第211回 萩原健太のotonanoラジオ#93
2021/07/13 公開
日向敏文さんをゲストに迎えて(その1)
今週のオンエア曲
1.
日向敏文
Reflections
『ひとつぶの海 REALITY IN LOVE』【アナログLP】2021年6月12日発売
2.
日向敏文
Little Rascal(いたずら天使)
『オーガニック・スタイル 日向敏文 the BEST ~In the Twilight~』2007年6月20日発売
3.
日向敏文
Two Menuets
※ニュー・トラック
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#93
『This One’s For You~ピアノ/キーボードをフィーチャーしたインスト12撰~』
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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。
1. ジス・ワンズ・フォー・ユー / スタッフ
日向敏文さんをお迎えした「otonanoラジオ」。インスト音楽ならではのイマジネイティヴな魅力を堪能できた回でした。来週も楽しみ! というわけで、今回のプレイリストはピアノをはじめとするキーボードをメイン楽器としてフィーチャーしたインスト曲の中から、ぼくが好きなものを集めてみました。まずはスーパー・セッション・ミュージシャン・ユニット“スタッフ”が1977年にリリースしたセカンド・アルバム『モア・スタッフ』から、リチャード・ティーのゴスペル風味あふれるピアノ・プレイが存分に楽しめるこの曲、「ジス・ワンズ・フォー・ユー」を。 |
2. ジ・イン・クラウド / ラムゼイ・ルイス・トリオ
ピアノのラムゼイ・ルイスを中心にベースのエルディ・ヤング、ドラムのレッド・ホルトというラインアップで結成されたジャズ・コンボ、ラムゼイ・ルイス・トリオが1965年、全米5位に送り込んだ大ヒット・シングル。もともとはドビー・グレイが前年に放った歌ものヒットだったが、それをファンキーなピアノ・トリオ演奏でカヴァーし、オリジナルを超える大ヒットに結びつけた。痛快この上なし! |
3. スペース・レース / ビリー・プレストン
ファンキーさではこちらも負けていない。ビートルズとの共演でも名を挙げたキーボード・プレイヤー、ビリー・プレストンが1973年、アナログ・シンセなど多彩なキーボードを弾きまくってみせた強力インスト・ヒット。全米4位まで上昇した。 |
4. ナット・ロッカー / B.バンブル&ザ・スティンガーズ
日本ではエマーソン・レイク&パーマーのカヴァー・ヴァージョンがおなじみかも。こちらがそのオリジナルだ。クラシックの名曲をロックンロール・ビートでカヴァーするのを得意にしていたスタジオ・セッション・バンド、B.バンブル&ザ・スティンガーズが1962年に放った大ヒットだ。ご存じ、チャイコフスキーの「くるみ割り人形(ナット・クラッカー)」を下敷きに、ごきげんなロックンロール・ピアノが炸裂する。 |
5. ジ・エンターテイナー / マーヴィン・ハムリッシュ
1902年にスコット・ジョプリンが作曲したラグタイム・ナンバー。1973年に映画『スティング』のテーマ曲にマーヴィン・ハムリッシュ編曲によるヴァージョンが起用され大ヒットした。今回は『スティング』のサントラ盤からピアノ演奏ヴァージョンをセレクト。 |
6. アパートの鍵貸します / フェランテ&タイシャー
ポップ・ソングもクラシックも映画音楽も、すべてを華麗な鍵盤さばきで極上のイージー・リスニング・ミュージックへと変身させ、1960年代にヒットを連発したスーパー・ピアノ・デュオ、アーサー・フェランテ&ルイス・タイシャー。この曲は1960年、全米10位にランクした彼らにとっての初ヒット・シングルだ。ビリー・ワイルダー監督による同名映画の主題歌。ゴージャス! |
7. 渚にて / ジョー・サンプル
クルセイダーズのキーボード・プレイヤーとして日本でも大いに人気を博したジョー・サンプル。クルセイダーズではごりごりのファンキー味を強調したプレイが多かったけれど、ソロ・アルバムではより叙情的なプレイも楽しめた。本曲はそんなジョー・サンプルが1979年に放ったソロ・アルバム『渚にて』のタイトル・チューンだ。 |
8. ラスト・デイト / フロイド・クレイマー
1960年代の米ナッシュヴィルを象徴する“スリップ・ノート・スタイル”というピアノ奏法を完成させた名セッション・ピアニストが自らのソロ名義で放った大ヒット・シングル。1960年に全米2位にランクした。 |
9. ヴァルデズ・イン・ザ・カントリー / ダニー・ハサウェイ
ダニー・ハサウェイが1973年にリリースしたアルバム『愛と自由を求めて』に収められていたインスト・ナンバーだ。もともとはハサウェイが1972年にプロデュースしたコールド・ブラッドに提供した曲だが、そのときはホーン・セクションを大きくフィーチャー。それに対してこちらの本人ヴァージョンでは自ら奏でるエレクトリック・ピアノを全面的にフィーチャーした仕上がりになっている。 |
10. 愛のオルゴール / フランク・ミルズ
カナダのピアニスト、フランク・ミルズが1974年、ファースト・アルバム『詩人と私』に収めた自作のインスト。1978年になってからこの曲をラジオ向けのプロモーション・シングルとして配布したところ、オタワのラジオ局のDJだったデップ・ワッツが気に入りパワープレイ。それをきっかけに翌年にかけてカナダ、アメリカでじわじわと人気を獲得し、最終的には全米3位に達する大ヒットとなった。日本でもFM局を中心に大いに注目を集めた。日本ではさらに独自の日本語詞がつけられ、さこみちよ、高田みずえらが「潮騒のメロディー」というタイトルでリリース。歌ものとしても人気を博した。 |
11. 風の吹くまま / サウンズ・オーケストラル
英国人ピアニスト、ジョニー・ピアソンをフィーチャーしたサウンズ・オーケストラルの代表作だ。本曲は『スヌーピーとチャーリー・ブラウン』に触発された楽曲を多数手がけてきたヴィンス・ガラルディ作。1965年にサウンズ・オーケストラルがカヴァーして大ヒット。アメリカでも人気を博し、全米最高10位まで上昇した。 |
12. 妖精コマネチのテーマ / バリー・デヴォーゾン&ペリー・ボトキンJr.
バリー・デヴォーゾンもペリー・ボトキン・ジュニアも1950年代から活躍する米西海岸系の重要なソングライター/アレンジャー/プロデューサー。本曲は1976年、日本でも人気の高かったルーマニアの体操選手、ナディア・コマネチに捧げられたインスト・ナンバーだ。もともとは「コットンズ・ドリーム」という別タイトルのもと、テレビ・ドラマのテーマ曲として使われていたものだったが、米ABCがモントリオール・オリンピックを中継する際、コマネチの登場曲として使ったことで再注目され、全米8位にランクした。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第210回 萩原健太のotonanoラジオ#92
2021/07/06 公開
上條淳士(『To-y』原作者・漫画家)さんをゲストに迎えて(その2)
今週のオンエア曲
1.
イーグルス
ホテル・カリフォルニア
『ホテル・カリフォルニア』1976年
2.
デヴィッド・ボウイ
ブルー・ジーン
『トゥナイト』1984年
3.
