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第175回 萩原健太のotonanoラジオ#57

2020/11/03 公開

佐々木洋さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

今週のオンエア曲

佐々木洋さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

1.

アース・ウインド&ファイアー

ブラジルの余韻(エクステンデッド・ヴァージョン)

『ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』
2020年9月23日発売

佐々木洋さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

2.

ケニー・ロギンス with スティーヴィー・ニックス

二人の誓い

『ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』
2020年10月21日発売

佐々木洋さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

3.

REOスピードワゴン

涙のレター

『ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』
2020年10月21日発売

佐々木洋さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

4.

ワム!

恋のかけひき

『ジャパニーズ・シングル・コレクション -グレイテスト・ヒッツ-』
2020年11月11日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#57

『アナログ・シングル全盛時代発!“シングル・エディット・ヴァージョン”集』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. ハートに火をつけて / ドアーズ

番組でも話した通り、ぼくはアナログ・7インチ・シングル、いわゆる“ドーナツ盤”というのが大好きだ。A面とB面、表もあれば裏もある…という二面性がたまらない。さらに片面3〜4分しか収録できないという限界性も、むしろコンパクトであることが大きな美学のひとつでもあるポップ・ミュージックにとっては最適。ということで、今回はアナログ・シングル全盛時代に生まれた様々な“シングル・エディット・ヴァージョン”を集めてみた。まずは全長7分くらいのアルバム・ヴァージョンを3分以内に短くエディットして、さらにアルバムではキーボードが左手で弾いていたベース・パートに本物のベースをダビングして…という乱暴な編集がほどこされた1967年のこの曲から。アルバム・ヴァージョンのハイライトともなっている長尺ギター・ソロがあえなくばっさりカットされております。
2. 長い夜 / シカゴ

シカゴもシングル・エディットの常連組。1970年の大ヒット曲である本曲も、アルバムでは4分50秒。その強力なギター・ソロをつまんでシングルでは2分53秒に短縮されていた。
3. しあわせの予感 / ウイングス

ポール・マッカートニー&ウイングスが1978年にリリースしたシングル。市販されたシングルにはアルバムと同じ5分45秒のフル・ヴァージョンが収められていたのだが、当時、アメリカのラジオ局では4分以内の曲しかかけられないというルールがあったため、3分13秒へと短縮したラジオ局向けのエディット・ヴァージョンが用意された。今回はそのショート・ヴァージョンを。
4. アイム・ノット・イン・ラヴ / 10cc

1975年の大ヒット。初期は特にプログレ的な志向性も強く打ち出していた10ccだけに、ドラマチックな構成を持つ組曲的な作品も多かった。この曲もアルバムでは6分超。日本やヨーロッパではそのままシングル化されたが、あまり長いとラジオでかけてもらえない北米では4分弱の短縮ヴァージョンが作られた。けっこう雑に大サビが半分にぶったぎられていたり、これでいいのか? という仕上がりが、シングル・エディット・マニアとしてはむしろ愛おしい(笑)。
5. キープ・ミー・ハンギン・オン / ヴァニラ・ファッジ

10ccの雑なシングル・エディットに対し、こちらはもう芸術的なシングル・エディット・ヴァージョンだと個人的には思っている。1967年、サイケデリック・ブルー・アイド・ソウル・バンド、ヴァニラ・ファッジがスプリームスのR&Bヒットをカヴァーしたこの曲。アルバムでは7分に及ぶ組曲形式になっていたけれど、シングルではイントロを短縮し、ヒラ歌を半分にし、ブリッジ部を切り刻み…雑に間奏だけばっさり切るとか、そういうことせずに、あの手この手で見事3分以内のコンパクトなヴァージョンを生み出した。この曲に関してはこっちのシングル・ヴァージョンのほうが完成度が高いのでは?
6. マイ・エヴァー・チェンジング・ムーズ / ザ・スタイル・カウンシル

1984年のナンバー。これはシングル・エディットというわけではないのだけれど。これがまず最初にリリースされた7インチ・シングル・ヴァージョン。で、これに続いて12インチ・シングルによるロング・ヴァージョンが出て。さらに、アルバム『カフェ・ブリュ』にはピアノとヴォーカルのみで綴られた別録音のアルバム・ヴァージョンが収められた、と。いろいろヴァージョンがある中で、やっぱこの7インチ・ヴァージョンがいちばんポップでコンパクトでかっこいいと思います。
7. ラウンダバウト / イエス

1971年から72年にかけてのヒット。この当時、ロック・グループの曲がどんどん長くなってきていたこともあり、レコード会社はラジオ対策として必死にシンクル・エディットを作り続けていたわけだけれど。これもそんな風潮の中で生まれた珍エディット。基本的にはイントロと間奏とリフレイン部をテキトーに短くしているのだけれど、プログレ・バンドにとって重要な変拍子とか全然気にしていない感じのエディットにたじろぐ。
8. 偽りの瞳 / イーグルス

1975年のヒット。先述した通り、当時アメリカのAM局では4分以上の曲はかからないというルールがあったので、2番をまるごとカットしてシングル・カットしたものの、どうしても4分を切れず、実際には4分16秒だったのに、シングルのレーベルには3分58秒とウソを書いて発売した、とんでもない嘘つきソング。さすがはライイン・アイズ(笑)。君は偽りの瞳を隠せない…という歌詞だけれど、このシングル・ヴァージョンこそ偽りだぜ。
9. 庶民のファンファーレ / エマーソン・レイク&パーマー

20世紀アメリカを代表する作曲家コープランドの「市民のためのファンファーレ」をベースに、ポップ・プログレ・トリオ、ELPがロックンロール・アレンジをほどこしたごきげんなインスト曲だ。1977年のアルバム『四部作』の収録曲。アルバム・ヴァージョンは10分弱あったが、シングルはお聞きの通り3分弱。思いきりのよさに泣けてくる。
10. ガダ・ダ・ヴィダ / アイアン・バタフライ

メンバーを次々チェンジしながら現在も活動を続けるベテラン・サイケ/プログレ・バンドが1968年にリリースし、なんと累計3000万枚を売り上げたセカンド・アルバムのタイトル・チューン。アナログ・アルバムではLPの片面すべてを占めていた17分の大作だったが、それをこれまた思いきりよく2分50秒台にエディットしてシングル・カットし、ヒットさせた。
11. スピニング・ホイール / ブラッド・スウェット&ティアーズ

ブラス・ロックの代表選手的バンドが1969年に放った大ヒット。アルバムでは4分ちょいの曲で、実は日本のシングルはこのアルバム・ヴァージョンがそのまま使われていたのだけれど。本国アメリカではそれを2分半ちょいの長さにエディットしたうえで、間奏にアルバムには入っていないギター・ソロをダビングしたヴァージョンがシングルとしてリリースされヒットを記録した。
12. 素顔のままで / ビリー・ジョエル

1977年の大ヒット。アルバム・ヴァージョンは4分47秒だったけれど、シングル・カットするにあたって、2番をばっさりカットし、フェイドアウトを早めて3分36秒に。ぼくは個人的に、展開の早いこっちのショート・ヴァージ

解説:萩原健太

佐々木洋さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第174回 萩原健太のotonanoラジオ#56

2020/10/27 公開

白木哲也さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

今週のオンエア曲

白木哲也さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

1.

