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第166回 萩原健太のotonanoラジオ#48

2020/09/01 公開

小西康陽さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

小西康陽さんをゲストに迎えて(その1)

1.

PIZZICATO ONE

きみになりたい

『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』 2020年6月24日発売

小西康陽さんをゲストに迎えて(その1)

2.

PIZZICATO ONE

メッセージ・ソング

『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』 2020年6月24日発売

小西康陽さんをゲストに迎えて(その1)

3.

PIZZICATO ONE

また恋におちてしまった

『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』 2020年6月24日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#48

『“セルフ・カヴァー”~洋楽編~』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. 涙でさようなら / ジェリー・バトラー

小西さんとの会話に触発されたプレイリスト。今回はあるソングライターが誰かに歌ってもらうために書いた曲を後になって自ら歌った、まあ、和製英語で言うところの“セルフ・カヴァー”ものを集めてみました。今週はその洋楽編です。来週は小西さんも含めて邦楽編をお届けする予定。ということで、まずは1962年にジェリー・バトラーの歌で全米20位のヒットを記録したこの曲から。
2. 涙でさようなら / バート・バカラック

ジェリー・バトラー盤に続いて、1965年にはウォーカー・ブラザーズがカヴァーして全米16位、全英1位に輝くヒットとなったこの曲。作詞はハル・デヴィッド、作曲はバート・バカラックだ。というわけで、作曲者バカラックが1969年、自身の同名アルバムでヴォーカルも担当しながらレコーディングしたヴァージョンを。
3. ロックン・ロール・ララバイ / B.J.トーマス

1969年に、前曲同様のデヴィッド&バカラック作品「雨に濡れても」の特大ヒットで一気に人気シンガーの座を手に入れたB.J.トーマス。そんな彼が1972年に放った全米ナンバーワン・ヒットが本曲「ロックン・ロール・ララバイ」だ。デュアン・エディのトゥワンギー・ギターやダーレン・ラヴの強力なコーラスをフィーチャーした名曲です。
4. ロックン・ロール・ララバイ / バリー・マン

で、それを書いたのがニューヨークのいわゆる“ブリル・ビルディング・サウンド”を代表する夫婦ソングライター・コンビ、バリー・マン&シンシア・ワイルだ。作曲を手がけたのは自らもパフォーマーとして傑作アルバムを何作もリリースしているバリー・マン。ということで、今回は過去、他シンガーに提供してきた多くのヒット曲を自ら歌った2000年のアルバム『ソウル&インスピレーション』に収められていた自演ヴァージョンを。
5. ウイチタ・ラインマン / グレン・キャンベル

“レッキング・クルー”と呼ばれる西海岸の腕ききセッション・ミュージシャン集団の重要な一員として1960年代、無数のヒット曲のギター演奏を担ってきたグレン・キャンベル。自身、ソロ・アーティストとしても早くから活動しており、1960年代半ば以降、チャートイン・シングル80曲、ナンバーワン・シングル9曲、レコード総売上4500万枚以上。そんな中の1曲が1969年に全米3位に輝いた本曲だ。
6. ウイチタ・ラインマン / ジミー・ウェッブ

この名曲を書いたのは、他にもグレン・キャンベルに「恋はフェニックス」「ガルベストン」といった名曲を提供してきたソングライター、ジミー・ウェッブ。今回はのちに発掘リリースされた1972年、英ロンドンのロイヤル・アルバート・ホールでのコンサートのライヴ音源で。
7. 歌の贈りもの / バリー・マニロウ

現在はラスヴェガスを拠点に着実な活動を続けるバリー・マニロウ。彼の初期を代表するヒット曲がこれ。1975年から76年にかけて全米ナンバーワンに輝き、グラミー賞最優秀歌曲賞も獲得した名曲だ。マニロウならではの伸びやかな歌声が活かされた美しく壮大なバラードなのだけれど…。
8. 歌の贈りもの / ブルース・ジョンストン

その曲を作ったのはビーチ・ボーイズの一員としてもおなじみ、ブルース・ジョンストンだ。ビーチ・ボーイズの広報担当ディレクターをつとめていたジャック・ライリーともめてバンドを一時的に脱退していた1977年にリリースされた傑作ソロ・アルバム『ゴーイング・パブリック』に自演ヴァージョンが収められていた。壮大なマニロウ・ヴァージョンに対して、こちらは徹底的に淡々と展開する仕上がり。作者自らのヴァージョンというのは、こういう、あえて地味なアレンジがほどこされるパターンが多い気がする。
9. ドゥ・ライト・ウーマン、ドゥ・ライト・マン / アレサ・フランクリン

続いてはソウルの女王、アレサ・フランクリン。「恋のおしえ」という邦題が付けられていた時期もあった必殺の名バラードだ。1967年のシングル「アイ・ネヴァー・ラヴド・ア・マン」のB面ながら、全米R&Bチャートで37位にランクした。アーマとキャロリンのフランクリン姉妹もレコーディングに参加したこの名曲を作ったのは…。
10. ドゥ・ライト・ウーマン、ドゥ・ライト・マン / ダン・ペン

アラバマ州にあるマッスル・ショールズ・サウンド・スタジオのお抱えソングライターとして米南部系シンガーたちに数々の名曲を提供してきたダン・ペンだ。やはり南部系の名盤をたくさん生み出してきたプロデューサー、チップス・モーマンとの共作。というわけで、今回はダン・ペンが1994年にリリースしたアルバム『ドゥ・ライト・マン』から、彼の自演ヴァージョンを。
11. オー・ノー、ノット・マイ・ベイビー / マキシン・ブラウン

1964年、ゴスペル/R&B系女性シンガーのマキシン・ブラウンが全米24位に送り込んだナンバー。以降、マンフレッド・マン、ロッド・スチュワート、メリー・クレイトン、シェールなどが次々とカヴァーし、何度もチャートを賑わしてきた名曲だ。
12. オー・ノー、ノット・マイ・ベイビー / キャロル・キング

作者は、そう、キャロル・キング。彼女がまだ職業ソングライターとしてヒットを量産していた時期、最初の夫だった作詞家、ジェリー・ゴフィンと共作したものだ。そんな往年の傑作曲をキャロルさんは、1980年、アルバム『パールズ』で自演した後、2001年にもアルバム『ラヴ・メイクス・ザ・ワールド』で再度自演。彼女自身にとっても特にお気に入り曲なのだろう。今回は2001年ヴァージョンのほうで。

解説:萩原健太

小西康陽さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第165回 萩原健太のotonanoラジオ#47

2020/08/25 公開

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

1.

大貫妙子

蜃気楼の街

『ROMANTIQUE』 1980年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

2.

シュガー・ベイブ

蜃気楼の街

『SONGS』 1975年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

3.

矢野顕子

SIMON SMITH AND THE AMAZING DANCING BEAR

『オーエスオーエス』 1984年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

4.

佐野元春

グッドタイムス&バッドタイムス

『BACK TO THE STREET』 1980年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

5.

