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第357回 萩原健太のotonanoラジオ#240

2024/05/07 公開

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その2)

1.

RYUSENKEI

月のパルス

『イリュージョン』

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その2)

2.

RYUSENKEI

静かな恋のメロディ

『イリュージョン』

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その2)

3.

RYUSENKEI

帰郷

『イリュージョン』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#240

『1960〜70年代ソウル・ミュージックの戦争反対メッセージを含む名曲』

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各社ストリーミング事情によってリスト内容や表記が異なる可能性があります。予めご了承ください。

1. What’s Goin’ On / Marvin Gaye

先週に引き続き、RYUSENKEIのクニモンド瀧口さんとSincereさんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。新体制で心機一転のRYUSENKEIがこれからどんな活動を繰り広げてくれるか、楽しみです。ニュー・アルバム『イリュージョン』でもいろいろと新たな魅力をお披露目してくれていました。そのうちのひとつが、様々な社会問題に対する彼らなりの視点というか、メッセージというか、そういったものが曲によって歌詞に反映されるようになったこと。政治への疑問を託した「モンキー・ビジネス パート2」とか、恋愛模様を綴っているようでいて背景に戦争に対する思いが見え隠れする「もしかしたら2人」とか。まさにRYUSENKEIの新境地。
というわけで、今週のプレイリストは、きっとRYUSENKEIにも大きなインスピレーションを与えているであろう1960〜1970年代のソウル・ミュージックで、戦争反対のメッセージを含む名曲をいくつかピックアップしてみました。こういう曲たちが半世紀という歳月を経て今なお意味を持ってしまうということは、なんというか、こう、人間の愚かさというものは時を重ねても変わらないんだな…ということでもあり。ある種の絶望すら感じてしまうわけですが。それでも争いのない世の中をやっぱりぼくたちは目指したいものです。RYUSENKEIもそんな思いで「もしかしたら2人」を作ったのだろうな、と。そんなことを考えつつ、まずはクニモンド瀧口さんに計り知れない影響を与えたであろう超名曲、マーヴィン・ゲイが1971年に放った「ホワッツ・ゴーイン・オン」を。当時のアメリカに暗い影を落としていたベトナム戦争に出征していた弟が手紙で伝えてきた現地の壮絶な状況や、サンフランシスコで反戦デモを行なっていた若者たちに対する警察隊の暴力行為などを受けて、マーヴィン・ゲイが“今、何が起きているのか”をソウルフルに歌った1曲です。“War is not the answer”、つまり“戦争は答えじゃない”という言葉に続けて、マーヴィンは“憎しみに勝るもの、それは愛だけだ”とメッセージします。
2. We Got To Have Peace / Curtis Mayfield

「ホワッツ・ゴーイン・オン」と同じ1971年、カーティス・メイフィールドも泥沼化するベトナム戦争に対して強いメッセージを放ちました。“平和でなければいけない/世界を存続させるためにも/戦争を終わらせなければ…”と歌い出し、“そうすることで子供たちを救おう”と、ソウルフルなグルーヴに乗せて訴えます。
3. War / Edwin Starr

ブルース・スプリングスティーンのカヴァーでもおなじみ。「黒い戦争」という邦題で知られる1970年の大ヒットです。“戦争なんて何の意味もない/無垢な命を奪うだけ/出征した息子を失った何千人もの母親が涙を流すだけ…”というストレートなメッセージが強烈。
4. Bring The Boys Home / Freda Payne

「バンド・オヴ・ゴールド」の大ヒットで知られるポップ・ソウル・クイーン、フリーダ・ペインによる反戦ソング。1971年、混乱を極めるベトナムの戦地へ軍隊を送り込むことへの疑念を提示した曲としてアメリカ国内では大きな支持を得たものの、国外の米軍放送などでは放送禁止措置を受けたとか。確かに、当時日本のFEN(現・AFN)では耳にしなかったような…。
5. Harvest For The World / The Isley Brothers

1976年の名曲。社会に渦巻く多くの問題に対して広くメッセージを送る曲ですが、最後のヴァース、“平和を願っているだけなのにぼくは武装させられる/代償を払い、すべて失って家に帰る/どの国も次々と野獣に変わる/世界に収穫の時がやってくるのはいつになるのだろう…”と歌われています。
6. What The World Needs Now Is Love〜Abraham, Martin And John / Tom Clay

ハル・デヴィッドが1960年代半ば、米国が大規模な軍事介入を本格化させ始めたベテナム戦争のことを憂い、いつか自分の子供たちも戦争に駆り出されることになるのだろうか…という思いを託しながら作詞した「世界は愛を求めてる」(作曲はバート・バカラック)と、リンカーン大統領、キング牧師、そしてケネディ大統領という、社会に変革をもたらしながら暗殺されてしまった者たちのことを歌った「エイブラハム、マーティン&ジョン」をメドレーにしたプロテスト・ソング。1971年、当時ロサンゼルスのラジオDJだったトム・クレイがブラックベリーズとともにレコーディングし、大ヒットしました。
7. Front Line / Stevie Wonder

この曲だけ1980年代の作品。スティーヴィー・ワンダーが1982年、ベスト・アルバムに収録する新曲としてレコーディングしたナンバーです。ベトナム戦争帰還兵の視点で語られる戦争の“その後”。人を殺してはいけないと教えられながら育ったにもかかわらず、1964年に16歳でベトナムに志願して出征した主人公が、戦地で足を失い帰還。勲章を授与されはしたものの、台無しにされた生活はもう二度と元には戻らない…と歌われています。
8. Man Of War / The Jacksons