ブルース・スプリングスティーン

レター・トゥ・ユー

『レター・トゥ・ユー』 2020年10月23日発売

白木哲也さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

2.

ブルース・スプリングスティーン

ゴースト

『レター・トゥ・ユー』 2020年10月23日発売

白木哲也さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

3.

ブルース・スプリングスティーン

ジェイニー・ニーズ・ア・シューター

『レター・トゥ・ユー』 2020年10月23日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#56

『愛しのボス! 僕の大好きなポップなスプリングスティーン』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. 愛しのシェリー

というわけで、待ちに待ったボス、ブルース・スプリングスティーンの新作アルバム『レター・トゥ・ユー』が出て。毎日こればっかり聞いてますが。その辺の熱い思いは番組でのソニー白木さんとの対話で、あるいはぼくのブログのほうでぶちまけておりますので。今回のプレイリストは、新作だけでなく、これまでのボスの傑作アルバム群の中から、ぼくの好きな曲をダダーッと選んでみました。「ボーン・イン・ザ・U.S.A.」とか「明日なき暴走」とか、超有名どころは各自聞いていただくことにして(笑)。ぼくが好きなポップなスプリングスティーン集。お楽しみください。まずは1980年のアルバム『ザ・リバー』から、この曲でスタート。
2. ザ・タイム・ザット・ネヴァー・ワズ

『ザ・リバー』のオリジナル収録曲に、膨大な未発表音源や秘蔵映像、メイキング映像などを追加して、より多角的な視点からあの名盤の世界を再訪してみせた強力なボックスセット『ザ・リバー・ボックス〜The Ties That Bind: The River Collection』で初お披露目された未発表曲のひとつ。ロイ・オービソン+フィル・スペクターというような、なんとも味わい深いミディアム・バラードだ。人は未来にではなく、触れることができなかった過去の夢への思いで生きていくんだ。だから、もう1回キスを。忘れることができないキスを…みたいな。いやー、たまんないぜ、ボス!
3. 凍てついた十番街

1975年のブレイク作『明日なき暴走』の収録曲。ブレッカー・ブラザーズらを含むホーン・セクションを従えて、スタックス〜ハイ・レコード的なR&Bサウンドを聞かせている。
4. ウェイティン・オン・ア・サニー・デイ

同時多発テロを受けて放たれたスプリングスティーンなりの声明とも言うべき2002年のアルバム『ザ・ライジング』より。ボス特有の愛すべき楽観をたたえたナンバーだ。
5. ガールズ・イン・ゼア・サマー・クローズ

ブレンダン・オブライエンをプロデューサーに起用した2007年のアルバム『マジック』より。新たな視点からボス流スペクター・サウンドに挑んだ名曲だ。そこはかとなく漂う郷愁と諦観が胸にしみる。
6. ファイア

ロバート・ゴードンやポインター・シスターズがとりあげたことでもおなじみのスプリングスティーン作品。「サスピション」や「マリーは恋人」など、60年代初期のエルヴィス・プレスリー作品を下敷きに書き上げられたものだった。本人ヴァージョンは1986年、ライヴ・アルバム『The "Live" 1975-1985』で初お目見えしたが、それ以前、1977年に録音された未発表スタジオ・ヴァージョンが2010年、『ザ・プロミス~The Lost Sessions』に収められて世に出た。今回はそのスタジオ・ヴァージョンのほうで。
7. ハングリー・ハート

これもアルバム『ザ・リバー』から。シングル・カットされて大ヒットした。奇才プロデューサー、フィル・スペクターが得意としていた“音の壁”サウンドからのストレートな影響を的確にたたえた音像。強烈なドラム・フィル。C→Am→Dm→Gという黄金の循環コード。切れ味鋭いバリトン・サックス。豊かなエコー感。声質を少し若く聞かせるためにテープ・スピードを落としてレコーディングされたというスプリングスティーンの青い歌声。うなるハモンド・オルガン。客演したフロ&エディによるビーチ・ボーイズ的なハーモニー。間奏での短3度上への転調。心の安まる居場所を求めながらも、けっしてひとつところに落ち着くことができない自分に対し必死に言い訳をしているような、切実で、しかし同時にこの上なくわびしい歌詞。完璧な1曲です。
8. ジス・ライフ

2009年のアルバム『ワーキング・オン・ア・ドリーム』より。『ペット・サウンズ』の時期のビーチ・ボーイズ・サウンドからの影響をたたえた曲だ。
9. ハロー・サンシャイン

雨模様の空を見上げ、去ってしまった女を思い、“ハロー・サンシャイン、ここにとどまってくれないか…”とつぶやく。旅の途上、傷ついた心を抱えて行く先に惑う男の心象を描いた曲だ。60年代後半から70年代初頭のポップ・カントリーの世界にボスが挑んでおります。
10. ホワイトタウン

これも『ザ・リバー・ボックス〜The Ties That Bind: The River Collection』収録の未発表曲。ポップスの黄金律的コード進行を迷いなく使ったオールディーズ・ファンの琴線直撃の仕上がりだ。
11. イフ・アイ・シュッド・フォール・ビハインド

1992年、『ヒューマン・タッチ』とともに2作同時リリースされたアルバム『ラッキー・タウン』に収録されていたナンバー。東海岸ロックンロール・シーンの大先輩、ディオン・ディムーチもカヴァーした名曲だ。
12. アイル・シー・ユー・イン・マイ・ドリーム

で、ラストは新作『レター・トゥ・ユー』から。そのクロージング・ナンバーでこのプレイリストも幕。

解説:萩原健太

白木哲也さん(ソニーミュージック)をゲストに迎えて

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第173回 萩原健太のotonanoラジオ#55

2020/10/20 公開

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その2)

1.

ナイアガラ トライアングル

A面で恋をして

『ナイアガラトライアングル vol.2』 1982年

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その2)

2.

The Monochrome Set

Jacob's Ladder

『Lost Weekend』 1985年

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その2)

3.

The Cardigans

Sick & Tired

『Emmerdale』 1994年

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その2)

4.