竹内アンナ

RIDE ON WEEKEND

『MATOUSIC』 2020年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#47

『70年代シティ・ポップ・クロニクル Vol.2』

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1. 窓を横切る雲 / 笠井紀美子

竹内アンナさんとのシティ・ポップス談義に触発されたプレイリスト。今週も1970年代の音源を。先週も選曲の下敷にした拙著『70年代シティ・ポップス・クロニクル』(エレキング・ブックス)にはディスク・ガイドも付けてあって。メインの章立てでは扱っていないものの、そちらで取り上げたアルバムも多数。てことで、そちらで紹介した中から選曲しました。まずはジャズ・シンガーとして人気を博していた笠井紀美子が細野晴臣、鈴木茂、大野克夫らのサポートを受けて日本語のロック、ブルースに挑戦した1972年のアルバム『アンブレラ』から。
2. あなたから遠くへ / 金延幸子

先週取り上げた吉田美奈子よりも一足先にデビューした日本の女性シンガー・ソングライターの草分けのひとり。同時代の存在と比べると、吉田美奈子がローラ・ニーロ的、五輪真弓がキャロル・キング的なのに対し、この人の音楽には断然ジョニ・ミッチェル的な感触があった。細野晴臣がプロデュースした1972年のファースト・アルバム『み空』より。もちろん自作曲中心の1枚ながら、アルバムには大滝詠一作品も1曲含まれていた。
3. お先にどうぞ / かまやつひろし

で、こちらはその大滝詠一作品。のちに“ムッシュかまやつ”と名乗ることになる元ザ・スパイダースのかまやつひろしに吉田拓郎が提供した大ヒット・シングルをフィーチャーした1975年のアルバム『あゝ、我が良き友よ』より。このアルバムのために大滝詠一が書き下ろしたポップ・ドゥーワップ作品だ。山下達郎、吉田美奈子らもコーラスで参加している。
4. 恋の西武新宿線 (シングルバージョン) / 愛奴

愛奴(あいど)は、町支寛二、青山徹、そして浜田省吾らが在籍していたポップ/ロック・バンド。広島のアマチュア音楽サークル“広島フォーク村”で結成された。同サークルの先輩格にあたる吉田拓郎のバック・バンドとして1年ツアーした後、1975年にアルバム『愛奴』で自らもデビュー。彼らが残した2枚のシングル、「ふたりの夏」と本曲「恋の西武新宿線」はどちらもビーチ・ボーイズの影響をたたえた隠れ名曲。
5. 月にてらされて / ティン・パン・アレー

細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫という名プレイヤー4人が結成したキャラメル・ママを母体に誕生したミュージシャン集団“ティン・パン・アレー”が1975年にリリースしたアルバム『キャラメル・ママ』より。松任谷正隆がリーダーシップをとった1曲で、作詞を手がけているのは松任谷さんとの結婚直前、まだ“荒井”姓だったユーミンです。
6. 愛は幻 / 大貫妙子

山下達郎が率いていた伝説のポップ・バンド、シュガー・ベイブの主要メンバーのひとりだった大貫妙子が、バンド解散後の1976年にリリースした初ソロ・アルバム『グレイ・スカイズ』より。この曲はシュガー・ベイブ時代にも演奏されていた人気曲だった。
7. 風になれるなら / 伊藤銀次

こちらも一時期、シュガー・ベイブのメンバーであり、名曲「ダウン・タウン」などの作詞も手がけた伊藤銀次の作品。山下達郎、大貫妙子、斉藤ノブ、上原裕、田中章弘、坂本龍一ら豪華な音楽仲間たちが参加した1977年のソロ・アルバム『デッドリィ・ドライヴ』のオープニング・ナンバーだ。
8. 私自身 / いしだあゆみ&ティン・パン・アレイ・ファミリー

歌謡ポップスの世界で人気を博していた女性シンガー、いしだあゆみが1977年にティン・パン・アレーとタッグを組んでリリースした伝説的コラボ・アルバム『アワー・コネクション』より。このアルバムは橋本淳がプロデュースと作詞、萩田光雄と細野晴臣が半々ずつ作曲を手がけた当時としては画期的な1枚だった。この曲は細野作品。
9. サブタレニアン二人ぼっち / 佐藤奈々子

マリア・マルダーあたりを思わせるジャジーでアンニュイなヴォーカル・スタイルが話題を呼んだ女性アーティスト、佐藤奈々子が1977年にリリースしたファースト・アルバム『ファニー・ウォーキング』より。収録曲の大半を作曲していた“佐野元春”という未知の才能の存在がやけに気になったものだ。ちなみに佐野元春本人のデビューはこの3年後のことだった。
10. プールサイド / 南佳孝

前回のプレイリストにも登場していただいた南佳孝が1978年にリリースした傑作アルバム『サウス・オブ・ザ・ボーダー』より。当時、日本の意識的なミュージシャンたちの間で静かなブームを呼んでいたサルサやボサノヴァなど南方系音楽からの影響が色濃い1枚だった。大貫妙子とのデュエット曲「日付変更線」のほか、「夏の女優」、「ブルー・メロディ」、そして本曲などメロディメイカーとしての南佳孝の才能が満喫できる。
11. ムーンライト・ジルバ / やまがたすみこ

やまがたすみこは、今や日本のトップ・アレンジャー/キーボード奏者として活躍する井上鑑の現夫人。彼女がシンガー・ソングライターとして活躍していた1978年、あえて自身の曲ではなくティン・パン・アレー系の作家陣の曲に挑んだ意欲的なアルバム『FLYING』より。このアルバムはプロデュースが松本隆。アレンジが鈴木茂。もちろん細野晴臣、佐藤博、伊藤銀次らティン・パン系の人脈が多数参加していた。
12. 風をつかまえて / 原田真二

1978年に颯爽とデビューを飾り、日本のポップ・ミュージックの新時代を印象づけた原田真二のファースト・アルバム『Feel Happy』より。松本隆を作詞に迎え、自ら紡ぐポップな旋律と融合させた新鮮な世界観を提示してみせていた。Char、世良公則とともにロック御三家などとも言われたものです。懐かしい。

解説:萩原健太

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第164回 萩原健太のotonanoラジオ#46

2020/08/18 公開

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その1)

1.

吉田美奈子

レインボー・シー・ライン

『MINAKO』 1975年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その1)

2.

小坂忠

Horo(ほうろう)

『People』 2001年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その1)

3.

小坂忠

ほうろう

『ほうろう』 1975年

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その1)

4.

細野晴臣

スラック・キー・ルンバ

『PACIFIC』 1978年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#46

『70年代シティ・ポップ・クロニクル』

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1. 風をあつめて / はっぴいえんど

竹内アンナさんをお迎えしてのシティ・ポップス講座。まあ、番組でも言いましたが、1970年代当時、“シティ・ポップス”なんてジャンル名はなかったわけですが、今そういうふうに呼ばれている音楽の系譜みたいなものをプレイリストにしてみようかなと思って。ぼくが2015年に出版させてもらった『70年代シティ・ポップス・クロニクル』(エレキング・ブックス)の章立てに則する形で選曲してみました。まずは誰もが認める日本のポップ・ミュージックの礎、はっぴいえんど、1971年のセカンド・アルバム『風街ろまん』から松本隆&細野晴臣作のこの曲を。
2. おいらぎゃんぐだぞ(シングル・ヴァージョン) / 南佳孝

ストリーミングだと大滝詠一の諸作や、シュガーベイブのアルバムなどが配信されていなくて。仕方ないのでそのあたりは省いて。次は、1973年に今はなき東京・文京公会堂で行なわれた“はっぴいえんど解散コンサート〜ラスト・タイム・アラウンド”にゲスト出演して、その洗練されたポップ感覚で当時ぼくたちを驚かせてくれた南佳孝。ファースト・アルバム『摩天楼のヒロイン』からのシングル・カット曲を。
3. 週末 / 吉田美奈子

はっぴいえんどの解散コンサートは、はっぴいえんどだけが演奏するのではなく、メンバーだった細野晴臣、松本隆、大滝詠一、鈴木茂それぞれの今後の活動を示唆するソロ・ステージあり、さらには次の時代を担うであろう新人たちのお披露目ステージあり…。そんな中、南佳孝ともども新たな個性を聞かせてくれたのが吉田美奈子だった。やはり1973年に、細野、鈴木を含むキャラメル・ママをバックに従えてリリースされたファースト・アルバム『扉の冬』からこの曲を。
4. 魔術 / Bread & Butter