マイケルを含むジャクソン兄弟が1977年、名匠ケニー・ギャンブル&レオン・ハフのプロデュースの下、リリースした真摯な反戦ソング。“戦争を仕掛ける大人たち/もう戦いを仕掛けるのはやめにして/平和を築くことを学んだらどうだ?”とメッセージします。
9. I Could Never Be President / Johnnie Taylor

ゴスペル、ブルース、R&Bなど幅広いジャンルで活躍したサザン・ソウル・シンガー、ジョニー・テイラーが1969年に放ったヒット。もし自分が大統領に選ばれたら、ベトナムに送り込まれた兵士たちを全員帰還させ、自分の恋人を世界から守るために再配置するだろう…という内容で。真っ向からの反戦歌ではないものの、戦争に対する疑念を独自の形でフィーチャーした1曲でした。
10. Did You Hear What They Said? / Gil Scott-Heron

米国の公民権運動に多大な影響を与えた詩人、ギル・スコット・ヘロンも多くの反戦メッセージをとなえてきたひとりです。彼が1972年に発表したこの曲では、ベトナムで頭を撃たれた兵士の死を巡り、ある者は“それは国を救うためだった”と語り、母親は“ひとり息子が命を奪われた”と泣いたことが描かれ、最後“おい、ちょっと待て、こんなことが現実であっていいはずがない”と繰り返し歌われます。
11. Peace / The O’Jays

1950年代からソウル・シーンを牽引してきたオージェイズ。彼らが1972年に発表したこの曲は、ベトナム戦争に特化したものではなく、より広い視点で反戦を訴えたナンバーです。宗教的/聖書的な切り口も盛り込みながら、“いつ終わるのかという人々の声が聞こえる…”と歌い、世界が愛と平和を取り戻せるよう訴えます。
12. Cry / Joe Bataan

ラテン・ソウル・アーティスト、ジョー・バターンが1971年にリリースしたシングル。ある兵士による“自分はベトナムの塹壕に身を潜めている”という告白からスタートする1曲です。ともに臭い塹壕にいる同僚兵士は、遠く離れた故郷のガールフレンドから別れの手紙を受け取っており、“そういうときは泣けば気分もよくなるさ”と慰めるのですが、“俺たち、何のために戦争してるんだろうな?”という問いかけに、彼は“まったく何のためにもなってないよ”と答えるのでした。
No more war!

解説:萩原健太

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第356回 萩原健太のotonanoラジオ#239

2024/04/30 公開

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その1)

1.

RYUSENKEI

スーパー・ジェネレイション

『イリュージョン』

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その1)

2.

RYUSENKEI

タイム・トラベラー

『イリュージョン』

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その1)

3.

RYUSENKEI

あなたはトリコ

『イリュージョン』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#239

『マイ・フェイヴァリットRYUSENKEI 2004-2022』

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1. 3号線 / 流線形

今週の『otonanoラジオ』、“流線形”から“RYUSENKEI”へと表記を変え、リード・ヴォーカルにシンシアさんを迎えた新生RYUSENKEIがゲスト。クニモンド瀧口さんとシンシアさんのお話、いろいろ興味深かったですね。来週もニュー・アルバム『イリュージョン』についてあれこれ深くお話をうかがう予定です。楽しみ。 というわけで、RYUSENKEIの『otonanoラジオ』初登場を祝しまして、ぼくが好きなRYUSENKEIの楽曲集。“流線形”表記時代、彼らはコラボレーションものも含めて6作のフル・アルバムをリリースしているので、それぞれから2曲ずつ、計12曲、セレクトしてみました。年代順に並べてあります。まずは2004年にリリースされた流線形のファースト・アルバム『CITY MUSIC』より、彼らの代表曲のひとつ「3号線」を。このときの流線形は、クニモンド瀧口(ギター)、林有三(キーボード)、押塚岳大(キーボード)の3人組。このときフィーチャーされていたリード・ヴォーカルはサノトモミでした。
2. フライデーナイト / 流線形

『CITY MUSIC』からもう1曲。アルバムのオープニングを飾っていた「3号線」に続いて、ラストを締めくくっていたこの曲「フライデーナイト」です。
3. レインボー・シティ・ライン / 流線形

2006年のセカンド・アルバム『TOKYO SNIPER』から流線形はバンド形式ではなく、クニモンド瀧口のソロ・プロジェクトへ。ヤマカミヒトミ、小山晃一、丈青 など注目の若手腕ききミュージシャンを従えつつ構築された1枚でした。そこからまず「レインボー・シティ・ライン」をセレクト。ヴォーカルは江口ニカ。
4. 雨のシンデレラ / 流線形

『TOKYO SNIPER』からの2曲目は、やはりアルバムのクロージング・ナンバー「雨のシンデレラ」です。
5. ムーンライト・イブニング / 流線形&比屋定篤子

続いては比屋定篤子とのコラボレート・アルバムとして2009年にリリースされた『ナチュラル・ウーマン』より。比屋定篤子のセルフ・カヴァーものや、大貫妙子、八神純子のカヴァーなども含まれていましたが、そのアルバムからクニモンド瀧口の書き下ろし曲を。
6. ナチュラル・ウーマン / 流線形&比屋定篤子

比屋定さんとのコラボ・アルバム『ナチュラル・ウーマン』より、そのタイトル・チューンです。
7. 悲しいくらいダイヤモンド / 流線形&一十三十一

NHKドラマ『タリオ 復讐代行の2人』オリジナル・サウンドトラックという形で2020年にリリースされた『Talio』は、“流線形/一十三十一”という連名でのリリースでした。その中から作詞:一十三十一、作曲:クニモンド瀧口によるリード・トラックをどうぞ。もちろんヴォーカルは一十三十一。
8. 嘘つき手品 / 流線形&一十三十一 (feat. 堀込泰行)