PSY・S
Cubic Lovers
『To-y』Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box
2021年6月30日発売
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#92
『Bye Bye Yesterday~プレイバック‘85-‘87 CBS/EPICソニー~』
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1. 76th Star / REBECCA
上條淳士さんをゲストに迎え『To-y』の話で大いに盛り上がった2週間でしたが。今回のプレイリストは、そんな『To-y』が連載されていた1985〜87年ごろ、ぼくがよく聞いて楽しんでいた日本のポップ・ミュージックを集めてみました。『To-y』のビデオ版で使用されている楽曲群は外して、でも、そこで使われていたソニー/EPIC系のアーティストのものからセレクトした12曲。おじさん、思いきり懐かしいです(笑)。まずはアニメ版『To-y』でも重要な役割を果たしていたNOKKOをフィーチャーしたレベッカの曲から。1985年のアルバム『REBECCA IV 〜 Maybe Tomorrow 〜』の収録曲です。 |
2. ユー・アー・マイ・スターシップ / PRINCESS PRINCESS
女の子ロック・バンドの憧れの存在となったプリプリ。1987年リリースのセカンド・アルバム『TELEPORTATION』より。 |
3. AMERICA / 浜田省吾
あえて1980年代になってからデビューしたアーティストを中心に選曲した今回のプレイリストではありますが。1980年代ソニー系…と言ったら、やはりこの人は絶対に入れておきたいなということで。ハマショー。1986年リリース『J.BOY』より、フォーク・ロック調のこの曲を。ちなみにベテラン系では大好きな大滝詠一も選びたかったけれど、1985〜87年とか、もう大滝さん、何もしてませんでした(笑)。 |
4. The Good Bye / 爆風スランプ
初期爆風が大好きだったなぁ。1985年に出たセカンド・アルバム『しあわせ』より。青春を歌わせたら初期のこいつらの右に出る者なし! |
5. CHASING RAINBOW / 佐野元春
1986年暮れに出た傑作アルバム『Cafe Bohemia』より。 |
6. Maybe Blue / ユニコーン
この人たちもソニー・ロックの代表選手。まだ向井美音里さんを含む6人組時代、1987年にリリースされたデビュー・アルバム『BOOM』より初期代表曲を。初々しい! |
7. Bye Bye Yesterday / 渡辺美里
1980年代EPICの歌姫。1985年リリースのファースト・アルバム『eyes』より。 |
8. Young oh!oh! / 岡村靖幸
前曲「Bye Bye Yesterday」の作者でもある岡村ちゃん。彼の、こちらもファースト・アルバムにあたる、1987年リリースの『yellow』からの曲を。 |
9. トラブル・フィッシュ / 米米CLUB
1980年代末にはぼくもプロデューサーとして一緒にいろいろアルバム作りをすることになる米米CLUB。この曲はそのちょい前、1986年にリリースされたセカンド・アルバム『E・B・I・S』からのナンバー。同時期にヒットしたブロウ・モンキーズをまるパク…いや、なんでもないです(笑)。 |
10. ドーナツ・ショップ / 尾崎豊
1985年リリース。サード・アルバム『壊れた扉から』より。 |
11. Key Station / 杉真理
当時の日本のロック/ポップス系アーティストたちへの賛辞を託した名曲。1985年のアルバム『SYMPHONY #10』より。 |
12. おやすみロージー 〜Angel Babyへのオマージュ〜 / 鈴木雅之
で、ラストはこの人。山下達郎作のオリジナル・ドゥーワップを達郎さんの多重コーラスをバックに切々と歌った超名演。これだけはちょっとズルして(笑)、1988年発表のアルバム『Radio Days』からのナンバーです。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第209回 萩原健太のotonanoラジオ#91
2021/06/29 公開
上條淳士(『To-y』原作者・漫画家)さんをゲストに迎えて(その1)
今週のオンエア曲
1.
PSY・S
Lemonの勇気
『To-y』Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box
2021年6月30日発売
2.
AMOR
ドリーム・スープ
『To-y』 Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box
2021年6月30日発売
3.
The Street Sliders
嵐のあと
『To-y』 Original Video Animation HD REMASTER Blu-ray Limited Premium Box
2021年6月30日発売
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#91
『That Thing You Do!~映画やアニメに登場するヴァーチャル・バンド集~』
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1. すべてをあなたに / ザ・ワンダーズ
上條淳士さんをお迎えした『otonanoラジオ』。いつもとひと味違うお話がいろいろうかがえて実に興味深い時間を過ごせました。来週も楽しみ! で、上條さんの傑作『TO-Y』に登場するGASPの存在に触発されたプレイリスト。過去、様々な映画やアニメに登場してきた架空のバンド、つまり“ヴァーチャル・バンド”の特集です。まずは本番組のプレイリストには、これまでもう何度か登場している名曲を。トム・ハンクスが監督した1996年の青春音楽映画『すべてをあなたに』の主人公でもある架空のバンド、ワンダーズのナンバー。昨年、新型コロナ感染で亡くなったファウンテンズ・オブ・ウェインのアダム・シュレシンジャーが書いたパワー・ポップの大傑作です。 |
2. テイク・ミー・アウト・トゥ・ザ・ボールゲーム / ブルース・スプリングストーン
米ボルティモアの漫画家/ジャーナリスト、トム・チョークリーが1982年、おなじみのアニメ『原始家族フリントストーン』と、われらがボス、ブルース・スプリングスティーンの音楽とをむりやり合体させてリリースしたパロディ・シングル。A面には「ミート・ザ・フリントストーンズ」という曲が入っていて、こちらはB面。メジャーリーグ中継などでもおなじみ「私を野球に連れてって」を下敷きにした替え歌を、スプリングスティーン&Eストリート・バンドのサウンドで聞かせる珍品です。 |
3. ソウル・マン / ブルース・ブラザーズ
最強のヴァーチャル・デュオかも。人気テレビ番組『サタデイ・ナイト・ライヴ』にレギュラー出演していたジョン・ベルーシとダン・アイクロイドが、それぞれ“ジェイク・ブルース”、“エルウッド・ブルース”と名乗りシャレで結成したブルース義兄弟。人気が過熱して、やがて映画にまでなってしまった。そんな彼らが1978年にリリースしたファースト・アルバム『ブルースは絆』より、サム&デイヴのヒットをカヴァーしたこの曲を。 |
4. シュガー・シュガー / アーチーズ
キャロル・キングやニール・セダカなど多くのすぐれたソングライターを発掘し、モンキーズを大ヒットさせた米音楽界の超エグゼクティヴ、ドン・カーシュナー。彼は1969年、人気コミック『アーチー』に注目。そのテレビ・アニメ版を制作し、アニメの中で主人公たちにバンドを結成させた。それがアーチーズ。『けいおん!』の元祖みたいな感じ? 売れっ子スタジオ・セッション・シンガーだったロン・ダンテをリード・シンガーに据え、ひたすら楽しいポップ・ソングを次々ヒットさせていった。本曲「シュガー・シュガー」は1969年度最大の収益をあげた特大ヒット・シングルとなった。 |