実は今回のプレイリスト、以前、高橋昌太郎くんをゲストに迎えたときのプレイリスト#37と登場アーティストがけっこうかぶってます。てことで、曲がダブらないように選曲しているのだけれど。はっぴいえんど、美奈子さんに続いてブレバタも再登場。細野晴臣、鈴木茂、林立夫、斎藤ノブ、ジョン山崎、小原礼、山室恵美子、新井潤子ら名手がこぞってサポートした1974年の名盤『バーベキュー』から、今回はそのオープニング・チューン。以前セレクトした「ピンク・シャドウ」と並ぶ名曲です。
5. 星くず / 久保田麻琴と夕焼け楽団

1970年代半ば、実に飄々としたスタンスで自身のバンド、夕焼け楽団を率いて活動していた久保田麻琴さんが提示していた音の感触というのも、実に刺激的だった。グレイトフル・デッドあたりに通じるアシッドな感覚を日本独特の情緒と重ね合わせながら編み上げたサウンドは、まじ、中毒性があった。今回は1976年にシングルでリリースされたこの名曲をセレクト。
6. 生まれた街で / 荒井由実

ユーミンもプレイリスト#37に登場してもらっていたけれど。今回はユーミンが、というより、黎明期の日本のポップ・シーンが残した大傑作、1974年のセカンド・アルバム『ミスリム』からそのオープニング・チューンを。松任谷正隆のエレクトリック・ピアノが提示する穏やかなリフに細野晴臣のベースが絡み、やがて鈴木茂のギター・カッティングがさりげなく滑りこんでくるイントロから絶妙!山下達郎、吉田美奈子らによるコーラスも完璧!
7. 塀までひとっとび / サディスティック・ミカ・バンド

シティ・ポップスというくくりで語っていいのかどうかわからないけれど、1970年代半ば、むちゃくちゃかっこよく輝いていたのが加藤和彦率いるサディスティック・ミカ・バンドだった。もともとプラスティック・オノ・バンドのパロディのような形で冗談半分にスタートしたプロジェクトだったけれど、1974年、英国人プロデューサー、クリス・トーマスのもとでレコーディングしたアルバム『黒船』からいきなり本気モードに。今日はスライ&ザ・ファミリー・ストーンを彷彿させるファンキーでキャッチーな曲を。
8. しらけちまうぜ / 小坂忠

アンナさんとも熱く語り合った小坂忠、1975年の超名盤『HORO』の収録曲。松本隆&細野晴臣作のポップ・ソウル・ナンバーだ。当時のティン・パン・アレー系のコンサートでもハイライト曲のひとつとして大いに盛り上がった。
9. 砂の女 / 鈴木茂

これも過去何度かセレクトさせてもらってきた名曲。やはり、これは外せないので、また選んじゃいました。はっぴいえんど解散後の1974年、単身渡米してリトル・フィートやタワー・オブ・パワーのメンバーたちと制作した名作アルバム『バンド・ワゴン』からの不朽の1曲です。
10. うちわもめ / センチメンタル・シティ・ロマンス

1975年にリリースされたセンチメンタル・シティ・ロマンスのファースト・アルバムから。カントリー・ロック、フォーク・ロックなど、当時のアメリカ西海岸の様々な音楽性を見事に習得し的確に体現する確かなテクニックと、あえて地元の名古屋弁なども歌詞に盛り込みながら緻密に編み上げられた曲作りの感覚に当時大いに驚かされたものだ。
11. あの娘のラブレター / 鈴木慶一とムーンライダーズ

1976年リリースのアルバム『火の玉ボーイ』より。ムーンライダーズ名義にはなっているけれど、もともとは鈴木慶一のソロ・アルバムとして計画されていたものだとか。“シティ・ボーイ・サイド”と銘打たれたそのアナログA面の冒頭に収められていたのがこの曲だ。ホーン・セクションを大胆に導入し、ニューオーリンズR&Bっぽいバウンドするピアノをフィーチャーし、ボズ・スキャッグスっぽいノド声ヴォーカルを炸裂させ…。新しい時代の日本のポップ・ミュージックの予感に満ちた1曲だった。
12. HURRICANE DOROTHY / 細野晴臣

最後は1曲目同様、細野晴臣作品で。1975年にリリースされたセカンド・ソロ・アルバム『トロピカル・ダンディー』は、ハリウッド、ニューオーリンズ、ハワイ、中国、そして日本…様々な意味合いでの“辺境”を旅しながら繰り出される異国情緒に満ちた豊潤なリズムがこれでもかと交錯する最高に刺激的な傑作だった。そこから必殺の名曲「ハリケーン・ドロシー」を。

解説:萩原健太

竹内アンナさんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第163回 萩原健太のotonanoラジオ#45

2020/08/11 公開

ROLLYさんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

ROLLYさんをゲストに迎えて(その2)

1.

SCANCH

恋のマジックポーション

『恋の薔薇薔薇殺人事件』 1992年

ROLLYさんをゲストに迎えて(その2)

2.

SCANCH

好き好きダーリン

『恋のロマンティック大爆撃』 1991年

ROLLYさんをゲストに迎えて(その2)

3.

ROLLY

天地創造 ~Eejanaika

『ROLLY’S ROCK WORKS』 2019年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#45

『Best of ROY WOOD』

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1. ブラックベリー・ウェイ/ザ・ムーヴ

ROLLYとの会話の中で何度も何度も名前が登場してきたロイ・ウッド。1960年代から70年代にかけて、ザ・ムーヴ、ELO、ウィザードなど、ひとくせあるポップ・バンドを次々と結成したり脱退したりしながら独自の活動を続けた英国ポップ/ロック・シーンきっての奇才だけれども。ROLLYにとてつもなく大きな影響を与えたこのロイ・ウッドを知ればROLLYの音楽がより一層魅力的に輝く。ということで、今週のプレイリストはぼくが勝手に選んだベスト・オブ・ロイ・ウッドです。まずは1968年11月、ザ・ムーヴの中心メンバーとして活動していた時期に放った全英ナンバーワン・シングル曲から。
2. ルック・アット・ミー・ナウ/エレクトリック・ライト・オーケストラ

1971年、ロイ・ウッドはザ・ムーヴの一員だったジェフ・リンを引き連れ、新バンド、エレクトリック・ライト・オーケストラ(ELO)を結成した。ビートルズの「エリナー・リグビー」のような、ロックにストリングス・セクションを導入した音作りに挑むプロジェクト。今回はELOが1971年12月にリリースしたファースト・アルバム『エレクトリック・ライト・オーケストラ』から、シングル・カットはされていないものの、ELOの初期コンセプトを存分に味わえるロイ・ウッド作品をひとつ。
3. シー・マイ・ベイビー・ジャイヴ/ウィザード

ELOを早々に離脱したロイ・ウッドは続いてウィザードというバンドを結成した。当時、英国で流行していたグラム・ロック的なギラギラのファッション感覚なども屈折した形で取り込みながら、自身同様どこかアタマのおかしい米国のクレイジーなプロデューサー、フィル・スペクター的な“過剰”な音作りを目指した本曲をレコーディング。1973年4月にリリースし、見事全英ナンバーワンに送り込んだ。聞けばすぐわかる通り、ROLLYのみならず、ABBAから大滝詠一まで、世界各国の様々なポップ・クリエイターたちが大きく影響されたロイ・ウッドの代表曲だ。
4. エンジェル・フィンガーズ(ア・ティーン・バラッド)/ウィザード

続いてはウィザードのシングル第二弾。やはり1973年にリリースされ、「シー・マイ・ベイビー・ジャイヴ」に続いて全英ナンバーワンに輝いた。これまたイントロのリズム・パターンからしてフィル・スペクターがかつてプロデュースした「ビー・マイ・ベイビー」のパターンを踏襲したロイ・ウッド流ウール・オヴ・サウンドの傑作だ。
5. ディア・エレイン/ロイ・ウッド