Dent May

I Could Use A Miracle

『Late Checkout』 2020年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#55

『洋楽ネオアコ 80's~early 90's』

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1. 思い出のサニー・ビート / アズテック・カメラ

カジヒデキくんと言えば、やっばりキーワードは“ネオアコ”かな、と。実にストレートかつ安易なテーマ決めのもと、今週のプレイリスト、選んでみました。1980年代から90年代にかけて、渋谷の街にひしめいていた大小さまざまなレコード屋さん周辺で大いに盛り上がったネオアコ=ネオ・アコースティック・サウンドのブームを牽引した洋楽アーティストの曲の中からぼくの好きなものをランダムにセレクト。まずはネオアコ・ブームの火付け役でもあったアズテック・カメラから。1983年にリリースされた彼らのファースト・アルバム『ハイランド・ハードレイン』のオープニング・チューンです。
2. ハッピー・アワー / ハウスマーティンズ

ビューティフル・サウスの母体となったバンドとしてもおなじみ、英国東海岸の街、ハルで結成されたインディー・ポップ・グループ、ハウスマーティンズの名曲。ファースト・アルバム『ロンドン 0 ハル 4』からシングル・カットされて、1986年、全英チャート3位まで上昇しました。
3. ザ・カメラ・ラヴズ・ミー / ザ・ウッド・ビー・グッズ

ネオアコと言えばモノクローム・セットって感じもあるけれど。今週、番組のほうでかかっているので、そこは外して。モノクローム・セットがバックアップしていたジェシカ&ミランダのグリフィン姉妹によるユニット、ウッド・ビー・グッズの曲を。1988年リリースのデビュー・アルバムの表題曲です。
4. オン・ア・レイニー・デイ・イン・ニューリン / ザ・ヒット・パレード

ちょっと新しめの音源を。といっても、聴感上、全然新しめじゃないかも(笑)。1980年代からえんえん活動を続けるジュリアン・ヘンリー率いるザ・ヒット・パレードが2014年にリリースしたアルバム『コーニッシュ・ポップ・ソングズ』より。20年以上変わらぬポップ・マインドに泣けてきます。カジくんにも通じるかな。
5. オブスキュリティ・ノックス / トラッシュ・キャン・シナトラズ

スコットランド出身のバンド。シーンに登場してきたとき、フランク・シナトラ好きのぼくにとっては、ちょっと微妙なバンド名がやけに気になったものですが(笑)。爽快なサウンドがそんな気分をすぐに晴らしてくれました。1990年にリリースしたアルバム『ケーキ(Cake)』より。
6. ジーンズ・ノット・ハプニング / ザ・ペイル・ファウンテンズ

リヴァプールで結成されたギター・ポップ・バンド。1984年、青くみずみずしいファースト・アルバムを初めて聞いたときの爽やかな衝撃は忘れられません。今回は1985年に出たセカンド『フロム・アクロス・ザ・キッチン・テーブル』に収められていた名曲を。切れ味のいいギター・サウンドで展開するオールディーズっぽいポップ・メロディに絡むストリングスとか、今聞いてもごきげん。
7. ブロークン / プライマル・スクリーム

“ネオアコ”というのは“渋谷系”同様、あまり厳密な定義があるわけでもなく。音楽的なフォーマットを特定する言葉でもないので、どのアーティストがネオアコか…というのは聞く人それぞれで全然違ったりもする。このプライマル・スクリームとかもけっこうコロコロと音楽性を変えていくバンドなので、ネオアコに分類したら怒るファンとかもいそう。でも、まあ、今回はネオアコってことにさせてもらって。去年改めて、1986年の名曲「ヴェロシティ・ガール」をシングルとしてリリースした際、そのB面に収められていた新曲(!)を。ネオアコだよね、これ。
8. バイ・バイ・プライド / ザ・ゴー・ビトウィーンズ

ゴー・ビトウィーンズはオーストラリアのバンド。この人たちも結成当初はもっとパンキッシュだったり、サーフ・ロックっぽかったり、違う音楽性をたたえていたものの、活動の場をイギリスに移してからはネオアコっぽい音作りにも積極的にアプローチするようになり、その路線で人気を博した。今回は彼らが1987年にリリースした5作目のアルバム『タルーア』からのナンバーを。
9. オートマティカリー・ユアーズ / ザ・パステルズ

グラスゴーで結成されたパステルズ。中心メンバーのスティーヴン・パステルは普段はレコード屋さんの店員をしていて、気が向くとバンド活動もする、みたいな。そういうパートタイム・ミュージシャンだそうで。かつてレコード屋さんで働いていたカジくんのイメージとちょっとダブったり…(笑)。そんな彼らが1987年にリリースしたファースト・アルバム『アップ・フォー・ア・ビット・ウィズ・ザ・パステルズ』より。
10. フォーリング・アンド・ラフィング / オレンジ・ジュース

英グラスゴーには独自のギター・ポップ・シーンがあって。それを牽引したのが名門ポストカード・レコード。その中心的存在だったのがオレンジ・ジュースだ。あのエドウィン・コリンズが在籍していたバンドとしてもおなじみだろう。そんな彼らが1982年にリリースしたファースト・アルバム『キャント・ハイド・ユア・ラヴ・フォーエヴァー』より。
11. ホエン・オールズ・ウェル / エヴリシング・バット・ザ・ガール

エヴリシング・バット・ザ・ガールはトレイシー・ソーンとベン・ワットによる男女ポップ・ユニット。彼らが1985年にリリースしたセカンド・アルバム『ラヴ・ノット・マネー』より。
12. クルエル / プリファブ・スプラウト

この人たちもずいぶん音楽性を変化させながら現在に至っているのだけれど。1984年リリースのデビュー・アルバム『スウーン』に収められていたこの曲など、やはりネオアコのプロトタイプって感じだ。“シカゴのどんなアーバン・ブルースでさえ/君を失ったぼくの嘆きほど心に響くものはない”という歌詞にはしびれました。

解説:萩原健太

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第172回 萩原健太のotonanoラジオ#54

2020/10/13 公開

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その1)

1.

カジヒデキ

フランス映画にしようよ

『GOTH ROMANCE』 2019年

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その1)

2.

カジヒデキ

メローイエロー

『THE PERFECT DAY E.P.』 2020年

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その1)

3.

カジヒデキ

サマーフィーリング

『REV.01』(コンピレーション) 2020年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#54

『渋谷系 late 80’s~early 90’s』

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1. そして今でも / PIZZICATO FIVE

カジヒデキくんをゲストに迎えたということで、こりゃプレイリストはもう渋谷系でいくしかない、と(笑)。といっても、渋谷系というのは、特に音楽的に何かを特定するジャンル名ではなく、ものすごく気分的なものなので、けっこうゆるっと、ふわっとした選曲です。この人たちは渋谷系じゃないでしょ…とか、受け取る人それぞれでいろいろな思いはありましょうが、1980年代後半から1990年代にかけて、こういう音楽をざっくり渋谷系って呼んで楽しんでいたっけ…的な、雑な感じでお楽しみください。まずはかつての渋谷系音楽を語るとき絶対に欠かせないこの人たちの曲。1987年のファースト・アルバム『カップルズ』より。世代的なこともあるのだけれど、小西康陽、高浪慶太郎、佐々木麻美子、鴨宮諒というラインアップだったこの時期のピチカートに、個人的にはいちばん思い入れが深いです。
2. すてきなジョイライド / フリッパーズ・ギター

そして、この人たちも絶対に忘れてはならないフリッパーズ・ギター。前身バンドだったロリポップ・ソニック時代の英語詞レパートリーが大半を占めるファースト・アルバム『three cheers for our side〜海へ行くつもりじゃなかった』からのナンバーを。この当時は5人組だったけれど、アルバムのリリース後、3人が脱退して小山田圭吾と小沢健二の2人によるユニットになった。
3. Yellow Shack / VENUS PETER