5. クリント・イーストウッド / ゴリラズ
ブラーのデーモン・アルバーンが、『タンク・ガール』などの作者としておなじみ、コミック・アーティストのジェイミー・ヒューレットと組んでぶちあげたバーチャル覆面音楽プロジェクトがゴリラズだ。2001年に大ヒットを記録したファースト・アルバムからシングル・カットされた代表曲を。 |
6. 迷信 / イエスタデイズ・ニュー・クインテット
アンダーグラウンド・ヒップホップ・シーンの重要人物、マッドリブは様々な別名義で多彩なプロジェクトを同時進行させているのだけれど。そうした別名義の5人がメンバーとして一堂に会しているという設定で結成されたヴァーチャル・ジャズ・バンドが、イエスタデイズ・ニュー・クインテットだ。本曲は、そんな架空の5人組が2002年、スティーヴィー・ワンダーの楽曲ばかりをカヴァーしてリリースしたアルバム『スティーヴィー』の収録曲。マッドリブの魔力あふれるへたうまローファイ・キーボードがたまらない。 |
7. 悲しき初恋 / パートリッジ・ファミリー
日本でも1970年代に放映されていたアメリカのテレビ・ドラマ『人気家族パートリッジ』から生まれた架空のファミリー・グループがパートリッジ・ファミリー。メンバーは長男役のデヴィッド・キャシディ、母親役のシャーリー・ジョーンズ、長女役のスーザン・デイ、次男役のダニー・ボナデュースら当時の人気俳優たち。1970年にリリースした本デビュー・シングルが見事全米1位に輝いた。 |
8. アルヴィンズ・ハーモニカ / アルヴィン&ザ・チップマンクス
プロデューサー/ソングライターのロス・バグダサリアンは“デヴィッド・セヴィル”という芸名のもと、1950年代からあれこれテープ・レコーダーの早回しなどを駆使した珍品ノヴェルティ・ソングを制作してきたが、そのアイディアの集大成のような形で生まれたのがチップマンクスだ。アルヴィンとサイモンとセオドアという歌うシマリス3兄弟によるアニメ・キャラクター。1958年から多くのヒット・シングルを放った。本曲は1959年に全米3位まで上昇したナンバー。デヴィッド・セヴィルから歌う時間だと言われても大好きなハーモニカをふざけて吹き続けるアルヴィンのいたずらっ子ぶりが楽しい。 |
9. Uh! Oh! / ナッティ・スクィーレルズ
と、そんなチップマンクスの大ヒットにあやかって、サーシャ・バードランドとドン・エリオットが作り出した架空のリスのジャズ・ヴォーカル・ユニットがナッティ・スクィーレルズ。テープの早回し声でスウィンギーにスキャットを決める。1959年から1964年にかけてアルバムをリリースしているけれど、そこにはキャノンボール・アダレイやボビー・ジャスパーなど、けっこう本格的ジャズ・プレイヤーも参加していた。本曲は1959年に全米チャートでちょこっとヒットしたデビュー・シングル。 |
10. くよくよするなよ / ワンダー・フー?
これも、まあ、いわばチップマンクスに触発されたような1曲ではあるのだけれど。チップマンクスによるテープの早回し声みたいなものを、なんと地声でこなして、“誰が歌ってるか当ててね”というふざけた架空のグループ名のもと1965年にシングル・リリースした曲だ。実際に歌っているのは独特の高音ヴォーカルでおなじみ、フランキー・ヴァリをフィーチャーしたフォー・シーズンズ。このボブ・ディラン作品のカヴァーで全米12位にランクした。 |
11. テイク・ア・ラン・アット・ザ・サン / リップタイズ
1996年のアメリカ映画『グレイス・オブ・マイ・ハート』の挿入歌。この映画はイリアナ・ダグラス演じるキャロル・キングみたいな女性シンガー・ソングライターと、マット・ディロン演じるブライアン・ウィルソンみたいな男性ポップ・クリエイターをめぐるお話なのだけれど。本曲はマット・ディロンが扮していたジェイ・フィリップスが在籍しているという設定のリップタイズなる、まあ、ビーチ・ボーイズみたいな架空のグループの曲として映画に挿入されるもので。実際にはダイナソー・ジュニアのJ.マスキスがレコーディングした作品だ。テルミンとか入っていて、泣ける。 |
12. レインボウ・コネクション / カーミット
最後はバンドではなく、ソロの、ヴァーチャル・パフォーマーを。テレビ番組『セサミ・ストリート』の人形デザインなどを担った鬼才、ジム・ヘンソンが1979年に製作した映画『マペットの夢みるハリウッド』の主題歌としてカエルのキャラクター、カーミットが歌った曲だ。歌っているのはジム・ヘンソン自身。作ったのは多くの名曲を生み出したソングライター・チームとしてポップス・ファンにはおなじみ、ポール・ウィリアムス&ケニー・アッシャーだ。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第208回 萩原健太のotonanoラジオ#90
2021/06/22 公開
コシミハルさんをゲストに迎えて(その2)
今週のオンエア曲
1.
コシミハル
龍宮城の恋人
『PARALLELISME』 2021年6月12日発売
2.
コシミハル
逃亡者
『PARALLELISME』 2021年6月12日発売
3.
コシミハル
パラレリズム
『PARALLELISME』 2021年6月12日発売
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#90
『Parlez-moi d'amour~コシミハルがCoverしたオリジナル集~』
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1. やわらかいキャメラル / Peter Beijersbergen Van Henegouwen
先週に引き続きコシミハルさんをお迎えした「otonanoラジオ」、いろいろ興味深いお話がうかがえました。コシさんというと、オリジナル曲が素敵なことはもちろん、カヴァー曲のセレクトのセンスがまた素晴らしい。ということで、今回のプレイリストはコシさんが過去、ご自身のアルバムでいろいろカヴァーなさってきた魅力的なレパートリーの原曲などを集めてみました。まずは1992年にリリースされたアルバム『ラ・ヴォワ・ド・パリ』で取り上げていたダリウス・ミヨーの作品から。1920年代のパリで、20世紀アヴァンギャルドの夜明けを告げることになった“ダダ”の動きを代表する1曲。コシさん、すごいとこカヴァーしてます。コシさんは歌詞付きで歌ってましたが、今回はPeter Beijersbergen Van Henegouwenのピアノ演奏で。名前の読み方、わかりません(笑)。 |
2. 夢のあとに / シュザンヌ・ダンコ
これも『ラ・ヴォワ・ド・パリ』で取り上げていた曲。ガブリエル・フォーレ作曲による歌曲集『3つのメロディ』作品7の第1曲。今回はベルギー生まれのソプラノ歌手、シュザンヌ・ダンコが1955年に録音したヴァージョンで。 |
3. バリのお嬢さん / ジャクリーヌ・フランソワ
続いては1995年のアルバム『シャンソン・ソレール』でコシさんがカヴァーしていた曲。シャンソンの定番、ポール・ドュランのメロディにアンリ・コンテが歌詞を乗せた名曲だ。今回は映画『パリのスキャンダル』の劇中歌としてジャクリーヌ・フランソワが歌ったオリジナル・ヴァージョンでどうぞ。 |
4. 聞かせてよ、愛の言葉を / リュシェンヌ・ボワイエ
これも『シャンソン・ソレール』より。アルバムの最後を飾っていたナンバーだ。ジャン・ルノワールが書いたシャンソン。日本でも多くのシンガーが歌い継いできた。今回は1930年にリュシエンヌ・ボワイエがリリースしたオリジナル・ヴァージョンで。 |
5. さよならデート / デール&グレース