ウィザードとしての活動と並行してロイ・ウッドはソロ・アルバムもリリース。実はザ・ムーヴとして活動していたころからソロ・アルバムの準備は続いていたようなのだが、なかなかタイミングが合わず実現せずじまい。が、ウィザードとしての連続ヒットが生まれたこともあり、ようやく1973年7月、ファースト・ソロ・アルバム『ボールダーズ』が世に出た。基本的に全ての楽曲を自作し、全ての楽器を自演した傑作だった。そこからの初シングル・カット曲が本曲。1973年8月にリリースされ、全英18位にランクした。
6. フォーエヴァー/ロイ・ウッド

中期ビートルズの影響が色濃かった「ディア・エレイン」に続くシングルが本曲。こちらは思いきりビーチ・ボーイズやフォー・シーズンズなどアメリカン・ポップ系に寄った仕上がり。個人的にはこれがロイ・ウッド作品中のフェイバリット・ナンバーだ。1973年11月にリリースされ、全英8位にランクした。
7. アイ・ウィッシュ・イット・クッド・ビー・クリスマス・エヴリデイ/ウィザード

まったく季節外れのクリスマス・ソングではありますが。これもロイ・ウッドの代表作なので、避けられないってことで。お得意のフィル・スペクター・サウンドに、チンピラっぽいユニークなサックス・アンサンブルと、無垢な子供たちのコーラスを絡めた名作だ。1973年12月にリリースされて全英4位にランク。以降も毎年、ホリデイ・シーズンがやってくるとリバイバルし続けている。
8. ロックンロール・ウィンター(ルーニーズ・チューン)/ウィザード

前曲のヒットにあやかる形でリリースされた“冬もの”。なんとか1974年3月までのリリースを目指していたらしいが、なかなかうまくいかず、結局出たのは同年4月。もう春じゃねーか、という間抜けなタイミングになってしまったものの、ポップでキャッチーな仕上がりが大いに受け、全英6位まで上昇した。
9. ゴーイン・ダウン・ザ・ロード(ア・スコティッシュ・レゲエ・ソング)/ロイ・ウッド

何事にも飽きっぽいロイ・ウッドは、ウィザードでのバンド活動もそこそこに、またソロ活動に突入。またまた歌も楽器もコーラスもすべてひとりで手がけた単独多重録音ナンバーである本曲を1974年6月にシングル・リリースした。サックスやマンドリンやバグパイプの音も聞こえるが、それらも全部ロイ・ウッド自身の演奏らしい。すごい。全英13位にランクした。
10. オー・ホワット・ア・シェイム/ロイ・ウッド

番組の中でのROLLYとの会話でも具体的な曲名が登場したロイ・ウッド作品。ありがちなロックンロールのパターンだけに縛られていないこのあたりの柔軟な感覚こそがロイ・ウッド最大の魅力だ。ROLLYもそんなところに大きく惹かれているのだろう。1975年5月にリリースされて全英13位にランク。
11. ルック・スルー・ジ・アイズ・オヴ・ア・フール/ロイ・ウッド

フィル・スペクターの「ダ・ドゥ・ロン・ロン」とか、デイヴ・クラーク・ファイヴの「マルベリー・ブッシュ」とか、大滝詠一の「HAPPY ENDで始めよう」とか、優れたポップ・クリエイターたちの曲にはどこか童謡に通じるニュアンスを感じさせるものがあるのだけれど。本曲などもロイ・ウッド版のそれ。1975年にリリースされたナンバーだ。
12. グリーン・グラス・ウィンドウズ/ロイ・ウッズ・ヘリコプターズ

1980年代に入ると、ロイ・ウッドは“ヘリコプターズ”なるバンド名義での活動を開始。まあ、これもいつもの通り、実質的にはロイ・ウッドのソロ・プロジェクトのようなものだった。本曲は「…クリスマス・エヴリデイ」同様、子供たちのコーラスを従えたキャッチーなナンバー。1981年の作品だ。

解説:萩原健太

ROLLYさんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第162回 萩原健太のotonanoラジオ#44

2020/08/04 公開

ROLLYさんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

ROLLYさんをゲストに迎えて(その1)

1.

SCANCH

ROLLY HORROR SHOW

『OPERA』 1993年

ROLLYさんをゲストに迎えて(その1)

2.

SCANCH

恋のロマンティック・ブギ

『恋のロマンティック大爆撃』 1991年

ROLLYさんをゲストに迎えて(その1)

3.

SCANCH

ウルトラ ロケットマン

『恋のウルトラ大作戦』1990年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#44

『検証! パクリこそが文化を発展!!』

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1. ウォッチ・ユア・ステップ / ボビー・パーカー

ローリーを迎えてトークというと、やはり避けて通れないテーマが“パクリ”(笑)。ということで、プレイリストのほうもパクリものでいきましょう。パクリこそが文化を発展させてきた、ということを証明するためのプレイリスト。古今のビッグ・アーティストたちがどのように先人の残した試行錯誤を自分なりに消化しながら新たな可能性へとつなげてきたのか。最初の例はR&Bシンガー/ギタリストのボビー・パーカーが1961年に放った小ヒット「ウォッチ・ユア・ステップ」。レイ・チャールズの「ホワッド・アイ・セイ」やオーティス・ラッシュの「オール・ユア・ラヴ」のようなタイプの、マンボ・ビートを採り入れたR&Bの流れにある楽曲だが。これをパクっといっちゃったのが…。
2. アイ・フィール・ファイン / ビートルズ

そう。ビートルズです。ジョン・レノンはボビー・パーカーの「ウォッチ・ユア・ステップ」が大好きだったようで、ギターのリフとか、ドラムのパターンとか、ほとんどそのままパックリやらかしつつ1964年の本ヒットにつなげました。ビートルズは同じ「ウォッチ・ユア・ステップ」の影響を「デイ・トリッパー」にも取り入れております。一粒で二度美味しいってやつです。
3. エイント・ザット・ジャスト・ライク・ア・ウーマン / ルイ・ジョーダン

続いては1940〜50年代、自らのバンド、ティンパニー・ファイヴを率いて全盛期を築いたジャンプ・ブルースの王者、ルイ・ジョーダンの音源。1946年のヒット曲だ。注目すべきはイントロ。カール・ホーガンというギタリストが演奏するこのイントロのフレーズをちゃっかり拝借しながら1950年代に黄金時代を築いたのが…。
4. ジョニー・B・グッド / チャック・ベリー

この人、チャック・ベリー。1958年の大ヒットである「ジョニー・B・グッド」をはじめ、このイントロが聞こえるだけで、あー、ロックンロールだなぁ、と。そんな気分になれる。おかげで、ベリーさん、もしイントロに著作権があったら世界一の大金持ちになっていたはず、とも言われているけれど。いやいや、この有名なロックンロール・ギター・イントロにも元ネタがあった、と。そういうことです。
5. ビー・マイ・ベイビー / ロネッツ

名手、ハル・ブレインの強烈なドラム・イントロでおなじみのキュートなロックンロール・チューン。1963年に全米2位にランクした特大ヒットだ。大編成のセッション・ミュージシャン陣を一気にスタジオに詰め込み、同時に演奏させることで圧倒的な“音の壁”を作り上げてしまう奇才プロデューサー、フィル・スペクターの手腕が存分に発揮された名曲。この曲に影響され、自分でもこういうことをやりたい! とばかり、パクったアーティストはそれこそ無数にいるのだけれど、そんな中で生まれた大傑作曲のひとつが…。
6. ドント・ウォリー・ベイビー / ビーチ・ボーイズ

