんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。興味深い、貴重なお話が山盛りでした。さて、先週はソングライターとしての村井邦彦さんにスポットを当てたプレイリストをお届けしましたが、今週はプロデューサー、あるいはエグゼクティヴ・プロデューサーとして村井さんが関わられた音源を集めてみました。まずは細野晴臣&イエロー・マジック・バンド名義でリリースされた1978年の傑作アルバム『はらいそ』から。作詞・作曲・プロデュースはもちろん細野さんですが、村井さんがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめていらっしゃいます。YMO直前の細野さんと村井さんの思いが凝縮した名曲のひとつ。
2. ろっかばいまいべいびい / 吉田美奈子

続いても細野さんの作詞作曲によるナンバーを。村井さんがプロデュースを手がけた傑作のひとつ、美奈子さんが1975年にリリースしたセカンド・アルバム『MINAKO』より。大滝詠一、荒井由実、山下達郎、矢野顕子、村上ポンタ、大村憲司、林立夫、鈴木茂、高水健司ら、そうそうたる顔ぶれがバックアップするなど、村井さんの人脈の広さとアンテナの鋭さが存分に発揮された1枚でした。ちなみに、この曲のアレンジは佐藤博さん。
3. 何もきかないで / 荒井由実

続いてはユーミン。先週、村井さんがプロデュースなさった彼女のファースト・アルバムからの「きっと言える」をオンエアしましたが、今回は川添象郎と村井さんの共同プロデュース作品、1975年のサード・アルバム『コバルト・アワー』からのナンバーを。シングル「ルージュの伝言」のB面に収められていたハチロク系の名曲で、間奏のエイモス・ギャレットばりのギター・ソロに当時ぼくは思いきりしびれたものです。作詞作曲:荒井由実、編曲:松任谷正隆。演奏は当時のユーミンのバック・バンドをつとめていたダディー・オー!がつとめていました。
4. 恋の日記 / ハイ・ファイ・セット

番組内で何度も名前が出たハイ・ファイ・セットの歌声を。1977年のアルバム『THE DIARY』からのシングル・カット・ナンバーです。ニール・セダカが1958年にヒットさせた名バラードのカヴァー。作詞:ハウィ・グリーンフィールド、作曲:ニール・セダカ、日本語詞は岩谷時子、アレンジは番組内でも名前が登場したボブ・アルシヴァー。アルシヴァーをアレンジャーに起用するあたりがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめた村井さんならでは!
5. 赤いレイ / サーカス

ハイ・ファイ・セットと並ぶ日本の代表的男女混声コーラス・グループ、サーカス。村井さんがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめた1978年のアルバム『サーカス1』から、1960年代に日本のシンガー・ソングライターの元祖、大橋節夫による名曲のカヴァーを。大橋節夫と彼のハニー・アイランダーズは当時最先端の洋楽だったハワイアンを日本の音楽シーンに定着させるうえで大きな役割を果たした存在。村井さんのひとつ上の世代として洋楽文化を日本に取り入れようと奮闘した先達でした。この辺の選曲センスもお見事。
6. 恋のムーンライトダンス / シーナ&ロケッツ

シナロケも細野〜村井ラインが世に送り出した存在のひとつ。彼らが1979年にリリースしたセカンド・アルバム『真空パック』から、作詞:松本康、作曲:鮎川誠によるナンバーをどうぞ。
7. テイク・ミー / カシオペア

村井邦彦&川添象郎が連名でエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめたカシオペアのセカンド・アルバム、1979年の『スーパー・フライト』より。野呂一生の作曲によるごきげんなフュージョン・ナンバーです。
8. SUMMER BLUE / ブレッド&バター

岩沢幸矢、二弓の兄弟ユニット、ブレバタ。彼らが1979年にリリースした6作目のアルバム『Late Late Summer』も村井さんがエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめた傑作。これも細野晴臣、佐藤博、坂本龍一、小原礼、林立夫、高橋幸宏、鈴木 茂らがこぞって参加した、村井邦彦色の濃い1枚でした。ユーミンや筒美京平、なかにし礼ら興味深いソングライターも多数関わっていましたが、そこから作詞:小林和子、作曲:岩沢二弓、編曲:細野晴臣という顔ぶれによる名曲を。
9. 地球はメリー・ゴーランド / ガロ

1972年の作品。作詞:山上路夫、作曲:日高富明、編曲:東海林修。プロデュースはもちろん村井邦彦。まだ誰も使っていないころにメジャー・セヴンス・コードを見事に使いこなした名曲でした。ガロの3人とともに村井さんも出演していたパイロット万年筆のテレビCMにも使われていました。
10. LETTER TO NEW YORK / 深町純

前出カシオペアなども含め、1970年代後半〜80年代初頭、村井邦彦&川添象郎がエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめる形でアルファ・レコードからはフュージョン系の名盤が次々リリースされていました。深町純のアルファ移籍第一弾アルバム『オン・ザ・ムーヴ』もそのうちのひとつ。そこから、作詞:福沢エミ、作編曲&プロデュース:深町純によるナンバーです。
11. 流星都市 / 小坂忠

1975年の必殺の名盤、小坂忠『HORO』のクレジットに村井さんの名前はなかったと思いますが、これも村井〜川添〜細野という人脈のもとでこそ生まれた1枚でした。その中から忠さんがソロ・デビューする以前、細野晴臣、松本隆らと結成していたエイプリル・フールの一員として1969年にリリースした唯一のアルバムに収められていた「タンジール」という曲を下敷きにリメイクされたナンバーを。「タンジール」のほうは忠さんの作詞でしたが、こちらは作詞:松本隆、作曲:細野晴臣。
12. シムーン / YELLOW MAGIC ORCHESTRA

そしてラストは村井〜細野による最高傑作ユニット、YMOのファースト・アルバムより。作詞:クリス・モズデル、作曲:細野晴臣、編曲:YMO。

解説:萩原健太

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第311回 萩原健太のotonanoラジオ#193

2023/06/13 公開

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その1)

1.