元ペニー・アーケードの石田真人と元ビロードの沖野俊太郎を中心に結成されたヴィーナス・ペーターが1991年にリリースしたファースト・アルバム『Lovemarine』より。このアルバムも全編、歌詞は英語で歌われていた。渋谷系はやはり、当時の渋谷の輸入レコード屋さん周辺で話題になっていた洋楽との深い関連のもとで発展してきたのだなという事実を再確認させてくれる。
4. 夜をぶっとばせ / ORIGINAL LOVE

俺は渋谷系じゃねーよ…という田島貴男の声も聞こえてきそうだけど(笑)。オリジナル・ラヴが1991年に放ったメジャー・デビュー・アルバム『LOVE! LOVE! & LOVE!』からのこの曲も。それよりも前、1990年、田島貴男がピチカート・ファイヴのリード・ヴォーカリストとして活動していた時期に、ピチカートのアルバム『月面軟着陸』にも収められていた曲。ということで、作詞・小西康陽、作曲・田島貴男というチームでの作品となった。なので、渋谷系ってことで(笑)。
5. WHEN YOU CLOSE YOUR EYES / カヒミ・カリィ

嶺川貴子とともにフリッパーズ・ギターの人脈からシーンに登場したカヒミ・カリィが1995年にソロ名義で放ったEP『MY FIRST KARIE』より。音も、たたずまいも、何から何まで、なんだかおしゃれだったなぁ…。
6. 20TH CENTURY FLIGHT (光の彼方に) / SPIRAL LIFE

車谷浩司と石田小吉によるポップ・ユニット、スパイラル・ライフが1994年にリリースした3作目のシングル。同年のアルバム『SPIRAL MOVE - TELEGENIC2』にも収められていた。フリッパーズ・ギターにせよ、カヒミさんにせよ、カジくんが在籍していたブリッジにせよ、このスパイラル・ライフにせよ、あの時期、特にこの種の音楽に力を入れていたポリスター・レコードに所属していた。
7. 彼方からの手紙 / スチャダラパー

スチャダラも音楽的には渋谷系とくくられていたわけではなかったと思うのだけれど、いろいろと人脈的なこととか、サブカルっぽいたたずまいも含めて、広義の渋谷系ってことで。1993年にサード・アルバム『WILD FANCY ALLIANCE』より。ちなみに、「カナダからの手紙」ってヒット曲があったこととか知ってる人、もう少ないかも…(笑)。
8. 大好きなシャツ (1990 旅行作戦) / 渡辺満里奈

これもちょい変化球ぎみの渋谷系もの。1990年にリリースされた満里奈さん13作目のシングルです。当時、満里奈さんがご執心だったフリッパーズ・ギターにソングライティングおよびプロデュースを託した1枚だった。同年のアルバム『a piece of cake!』にも収録。このアルバムにはもう1曲、フリッパーズが関わった「レイニー カインド オブ ラブ」も収められている。
9. Free Your Mind / ラヴ・タンバリンズ

一部ファンの間では“渋谷系の歌姫”とも呼ばれていたというELLIEをフロントに据えたバンド、ラヴ・タンバリンズが1995年にリリースした最初にして最後のオリジナル・アルバム『アライヴ』より。インディーズからのリリースながら、当時としては破格の10万枚以上を売り上げた話題の1枚だった。
10. 宝島まで / 高野寛

この人も、いや、ぼくは渋谷系じゃないでしょ、と主張しそう(笑)。高橋幸宏+鈴木慶一のビートニクス人脈からさっそうと登場してきた若きポップ・プリンス。彼が1988年にリリースしたファースト・アルバム『hullo hulloa』より。アルバム全編を貫く何とも言えないみずみずしさが、渋谷系かどうかはともあれ、当時の日本のシーンに新世代のポップ感覚が定着しつつあることをぼくたちに確信させてくれたものです。
11. Heart Beat Voice / ICE

ギターの宮内和之とヴォーカルの国岡真由美によるポップ・ユニット。宮内くんの強力なロック感覚と、国岡さんの妖しげな歌声との、ミスマッチのような、でも妙に相性がいいような、不思議な取り合わせが興味深かった。宮内くんが病魔との闘いののち、若くして他界してしまったことが残念でなりません。1993年のメジャー・デビュー・アルバム『Ice』より。
12. Puppy Love / ブリッジ

そして、ラストは今週のゲスト、カジヒデキくんが在籍していたブリッジの曲を。彼らが1993年、小山田圭吾のプロデュースの下でリリースしたファースト・アルバム『SPRING HILL FAIR』より、この曲を。

解説:萩原健太

カジヒデキさんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第171回 萩原健太のotonanoラジオ#53

2020/10/06 公開

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その2)

1.

西寺郷太

Heavy Day

『Funkvision』 2020年

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その2)

2.

西寺郷太

P.Y.T.(Pretty Young Thing)

『Funkvision』 2020年

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その2)

3.

西寺郷太

あの公園で会おう

『Funkvision』 2020年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#53

『フェイヴァリットNONA REEVES 14ソングス』

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1. ANIMATION 5

先週、今週とゲストに迎えた西寺郷太くんにちなんだプレイリスト。今週は彼が所属しているノーナ・リーヴスの楽曲からのセレクションです。彼らがメジャー・デビューしてからのオリジナル・アルバム群から各1曲ずつ、ぼくが好きな曲を選んでみました。彼らの場合、ベスト盤もいろいろ出ているので、なるべくそれとは被らないように、でも、まあ、そうも言っていられないので、少しだけは被りつつの選曲。いつもは12曲のプレイリストなのですが、ノーナのオリジナル・アルバムが今のところ14作あるもんで、特別に全14曲のプレイリストです。お楽しみください。
2. ブルーバードを追いかけて

続いては1999年暮れに出たメジャー第二弾『FRIDAY NIGHT』から。ちなみに今回のプレイリスト、特に明記していない限り、西寺郷太の作詞・作曲ナンバーです。
3. パーティーは何処に?

ワーナーからの最後のオリジナル・アルバムとなった2000年の『DESTINY』より。これは外せない人気曲。
4. アルファベット・ボーイ

日本コロムビアに移籍後、2002年にリリースされたセルフ・タイトルド・アルバム『NONA REEVES』より。
5. スウィートネス

2003年のアルバム『SWEET REACTION』より。
6. 裸足の砦

2004年、徳間ジャパンに移籍して放ったアルバム『THE SPHYNX』より。作詞・西寺郷太、作曲・小松茂によるポップ・ソウル・チューン。
7. プリズマティック・レイディ〜哀しみで目もくらみ〜

2006年のアルバム『3×3』より、作詞・西寺郷太、作曲・西寺郷太&奥田健介によるメロウ・ナンバー。
8. Emotional

2007年のアルバム『DAYDREAM PARK』より。作詞は郷太くん。西寺=奧田=小松というノーナ全員が作曲を手がけた曲。
9. 1989

2009年の『GO』より。作詞・西寺郷太、作曲・西寺郷太&奥田健介。
10. 休もう、ONCE MORE

2013年、前作『GO』から約4年のブランクを経てリリースされたアルバム『POP STATION』より。これがビルボード・レコードへの移籍第一弾だった。作詞・作曲は西寺郷太&谷口尚久。
11. 高層ビル

2014年のアルバム『FOREVER FOREVER』より。作詞・西寺郷太、作曲・西寺郷太&冨田謙。
12. ホノルル・ガール

2016年のアルバム『BLACKBERRY JAM』より。
13. Glory Sunset

2017年のアルバム『MISSION』より。
14. Aretha

そして、ラストは現在のところノーナ・リーヴスの最新オリジナル・アルバムにあたる2019年の『未来』より、作詞・小林真治&西寺郷太、作曲・西寺郷太によるこのバラードで。

解説:萩原健太

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第170回 萩原健太のotonanoラジオ#52

2020/09/29 公開

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その1)

1.