『Talio』には後に本格的にタッグを組むことになるヴォーカリスト、元キリンジの堀込泰行も参加していました。彼の歌声も聞くことができる1曲です。
9. トワイライト・シャドウ / ナツ・サマー&流線形

2022年、流線形はシンガー・ソングライター、瀧川ありさとの共演シングルもリリースしていますが、これはクニモンドさんがソングライティングに関わっていない楽曲なので割愛させていただいて。同年、ナツ・サマーとのタッグの下、リリースされたアルバム『サン・キスド・レディ』からの曲をいきましょう。
10. One / ナツ・サマー&流線形

これもナツ・サマーのヴォーカルをフィーチャーした『サン・キスド・レディ』からの1曲です。
11. ふたりのシルエット / 流線形 (feat. 堀込泰行)

そして前出、堀込泰行をメイン・ヴォーカルに迎えたアルバム『インコンプリート』からのナンバーです。2022年、ナツ・サマーとの共演盤が出た直後にリリースされました。流線形の単独名義でのアルバム・リリースはこれが16年ぶり。男声ヴォーカルをメインに据えた流線形サウンドというのがやけに新鮮でした。
12. 潮騒 / 流線形 (feat. 堀込泰行)

これも『インコンプリート』より。2012 年にリリースされた一十三十一『CITY DIVE』にクニモンド瀧口が提供した「人魚になりたい」という曲のオリジナル歌詞ヴァージョンです。

解説:萩原健太

RYUSENKEI(クニモンド瀧口さん、Sincereさん)をゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第355回 萩原健太のotonanoラジオ#238

2024/04/23 公開

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その2)

1.

UGUISS

Turn Up Your Radio

『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その2)

2.

UGUISS

Lunch Break

『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その2)

2.

UGUISS

Songbird

『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#238

『40年前UGUISSと一緒に聞いていたアメリカン・ロック集』

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1. Mad Love / Linda Ronstadt

結成40周年イヤーをお祝い中の幻のロック・バンド、UGUISS。彼らが残したすべての音源をアナログLP2枚組にまとめた『UGUISS(1983-1984)~40th Anniversary Vinyl Edition~』のリリースに合わせ、先週に引き続き佐橋佳幸、柴田俊文、松本淳という3人のオリジナル・メンバーをお迎えした『otonanoラジオ』。今週も盛り上がりました。さて、今週のプレイリストのテーマは、申し訳ない、ちょっとぼんやりしたものなんですが(笑)、洋楽ファンのぼくが40年前、UGUISSのアルバムを聞きながら、あ、こいつら、こういう音楽の仲間だな…とイメージしたアメリカン・ロック・ナンバーをざっくり集めてみました。UGUISSがこういう曲をパクったとか、そういうことではけっしてなく。この中にUGUISSの音源を混ぜ込んでもしっくりくる、みたいな? あくまでもぼくが個人的に、こういう曲たちと一緒にUGUISSのレコードを聞いていた、と。そういうセレクションです。というわけで、まずは米西海岸の歌姫、リンダ・ロンシュタットのナンバー。1980年のアルバム『激愛(Mad Love)』のオープニングを飾っていたアルバム・タイトル・チューンです。UGUISSの山根栄子さんもリンダに負けないくらいかっこいいリード・ヴォーカルだったなぁ…。
2. Kiss This One Goodbye / Andrew Gold

佐橋佳幸が多大な影響を受けたアーティストのひとり、アンドリュー・ゴールドの1980年のアルバム『風にくちづけ(Whirlwind)』より。アルバムの邦題はこの曲につけられたものでした。
3. A Certain Girl / Warren Zevon

これも1980年のアルバム、ウォーレン・ジヴォンの『ダンシング・スクールの悲劇(Bad Luck Streak in Dancing School)』より。ニューオーリンズR&Bシーンの重要人物、アラン・トゥーサンが作ってアーニー・K・ドーが1961年にヒットさせた曲のカヴァーです。バック・コーラスにジャクソン・ブラウンも参加しています。
4. Think About Me / Fleetwood Mac

フリートウッド・マックが1979年にリリースしたアルバム『牙(タスク)』より。この時期に人気を二分していたふたりの女性メンバーのうち、クリスティン・マクヴィーの作品です。
5. Stand Back / Stevie Nicks

フリートウッド・マック、もうひとりの女性メンバー、スティーヴィー・ニックスの歌声も。UGUISSがデビューした1983年にリリースされたセカンド・ソロ・アルバム『ザ・ワイルド・ハート』の収録曲です。
6. Back In My Arms / Nicolette Larson

UGUISSも活動初期、カヴァーしていたというニコレット・ラーソン。彼女が1979年にリリースしたセカンド・アルバム『愛の季節(In the Nick of Time)』より。リトル・フィートやドゥービー・ブラザーズのメンバーを従えつつ、ダイアナ・ロス&スプリームスのヒット曲をのびのびカヴァーしています。
7. Straight From The Heart / Little Feat

今名前が出たリトル・フィートの曲もひとつ。ローウェル・ジョージを含むラインアップでリリースされた最後のアルバム、1979年の『ダウン・オン・ファーム』からの1曲です。
8. Change In Luck / Valerie Carter

ウェストコーストを代表するセッション・シンガーでもあったヴァレリー・カーターが1978年にリリースしたセカンド・ソロ・アルバム『ワイルド・チャイルド』からのナンバー。無数のヒット曲を生み出したソングライター、トム・スノウの作品です。
9. Young Blood / Rickie Lee Jones