久美かおり with 村井邦彦

髪がゆれている

『「翼をください」を作った男たち~山上路夫・村井邦彦作品集~』

2.

村井邦彦

Montparnasse 1934 Main Theme

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その1)

3.

赤い鳥

翼をください(シングル・バージョン)

『赤い鳥 GIFT BOX』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#193

『公園通り〜村井邦彦ワークス vol.2』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. 公園通り / ガロ

日本を代表するソングライターであり、音楽プロデューサーであり、アルファ・ミュージック〜アルファ・レコードの創立者でもあり、このほど日本と海外の文化の輸出入の歴史をいきいきとひもとくヒストリカル・フィクション『モンパルナス1934』も出版なさるなど、多岐にわたって活躍なさっている村井邦彦さんをゲストにお迎えした「otonanoラジオ」。むちゃくちゃ興味深いお話がうかがえて楽しかったですねー。というわけで、今週のプレイリストは村井さんのソングライターとしての側面に着目。村井さんが作曲なさった名曲群を並べてみました。実は以前も番組でアルファ・ミュージック特集をやったとき、村井さんの作品集プレイリストをセレクトしたことがありました。そのときの曲とは重複しないように選んでいます。シングルB面曲とかも多めにピックアップ。名曲多くて困ります(笑)。というわけで、まずはこの曲。もともと東京・渋谷の“区役所通り”と呼ばれていた道沿いに渋谷パルコが開店し、道の名前が“公園通り”と改められた際、その情報を周知させるために制作されたプロモーション・シングル。歌詞に出てくる“すれ違う人は誰も美しい”というフレーズはパルコ開店時のキャッチコピーでした。作詞:井川拓、補作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦、編曲:深町純。
2. 雨あがりのサンバ / 森山良子

1968年、シングル「小さな貝がら」のB面に収められていた名曲。作詞:山上路夫、作編曲:村井邦彦。
3. 美しい星 / 赤い鳥

1973年のシングル「まつり」のB面曲。これも作詞:山上路夫、作編曲:村井邦彦。
4. バイ・バイ・アダム / 和田アキ子

1968年にリリースされた和田アキ子のデビュー・シングル「星空の孤独」のB面曲。作詞:阿久悠、作編曲:村井邦彦。キャノンボール・アダレイ〜バッキンガムズの「マーシー・マーシー・マーシー」をもろパクリしているところがまたかっこいいです(笑)。痛快。
5. 本牧ブルース / ザ・ゴールデン・カップス

1969年のシングル。作詞:なかにし礼、作編曲:村井邦彦。GS(グループサウンズ)ブーム期を代表する名曲のひとつです。
6. 明るい表通り / 天地真理

1972年リリースのアルバム『明日へのメロディー』の収録曲。これも作詞:山上路夫、作編曲:村井邦彦のゴールデン・コンビによる作品です。
7. 旅立つ朝 / 江利チエミ

1971年、すでにベテランの域に達していた名シンガー、江利チエミが新たな方向性を目指してロサンゼルス・レコーディングした名曲。シティ・ポップの元祖とも言われる1曲です。作詞:保富康午、作曲:村井邦彦、編曲:ジミー・ハスケル。ドラムのハル・ブレインほかロサンゼルス・シーンの名手がバックアップしています。
8. 裏庭の出来事 / 弘田三枝子

ミコちゃんの村井邦彦作品としては1972年のシングル「美しかった場所」のB面曲「恋はフィーリング」ってのが個人的にはいちばん好きなのだけれど、これ、ストリーミングがないみたいなので。その前年、1971年にリリースされたシングル曲を。作詞:山上路夫、作編曲:村井邦彦。
9. わるいくせ / 安井かずみ

作詞家としておなじみ、安井かずみがシンガーとして1970年にリリースしたアルバム『ZUZU』のオープニングを飾っていた素敵なボサノヴァです。作詞:安井かずみ、作曲:村井邦彦、編曲:クニ河内。
10. 道 / 広谷順子

1979年のデビュー・シングル。国際児童年のキャンペーンソングでした。作詞:山上路夫、作曲:村井邦彦、編曲:萩田光雄。
11. 四つの季節 / 笠井紀美子

ジャズ・シーンで活躍していた笠井紀美子がロック/ポップス系の音楽に挑戦した1972年の名盤『アンブレラ』より。作詞:大橋一枝、作曲:村井邦彦。かまやつひろし(プロデュース)、つのだひろ+原田裕臣(ドラム)、細野晴臣(ベース)、鈴木茂(ギター)、大野克夫(ピアノ、オルガン)、村井邦彦(エレクトリック・ピアノ)というそうそうたる顔ぶれによるヘッド・アレンジ。
12. 幸せになるため / ハイ・ファイ・セット

1976年のシングル。作詞:荒井由実、作曲:村井邦彦、編曲:松任谷正隆。

解説:萩原健太

村井邦彦さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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