1996年、細野晴臣とのデュオ・ユニット“スウィング・スロー”としてコシさんがリリースしたアルバム『スウィング・スロー』に収められていた曲。もともとは強烈な黒人R&Bデュオ、ドン&デューイが1957年にリリースした自作曲だけれど、それを1963年、白人の男女デュオ、デール&グレースがカヴァーして大ヒットさせた。今回はそちらのデール&グレース・ヴァージョンで。 |
6. グッド・モーニング・ミスター・エコー / マーガレット・ホワイティング
これもスウィング・スローがカヴァーしていたナンバー。1951年にジェーン・タージーが当時としては珍しかった多重録音を駆使したり、テープ・エコーをかけたりしながらレコーディングしたヴァージョンがオリジナルだが、それがストリーミングされていないので、今回はマーガレット・ホワイティングが同じ1951年にリリースしたカヴァー・ヴァージョンで。こちら(全米14位)のほうがオリジナル(全米24位)よりもチャート上位にランクした。 |
7. お久しぶりね / ハリー・ジェイムズ楽団(ヴォーカル:キティ・カレン)
2001年のアルバム『フルフル』でコシさんがカヴァーしていた曲。「イッツ・マジック」「夏の思い出」「レット・イット・スノウ」など多くの名曲を残したソングライター・コンビ、サミー・カーン&ジュール・スタインの作品だ。レス・ポール・トリオをバックに従えたビング・クロスビー盤、ジューン・クリスティをヴォーカルに据えたスタン・ケントン楽団盤など様々な名演が残されているけれど、今回は最大のヒット・ヴァージョンでもあるハリー・ジェイムズ楽団盤を。キティ・カレンのヴォーカルが素晴らしい。 |
8. マムゼル / パイド・パイパーズ
これも『フルフル』より。“マムゼル”というのは“マドモアゼル”を短縮したもの。1946年のタイロン・パワー主演映画『剃刀の刃』のために、エドムンド・グールディングとマック・ゴードンが書き下ろしたおしゃれなナンバーだ。ディック・ヘイムズ、フランク・シナトラ、フランキー・レイン、フォー・フレッシュメンなど多くのシンガーがカヴァーしてきたが、今回は1947年にリリースされたパイド・パイパーズのヴァージョンで。 |
9. ポルカ・ドッツ・アンド・ムーンビームズ / トミー・ドーシー楽団(ヴォーカル:フランク・シナトラ)
名ソングライター・チーム、ジミー・ヴァン・ヒューゼン&ジョニー・バークが1940年、トミー・ドーシー楽団に書き下ろした名曲だ。当時ドーシー楽団の専属シンガーをつとめていたフランク・シナトラが歌い大当たり。これがシナトラにとって初の全米ヒット曲となった。以降もウェス・モンゴメリー、ビル・エヴァンス、サラ・ヴォーンなどからボブ・ディランまで、多彩なアーティストがカヴァーしている。コシさんは2013年のアルバム『マダム・クルーナー』でカヴァー。今回はシナトラの歌声をフィーチャーしたトミー・ドーシー楽団盤で。 |
10. さあ、皆さん(男の中の男) / マレーネ・ディトリッヒ
続いても『マダム・クルーナー』から。ドイツ出身の偉大な女優、歌手、マレーネ・ディートリッヒが1930年の主演映画『嘆きの天使』で披露したナンバーだ。 |
11. ザ・ニアネス・オヴ・ユー / グレン・ミラー楽団(ヴォーカル:レイ・エバール)
『マダム・クルーナー』の続編のような形で2015年にリリースされたコシさんのアルバム『ムーンレイ』のオープニングを飾っていた曲だ。「スターダスト」「ジョージア・オン・マイ・マインド」などを書いた名ソングライター、ホーギー・カーマイケルが1938年に作り、1940年、グレン・ミラー楽団が取り上げて大ヒット。以降、スタンダード・ナンバーとして定着した。今回はもちろんレイ・エバールの歌声をフィーチャーしたグレン・ミラー盤で。 |
12. あなたはしっかり私のもの / ジョセフィン・ベーカー
これも『ムーンレイ』に選曲されていた曲。米国セントルイスの出身ながら1920年代、フランスに渡り、以降ヨーロッパで大人気を博した黒人シンガー、ジョセフィン・ベイカーがおなじみのコール・ポーター作品「I've Got You Under My Skin」をフランス語で歌ったものだ。フランス語タイトルは「Vous Faites Partie De Moi」。コシさんの個性にぴったりの1曲。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第207回 萩原健太のotonanoラジオ#89
2021/06/15 公開
コシミハルさんをゲストに迎えて(その1)
今週のオンエア曲
1.
コシミハル
ラムール・トゥジュール
『TUTU』 2021年6月12日発売
2.
コシミハル
プティ・パラディ
『TUTU』 2021年6月12日発売
3.
コシミハル
レティシア
『TUTU』 2021年6月12日発売
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#89
『真空パック!~細野晴臣 meets 歌姫たちとのあれこれ12撰~』
▶ CLICK TO PLAY Apple Music, Spotify, LINE MUSIC
各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。
1. 東京ラッシュ / 森高千里
コシミハルさんをお迎えした「otonanoラジオ」。コシさんに初めてお目にかかれて思い切り盛り上がってしまいました。ありがとうございます(笑)。ということで、その流れを受けて、今回のプレイリストは、コシミハルさん同様、細野晴臣さんがプロデュースなり曲作りなりアレンジなりに絡んだ歌姫たちのナンバーをあれこれ集めてみました。本当はもっといろいろ面白いのがあるんですが、ストリーミングされていない楽曲が多くて。もちろん、そんな中でも気合を入れた選曲になっています。まずはテレビCMでも細野さんが共演なさっていた森高さん。1998年のアルバム『今年の夏はモア★ベター』より、細野さんの1970年代のレパートリーをカヴァーしたこの曲を。 |
2. 赤道小町ドキッ / 山下久美子
1982年に、松本隆(作詞)&細野晴臣(作曲)という、はっぴいえんど時代からの黄金のソングライター・チームが山下久美子に提供した大ヒット曲。 |
3. わがままな片想い / 松田聖子
こちらも松本&細野作品。この二人による聖子ちゃんの曲はシングル・ヒットした「ガラスの林檎」とか「天国のキッス」とか「ピンクのモーツアルト」とか、いろいろありますが、今回は「天国のキッス」のB面に入っていたこの曲を。もともとは小池玉緒のために作られたもののボツってしまった「カナリヤ」という曲を下敷きに、松本隆が新たな歌詞を書き下ろしたものです。 |
4. YOU MAY DREAM / シーナ&ロケッツ
続いての歌姫は、シーナさん。1979年、シーナ&ロケッツがリリースしたアルバム『真空パック』からシングル・カットされ大いに話題を呼んだ細野晴臣プロデュース作品を。作曲も鮎川誠さんとともに細野さんが手がけてます。 |
5. 透明なチューリップ / 薬師丸ひろ子
これまた松本&細野作品。薬師丸ひろ子が1986年にリリースしたアルバム『花図鑑』の収録曲だ。アレンジにコシミハルさんも加わってます。 |
6. かびん / 吉田美奈子
はっぴいえんどを1973年に解散した後、4人のメンバーのうち、細野晴臣と鈴木茂は、林立夫、松任谷正隆とともに“キャラメル・ママ”というバンドを結成。バンドとして活動するのと並行して、荒井由実や南正人など、様々なシンガー・ソングライターたちのバッキングなどもつとめるようになったのだけれど。そんな活動から生まれた名盤のひとつが、吉田美奈子が1973年に制作したデビュー・アルバム『扉の冬』だ。全曲、キャラメル・ママがバッキングを担当。細野さんはプロデューサーのひとりとしてもクレジットされている。そのアルバムから1曲、どうぞ。 |
7. 100℃バカンス / 中森明菜
1984年にリリースされたアルバム『ANNIVERSARY』より。作詞は売野雅勇、作曲が細野晴臣。細野さんが明菜ちゃんに提供した曲は、他にも「禁区」「ルネサンス-優しさで変えて-」「モナムール(グラスに半分の黄昏)」など、名曲があれこれ。 |