トム・ウェイツ、ローウェル・ジョージといった米西海岸シーンの大物の人脈から登場したリッキー・リー・ジョーンズ。彼女が1979年にリリースしたデビュー・アルバム『浪漫(Rickie Lee Jones)』からの1曲です。マイケル・マクドナルド、ドクター・ジョン、ウィリー・ウィークス、スティーヴ・ガッド、ジェフ・ポーカロ、アンディ・ニューマーク、ニック・デカロ、バジー・フェイトン、ニール・ラーセン、アーニー・ワッツ、トム・スコットら豪華なサポート陣も大いに話題を呼びました。
10. Heartache Tonight / Eagles

鳥の名前をバンド名にしている、という意味では、UGUISS直属の大先輩にあたるイーグルス。彼らが1980年にリリースしたアルバム『ザ・ロング・ラン』からのナンバーを。
11. You Dream Flat Tires / Joni Mitchell

カナダ出身ながら、当時のロサンゼルス・シーンを代表する活躍を展開していた偉大なシンガー・ソングライターのひとり、ジョニ・ミッチェルが1982年にリリースしたアルバム『ワイルド・シングス・ラン・ファスト』より。途中、ライオネル・リッチーがデュエット・パートナーとしてヴォーカルを聞かせています。
12. Hard Times / James Taylor

そしてラストは先日来日して素晴らしいコンサートを届けてくれたジェイムス・テイラー。やはり佐橋佳幸に大きな影響を与えたひとりですが。彼が1981年にリリースしたアルバム『ダディーズ・スマイル(Dad Loves His Work)』のオープニングを飾っていたナンバーで今回のプレイリストを締めましょう。

解説:萩原健太

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第354回 萩原健太のotonanoラジオ#237

2024/04/16 公開

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その1)

1.

UGUISS

Sweet Revenge

『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その1)

2.

UGUISS

Cause Of Life(夢を抱きしめて)

『UGUISS (1983-1984) ~40th Anniversary Vinyl Edition~』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#237

『J-POPシーンの基礎を作った1983年ナンバー集』

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1. 探偵物語 / 薬師丸ひろ子

1983年にデビューを果たしながらも、短い活動期間で解散してしまった幻のロック・バンド“UGUISS”から、佐橋佳幸、柴田俊文、松本淳というオリジナル・メンバーお三方をお迎えして賑やかにお届けした『otonanoラジオ』。デビュー40周年イヤーを記念して、彼らが残したすべての音源をアナログLP2枚組にまとめた『UGUISS (1983-1984)~40th Anniversary Vinyl Edition~』の話題を中心に、あれこれわいわい盛り上がりました。楽しかったですねー。

彼らがデビューした1983年、日本のポップ・シーンはまだまだ発展途上で。UGUISSのようなアメリカン・ロック志向のバンドはなかなか受け入れてもらえない状況でした。それゆえ、残念ながら彼らも短命に終わってしまったわけですが。それでもこの時期、日本のシーンが大きく変わろうとしていたことは事実。以前、やはり1983年にデビューを果たした斎藤誠くんが番組のゲストに来てくれたとき、1983年デビュー組(もちろんUGUISSも)を集めてプレイリストを作ったことがありましたが、その顔ぶれを眺めてもこの時期が変わり目だったんだことがわかります。

ということで、今回もまたUGUISSのデビュー年にあたる1983年を振り返るプレイリスト。この時期、それまで日本の本流=メインストリームだった歌謡ポップスの世界に、当時そのサブストリーム=傍流だったロック/ポップス(“ニュー・ミュージック”とか呼ばれてました)系のアーティストが曲提供することが多くなってきました。このメインとサブ、ふたつの流れが交錯することでその後のJ-POPシーンの基本が作られていくことになるわけですが。そんな状況を象徴する1983年のナンバーをざっくり集めてみました。当時の歌謡ポップス系シンガーに、ニュー・ミュージック系アーティストが提供した楽曲群。まずは大滝詠一師匠が薬師丸ひろ子に提供したこの曲から。盟友・松本隆が作詞を手がけた薬師丸主演映画の主題歌です。1983年5月発売。
2. 天国のキッス / 松田聖子

続いては大滝さん、松本さんとともに、日本のロックの礎を築いたバンド“はっぴいえんど”を結成していた細野晴臣による聖子ちゃんへの提供曲。作詞はもちろん松本隆です。1983年4月発売。
3. TAKESHIの、たかをくくろうか / ビートたけし

細野さんとYMOを結成していた坂本龍一教授の楽曲です。1970年代の谷川俊太郎の詩に、教授が曲をつけ、ビートたけしが歌った名作。1983年5月発売。たけしの『オールナイトニッポン』のエンディング・テーマにも使われていました。
4. 時をかける少女 / 原田知世

原田知世主演による同名映画の主題歌。この時期、ソングライターとしてもたくさんの提供曲をヒットさせていたユーミンの作詞作曲です。ソングライターとしては“呉田軽穂”というペンネームを使うことも多かった彼女ですが、この曲は“松任谷由実”名義での提供。1983年4月発売。
5. 春なのに / 柏原芳恵

ユーミンとくれば、みゆき。中島みゆきが芳恵ちゃんに提供した卒業ソングの傑作です。1983年1月発売。
6. 毎日僕を愛して / 郷ひろみ

坂本龍一がプロデュースを手がけ、YMO関連の面々が音作りをサポートした郷ひろみのアルバム『比呂魅卿の犯罪』の収録曲。このアルバムには忌野清志郎、中島みゆきらもソングライターとして関わっていましたが、そんな中から矢野顕子が提供したこの曲を。1983年4月発売。
7. Ash Wednesday / 川島なお美