1964年にヒットしたこのビーチ・ボーイズのナンバー。中心メンバー、ブライアン・ウィルソンの最高傑作のひとつだ。大編成のミュージシャン群を駆使しながらフィル・スペクターが作り上げた“音の壁”を表層的に模倣するのではなく、むしろスペクターとは正反対の簡素なコンボ演奏に乗せて、豊かなふくらみを持ったコーラスで音像をバックアップしているところがなんとも素晴らしい。理想的なパクリというか、オマージュというか。その好例かも。
7. トーラス / スピリット

続いては裁判にもなったパクリ疑惑の例。まずは1968年、アメリカのサイケデリック系バンド、スピリットが彼らのファースト・アルバムに収めてリリースしたこのインスト曲。当時、一緒にツアーしていたことがあるイギリスのバンドにパクられたという疑惑がメンバーの遺族から提示され、2014年になって裁判が起こされたのでありました。訴えられたのは…。
8. 天国への階段 / レッド・ツェッペリン

レッド・ツェッペリンのジミー・ペイジだ。裁判でペイジさんは、「そんな曲、聞いたこともねーよ」と主張。しかし実はペイジさんのレコード棚に、いつ、どこで入手したかはわからないものの、スピリットのファースト・アルバムは存在していたそうで(笑)。ちょっと笑える。とはいえ、そんなに似ているわけでもないだろうと陪審員が判断。最終的には無罪となったそうです。当たり前。もしパクリだったとしても、もともとパクリは罪じゃないんだから。
9. いつの日か君に / ビング・クロスビー

1932年の美しいヒット。“彼女のゴールドの髪がブルーの瞳にかかる/やさしく、まるで天使の輪のように/彼女に会えたらそれだけでどれほど幸せだろう/夜のブルーが昼のゴールドと出会う場所で誰かがぼくを待っている”という歌詞のラヴ・ソングなのだけれど、この素敵なメロディをパクッといただきつつ、新たな世界観を提示してみせたのが…。
10. ホエン・ザ・ディール・ゴーズ・ダウン / ボブ・ディラン

ボブ・ディラン。2006年のアルバム『モダン・タイムズ』の収録曲だ。イントロのフレーズも歌メロもまるっきりおんなじ。が、ディランはそこに、人間の一生などはるかに超えた太古からの時間軸を設定し、聖書の黙示録に綴られたイメージなども二重写しにした歌詞を新たに乗せる。それによって、確かに美しくはあるけれど、単にぼんやりとロマンチックなだけだった原曲の旋律をより深遠なものに仕立て上げてしまったのでした。恐るべし、ノーベルさん。
11. デライラ / センセイショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンド

続いては、もともとトム・ジョーンズが1968年に放ったこのヒット曲を。今回はセンセイショナル・アレックス・ハーヴェイ・バンドが1975年にカヴァーしてリバイバル・ヒットさせたほうのロックっぽいライヴ・ヴァージョンでお届けしますが。こいつをまるっとパクリやがったのが…。
12. フローラ / すかんち

もちろん、この人。ローリーでしたー。いやー、パクリは楽しい。というわけで、最後にイギリスの詩人、T.S.エリオットの箴言を引用しておきましょう。曰く、「未熟な詩人はまねるが、熟練した詩人は盗む。無能な詩人は盗んだものを壊すが、有能な詩人はより優れたもの、少なくとも違うものへと変える。つまるところ、有能な詩人は、盗んだものを盗む前とはまったく異なる、独特な雰囲気に変えてしまうのだ」

解説:萩原健太

ROLLYさんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第161回 萩原健太のotonanoラジオ#43

2020/07/28 公開

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

1.

CRAZY KEN BAND

何もいらない

『PACIFIC』 2019年

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

2.

CRAZY KEN BAND

タイガー & ドラゴン

『SOUL PUNCH』 2005年

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

3.

CRAZY KEN BAND

せつ子

『GOING TO A GO-GO』 2018年

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

4.

CRAZY KEN BAND

だから言ったでしょ

「Ivory EP」 2020年6月24日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#43

『彼女の名前は……』

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1. ヴェロニカ / エルヴィス・コステロ

今週のプレイリストは、番組でもオンエアしたCKBの名曲「せつ子」にちなんで、女性の名前がついた曲の特集です。それも、まさに「せつ子」のように、ずばり名前だけがタイトルになっている曲ばかり。洋楽中心にお届けします。てことで、まずはエルヴィス・コステロがポール・マッカートニーとタッグを組んだ1989年の共作曲から。コステロのおばあちゃんのことを思いながら作った曲だとか。
2. ローラ / ビリー・ジョエル

1982年のアルバム『ナイロン・カーテン』より。真夜中に電話をかけてくるちょっと迷惑な女性のことを歌った曲で、ジョエルさんはもともと特定の名前をつけたくはなかったのだとか。でも、“サムワン”という歌詞じゃうまく歌えず、“ローラ”にしてみたら語呂がうまくいったらしい。というわけで、これは架空の女性の名前。
3. セシリア / サイモン&ガーファンクル

“いとしのセシリア”という邦題が付けられていた。1970年の名盤『明日に架ける橋』の収録曲。ホーム・パーティをしながらみんなでわいわい録音したプライベート音源をもとに制作され、シングルとしても大ヒットした。聖セシリアのことだと解釈する人もいれば、主人公が顔を洗っている間に他の男とベッドインしてしまった恋人のことだと解釈する人も。後者のほうが断然面白いっすね。
4. サリー / グランド・ファンク・レイルロード

ハード・ロックとソウル・ミュージックの要素が交錯するデトロイト・ロックの伝統を受け継ぐパワフルなサウンドで大当たりをとったグランド・ファンク・レイルロードによる1976年作品。10作目のスタジオ・アルバム『驚異の暴走列車』からのシングル・カット曲として地味にヒットした。
5. ロージー / ジョン・メイヤー

2017年のアルバム『ザ・サーチ・フォー・エヴリシング』の収録曲。ロージーは昔の恋人。酔っ払って彼女の家の前までやってきて、ドアを開けてくれよー、昔を思い出してくれよー…と懇願する悲しい男の姿が歌われる。ああ、男って、男って…。
6. ジョアンナ / クール&ザ・ギャング

先週も話題にのぼったクルギャン。先週は初期のインスト曲「サマー・マッドネス」をセレクトしましたが、今週はリード・シンガーとしてジェイムス“JT”テイラーが加入した後、1983年にぐっとアダルトなサウンド・アプローチで放った名曲を。ワム!の「ラスト・クリスマス」の元ネタとしてもおなじみの1曲だ。
7. ロニー / フォー・シーズンズ

フォー・シーズンズといえば、デビュー曲にして特大ヒットを記録した「シェリー」をはじめ、「キャンディ・ガール」「マーリーナ」など、女の子の名前をタイトルに据えたレパートリーが多いのだけれど。これもそのひとつ。1964年のヒットだ。
8. エレノア / タートルズ

タートルズの代表曲というと「ハッピー・トゥゲザー」ということになるのだろうけど。その曲の二番煎じのようにしてリリースされ、1968年にヒットしたこっちの曲のほうが断然ぼくは好き。「ハッピー・トゥゲザー」のほうはずっと短調の曲なのだけれど、こちらはマイナーで始まってサビでメジャーに展開する。そこがね、ぐっときます。
9. ベル / アル・グリーン

1970年代半ば、当時のガールフレンドとの間に起こった不幸な事件をきっかけに牧師の道に進んだアル・グリーン。そんな時期、1977年にリリースしたアルバム『ザ・ベル・アルバム』からのシングル・カット曲がこれだ。邦題は「愛しのベル」。なんでもかんでも“いとしの”を付ければいいって感じ? 神様を知った喜びと、それによってもたらされた安らぎについて、人生のパートナーである女性、ベルに語りかける大きな愛の歌です。
10. ロザリータ / ブルース・スプリングスティーン