8. EATING PLEASURE / sandii
サンディ&サンセッツでの活動や、近年のハワイアン・シーンでの活躍ぶりなどでおなじみのサンディさんが1980年にリリースしたソロ・アルバムのタイトル・チューン。アルバム全体のプロデュースを細野さんが担当。曲もいくつか提供している、そんな中の1曲です。かっこいい。 |
9. 連れてってファンタァジェン / 小泉今日子
1987年のアルバム『Phantásien』の収録曲。作詞が安野ともこ、作曲が細野晴臣、アレンジはアルバム全体のプロデュースを手がけた土屋昌巳というラインアップによる楽曲だ。細野さん、キョンキョンには翌年、テレビCMでも使われた「怪力!ヨーデル娘」なる曲も提供してました。 |
10. はしゃマンダラ / LOVE,PEACE & TRANCE
これはちょっと変化球というか。遊佐未森、甲田益也子、小川美潮という歌姫3人に細野晴臣を加えたアンビエント・ミュージック・ユニット“ラヴ、ピース&トランス”が1994年にリリースしたナンバーです。細野さんがプロデュース。曲は細野さんが“素晴らしいシャーマン音楽家”と評した故・福澤諸によるもの。 |
11. 風の谷のナウシカ / 安田成美
再び松本&細野作品。同名映画の公開前に行なわれた“ナウシカガール・コンテスト”でグランプリに輝いた安田成美のデビュー・シングルとして1984年にリリースされた。主題歌と思われがちだが、正確にはシンボル・テーマ・ソング。さまざまな事情から映画本編では使用されなかった。 |
12. あなたから遠くへ / 金延幸子
最後は日本の女性シンガー・ソングライターの草分け的存在、金延幸子が1972年にリリースしたファースト・アルバムからの曲を。本プレイリスト中もっとも古い作品。アルバムのディレクティング、および3曲のアレンジ、演奏を細野晴臣が手がけておりました。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第206回 萩原健太のotonanoラジオ#88
2021/06/08 公開
岡井大二さん(四人囃子)をゲストに迎えて(その2)
今週のオンエア曲
1.
四人囃子
DEEP
from Disc3「FULL HOUSE MATINEE」
『Dance in Matinee』2021年5月26日発売
2.
四人囃子
ナスのちゃわんやき
from Disc3「FULL HOUSE MATINEE」
『Dance in Matinee』2021年5月26日発売
3.
四人囃子
Good Good(One-time performance)
from Disc3「FULL HOUSE MATINEE」
『Dance in Matinee』2021年5月26日発売
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#88
『I’ll Take You There~ぼくが好きなアメリカのドラマーの名演集~』
▶ CLICK TO PLAY Apple Music, Spotify, LINE MUSIC
各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。
1. ダウン・トゥ・ザ・ナイトクラブ / タワー・オブ・パワー(デヴィッド・ガリバルディ)
先週に引き続き、ゲストにお迎えしたのは岡井大二さん。日本を代表するグレイトなドラマーですが。そこからの連想で。今回のプレイリストは、ぼくが好きなアメリカのドラマーの名演集。まずはベースのフランシス・"ロッコ"・プレスティアとのコンビで無数のファンキーなドラミングを聞かせてきたデヴィッド・ガリバルディのプレイから。彼がメンバーの一員であるタワー・オヴ・パワーが1972年にリリースしたアルバム『パンプ・シティ』の収録曲です。 |
2. クレイジー・バウト・アン・オートモビル / ライ・クーダー(ジム・ケルトナー)
ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターといったビートルズのメンバーたちを筆頭に、ボブ・ディラン、エリック・クラプトン、ニール・ヤング、ブライアン・ウィルソン、エルヴィス・コステロなど無数のアーティストたちから信頼を得ている名手、ジム・ケルトナーのプレイ。名演は無数にあるけれど、今日は長年がっちりタッグを組み続けているライ・クーダーが1980年にリリースしたアルバム『ボーダーライン』で聞くことができたプレイを。 |
3. アイ・ウォナ・マリー・ユー / ブルース・スプリングスティーン(マックス・ワインバーグ)
われらがボス、ブルース・スプリングスティーンが率いる最強のバック・バンド、ジ・E・ストリート・バンドのドラマーがマックス・ワインバーグ。マックスの歌心あふれるドラミングあってこそのスプリングスティーン親分だ。この曲でもノッケのスネア一発からドラマを感じさせる。1980年のアルバム『ザ・リバー』の収録曲。 |
4. ウェアリン・ザット・ラヴド・オン・ルック / エルヴィス・プレスリー(ジーン・クリスマン)
米テネシー州メンフィスのアメリカン・サウンド・スタジオを本拠にしていたセッション・ミュージシャン・チーム“ザ・メンフィス・ボーイズ”のドラマーがジーン・クリスマン。アレサ・フランクリン、ダスティ・スプリングフィールド、ニール・ダイアモンドなどこの人も無数のシンガーのバックアップをしてきているが、今日はその中から、エルヴィス・プレスリーが1969年に録音した本曲を。アルバム『フロム・エルヴィス・イン・メンフィス』より。 |
5. アップ・オン・クリップル・クリーク / ザ・バンド(リヴォン・ヘルム)
泣く子も黙る伝説のロック・グループ、ザ・バンドのドラマー、リヴォン・ヘルム。アメリカン・ロックの最高峰とも言われるザ・バンドだが、実はメンバー5人中4人がカナダ出身。唯一リヴォンのみがアメリカ南部出身だった。と、そんなことも含め、まさにザ・バンドの屋台骨。この曲でもドラムとともに渋い歌声も聞かせ、極上のスワンプ感覚を発揮している。1969年のアルバム『ザ・バンド』の収録曲だ。 |
6. レイ・レディ・レイ / ボブ・ディラン(ケニー・バットリー)
テネシー州ナッシュヴィルのシンデレラ・スタジオを根城にするセッション・ミュージシャン・チーム“エリア・コード615”のドラマーがケニー・バットリー。エリック・アンダースン、マイク・ネスミス、エルヴィス・プレスリーら、これまた多彩なアーティストたちのバッキングをつとめてきたが、今回はボブ・ディランの曲を。カウベルとボンゴを使いながら魅力的なリズム・パターンを繰り出している。1969年のアルバム『ナッシュヴィル・スカイライン』より。 |
7. ファイア・アンド・レイン / ジェイムス・テイラー(ラス・カンケル)
派手すぎず、重すぎず、我慢強く、しかしここぞのところでまさに“これしかない”という必殺のフィルを繰り出すドラマー、ラス・カンケル。ジョニ・ミッチェル、ジャクソン・ブラウン、キャロル・キングなど歌心を大切にするシンガー・ソングライターたちがこぞって彼にドラムを叩いてもらってきたが、中でもジェイムス・テイラーとのコンビネーションは絶妙だ。1970年のアルバム『スウィート・ベイビー・ジェイムス』に収められた本曲でのブラシを使ったタム回しとか、誰にも真似のできない強力なプレイだろう。 |
8. グリーン・リヴァー / クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァル(ダグ・クリフォード)
クリーデンス・クリアウォーター・リヴァイヴァルというと、ギター&ヴォーカルのジョン・フォガティの個性ばかりが語られがちだが、背後から重くシンプルなグルーヴでがっちりサポートするこの人、“コズモ”ことダグ・クリフォードのドラムも絶対に忘れてはならないものだ。これ見よがしにむずかしいことをせず、ひたすらダウン・トゥ・アースなロックンロール・ビートを繰り出す様子がむちゃくちゃ男らしくてかっこいい。1969年の同名アルバムより。 |