お次は杉真理の作曲ナンバー。川島なお美、5作目のシングルです。作詞は田口俊。1983年1月発売。
8. 追跡 / 河合奈保子

杉さんの大学サークルの後輩、竹内まりやもたくさんの楽曲をアイドルたちに提供していますが、中でも有名なのが河合奈保子に1982年に提供した「けんかをやめて」と「Invitation」。その2曲を収録したアルバム『あるばむ』が1983年1月に発売されましたが、そのA面5曲が竹内まりや関連の楽曲、B面が来生たかお関連曲という構成になっていました。というわけで、そのA面からこの曲を。まりやさんの作詞作曲です。
9. 1/2の神話 / 中森明菜

明菜ちゃんも、来生たかお、細野晴臣、井上陽水など、興味深い顔ぶれのソングライターを起用して次々ヒットを飛ばしてきましたが、この曲は大沢誉志幸が作曲を手がけたシングルです。作詞は売野雅勇。1983年2月発売。
10. 僕 笑っちゃいます / 風見慎吾

萩本欽一による人気バラエティ番組『欽ちゃんの週刊欽曜日』から生まれたヒット。番組内で風見慎吾がふと口にしたセリフを元に、森雪之丞が歌詞をまとめ、吉田拓郎が作曲した1曲でした。1983年5月発売。
11. Miss You Baby / 上田正樹

村上龍の原作・監督による映画『だいじょうぶマイ・フレンド』のサウンドトラック・アルバム(音楽監督は加藤和彦)に桑田佳祐が提供した名曲。歌は上田正樹。前年に大ヒットした「悲しい色やね」に続くシングルとしてもリリースされました。1983年4月発売。
12. Tシャツに口紅 / ラッツ&スター

1曲目にセレクトした「探偵物語」に続き、締めも大滝さんの提供曲で。1983年9月発売のシングルです。これももちろん作詞は松本隆。

解説:萩原健太

UGUISS(佐橋佳幸さん、柴田俊文さん、松本淳さん)をゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第353回 萩原健太のotonanoラジオ#236

2024/04/09 公開

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その2)

今週のオンエア曲

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その2)

1.

グソクムズ

眩しい日々へ

『ハロー!グッドモーニング!』

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その2)

2.

グソクムズ

マイガール

『ハロー!グッドモーニング!』

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その2)

3.

グソクムズ

あるサンセット

『ハロー!グッドモーニング!』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#236

『何かの始まりを予感させる「グッドモーニング」な12曲』

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1. グッドモーニング / グソクムズ ハロー!グッドモーニング!

先週に引き続き、グソクムズのたなかえいぞをさんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。楽しかったですね。先週は彼らがリリースしたばかりのメジャー・デビュー・アルバム『ハロー!グッドモーニング!』のアルバム・タイトルに触発されて、“ハロー”という、まさに4月、新しい季節の始まりにぴったりのボジティヴ・ワードがタイトルに入った歌を12曲集めたプレイリストを作りましたが。じゃ、今週は“グッド・モーニング”のほうだな、と(笑)。“グッド・モーニング”という、これまた何かの始まりを予感させるひとことがタイトルになっている曲を集めてみました。洋楽にも、たとえばビートルズの「グッド・モーニング・グッド・モーニング」からディディの「ハロー・グッド・モーニング」まで、古今の“グッド・モーニング”ソングがあるけれど、前回すべて邦楽で集めたので、今回も邦楽で。というわけで、まずはグソクムズ自身から。出たばかりの『ハロー!グッドモーニング!』から、そのアルバム・タイトル・ソングに近い存在のこの曲を。作詞・作曲はゲストに来てくれた、たなかえいぞをさんです。
2. Good Morning / 藤原さくら

2016年、19歳だった藤原さくらがリリースしたメジャー・ファースト・アルバムがずばり『good morning』というタイトルでした。そのタイトル・チューンを。
3. Good Morning! / 槇原敬之 Good Morning! - EP

2003年リリース。槇原敬之の30枚目のシングルです。なんとコーラスに格闘家の角田信朗が参加してます。
4. グッド・モーニング・スターシャイン / ガロ

これは洋楽カヴァー。1969年に米国のシンガー・ソングライター、オリヴァーが全米3位に送り込んだ曲です。ロック・ミュージカル『ヘアー』から生まれた作品ですが、それを独自のコーラス・ハーモニーが売り物だった3人組グループ、ガロが1970年、アルバム『GARO 2』でカヴァーしたヴァージョン。ちなみに、『ヘアー』は日本でも日本人キャストによって公演されましたが、そのキャストの中にガロ結成以前の堀内護と大野真澄がいたこともこのカヴァーのきっかけになったのでしょう。
5. Good Morning / 鈴木さえ子

1985年に鈴木さえ子がリリースしたサード・アルバム『緑の法則』より。プロデュースは鈴木慶一。
6. Good Morning / 山崎まさよし

1997年のアルバム『STEREO 2』のオープニング・ナンバー。後に朝のテレビ情報番組のテーマ曲にもなってました。
7. Good Morning / Fishmans

1991年にリリースされたフィッシュマンズのファースト・アルバム『Chappie, Don't Cry』より。創設メンバーのひとり、ギターの小嶋謙介の作品です。
8. Good Morning / Chelmico

女の子2人組ラップ・グループ、チェルミコが2018年にリリースしたメジャー・デビュー・アルバム『POWER』より。
9. GOOD MORNING / THE BAWDIES

ボウディーズが2010年にリリースした通算4作目、メジャーからのセカンド・アルバム『THERE'S NO TURNING BACK』より。もちろんROYの作品です。
10. グッドモーニング / くるり

2004年、5作目のオリジナル・アルバム『アンテナ』のオープニング・ナンバーです。
11. Good Morning / 佐藤博

1990年、東京とロサンゼルスで録音された佐藤博、10作目のソロ・アルバムのタイトル・チューンです。
12. Good! Morning / 松任谷由実

前回の“ハロー”編に引き続き、ラストはやっぱりユーミンで。これも朝のテレビ情報番組のテーマ曲でした。2020年のアルバム『深海の街』より。

解説:萩原健太

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その2)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

Kenta's...Nothing But Pop!