西寺郷太

BODYMOVES!

『Funkvision』 2020年

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その1)

2.

西寺郷太

BLUEJEAN

『Funkvision』 2020年

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その1)

3.

西寺郷太

Decade

『Funkvision』 2020年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#52

『バンド活動と並行してソロ・アルバムをリリースした洋邦アーティスト』

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1. ステイ・ハイ / ブリタニー・ハワード

今週のゲスト、西寺郷太くんはノーナ・リーヴスの一員としての活動と並行して、このほどセカンド・ソロ・アルバムをリリースしたばかり。ということで、それにあやかって、バンド活動をしながらそれと並行してソロ・アルバムをリリースした洋邦アーティストの曲を集めてみました。解散してからソロを出した…というパターンは入れていません。まずはアラバマ・シェイクスのフロントウーマンであり、サンダービッチとかバミューダ・トライアングルとか、それぞれ特定のコンセプトを掲げた別バンドでの活動も積極的に続けているブリタニー・ハワードが去年リリースした初ソロ・アルバム『ジェイミー』より。バンドでは発揮しづらい、思い切りパーソナルな手触りが特に歌詞の面で炸裂した1枚でした。
2. メイク・ノー・ミステイク / キース・リチャーズ

泣く子も黙るローリング・ストーンズの中心メンバーが1988年に放ったソロ・アルバム『トーク・イズ・チープ』からのナンバー。ストーンズのメンバーは他にもミック・ジャガーも、チャーリー・ワッツも、ロン・ウッドも、やめちゃったビル・ワイマンも、みんなそれぞれ個性的なソロ・アルバムを出しているけれど、中でもごきげんだったのがこのキースの1枚。メンフィス・ホーンズを従えたソウルフルな1曲です。
3. AROUND THE CORNER〜曲がり角のところで / 忌野清志郎

鉄壁のジャパニーズ・ロックンロール・バンド、RCサクセションの忌野清志郎が、1986年、単身イギリスへと渡り、イアン・デューリーのバック・バンド、ブロックヘッズら現地のミュージシャンとのコラボレーションで作り上げたアルバム『レザー・シャープ』より。RCとはちょっと違うバンド・サウンドが実に新鮮だった。
4. ドリームタイム / ダリル・ホール

ダリル・ホール&ジョン・オーツは1972年にデビューして以来、1980年代前半に黄金時代を築いて、やがて1991年にいったん解散を宣言、その後95年に再びタッグを組んで現在もなお活動を継続中…という紆余曲折を経ているのだけれど。解散が宣言されるちょっと前、デュオとしての活動が停滞気味だった1986年にダリル・ホールがリリースしたセカンド・ソロ・アルバム『スリー・ハーツ・イン・ザ・ハッピー・エンディング・マシーン』からのシングル・カット曲がこれ。日本でこの曲、マルっとパクったヒットも生まれました(笑)。
5. アイ・ノウ・ホワット・イッツ・ライク / ジェフ・トゥイーディ

ある時期以降、いろいろとバンドの方向性に関して実験的な試行錯誤を繰り広げてきたウィルコだけれど。そうしたある種の“迷い”の途上、中心メンバーのジェフ・トウィーディは2018年に『ウォーム』、2019年に『ウォーマー』という2枚のソロ・アルバムをリリース。わりとまっすぐ歌へとアプローチしてみせた。そんなソロ活動によって、バンドとして向かうべき方向性のほうもちょっとリセットできた、みたいな。そんな効能もソロ・アルバムにはあるのかも。というわけで、『ウォーム』のほうから1曲。
6. Hard Luck Woman〜Makin' Love / 野宮真貴

現在はソロ・アーティストとして意識的な活動を着実に続けている野宮真貴が、ピチカート・ファイヴのヴォーカリストとして大活躍していた時期、2000年にリリースしたソロ・アルバム『miss maki nomiya sings』より。興味深い顔ぶれのプロデューサーたちと組んでピチカートではできなかった多彩な音楽性に挑んだ1枚だった。そこから今回は、THE YELLOW MONKEYのHEESEYと組んでキッスのレパートリーをカヴァーしたこの曲を。
7. ジャスト・ア・ジゴロ〜アイ・エイント・ガット・ノーバディ / デヴィッド・リー・ロス

ヴァン・ヘイレンのリード・ヴォーカリストとしておなじみ、ダイアモンド・デイヴ様。ヴァン・ヘイレンをやめたり、また加入したり、なんとも落ち着きませんが。最初に脱退を宣言する前、まだばりばりフロントを張っていた1985年に初めてソロ名義で放ったミニ・アルバム『クレイジー・フロム・ザ・ヒート』より、往年のキング・オヴ・ザ・スウィング、ルイ・プリマが1950年代に放ったヒットのカヴァーを。
8. シャイン・オン・ミー / ダン・オーバック

ブラック・キーズのメンバーとして、あるいはマニアックなプロデューサーとして、ごきげんな活動を続けているダン・オーバックが2017年に放ったセカンド・ソロ・アルバム『ウェイティング・オン・ア・ソング』より。多忙すぎる彼が、なんとか休暇をとってナッシュヴィルで久々にのんびりしようと目論んでいたとき、しかし、休暇先でふと思いつき急遽レコーディングを開始。一気に作り上げてしまった1枚なのだとか。多才な人は休まないってことっすね。
9. グッバイ・ワルツ / 桑田佳祐

サザンオールスターズは確かに解散はしていないものの、しょっちゅう活動休止しているので、今回のセレクトに入れていいのかどうか微妙ですが(笑)。そんなサザンの中心メンバー、桑田佳祐が2011年にリリースした4作目のソロ・アルバム『ミュージックマン』より。サザンではたぶんやりそうにないトム・ウェイツっぽい退廃的な世界観がなんとも印象的な1曲だ。
10. リーズン・トゥ・ビリーヴ / ロッド・スチュワート

あの時期以降はもう鉄壁のソロ・ロック・シンガーという感じのロッドですが。これは彼がフェイセズに在籍中だった1971年にリリースされた3作目のソロ・アルバム『エヴリ・ピクチャー・テルズ・ア・ストーリー』の収録曲。フォーク系シンガー・ソングライターのティム・ハーディン作品のカヴァーだった。
11. トゥナイト・ユー・ビロング・トゥ・ミー / エディ・ヴェダー