1973年のセカンド・アルバム『青春の叫び』の収録曲。Eストリート・バンドとの初期コンサートでメンバー紹介などを交えて繰り広げられる長尺演奏でおなじみだった名曲だ。中盤に出てくる“俺、知ってるよ。君のママは俺のことが嫌いなんだろ? だって、俺はロックンロール・バンドで演奏しているから…”という歌詞を受けて、“でも、ロージー、安心してくれ。レコード会社がすげえ前払い金をくれたんだぜっ!”と展開するチンピラっぽい感触が大好きです(笑)。
11. ナンシー / フランク・シナトラ

もともとは偉大な作曲家、ジミー・ヴァン・ヒューゼンがよく共作していた作詞家のジョニー・バークの奥さん、ベッシーのために書いたプライベートな曲だった。それをフランク・シナトラの娘、ナンシーの誕生パーティが催された際、歌詞を“ベッシー”から“ナンシー”に変えて披露したところ、シナトラがナンシーのために書き下ろしてくれた曲だと勘違いして大感激。自らレコーディングして1944年にリリースしたという、なんとも奇妙な成り立ちの名曲です。
12. OH! LANGFANG / クレイジーケンバンド

そして最後はもちろんCKBで。今週オンエアした「何もいらない」にも一瞬だけ登場してくる、イギリス生まれの満州育ち、イギリス国籍の中国人の父親と日本人の母親の間に生まれた超エキゾチックな女優さん、応蘭芳(おう・らんふぁん)のことを歌った初期傑作曲でこの女性の名前ソング特集を締めくくりましょう。1999年のアルバム『goldfish bowl』より。

解説:萩原健太

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第160回 萩原健太のotonanoラジオ#42

2020/07/21 公開

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その1)

1.

CRAZY KEN BAND

IVORY

「Ivory EP」 2020年6月24日発売

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その1)

2.

CRAZY KEN BAND

ハワイの夜

『goldfsh bowl』 1999年

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その1)

3.

CRAZY KEN BAND

夢の夢

「Ivory EP」 2020年6月24日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#42

『CKB「IVORY」と一緒に聞きたい夏向けのソウル~フュージョン』

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1. サマー・マッドネス / クール&ザ・ギャング

クレイジーケンバンドの横山剣さんとのお話にインスパイアされたプレイリスト。今回は“アダルトな夏”のムードを満載した新曲「IVORY」とともに聞きたい、夏向きのソウル〜フュージョン音楽の特集です。全部ではないけれど、主に1970年代のものからピックアップ。まずは剣さんとの話でも名前のあがった初期クール&ザ・ギャングの曲から。インストゥルメンタルながら、1974年に全米トップ40入りしたヒット・シングル。アナログ・シンセの響きが暑い夏のムードを演出します。
2. ホット・ファン・イン・ザ・サマータイム / スライ&ザ・ファミリー・ストーン

スライ&ザ・ファミリー・ストーンの名前を一躍有名にしたのが伝説のウッドストック・フェスでの熱いライヴ・パフォーマンス。このフェスが行なわれた1969年は彼らがもっともポジティヴに輝いた年だった。「シング・ア・シンプル・ソング」「スタンド!」「エヴリデイ・ピープル」「アイ・ウォント・トゥ・テイク・ユー・ハイヤー」など、音楽ジャンルの枠組みも、思想も、人種の壁も、すべて一気に飛び越えるコンセプトのもと、彼らは強力なヒット曲を連発していた。ドゥーワップ以降のヴォーカル・グループの美学をスライなりに展開した本曲もその年、全米2位に輝いた大ヒットです。
3. サマー・ソング / グローヴァー・ワシントン・Jr.

クワイエット・ストーム〜スムース・ジャズの父、とも言われるジャズ/フュージョン・サックス・プレイヤー、クローヴァー・ワシントン・ジュニア。ビル・ウィザーズと組んだ1982年の特大ヒット「ジャスト・ザ・トゥー・オヴ・アス」でもおなじみだが、この曲は1977年、CTI/Kuduレコードのトップ・スターとして活躍していた時期にリリースしたアルバム『ライヴ・アット・ザ・ビジュー』の収録曲だ。
4. サマー / ウォー

ラテン、ソウル、ファンク、R&B、スカ、ジャズ、ロック、レゲエなど幅広いジャンルの音楽要素をすべて呑み込んでグルーヴする強烈な大所帯バンド、ウォーが1976年に放った全米トップ10ヒット。メキシコの空気感も交じり合うイースト・ロサンゼルスあたりの夏のムードを存分にたたえた名曲です。
5. サマー・ラヴ / ブラックバーズ

ブラックバーズは、ジャズ・トランペッターの大御所ドナルド・バードが世に送り出したバンド。バードがハワード大学で音楽を教えていたときの教え子たちによって結成されて1973年から1981年にかけて10曲以上のR&Bヒットを放っている。本曲は1974年の作品。やはりハワード大学時代のバードの門下生、フォンス&ラリーのミゼル兄弟のプロデュース・ワークも絶妙だ。
6. 今はひとりぼっち / スティーヴィー・ワンダー

原題は“Summer Soft”。スティーヴィー・ワンダーのクリエイティヴィティの絶頂を記録した1976年の超名盤『キー・オブ・ライフ』の収録曲だ。「回想(I Wish)」「愛するデューク(Sir Duke)」「アナザー・スター」「永遠の誓い(As)」といったヒット・シングルのほか、「可愛いアイシャ(Isn't She Lovely)」など名曲ぞろいのアルバムの中で比較的地味な存在ではあるが、それでもこんなにいい曲なのだから。当時のスティーヴィーのイケイケぶりはすごかった。
7. サマータイム / DJジャジー・ジェフ&ザ・フレッシュ・プリンス

ウィル・スミスが“フレッシュ・プリンス”と名乗ってばりばりラップしていた時期、1991年に放った大ヒット・ヒップホップ・シングル。本プレイリストの1曲目、クール&ザ・ギャングの「サマー・マッドネス」をサンプリングしていることでも話題を呼んだ。
8. イッツ・サマー / ザ・テンプテーションズ

メンバー・チェンジが激しかったことでもおなじみのテンプテーションズ。この曲は初期の中心メンバー、デヴィッド・ラフィンもエディ・ケンドリックスも脱退してしまった後、デニス・エドワーズがリード・ヴォーカルをとっていた時期、1972年の作品。オリジナル・メンバーのひとり、ポール・ウィリアムスにとっても最後の参加曲となった。新たなスタイルを模索している時代の隠れた名曲のひとつだ。プロデュースはノーマン・ホウィットフィールド。バッキングはもちろんファンク・ブラザーズ。
9. サマー・ナイツ / ロニー・リストン・スミス&ザ・コズミック・エコーズ

1970年代クロスオーヴァー/フュージョン・シーンを代表するキーボード奏者、ロニー・リストン・スミスの1975年のアルバム『ヴィジョンズ・オブ・ア・ニュー・ワールド』の収録曲。同アルバムに収められていた「チャンス・フォー・ピース」や「ラヴ・ビームズ」と並んで今なおクラブ・シーンのマスターピースとして聞かれ続けている。
10. ホット・パンツ・イン・ザ・サマータイム / ドラマティックス

R&Bの名門レーベル、スタックスを代表するヴォーカル・グループ、ドラマティックスが1971年に放った傑作アルバム『ホワッチャ・シー・イズ・ホワッチャ・ゲット』の収録曲。大ヒット・シングルとなったアルバム表題曲同様、メンバーたちのスリリングな掛け合いヴォーカルがむちゃくちゃかっこいい。
11. エヴリバディ・ラヴズ・ザ・サンシャイン / ロイ・エアーズ・ユビキタス