第352回 萩原健太のotonanoラジオ#235

2024/04/02 公開

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その1)

今週のオンエア曲

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その1)

1.

グソクムズ

ガーリーボーイ

『ハロー!グッドモーニング!』

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その1)

2.

グソクムズ

ユメのはじまり。

『ハロー!グッドモーニング!』

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その1)

3.

グソクムズ

君の隣

『ハロー!グッドモーニング!』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#235

『新しい季節に聴きたい「ハロー」な12曲』

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1. Hello Love / MISIA

東京・吉祥寺を中心に活動する4人組バンド、グソクムズのたなかえいぞをさんをゲストにお迎えした『otonanoラジオ』。2021年にインディーズからアルバムをリリースして以来、ぐんぐん注目度を上げてきたグソクムズですが、4月にいよいよメジャー・デビュー・アルバム『ハロー!グッドモーニング!』をリリースするということで、いろいろ興味深いお話をうかがいました。ぼくのような世代の耳にもしっくり響いてくるエヴァーグリーンな要素と、今、この時代ならではの空気感とが共存する彼らの音世界が今後どんなふうに広がっていくのか、楽しみですねー。
で、今回のプレイリスト。ちょっと大ざっぱなテーマではありますが。このグソクムズの新作アルバムのタイトル。『ハロー!グッドモーニング!』って。超前向きなテイストが印象的だったもんで(笑)。“ハロー”という、まさに4月、新しい季節の始まりにぴったりのボジティヴ・ワードがタイトルに入っている歌ってのを12曲集めてみました。まずはMISIA。2021年のアルバム『Hello Love』のタイトル・チューンです。藤井風の提供曲。
2. Hello, Again 〜昔からある場所〜 / My Little Lover

続いてはマイラバ。1995年のサード・シングルです。この年の後半は街じゅうでこの曲ばっかかかっていた記憶が…(笑)。
3. Hello! Orange Sunshine / JUDY AND MARY

次はジュディマリ。1994年のシングルです。いやなことがあっても、大丈夫、次だ次! って勢いがよろしいですねー。
4. HELLO / YUI

ここから3曲はずばり「ハロー」ひとことがタイトルになっている曲。まずは2011年にヒットしたこの曲。映画『パラダイス・キス』のテーマ・ソングとして書き下ろされた楽曲なので「HELLO 〜Paradise Kiss〜」というタイトル表記もあり。
5. HELLO / Official髭男dism

今回いちばん新しい選曲かな。2020年のナンバー。朝のテレビ情報番組のテーマ曲ということで、このタイトルになったのかな。
6. HELLO / 福山雅治

30年くらい前のことではありますが。1995年、この曲もずいぶんとヒットしたなぁ。いちばん有名な「ハロー」かも。
7. ハロー・ハロー / Superfly

次は“ハロー”の二連発ものをふたつ。まずはまだ越智志帆+多保孝一の二人体制だったスーパーフライが2007年にリリースしたシングルです。これもメジャー・デビュー盤だったっけ。
8. Hello Hello / 小田和正

“ハロー”二連発ものをもうひとつ。小田さんです。2011年のアルバム『どーも』の収録曲。小田さんの得意ワード“どーも”の英訳が“ハロー”ですかね。コンサートのメンバー紹介のときとかにおなじみのナンバー。
9. ハローハローハロー / クラムボン

せっかくなので、“ハロー”三連発も。クラムボンが2005年にリリースしたアルバム『てん 、』の収録曲です。
10. Hello My Love / サザンオールスターズ

1981年にリリースされたサザン4作目のオリジナル・アルバム『ステレオ太陽族』のオープニングを飾っていたナンバーです。
11. いじわるなハロー / Perfume

2014年の4曲入りシングル「Cling Cling」に収められていた人気曲。とんでもないツンデレ・ナンバー。男子は翻弄されちゃうわけです。
12. Hello, My Friend / 松任谷由実

“ハロー”プレイリスト。ラストはやはり決定版という感じでユーミンを。1994年のナンバー。稲垣潤一、綾瀬はるか、土岐麻子、ハナレグミ、JUN SKY WALKER(S)など多彩なアーティストがカヴァーしまくってきた名曲です。

解説:萩原健太

たなかえいぞをさん(グソクムズ)をゲストに迎えて(その1)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第351回 萩原健太のotonanoラジオ#234

2024/03/26 公開

大滝詠一『EACH TIME 40th Anniversary Edition』特集(能地祐子さんをゲストに迎えて)

今週のオンエア曲

大滝詠一『EACH TIME 40th Anniversary Edition』特集(能地祐子さんをゲストに迎えて)

1.

大滝詠一

恋のナックルボール(40th Anniversary Version)

『EACH TIME 40th Anniversary Edition』

大滝詠一『EACH TIME 40th Anniversary Edition』特集(能地祐子さんをゲストに迎えて)

2.

大滝詠一

木の葉のスケッチ(40th Anniversary Version)

『EACH TIME 40th Anniversary Edition』

大滝詠一『EACH TIME 40th Anniversary Edition』特集(能地祐子さんをゲストに迎えて)

3.