グランジ最後の生き残りとも言われるパール・ジャムのフロントマン、エディ・ヴェダーが2011年にリリースしたセカンド・ソロ・アルバム『ウクレレ・ソングズ』より。タイトル通り、パール・ジャムでありえない全編ウクレレの弾き語りアルバム。その中から、日本では“イチゴの片思い”という邦題でもおなじみ、ペイシェンス&プルーデンスやナンシー・シナトラの懐かしいレパートリー「トゥナイト・ユー・ビロング・トゥ・ミー」のカヴァーを。デュエット・パートナーはキャット・パワーです。
12. SCHOOLGIRL / 西寺郷太

そして、今週のプレイリストのラストは、番組ゲストの西寺郷太が2014年にリリースした初のソロ・アルバム『Temple St.(テンプル・ストリート)』からの曲を。

解説:萩原健太

西寺郷太(NONA REEVES)さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第169回 萩原健太のotonanoラジオ#51

2020/09/22 公開

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その2)

1.

竹内まりや

Don't It Make My Brown Eyes Blue ~瞳のささやき

『Turntable』 2019年

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その2)

2.

スターダスト☆レビュー

偶然の再会

『年中模索』 2020年

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その2)

3.

大滝詠一

陽気に行こうぜ~恋にしびれて(2015 村松2世登場!version)

『佐橋佳幸の仕事(1983-2015)~Time Passes On~』 2015年

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#51

『佐橋佳幸ワークス~ソングライター編~』

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1. Cause Of Life(夢を抱きしめて) / UGUISS

先週・今週とお迎えしたゲスト、佐橋佳幸くんといえばギタリスト、アレンジャー、プロデューサーとしての顔がおなじみだけれど。彼にはソングライターとしての一面もある。ということで、今回は佐橋くんのソングライターとしての魅力にスポットを当てたプレイリストを作ってみました。佐橋ワークスを集めて2015年にコンパイルされた『佐橋佳幸の仕事(1983-2015)~Time Passes On~』には収録されていない曲を中心にセレクト。まずは彼の出発点となったバンド、UGUISSが1984年にリリースしたセカンド・シングルから。作詞作曲はもちろん佐橋佳幸です。
2. パイナップル・ロマンス / 渡辺美里

続いては佐橋くんが長年にわたってバック・バンドのリーダーとしてサポートし続けた渡辺美里のナンバー。伊秩弘将、岡村靖幸、小室哲哉、大江千里らに交じって、佐橋くんがも楽曲を提供した1989年のアルバム『Flower bed』の収録曲だ。アルバム中3曲の佐橋作品のうちのひとつ。作詞は渡辺美里。ジェフ・ポーカロとマイク・ポーカロという強力なリズム隊をバックに、ごきげんなギターを聞かせているのも、もちろん佐橋佳幸だ。
3. Life Line / 桐島かれん

桐島かれんの初ソロ・アルバム、1990年リリースの『かれん』より。全10曲中4曲のプロデュースを高橋幸宏&鈴木慶一のビートニクスが、別の4曲を藤井丈司が、残る2曲を加藤和彦が手がけた1枚だが、その藤井丈司プロデュース4曲中3曲に佐橋佳幸がギター、マンドリン、ベースなどで参加。しかも2曲では作曲も担当している。そのうちの1曲がこれだ。作詞は尾上文&藤井丈司。
4. Little Love / 鈴木祥子

鈴木祥子が1990年にリリースした4作目のアルバム『Long Long Way Home』より。先行シングルとしてもカットされた。クリスマスを連想させる季節ものなので、ちょっと今の時期には微妙ではあるけれど、佐橋佳幸らしいメロウなソウル・フレイヴァー漂う1曲としてピックアップ。作詞は西尾佐栄子。
5. 1992年、夏 / 小泉今日子

文字通り、1992年に「自分を見つめて」と両A面シングルとしてリリースされたナンバー。作詞・小泉今日子、作曲・佐橋佳幸。キョンキョン&サハシ。なんだかやけにうらやましいソングライター・コンビです(笑)。発売時、ビールのCMイメージ・ソングとしても起用された。
6. 憂鬱なパルス / 沢田研二

1993年にリリースされた沢田研二、30作目のオリジナル・アルバム『REALLY LOVE YA!!』より。吉田建のプロデュースのもと、マルコシアス・バンプの秋間経夫、高野寛、森若香織、シャムロックの高橋一路、村松邦男らが作家として関わった1枚だった。佐橋佳幸は2曲を提供しているが、そのうちの1曲がこれ。作詞は森雪之丞。
7. 僕とロージーとみんな / 佐橋佳幸

1994年、山下達郎がエグゼクティヴ・プロデューサーをつとめて佐橋佳幸くんがリリースしたファースト・ソロ・アルバム『TRUST ME』より。フィフス・アヴェニュー・バンドやラヴィン・スプーンフルなどを彷彿させるグッド・タイム・ミュージックふうの名曲です。もちろん作詞作曲も、ヴォーカルも、佐橋佳幸。
8. Pleasure Skin / 氷室京介

氷室京介が1996年にリリースした6作目のアルバム『MISSING PIECE』の収録曲。先行シングル「スコール」のカップリング曲でもあった。全曲の作曲を氷室自身が手がけているが、うち2曲が佐橋佳幸との共作。そのうちのひとつが本曲だ。ごきげんなホーン・セクションをフィーチャーした躍動的なナンバー。作詞は松井五郎。
9. 春が来りゃ 乙女じゃなくても 夢見がち / Darjeeling

で、佐橋くんは小倉博和くんとのアコースティック・ギター・デュオ“山弦”とか、そこに平松八千代がヴォーカルで加わった“SOY”とか、いくつかバンドもやっているのだけれど。その辺の音がサブスクに入っていないもので。ここから2曲はキーボードのDr.kyOnと組んだユニット、ダージリンの音源で。まずは2017年のミニ・アルバム『8芯二葉〜WinterBlend』より、高野寛のヴォーカルと細野晴臣のベースをフィーチャーしたこの曲を。作詞は高野くん。
10. ユーラシア万歳 / Darjeeling

次は2018年の『8芯二葉~月団扇Blend』より、曽我部恵一が作詞とヴォーカルを担当したこの曲。ちなみに、ダージリンの場合、作曲は常にDr.kyOnと佐橋くんの連名になっているので、どっちがメインで作っているのか微妙だけれど、今回はきっと佐橋くん中心なんだろうなぁ…とぼくが勝手に推測した曲をセレクトしております。間違っていたらすみません(笑)。でも、間違いなく佐橋くんがギターは弾いているわけで。まあ、いいか。
11. Seasickness Blues / Darjeeling

2019年の『8芯二葉~雪あかりBlend』からは、KERAが作詞、山下久美子がヴォーカルを担当したこの曲を。変拍子をものともせずグルーヴする様子がたまらない。
12. J. Tea / Darjeeling

ラストは2018年の『8芯二葉〜梅鶯Blend』より。ヴォーカルをフィーチャーせず、佐橋佳幸の重要なルーツのひとり、ジェイムス・テイラーへの敬愛を表現したインスト曲を。Dr.kyOnのキーボード、屋敷豪太のドラム、高桑圭のベース、三沢またろうのパーカッションをバックに、佐橋くんがアコースティック・ギターのジェイムス・テイラー役と、エレキ・ギターのダニー・コーチマー役を両方こなしております。

解説:萩原健太

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第168回 萩原健太のotonanoラジオ#50

2020/09/15 公開

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その1)

1.