これはタイトルに“サマー”は入っていないけれど、この季節に聞くには絶好のフュージョン・チューン。ジャズ・シーンきっての名ヴィブラフォン奏者、ロイ・エアーズが、自身のバンドを率いて1976年に発表した傑作アルバムの表題曲だ。
12. サマータイム / サム・クック

で、ソウルフルなサマー・ソング特集。ラストはルーツ的な偉人の歌声で締めます。曲は1920年代から30年代にかけて、ジャズとクラシック両ジャンルで重要な活動を残した作曲家、ジョージ・ガーシュインの作品。黒人を主人公に据えた35年のオペラ『ポーギーとベス』の冒頭で歌われる子守唄として作られた名曲だ。36年にビリー・ホリデイの歌で全米12位にランクしたのを皮切りに、ジャズのマイルス・デイヴィスからロックのジャニス・ジョプリンまで幅広い分野でカヴァーされ続けてきた。今回はソウル・ミュージックの始祖のひとり、サム・クックのヴォーカルで。彼の名を一躍有名にした1957年の大ヒット「ユー・センド・ミー」のシングルB面に収められていたものだ。

解説:萩原健太

横山剣(クレイジーケンバンド)さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第159回 萩原健太のotonanoラジオ#41

2020/07/14 公開

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その2)

1.

渡辺真知子

Play Map

『明日へ』2020年7月8日発売

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その2)

2.

渡辺真知子

ブルー

『明日へ』2020年7月8日発売

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その2)

3.

渡辺真知子

かもめが飛んだ日

『明日へ』2020年7月8日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#41

『リメイクよ、熱く音楽を語れ』

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1. 唇よ、熱く君を語れ2020(『明日へ』ヴァージョン) / 渡辺 真知子

ゲストにお招きした渡辺真知子さんが新作『明日へ』で、過去のレパートリーを新アレンジでリニューアルなさっていることに触発されて、その手の、アップグレード系再演ヴァージョンってやつを集めてみました。まずは先週、番組でもオンエアした真知子さんの曲から。1980年の大ヒットを一人多重録音アカペラ・コーラスで再演した最新ヴァージョンです。
2. アイ・ソー・ザ・ライト(『ウィズ・ア・トゥイスト』ヴァージョン) / トッド・ラングレン

こちらも先週のプレイリストでも選んだトッド・ラングレン。この人も自身の曲を、なんとボサノバ・アレンジで再演するというアルバム『ウィズ・ア・トゥイスト』ってやつを1997年にリリースしてます。その中から1972年の大ヒット曲のリニューアル・ヴァージョンを。
3. トラブル・フィッシュ(『K2C』ヴァージョン) / 米米CLUB

今秋は洋邦1曲ずつ代わりばんこに選曲してます。てことで、次は邦楽。米米、いきます。1986年のアルバム『E・B・I・S』で発表していた初期レパートリーを、5年後の1991年、アルバム『K2C』で再演。ちょっとアダルトに成長したところを見せつけております。
4. ミスター・ブルー・スカイ(2012 Version) / エレクトリック・ライト・オーケストラ

ELOことエレクトリック・ライト・オーケストラの中心メンバー、ジェフ・リンが2012年、ソロ名義でのフル・アルバム『ロング・ウェイヴ』とともに突然リリースしたELOの代表曲の再録音ベスト『ミスター・ブルー・スカイ』より。オリジナルは1977年のナンバーだけれども、ほぼオリジナルそのままの仕上がり。結局、当時からELOはジェフ・リンひとりのポップ・ユニットだったことを世紀を超えて証明するみたいなヴァージョンです。
5. 機関車(『HORO 2010』ヴァージョン) / 小坂 忠

小坂忠の『ほうろう』といえば、細野晴臣、鈴木茂、松任谷正隆、林立夫ら“ティンパン・アレイ”の面々をバックに1975年に制作された傑作アルバム。で、2010年になってから、そのオリジナル・マルチ・テープに記録された音源をすべてハードディスクへと転送し、最新技術を駆使しながら音質を磨き上げ、タイミングのずれや音程のミスを修正し、ミックス・バランスを再構築した演奏をバックに、現在の小坂忠がヴォーカル・トラックをすべて新たに録り直した画期的なリメイク・アルバムが『HORO 2010』でした。ということで、そこからこの必殺のナンバーを。
6. ワイルド・ホーシズ(『ストリップト』ヴァージョン) / ザ・ローリング・ストーンズ

1995年、ローリング・ストーンズが2度目の来日を果たした際、来日ツアーがスタートする直前、急遽、当時溜池にあった東芝EMIのビルの7階にあった同社の第3スタジオに入って往年のレパートリーをアコースティック・アレンジで再演した、いわゆる“トーキョー・セッション”というのが行なわれて。その一部がアルバム『ストリップド』に収められて世に出た。そこから1971年のアルバム『スティッキー・フィンガーズ』収録曲のリニューアル・ヴァージョンを。
7. 愛の中へ(『LOOKING BACK 2』ヴァージョン) / 小田和正

小田和正は自身がかつて在籍したオフコース時代のレパートリーなどをリメイクする“ルッキング・バック”シリーズのCDを2作リリースしていますが。2001年に出たその2作目のほうから1曲。1981年にリリースされたオフコースの傑作アルバム『over』の収録曲をぐっとコンテンポラリーなアレンジで聞かせている。
8. ラヴ・レターズ(『ラヴ・レター・フロム・エルヴィス』ヴァージョン) / エルヴィス・プレスリー

この曲はもともと1945年の同名映画の主題歌。ヴィクター・ヤング作の名スタンダードですが、エルヴィスは1962年に女性シンガー、ケティ・レスターがリヴァイヴァル・ヒットさせたヴァージョンを下敷きに、まず1966年にカヴァー。全米19位にランクさせて。それを1970年、さらに成長した歌声で再演したのが本ヴァージョン。1966年のヴァージョンと比べて、ぐっと太さと渋みを増したエルヴィスの歌声が聞き物です。
9. CHOO CHOO GATTA GOT '75(『キャラメル・ママ』ヴァージョン) / ティン・パン・アレー

小坂忠さんのところで名前が挙がった細野晴臣さん。1973年にリリースしたファースト・ソロ・アルバム『HOSONO HOUSE』に収めて世に出した曲を、その後、1975年に前出“ティンパン・アレイ”名義で制作したアルバム『キャラメル・ママ』で再演した。それが本ヴァージョン。ぐっとグルーヴがタイトになった最強ヴァージョンだ。コーラスに山下達郎や大貫妙子も参加している。
10. 悲しき慕情(スロー・ヴァージョン) / ニール・セダカ

この「悲しき慕情(Breaking Up Is Hard To Do)」という曲は、もともと1962年に全米1位に輝いたニール・セダカの自作自演ヒット。それを1975年、バラード・ヴァージョンへとリメイクして再びシングル・リリースし、全米8位にランクさせた。ということで、その新ヴァージョンを。冒頭にちょこっと60年代ヴァージョンのイントロがくっついている。
11. SWEET MEMORIES (甘い記憶) / 松田聖子

ご存じ1983年の名曲のリメイク盤。2018年にリリースされた大村雅朗トリビュート作品の制作過程で、当時の「SWEET MEMORIES」のマスター・テープのケースから、作詞を手がけた松本隆自筆による全編日本語で書かれた歌詞が発見されて。それをきっかけに、聖子さんのデビュー40周年を祝う初の全編日本語詞のリアレンジ・ヴァージョンが完成した、と。その新ヴァージョンです。
12. 犬を連れたルネとジョルジェット(『イン・ザ・ブルー・ライト』ヴァージョン) / ポール・サイモン

過去に発表したオリジナル・アルバム群からポール・サイモン本人がお気に入りの——にもかかわらず、当初の仕上がりに今ひとつ自信が持てなかった曲、あるいは、一般的にあまり評価されずじまいに終わっている曲など10曲をピックアップして、刺激的な共演者たちとともに新たな解釈の下、再演した2018年のアルバム『イン・ザ・ブルー・ライト』より。オリジナルは1983年のアルバム『ハーツ・アンド・ボーンズ』の収録曲。それをニューヨークを拠点に意識的な活動を続ける室内楽セクステット“yMusic”との共演で。

解説:萩原健太

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第158回 萩原健太のotonanoラジオ#40

2020/07/07 公開

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その1)

1.