大滝詠一

ペパーミントブルー(40th Anniversary Version)

『EACH TIME 40th Anniversary Edition』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#234

『祝・40周年!<EACH TIME>をより楽しむための12曲』

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1. オリーブの午后 / NIAGARA FALL OF SOUND ORCHESTRAL

能地祐子をゲストに迎え、1984年にリリースされた大滝詠一、生前最後のオリジナル・アルバム『EACH TIME』の発売40周年記念エディションの特集をお届けした『otonanoラジオ』。ほんの30分ではあの傑作アルバムの魅力をすべて伝えきれるわけもなく。ほんのサワリをご紹介するだけで終わってしまいましたが。楽しんでいただけていればうれしいです。で、この『EACH TIME』というアルバム。1984年にLPレコードで出て以来、再発のたびに新たな曲が追加されたり、曲順が変わったり、ヴァージョンが変わったり。完成形が見えない、まるでサグラダ・ファミリアみたいなアルバムでありました。大滝さんご本人も生前、どうしても『イーチ・タイム』の完成形がイメージできないと首をひねっていらっしゃったものです。

でも、オリジナル・リリースから40年を経た今。もはやアーティスト側がアルバムという形で決めた曲順ではなく、リスナー側がそれぞれ自分の思いのまま曲順を並べ替えたプレイリストで音楽を楽しむことがごく普通になっていて。大滝さんはもしかしたら、40年前からこうした現在のリスニング形態を予見していたのかも、とすら思えてきます。そして、そのプレイリストに加えられるべきは『EACH TIME』のオリジナル・アルバム収録曲だけでなく、『EACH TIME』のレコーディング・セッションの前後、大滝さんが手がけた様々な曲たちなのではないか、と。まあ、そんなコンセプトの下、セレクトした10曲、プラス『EACH TIME』の原点とも言えそうな大滝ソロ作品2曲、というプレイリスト、作ってみました。

まずは1982年6月、“ナイアガラ・フォール・オヴ・サウンド・オーケストラル”名義で出た『ナイアガラ・ソングブック』というアルバムからの曲。井上鑑編曲による壮麗なストリングス・サウンドで、『ロング・ヴァケイション』や『ナイアガラ・トライアングルVOL2』の収録曲などをリメイクした作品でしたが。このストリングス・アンサンブルがやがてリリースされる『EACH TIME』サウンドの要となったのでありました。
2. イエロー・サブマリン音頭 / 金沢明子

続いて1982年11月リリースのこれ。日本を代表する民謡歌手、金沢明子をフロントに立てて、ビートルズが1966年に発表した「イエロー・サブマリン」を大滝さんのプロデュースの下、音頭アレンジで聞かせた超アナーキーな1曲です。歌詞を提供したのは、音楽による短篇集などとも言われる『EACH TIME』の物語を紡ぎ上げた盟友・松本隆。“訳詞”ではなく“作詞”とクレジットされているところも泣けます。ここで聞くことができる様々な効果音の使い方も、やがて『EACH TIME』収録の「魔法の瞳」や「恋のナックルボール」などで花開くことになります。
3. 四月のラブレター / 松田聖子

これも「魔法の瞳」の原型と言うべき1曲かも。1982年11月リリースの松田聖子のアルバム『Candy』に大滝さんが提供したナンバーです。もちろん作詞は松本隆。
4. Rock'n'roll Good-bye / 松田聖子

アルバム『Candy』に収められていたもう1曲の松本隆&大瀧詠一(アーティストとしては“大滝”、ソングライター/プロデューサーとしては“大瀧”、というのが生前から大滝さんが使い分けてきた表記なのでした)作品です。
5. 冬のリヴィエラ / 森進一

これも1982年11月リリースの松本=大瀧作品。『EACH TIME』レコーディング中に西武球場で行なわれた大滝さんのライヴでは、歌詞を英語にして「夏のリヴィエラ」として歌われたりもしました。
6. 探偵物語 / 薬師丸ひろ子

『EACH TIME』のレコーディング・セッションは1983年1月にスタート。収録曲のベーシック・レコーディングが続く中、2月、その流れの下でレコーディングされたのが薬師丸ひろ子のシングル「探偵物語」でした。薬師丸さん主演映画の主題歌。同年5月にリリースされたこの曲は、まさに『EACH TIME』への予告編としてぼくたち大滝ファンの胸を大いに高鳴らせてくれたのでした。作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。
7. すこしだけ やさしく / 薬師丸ひろ子

こちらは「探偵物語」のシングルB面曲。もちろん松本=大瀧作品です。
8. Tシャツに口紅 / ラッツ&スター

『EACH TIME』のレコーディングは1984年2月までみっちり続いたのですが、実は1983年3月いっぱいまで作業した後、いったん中断期間がありました。その中断中にレコーディングされたのがバンド名を“シャネルズ”から改名したばかりのラッツ&スターへの提供曲「Tシャツに口紅」。大滝さんが米R&Bヴォーカル・グループのほうのドリフターズの味を意識して作ったこの曲も、『EACH TIME』への重要な予告編でした。作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。
9. 星空のサーカス (口笛Version) / ラッツ&スター

「Tシャツに口紅」のカップリング曲。もちろん同じセッションでレコーディングされたものです。これも作詞:松本隆、作曲:大瀧詠一。
10. バチェラー・ガール / 稲垣潤一