ヴァレリー・カーター&佐橋佳幸

OOH CHILD

『ライヴ・イン・トーキョー1994』 2020年2月5日発売

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その1)

2.

ヴァレリー・カーター&佐橋佳幸

LONG DISTANCE LOVE

『ライヴ・イン・トーキョー1994』 2020年2月5日発売

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その1)

3.

ザ・ウェイト・バンド

Remedy

『ライヴ・イン・ジャパン』 2020年7月22日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#50

『佐橋佳幸のルーツを探して~洋楽編~』

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1. ホーム・アット・ラスト / ジョン・ホール

今回はゲストの佐橋佳幸くんのルーツとなっているであろう様々な洋楽ミュージシャンの楽曲をセレクトしてみました。佐橋くんにちゃんと確かめたわけではないのですが、なんとなく普段彼と話していて、きっとこのあたりのミュージシャンのこのあたりの曲が好きなんだろうな…という、ぼくの勝手な推測をもとに選んでいます。テキトーですみません(笑)。でも、結果、なかなか心地よいプレイリストができたと思います。ということで、まずはオーリアンズの中心メンバーだったジョン・ホールが1979年にリリースしたソロ・アルバム『パワー』からの曲を。
2そよ風のきみ / アンドリュー・ゴールド

1970年代後半の西海岸ポップ・シーンを裏方としてがっちり支えた重要人物が自らソロ・パフォーマーとしてリリースした1975年のアルバム『アンドリュー・ゴールド』より。聞いた話によると、佐橋くん、いまだライヴ前のアコースティック・ギターのサウンドチェックなどではこの曲のイントロ弾いているらしいです。
3きみの笑顔 / ジェイムス・テイラー

佐橋くんのアコースティック・ギターのスタイルを確立するうえで、特に大きな影響を与えたと思われる存在が、この人、JTことジェイムス・テイラーです。今なお現役ばりばりで活動を続ける彼が1977年にリリースしたアルバム『JT』より、シングルとしても大ヒットしたこの曲を。
4ホワット・ウッド・イット・テイク / ジェフ・リン

言わずと知れたエレクトリック・ライト・オーケストラの中心メンバー。番組の中でもちらっと話題に出ましたが、佐橋くんがアレンジを手がけた曲が一時期、ほぼすべてこの人、ジェフ・リンっぽいサウンドに仕上がっていたことがあって、その影響の強さに驚かされたものです。というわけで、彼がソロ名義で放った1990年のアルバム『アームチェア・シアター』から1曲。
5ダンシング・イン・ザ・ムーンライト / キング・ハーヴェスト

これは佐橋くんが影響を受けたアーティストというより、影響を受けた楽曲…という感じかな。のちにビーチ・ボーイズ人脈とも組んで多くの仕事をこなすロン・アルトバックを含む米仏混合バンド、キング・ハーヴェストが1972年に放ったヒット曲です。アルトバックがイントロで弾いているウーリッツァのエレクトリック・ピアノのサウンドがとても印象的な1曲。
6ハートをください / リンダ・ロンシュタット

佐橋くんはすでに登場しているアンドリュー・ゴールドとか、あとから出てくるイーグルスとか、他にもJ.D.サウザーとか、ウォーレン・ジヴォンとか、ジャクソン・ブラウンとか、1970年代半ばあたりのアサイラム・レコードに在籍していたアーティストたから大いに影響を受けていて。そんなアサイラムの歌姫だったのがリンダ・ロンシュタット。この曲は1976年のアルバム『風にさらわれた恋』の収録曲で。これまた佐橋くんを触発したであろうギタリスト、ワディ・ワクテルの参加作品でもあります。
7サンデイ・バスケットボール / ピーター・ゴールウェイ

フィフス・アヴェニュー・バンド、オハイオ・ノックスといった“通好み”のポップ・バンドでの活動でもおなじみ、ピーター・ゴールウェイと佐橋くんは彼の来日公演の際に共演したりもしている仲。そんなゴールウェイさんが1978年、日本先行でリリースしたセカンド・ソロ・アルバム『オン・ザ・バンドスタンド』より、この曲を。
8レイン・オー・レイン / フールズ・ゴールド

1970年代半ばごろのアメリカでは、イーグルスが切り拓いたアダルトな西海岸カントリー・ポップ・シーンで多くの注目バンドが活躍していたのだけれど。そのうちのひとつがこのフールズ・ゴールド。もともとダン・フォーゲルバーグのバック・バンドとして活動していた連中で、佐橋くんも大好きなはず。1976年、初期イーグルスのプロデュースを手がけたグリン・ジョンズの下で制作したファースト・アルバムから。
9デイドリーム / ラヴィン・スプーンフル

佐野元春&ザ・ホーボー・キング・バンドの一員として佐橋くんがアメリカのウッドストックでレコーディングした際に、ゲスト・ミュージシャンとしてスタジオにやってきてくれたのがジョン・セバスチャン。この曲は彼が1960年代に結成していたバンド、ラヴィン・スプーンフルの大ヒット・シングルですが、佐橋くんはこの曲のギターの弾き方をウッドストックで直々にご本人から教えてもらったのだとか。うらやましい。
10ドゥーイング・ザ・ミートボール / ザ・セクション

佐橋くんが自身のレコーディングでも共演していたクレイグ・ダーギ(キーボード)、リーランド・スクラー(ベース)、ラス・カンケル(ドラム)らに加えて、ライヴでの共演経験のあるダニー・コーチマー(ギター)というそうそうたる顔ぶれで結成されたバンド、ザ・セクションが1972年にリリースしたファースト・アルバムより。サックスはマイケル・ブレッカー。
11スロウ・ダンシング / ファンキー・キングズ

ジャック・テンプチン、リチャード・ステコル、そしてジュールズ・シアーという、たぶん全員が佐橋くんに影響を与えたと思われる3人のミュージシャンがタッグを組んだバンドが1976年に残した唯一のアルバム『ファンキー・キングス』より。プロデュースを手がけたのは、これまたドアーズやフレッド・ニール、トム・ラッシュらといい仕事をしてきたポール・ロスチャイルド。そこからテンプチン作の名曲を。
12マイ・マン / イーグルス

で、ラストを飾るのは佐橋くんに多大なる影響を与えたアサイラム・レコードを大メジャー・レーベルへと押し上げた立役者、イーグルスの曲を。1974年のサード・アルバム『オン・ザ・ボーダー』から、バンドの創設メンバーのひとりだったギタリスト、バーニー・レドン作の隠れた名曲です。カントリー・ロックという新たなジャンルを確立するうえで大きな役割を果たしたグラム・パーソンズに捧げられています。

解説:萩原健太

佐橋佳幸さんをゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第167回 萩原健太のotonanoラジオ#49

2020/09/08 公開

小西康陽さんをゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

小西康陽さんをゲストに迎えて(その2)

1.