9. アイル・テイク・ユー・ゼア / ステイプル・シンガーズ(ロジャー・ホーキンス)
続いては、アラバマ州マッスル・ショールズの音楽シーンを支え続けた珠玉のドラマー、ロジャー・ホーキンス。彼もウィルソン・ピケット、アレサ・フランクリン、エタ・ジェイムスなど多彩なシンガーに名演を提供してきたが、去る5月20日に75歳で他界したばかり。追悼の気持ちもこめつつ、ステイプル・シンガーズによる1972年のこの名曲を。芸術的なタイム感を堪能してください。 |
10. ホイッスリン・パスト・ザ・グレイヴヤード / トム・ウェイツ(アール・パーマー)
アール・パーマーはニューオーリンズ出身、1940年代から活躍してきた超ベテラン・ドラマーだ。ファッツ・ドミノ、リトル・リチャードなどロックンロールのオリジネイターたちのバックで、2拍4拍、いわゆるバックビートを強調したドラム・パターンを世に広めた偉人でもある。今回はそんなパーマーにしてはちょっと新しめの、トム・ウェイツ、1978年のアルバム『ブルー・ヴァレインタイン』でのプレイを。 |
11. 恋人と別れる50の方法 / ポール・サイモン(スティーヴ・ガッド)
スティーヴ・ガッドもロックからジャズまで、実に幅広いジャンルで名演をたくさん残してきているけれど、彼が編み出したもっとも画期的なリズム・パターンといえば、ポール・サイモンが1975年、アルバム『時の流れに』で発表したこの曲のパターンだろう。当時、日本のドラマーの誰もがこのプレイをコピーしたものだ。 |
12. ヴェンチュラ・ハイウェイ / アメリカ(ハル・ブレイン)
そして、ラストは史上最強のセッション・ドラマー、ハル・ブレインのプレイを。この人も1960年代を中心に、とつてもなく膨大なレコーディングに参加しているのだけれど、今回はあえて1970年代ものを。ベーシストのジョー・オズボーンと組んでブレインが70年代に残した最高の名演だ。3人組バンド、アメリカが1972年に放った大ヒット。ハイハットを16ビート的に細かく刻み、やがてハットの刻みを8にしてリムショットと絡め、次にゴーストノートを絶妙にまぶしたスネアでシェイク…と、実にめまぐるしくパターンを変遷させるプレインのプレイに圧倒される。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第205回 萩原健太のotonanoラジオ#87
2021/06/01 公開
岡井大二さん(四人囃子)をゲストに迎えて(その1)
今週のオンエア曲
1.
四人囃子
Chaos
from Disc1「DANCE」
『Dance in Matinee』2021年5月26日発売
2.
四人囃子
一千の夜(1000 Nights)
from Disc1「DANCE」
『Dance in Matinee』2021年5月26日発売
3.
四人囃子
眠たそうな朝には
from CD2「包」+アウトテイク
『Ride on SEE・SAW』2021年5月19日発売
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#87
『The Spirit of Radio~ポップなプログレッシヴ・ロック<洋楽篇>』
▶ CLICK TO PLAY Apple Music, Spotify, LINE MUSIC
各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。
1. ラウンダバウト / イエス
四人囃子の岡井さんをゲストにお迎えした回のプレイリストってことで。やっぱプログレかな、と。まあ、ぼくの場合、昔から落ち着きのないアホな子だったもんで(笑)、ちょっと高尚な感じが漂うプログレが今ひとつ苦手ではあったのですが。そんなアホな子でも楽しめたポップなプログレ、みたいなやつを今回は12曲選んでみました。まずはイエス。ジョン・アンダーソン、スティーヴ・ハウ、クリス・スクワイア、リック・ウェイクマン、ビル・ブルーフォードという最強フォーマットが完成した1971年のアルバム『こわれもの』から、そのオープニング・ナンバーを。全長8分半のアルバム・ヴァージョンをざっくり乱暴にエディットして3分半にまとめたシングル・ヴァージョンでどうぞ。 |
2. ザ・ストーリー・イン・ユア・アイズ / ムーディー・ブルース
1960年代半ば、もともとブリティッシュR&Bバンドとして活動開始したムーディー・ブルースだけど。1967年あたりから路線変更。プログレ色を強めて大当たりをとった。本曲は1971年のアルバム『童夢』より。ムーディーズの新旧路線がいい感じに交錯する仕上がりです。 |
3. シルヴィア / フォーカス
一時はエリック・クラプトンやジェフ・ベックを凌ぐほどの人気を誇ったギタリスト、ヤン・アッカーマンを擁するオランダのプログレ・バンド、フォーカス。彼らが1972年にリリースしたアルバム『フォーカスIII』からのシングル・カット曲を。 |
4. ザ・スピリット・オヴ・レイディオ / ラッシュ
ラッシュは1970年代から活躍するカナダのプログレッシヴ・ハード・ロック・バンド。初期は長尺の超絶技巧演奏で人気を博していたが、1980年のアルバム『パーマネント・ウェイヴズ』からはラジオでもかけやすいコンパクトな作風が増えた。おかげで落ち着きのないハギワラも楽しめるようになった、というわけで、そのアルバムからシングルとしても大ヒットした本曲を。 |
5. マイク・オールドフィールズ・シングル(Theme From "Tubular Bells") / マイク・オールドフィールド
経緯がいろいろとややこしい曲なのだけれど。マイク・オールドフィールドが1973年に発表したソロ・アルバムのアナログA面をまるごと占めていた長尺曲「チューブラー・ベルズ(パート1)」の冒頭部分が、同年暮れに公開された映画『エクソシスト』のテーマ曲に起用され評判に。その人気に便乗してオールドフィールド以外のミュージシャンが演奏した「チューブラー・ベルズ」のシングルがあれこれ発売されることになって。オールドフィールドさんは、まったく勝手なことしてるんじゃねーよとばかり、本家の意地を見せて、先述ソロ・アルバムB面のほうに収められていた「チューブラー・ベルズ(パート2)」をエディットし、オーヴァーダビングもほどこし、新たなシングル・ヴァージョンを作って1974年にリリースした、と。それが本曲です。 |
6. 星空に愛を(コーリング・オキュパンツ) / クラトゥ
クラトゥはカナダのポップ・プログレ・バンド。中期ビートルズのサウンドに大いに影響された音作りで人気を博した。本曲はのちにカーペンターズもカヴァーした超名曲。クラトゥが1976年に発表したデビュー・アルバム『謎の宇宙船(3:47 EST)』からのシングル・カット・ナンバーです。 |
7. シー・エミリー・プレイ / ピンク・フロイド
プログレといえば、そりゃもう、ピンク・フロイドなわけですが。この人たちの場合、壮大でドラマチックな長尺演奏のイメージが強いのだけれど、特に初期はぐっとコンパクトなポップ・サイケ系の名演もたくさん残してます。というわけで、今回は初期、1967年に発表されたセカンド・シングル曲を。当時の中心メンバー、シド・バレットの作品です。 |
8. タイトルズ / バークレイ・ジェイムス・ハーヴェスト
1975年のアルバム『神話の中の亡霊』の収録曲。「ザ・ロング・アンド・ワインディング・ロード」「ヒア・カムズ・ザ・サン」「イエスタデイ」「サムシング」「レット・イット・ビー」「アクロス・ザ・ユニヴァース」「レディ・マドンナ」など、ビートルズの名曲の“タイトル”をふんだんに歌詞に盛り込んだ1曲だ。そのあたりのビートルズ・ナンバーのフレーズもたくさん聞き取れる。楽しい。 |
9. 序曲~太陽と友達 / ユートピア