渡辺真知子

明日へ

『明日へ』2020年7月8日発売

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その1)

2.

渡辺真知子

唇よ、熱く君を語れ 2020

『明日へ』2020年7月8日発売

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その1)

3.

渡辺真知子

Here's To Life

『明日へ』2020年7月8日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#40

『ソー・マッチ・イン・洋楽アカペラ』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. マイティ・ラヴ / トッド・ラングレン

渡辺真知子さんが新作で挑んだ一人アカペラに触発されて、今回のプレイリストは洋楽のアカペラものです。真知子さんのような一人多重録音のものは少なめで、基本的には何人かが集まって声を合わせた本来のコーラスもの中心の選曲ですが、ノッケは強力な一人多重録音もの。奇才トッド・ラングレンが自分の声をこれでもかと重ねて、楽器の音色などもエミュレートしながら作り上げた1985年の傑作アルバム『アカペラ』から、R&Bグループ、スピナーズのヒットをカヴァーしたこのヴァージョンを。
2. キャント・スリープ・ラヴ / ペンタトニックス

2011年にデビューして以来、アカペラ・コーラス・シーンのトップを激走し続けるペンタトニックス。5人のメンバーそれぞれの歌唱力も最強。アレンジもごきげん。ボイパも完璧。ヴィジュアル的にもキャチー。この人たちの「ボヘミアン・ラプソディ」聞いたときはぶっとびました。本曲は、そんな彼らが2015年にリリースしたシングル・ナンバー。
3. ソー・マッチ・イン・ラヴ / オール・フォー・ワン

もともとはフィラデルフィアのR&Bヴォーカル・グループ、ザ・タイムスが1963年にヒットさせた名曲。日本ではCMにも使われたティモシー・B・シュミットのカヴァー盤がおなじみかも。かつてヒューイ・ルイス&ザ・ニュースが来日してテレビ番組に出演した際、いきなりアカペラでこの曲を披露したことがあり、それをきっかけにアカペラの定番曲として日本の音楽ファンの間に浸透した。今回はR&Bグループ、オール・フォー・ワンが1994年にリリースしたファースト・アルバムでカヴァーしていたアカペラ・ヴァージョンで。
4. ゴールド・マイン / TAKE6

アカペラの最高峰的な存在としては、やっぱりこの人たち。1988年にデビュー以来、6回もグラミー賞を獲得している超実力派グループだ。本曲は彼らのファースト・アルバムの収録曲。ジャズやゴスペルの要素を色濃くたたえた個性が存分に発揮されている。その昔、ぼくが司会を担当していたテレビ番組にゲスト出演してもらったとき、お昼の収録だったんだけど、1曲くらい軽く歌ってくれるかなと思って頼んでみたら、「午後5時より前は、喉を休めるために歌わないようにしているんだ」と断られちゃいました(笑)。すみませんでした。
5. アップ・ザ・ラダー・トゥ・ザ・ルーフ / ザ・ナイロンズ

それに対して、この人たちはいくらでも歌ってくれたなー(笑)。1978年に結成されたカナダのナイロンズ。様々なジャンルのレパートリーをアイデア豊かなアレンジでアカペラ化して聞かせてくれるサービス精神旺盛なヴォーカル・グループだ。山下達郎の“オン・ザ・ストリート・コーナー”シリーズが大好きだとも語ってくれたものだ。本曲は1982年のナンバー。
6. クレア / ザ・シンガーズ・アンリミテッド

フォー・フレッシュメンとともにジャズ・コーラス・グループの代表格に数えられるハイ・ローズの元メンバーだったジーン・ピュアリングが1967年に結成したヴォーカル・グループ。基本的にはジャズのスタンダード・ナンバーを取り上げることが多いが、ビートルズをはじめポップ・ソングに挑むこともある。1975年にリリースされたアルバム『アカペラ2』の冒頭に収められていた本曲は、ご存じ、ギルバート・オサリヴァンによる1972年のポップ・ヒットだ。
7. イッツ・ア・ラヴリー・デイ・トゥデイ / スイングル・シンガーズ

バッハやモーツァルトなどのクラシック曲をジャジーなアレンジに乗せてスキャット・コーラスで聞かせることで大当たりをとったスウィングル・シンガーズ。1962年にフランスで結成されて以来、メンバーを入れ替えたり、グループ名を変えたりしながら活動を続けている。本曲はアメリカを代表する偉大な作曲家、アーヴィング・バーリンの生誕100年を祝って1988年にリリースされたアルバム『ナッシング・バット・ブルー・スカイズ』からの1曲。
8. スリップ・スライディング・アウェイ / ザ・パースエーションズ

ニューヨークのブルックリン出身のアカペラ・ヴォーカル・グループ。楽器を買えない貧しい若者たちが街のストリートや地下鉄駅で声だけを武器に作り上げたドゥーワップの美学をきっちり継承する頼もしい男たちだ。今回は、そんなニューヨークのストリート・ミュージックのことが同じく大好きだったポール・サイモンが作ったこのゴスペル調の曲を。1984年のアルバム『ノー・フリルズ』より。
9. ザ・ウェフェアリング・ストレンジャー / アニタ・カー・クァルテット

アニタ・カーは、パッツィ・クライン、パット・ブーン、ロイ・オービソン、ジョニー・キャッシュ、ブレンダ・リーらに素晴らしいバック・コーラスを提供したナッシュヴィル系の編曲家/歌手。彼女を中心に結成されたアニタ・カー・カルテットが1966年にリリースしたゴスペル・アルバム『ア・サンデー・セレナーデ』からのナンバーだ。
10. ワン・フォー・ザ・ボーイズ / ブライアン・ウィルソン

コーラス・ハーモニーを積み上げる才能にかけては天才的なブライアン・ウィルソン。ご存じビーチ・ボーイズの中心メンバーだが。彼が1988年にリリースした初ソロ・アルバム『ブライアン・ウィルソン』より、一人多重録音アカペラによるこの曲を。歌詞はないのにいろいろなドラマが浮かんでくる素晴らしいハーモニーを堪能できる。
11. ゴッド・オンリー・ノウズ / マンハッタン・トランスファー

そんなブライアンがビーチ・ボーイズ名義で作り上げた1966年に大傑作アルバム『ペット・サウンズ』からの曲を、鉄壁のハーモニー・ワークでジャンルを超えた活躍を続けるマンハッタン・トランスファーの歌声で。1994年のアルバム『トーニン』より。
12. ストーリー・アントールド / ザ・ナツメッグズ

と、いろいろなパターンのアカペラ・コーラスを聞いてきましたが。ぼくが個人的にいちばん好きなのは、ボイパとか、近年よくアカペラで使われがちな“飛び道具”にいっさい頼らない、ごく普通の歌声だけで積み重ねられたドゥーワップ・コーラス。ということで、今回のプレイリストのラストはそういう超シンプルなアカペラ・ドゥーワップで締めます。ナツメッグスが1955年に放ったドゥーワップ・ヒットを、自ら、1976年にアカペラで再録音したヴァージョンです。シンプルゆえ、泣けます。やっぱ、人間の声こそ最高の楽器です。

解説:萩原健太

渡辺真知子さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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