PIZZICATO ONE

神の御業

『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』 2020年6月24日発売

小西康陽さんをゲストに迎えて(その2)

2.

PIZZICATO ONE

地球最後の日

『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』 2020年6月24日発売

小西康陽さんをゲストに迎えて(その2)

3.

PIZZICATO ONE

涙もろくなった。

『前夜 ピチカート・ワン・イン・パースン』 2020年6月24日発売

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#49

『“セルフ・カヴァー”~邦楽編~』

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1. 瞳はダイアモンド / 松田 聖子

先週予告した通り、今回のプレイリストは他アーティストに提供した楽曲をソングライター自らが後からカヴァーしたヴァージョン、その邦楽編。シンガー・ソングライターのヴァージョンがもともとあって、それを他のシンガーがカヴァーするという通常のパターンではなく、あくまでも誰か他のシンガーへの提供を目的に作られた楽曲を、後になってソングライター自身も取り上げたというヴァージョンを基本にセレクトしております。まずはわれらが聖子ちゃん、1983年の大ヒット曲から。
2. 瞳はダイアモンド / 松任谷由実

この曲、作詞はもちろん、この時期の聖子ナンバーすべてを手がけていた松本隆。作曲は他にも聖子ちゃんに「赤いスイートピー」「渚のバルコニー」「小麦色のマーメイド」「秘密の花園」「Rock'n Rouge」など多くのヒット・メロディを提供してきた“呉田軽穂”こと松任谷由実。2003年、ソングライターとして他アーティストへの提供曲を集めてリリースしたアルバム『Yuming Compositions: FACES』でこの曲を自らカヴァーした。
3. So Young / 山下久美子

1980年代、“総立ちの久美子”として大活躍。日本のロック・シーンと歌謡ポップ・シーンとの橋渡し的役割を担った山下久美子が1981年のアルバム『雨の日は家にいて』でとりあげたスピーディなロック・チューンだ。作者は、当時、久美子が所属していたナベプロの先輩だった沢田研二のアルバム『G.S.アイ・ラヴ・ユー』に「彼女はデリケート」「I'M IN BLUE」「THE VANITY FACTORY」という3曲のオリジナル・ナンバーを提供していた若きシンガー・ソングライター。その名は…?
4. ソー・ヤング / 佐野元春

そう。前年、1980年にソロ・デビューを果たしたばかりの佐野元春。山下久美子のためにこの曲の仮歌をレコーディングする際、仮歌にもかかわらずスタジオのブースに入った佐野は飛んだり跳ねたりしながらシャウト! スタッフを大いにたじろがせたそうだ。その勢いをそのまま持ち込んで自らもレコーディング。翌1982年、シングル「スターダスト・キッズ」のB面に収めて世に出した。
5. ダンスはうまく踊れない / 石川セリ

ぼくのような1970年代に青春を過ごした世代にとっては抗うことができないシンガーのひとりが石川セリ。映画化もされた「8月の濡れた砂」を含む1972年のファースト・アルバム『パセリと野の花』は隠れたポップ名盤として一部ファン(含・ハギワラ)から熱狂的に支持されている。そんなセリさんが1977年にリリースしたヒット・シングルがこの曲。1982年には高木澪もカヴァーしたこの名曲を作詞作曲したのは…。
6. ダンスはうまく踊れない / 井上陽水

石川セリの旦那さまでもある井上陽水。ソングライターとして作詞作曲を手がけた沢田研二への提供曲「A.B.C.D.」、中森明菜の「飾りじゃないのよ涙は」、作曲のみ手がけた水谷豊の「はーばーらいと」、樋口可南子の「からたちの花」、小林麻美の「TRANSIT」、そして作詞だけ手がけた安全地帯の「ワインレッドの心」と「恋の予感」などを収めた1984年のアルバム『9.5カラット』に、この「ダンスは…」の本人自演ヴァージョンも収められていた。
7. リンダ / アン・ルイス

1970〜80年代、歌謡ポップスのクイーンとして大活躍したアン・ルイス。ご存じの通り、彼女は1980年に桑名正博と結婚したのだけれど、その際、お祝いとして親友でもある女性シンガー・ソングライターが書き下ろした必殺のスロー・バラードが本曲だ。1980年に同名アルバムに収められたほか、シングルとしてもリリースされた。ちなみに、“リンダ”というのはアンさんのミドル・ネーム。で、その曲を書いた女性シンガー・ソングライターは…。
8. リンダ / 竹内まりや

これまたご存じ、竹内まりやだ。まりやさんもほどなく、1982年に山下達郎と結婚することになるのだが、その直前、1981年にリリースされたアルバム『ポートレイト』でこの曲を自らカヴァーした。強力な多重コーラスを含め、すべてのアレンジを手がけているのはもちろん未来の旦那さま、達郎さんだ。
9. ルームライト / 由紀さおり

ポップス系シンガー・ソングライターによる歌謡曲歌手への楽曲提供というのは、1980年代以降、ごく当たり前のことになっていくのだが、まだ歌謡曲と、当時“ニュー・ミュージック”などと呼ばれていたロック〜フォーク系のポップスとの間に厳然たる垣根が存在していた1970年代前半、そうした交流はなかなか実現しなかった。そんな中、その先駆けとなった画期的な1曲が1973年にリリースされたこの曲だった。
10. ルームライト / 吉田拓郎

作詞は岡本おさみ、作曲は吉田拓郎。翌年、この同じコンビで森進一に提供した「襟裳岬」も大ヒットし、ロック/ポップス系のアーティストによる歌謡曲歌手への楽曲提供が徐々にシーンに定着していくことになった。さらにそうした提供楽曲を集めて自らカヴァーしたアルバムを出すというのも、日本では吉田拓郎が先駆。小坂一也、中村雅俊、森山良子、キャンディーズ、小柳ルミ子らに提供した楽曲の自演ヴァージョンを中心に構成されたアルバム『ぷらいべえと』を1977年にリリースしている。本曲もそこに収められていたものだ。
11. メッセージ・ソング / ピチカート・ファイヴ

そして最後は今週のゲスト、小西さんもの。先週、番組でもオンエアしたこの曲のオリジナル・ヴァージョンからどうぞ。もちろん、ヴォーカルはわれらがマイティ・シンガー、野宮真紀。1996年から97年にかけて、NHK『みんなのうた』でオンエアされた名曲です。
12. メッセージ・ソング / PIZZICATO ONE

それを作者である小西さん自身が“ピチカート・ワン”名義で歌ったこのライヴ音源を改めて味わいながら、今回のストリーミング・プレイリストは幕。

解説:萩原健太

小西康陽さんをゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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