ユートピアはのちにポップ路線へとバンドのスタイルを大きく変えていくことになるけれど。結成当初は中心メンバー、トッド・ラングレンによるプログレ・ユニット的な色彩の強いグループだった。本曲は1977年に発表されたユートピアの第三弾アルバム『太陽神』のオープニング・チューン。トッド、ロジャー・パウエル、カシム・サルトン、ジョン・ウィルコックスという鉄壁の布陣で演奏されている。 |
10. バングル・イン・ザ・ジャングル / ジェスロ・タル
ロック・フルートといえばこの人しかいない、という感じのイアン・アンダーソン率いるジェスロ・タルが1974年に放った特大ヒット。 |
11. ザ・パワー・アンド・ザ・グローリー / ジェントル・ジャイアント
デレク、レイ、フィルのシャルマン兄弟を核とするプログレ・バンド、ジェントル・ジャイアントが1974年にリリースしたアルバムのタイトル・チューンです。 |
12. フロム・ザ・ビギニング / エマーソン・レイク&パーマー
他にもキング・クリムゾンとかも選びたかったけれど、ストリーミングされていないみたい。なので、初期クリムゾンにも関わっていたグレッグ・レイクを含むエマーソン、レイク&パーマーのこの曲で締めましょう。1972年の初来日公演でも演奏していたおしゃれな1曲。当時出たばかりだったアルバム『トリロジー』からのナンバーです。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第204回 萩原健太のotonanoラジオ#86
2021/05/25 公開
吾妻光良さん、渡辺康蔵さん(吾妻光良&The Swinging Boppers)をゲストに迎えて
今週のオンエア曲
1.
吾妻光良&The Swinging Boppers
ご機嫌目盛
『Scheduled by the Budget』 2019年
2.
吾妻光良&The Swinging Boppers
でっすよねー
『Scheduled by the Budget』 2019年
3.
吾妻光良&The Swinging Boppers
正しいけどつまらない
『Scheduled by the Budget』 2019年
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#86
『The Jumpin’ Jive!~思い切り楽しめる往年のジャンプ&ジャイヴ集!!』
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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。
1. ジャンプ、ジャイヴ&ウェイル / ルイ・プリマ
今回はスウィンギン・バッパーズの吾妻光良&渡辺康蔵がゲスト。ということで、もうストレートに、バッパーズのノリで思い切り楽しめる往年のジャンプ&ジャイヴものを集めてプレイリストにしてみました。まずは“キング・オヴ・スウィング”の異名をとるルイ・プリマによるジャンプ・ブルースのアンセム、1956年のこのごきげんなナンバーから。 |
2. テキサス・アンド・パシフィック / ルイ・ジョーダン
ジャンプ・ブルースってどういう音楽? と聞かれたら、まあ、ルイ・ジョーダンみたいな音楽だよ…と答えれば間違いない。ということで、「チュー・チュー・チ・ブギ」「エイント・ノーバディ・ヒア・バット・アス・チキンズ」「カルドニア」「レット・ザ・グッド・タイムズ・ロール」など代表曲は無数だけれど、今日はこの、1947年の全米R&Bチャート1位曲をお楽しみください。 |
3. アイヴ・ガット・ア・ライト・トゥ・クライ / ジョー・リギンス
自身のバンド、ハニードリッパーズを率いて1940年代から50年代にかけて全米R&Bヒットを連発したジョー・リギンス。番組内でも触れたようにバッパーズも彼らの「ルージアナ(Loosiana)」なる曲のロケーションを高田馬場に置き換えてカヴァーしたりしていますが。今回はそんな彼らが1946年に放った小粋なナンバーを。 |
4. グッド・モーニング・ジャッジ / ワイノニー・ハリス
エルヴィス・プレスリーも若き日に憧れていたというR&Bシャウター。“鋼鉄のノド”とまで言われた強烈なシャウト・ヴォーカルを活かしたダーティ・ブルースが売り物だった。本曲は1950年のヒット。 |
5. ジャンピン・ジャイヴ / キャブ・キャロウェイ
映画『ブルース・ブラザース』への出演でもおなじみ、ズート・スーツに身を包んだ最強のエンターテイナー。伝説のクラブ“コットン・クラブ”を本拠に1930年代から大人気を博した。大ヒット曲「ミニー・ザ・ムーチャー」のリフレインで聞かれる“ハイディ・ハイディ・ハイディホー”というコーラスから“ハイディホー・マン”などとも呼ばれた。本曲は1939年の大ヒット。 |
6. ホット・ドッグ / クリス・パウエル
クリス・パウエルは、ビル・ヘイリーなど後年のロックンロール・オリジネイターたちにも多大な影響を与えたドラマー/バンド・リーダー。本曲は自らのバンド、ザ・ファイヴ・ブルー・フレイムズを率いて1949年にリリースしたナンバーだ。 |
7. ザ・トレイン・ケプト・ア・ローリン / タイニー・ブラッドショウ
「ウェル・オー・ウェル」という1950年の特大ヒット曲を持つタイニー・ブラッドショウだけれど。この人の名前を音楽史に残したのはその曲ではなく、発売された1951年にはチャートインしなかった本曲の存在だった。ジョニー・バーネット・トリオやヤードバーズがカヴァーしたことで、ブラッドショウはロックンロールの始祖のひとりと呼ばれることになったのでした。 |
8. グッド・ロッキン・トゥナイト / ロイ・ブラウン
この曲ものちにエルヴィス・プレスリーがカヴァーしたことでおなじみ。エルヴィスは前出ワイノニー・ハリスのヴァージョンで覚えたと思われるのだけれど、オリジナル・ヒットは1948年に作者自らが歌った本ヴァージョンだ。ロイ・ブラウンの悲しげなブルース・ヴォーカルとビッグ・バンド・アレンジは特にミュージシャンの間で評判を呼び、当時のR&Bシーンに大きな影響を与えた。 |
9. グッドバイ・ベイビー / ペパーミント・ハリス
「アイ・ガット・ローデッド」のヒットで知られるテキサス・ジャンプ・ブルース・アーティスト、ペパーミント・ハリス。偉大なブルースマン、ライトニン・ホプキンスの悪友としてもおなじみだ。今回はそんな彼が1950年にリリースしたこのナンバーを。 |
10. ビッグ・テン・インチ・レコード / ブル・ムース・ジャクソン
1940年代末をピークに、R&B/ブルース・シーンで大成功を収めたブル・ムース・ジャクソン。タッド・ダメロンやベニー・ゴルソンら、後のジャズ・シーンのスター・プレイヤーを自らのビッグ・バンドから輩出したことでも知られている。本曲は1952年の大ヒット。ロック・ファンにはエアロスミスのカヴァーでおなじみかも。 |
11. チキン・シャック・ブギー / エイモス・ミルバーン
この人もテキサスのブルース/R&Bを代表するシンガー&ピアニストのひとり。本曲はもともと1947年にシングルB面曲として世に出たが、こちらのほうが全米R&Bチャート1位に輝くヒットを記録した。ちなみにA面だった「イット・トゥック・ア・ロング、ロング・タイム」は最高9位どまりだった。 |
12. シェイク、ラトル&ロール / ビッグ・ジョー・ターナー
これまた、R&Bとロックンロールの橋渡し的役割を果たしたとされる歴史的な作品。1954年に偉大なブルース・シャウター、ビッグ・ジョー・ターナーのヴァージョンが全米ヒットを記録した。以来、主に白人ロックンローラーたちによって好んで取り上げられており、中でもビル・ヘイリーやエルヴィス・プレスリーのヴァージョンは日本でもおなじみだろう。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
Kenta's...Nothing But Pop!
第203回 萩原健太のotonanoラジオ#85
2021/05/18 公開
渡辺康蔵さん(The Swinging Boppers|ソニーミュージックJAZZディレクター)をゲストに迎えて
今週のオンエア曲
1.
菊地雅章セクステット
ヘアピン・サーカスのテーマ
『ヘアピン・サーカス オリジナル・サウンド・トラック』 1971年録音
2.
水橋孝カルテット
フー・ケアーズ
『フー・ケアーズ』 1974年録音
3.
鈴木勲トリオ&カルテット
ライク・イット・イズ
『ブロー・アップ』 1973年録音
4.
ジョージ大塚クインテット
ゴー・オン
『ゴー・オン』 1972年録音
萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#85
『MEMORIES OF YOU~60〜70年代によく聞いていた日本のジャズマンたち』
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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。
1. Love Talken / 峰厚介
今週のプレイリストは、番組内容と連動する形で、ぼくが1960〜70年代によく聞いていた日本のジャズマンたちの演奏を並べてみました。番組でオンエアした菊地雅章、水橋孝、鈴木勲、ジョージ大塚らと並んで日本のモダン・ジャズ・シーンを大いに盛り上げた面々の熱いパフォーマンスです。まずは菊地雅章(ピアノ)、ラリー・リドリー(ベース)、トニー・マクブラウン(ドラム)とともにクァルテット編成で録音された峰厚介(サックス)のアルバム『ファースト』(1970年)からのナンバー。 |
2. アイ・ラブ・ユー / 本田竹曠
前曲の主役、峰厚介と、1970年代末にフュージョン・グループ、ネイティヴ・サンを結成することになる本田竹曠(ピアノ)が、1971年にリリースしたストレート・ピアノ・トリオ・アルバムの表題曲。鈴木良雄(ベース)、渡辺文男(ドラム)がバックアップしている。 |
3. Bird to Freedom / 向井滋春
日本のトロンボーン・プレイヤー最高峰、向井滋春が1975年にリリースしたアルバム『むかい風』より、クールなハード・バップ・ナンバーを。向井滋春(トロンボーン)、高橋知己(サックス)、元岡一英(ピアノ)、望月英明(ベース)、古澤良治郎(ドラム)。 |
4. Long Yellow Road / 秋吉敏子
1950年代から海外でも大いに注目を集めてきた日本の女流ジャズ・ピアニストの草分け、秋吉敏子が1961年に凱旋帰国を果たした際、当初、なんとソノシートのみでリリースしたピアノ・トリオ作品『黄色い長い道〜秋吉敏子リサイタル』より。タイトルからもジャズという米国文化に挑む日本人としての心意気が感じられる。秋吉敏子(ピアノ)、ジーン・チェリコ(ベース)、エディ・マーシャル(ドラム)。 |
5. ピコ / 今田勝
1980年代にやはりフュージョン・シーンで大活躍したピアニスト、今田勝が1979年に録音した傑作ソロ・ピアノ・アルバムの表題曲。初期の代表的オリジナル作品だ。 |
6. Lullabye / 日野皓正
ぼく個人的には、中学生時代、この人の演奏シーンをテレビで見たことでジャズという音楽ジャンルに思い切り興味を持った。1960年代から日本ジャズ界のスーパー・アイドルだったトラッペッター、日野皓正。今回は、彼が1973年に録音したライヴ・アルバム『タローズ・ムード』からのパフォーマンスを。日野皓正(トランペット)、益田幹夫(ピアノ)、池田芳夫(ベース)、日野元彦(ドラム)、今村佑司(パーカッション)。 |
7. イフ・アイ・シュッド・ルーズ・ユー / 渡辺貞夫
日本のジャズ・シーン、最大のスター、“ナベサダ”こと渡辺貞夫(サックス)が、ハンク・ジョーンズ(ピアノ)、ロン・カーター(ベース)、トニー・ウィリアムズ(ドラム)という顔ぶれによる“グレイト・ジャズ・トリオ”と共演した1979年のアルバム『バード・オブ・パラダイス』より。アルバム・タイトルからもわかる通り、ビ・バップ・ジャズの巨人、チャーリー・パーカーのレパートリーばかりを採り上げたトリビュート・アルバムだった。 |
8. パラジウム / 佐藤允彦
バークリー音楽大学に留学していた佐藤允彦(ピアノ)は、1968年に帰国後、バークリーの学友だった荒川康男(ベース)とデュオで活動していたが、そこに富樫雅彦(ドラム)が合流してトリオへと発展。本曲は、その編成で初めて録音した1969年のスタジオ・アルバムの表題曲だ。 |
9. サッドネス / 渡辺香津美
ジャンルを超えて活躍するスーパー・ギタリスト、渡辺香津美が1975年にリリースしたサード・アルバム『エンドレス・ウェイ』の収録曲。渡辺香津美(ギター)、向井滋春(トロンボーン)、井野信義(ベース)、倉田在秀(ドラム)という編成での演奏だ。 |
10. Listen To My Story / 板橋文夫
映画音楽なども多数手がけるピアニスト、板橋文夫が1979年にリリースした『Nature』より。アナログ盤B面に収められていた大編成バンドによる組曲的なナンバーが話題を呼んだ1枚だったが、今日はピアノ・トリオ編成で録音されたA面のほうからこの曲を。板橋文夫(ピアノ)、望月英明(ベース)、亀山賢一(ドラム)。 |
11. グガン / 山下洋輔
音程とか関係なく、“グガン・グガン・ダパトトン・グガン・ダパトトン”というフレーズを、どんな形でもいいからぶちかまして、あとは各自、好き勝手な演奏へと突入する…という、もうそれだけがルールの超フリーな名曲。山下洋輔トリオの代表的レパートリーだ。1969年録音のアルバム『ミナのセカンド・テーマ』収録。山下洋輔(ピアノ)、中村誠一(サックス)、森山威男(ドラム)という最強/最凶の初期ラインアップによる演奏だ。 |
12. MEMORIES OF YOU / 渋谷毅
ラストは、作曲家・編曲家としても素晴らしい作品を多く残している渋谷毅(ピアノ)が、熱心なファンの後押しを受けながら鹿児島のジャズ・クラブでライヴ録音したファースト・リーダー・アルバム『ドリーム』から。スタンダード・ナンバーをストレートなピアノ・トリオ編成で聞かせる。渋谷毅(ピアノ)、松本龍宏(ベース)、松良高あるいは浜島純(ドラム)という編成。 |
解説:萩原健太
●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。
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