繰り返しになりますが、『EACH TIME』が最初に世に出た1984年といえばCD黎明期。まだアナログLP中心のシーンだったため、オリジナル『EACH TIME』は収録時間の厳しい制限のもとで構成されていました。いい音質でカッティングしようと思うと片面5曲ずつ以上の収録は無理。おかげで同じレコーディング・セッションで録音された「フィヨルドの少女」と「バチェラー・ガール」の2曲は最初のLPには入らず、A面5曲、B面4曲の計9曲入りで発売されました。この2曲がシングル盤のAB面に収められて世に出たのは1985年11月になってから。さらにこの2曲を含む全11曲入りのアルバムが『COMPLETE EACH TIME』のタイトルの下、リリースされたのが1986年6月。この段階でようやく『EACH TIME』の全貌が世に出たわけですが。それに先駆けて、1985年7月、大滝さんはこの松本=大瀧作品を稲垣潤一に提供。稲垣潤一9枚目のシングルとして世にお披露目されました。
11. 水彩画の町 / 大滝詠一

と、ここまでが『EACH TIME』収録曲とともに楽しみたい10曲。ここから2曲は、『EACH TIME』の世界観の原点となっていそうな松本=大瀧作品を。まずは1972年、はっぴいえんど解散前に大滝さんがリリースした初ソロ・アルバム『大瀧詠一』の収録曲です。
12. 外はいい天気だよ '78 / 大滝詠一

こちらは、はっぴいえんどのラスト・アルバム、1973年の『HAPPY END』の収録曲を1978年、アルバム『DEBUT』で大滝さんが再演したヴァージョンです。はっぴいえんど解散後、大滝さんは基本的に自分ですべて作詞もしており、松本さんの詞を歌わなくなっていましたが、この『DEBUT』という半分ベスト盤的なアルバムには本曲を含め3曲の松本=大瀧作品の再演を収録。あー、やっぱり松本=大瀧というソングライティング・コンビは素晴らしいな、とぼくたちファンを喜ばせてくれたのでありました。

解説:萩原健太

大滝詠一『EACH TIME 40th Anniversary Edition』特集(能地祐子さんをゲストに迎えて)

●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第350回 萩原健太のotonanoラジオ#233

2024/03/19 公開

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

今週のオンエア曲

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

1.

ジェイムス・テイラー

きみの笑顔

『グレイテスト・ヒッツ 第2集』

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

2.

ジェイムス・テイラー

人生の秘密

『グレイテスト・ヒッツ 第2集』

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

3.

ジェイムス・テイラー

寂しい夜

『グレイテスト・ヒッツ 第2集』

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

4.

ジェイムス・テイラー

愛の恵みを

『(ライヴ)』

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

5.

ジェイムス・テイラー

きみの友だち

『(ライヴ)』

An Evening With James Taylor & His All-Star Band

2024年4月6日(土) 東京ガーデンシアター

https://udo.jp/concert/JamesTaylor24

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#233

『君の愛に包まれて~ジェイムス・テイラーCOVERコレクション』

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1. Mockingbird / Carly Simon & James Taylor

4月6日にたった一夜限り、久々の来日公演を行なうジェイムス・テイラーの歌声を特集してお送りした『otonanoラジオ』。いかがでしたか? ぼくははるか昔、高校生だった1970年代アタマに、デビューしたばかりのJTの魅力にどハマりして。以来、半世紀、ずっと彼の歌声とギターにやられっぱなし。1973年の初来日のこととか、いまだ鮮明に覚えています。そんな彼の歌声に間もなく、また改めて生で接することができるわけで。これは盛り上がらずにはいられません。番組でも5曲ほど彼の歌声をご紹介しましたが、そんなもんじゃ全然足りないから(笑)。

去年の暮れ、今回の来日が決定したときにもぼくが好きなJTの曲を集めたプレイリストを自分のブログで公開したことがあったのだけれど。そちらはJTのオリジナル曲集。JTは自分で曲を書くシンガー・ソングライターの代表格であると同時に、カヴァー曲のセレクト感覚も最高で。そっちの側面も評価したいなということで、こちらのプレイリストにはJTのカヴァーものを集めてみました。JTは過去、何作かカヴァー・アルバムも出していますが、それはあえて外した選曲です。

まずはかつての愛妻、カーリー・サイモンとのデュエットから。イスネ&チャーリー・フォックスという兄妹デュオが1963年に放ったポップR&Bヒットのカヴァー。カーリー&ジェイムスによる本ヴァージョンは1975年にシングル・リリースされて全米5位にランクしました。カーリー・サイモンのアルバム『ホットケーキ』(1974年)に収録。
2. How Sweet It Is (To Be Loved By You) / James Taylor

続いてはJTのソロ名義で、おなじく1975年に全米5位にランクしたシングル。これはマーヴィン・ゲイが1964年から65年にかけて全米9位に送り込んだヒットのカヴァーです。アルバム『ゴリラ』(1975年)に収録。
3. Up On The Roof / James Taylor

JTといえば、番組でもオンエアしたキャロル・キング作の「きみの友だち(You’ve Got a Friend)」を大ヒットさせたことでおなじみですが。そんなキャロル・キングが1963年、R&Bヴォーカル・グループのドリフターズに提供した本曲も、JTはアルバム『フラッグ』(1979年)でカヴァーしています。シングル・カットもされ、1979年に全米28位にランクしました。
4. The Promised Land / James Taylor

1974年のアルバム『ウォーキング・マン』より。1964年から65年にかけて、チャック・ベリーがヒットさせたロックンロールのカヴァーです。
5. Everybody Loves To Cha Cha Cha / James Taylor

1991年のアルバム『ニュー・ムーン・シャイン』の収録曲。偉大なソウルの先駆者、サム・クックが1959年に放ったヒットのカヴァーです。JTヴァージョンはシングル・カットもされ1992年に全米アダルト・コンテンポラリー・チャート19位にランクしました。
6. (The Man Who Shot) Liberty Valance / James Taylor

1985年のアルバム『ザッツ・ホワイ・アイム・ヒア』より。1962年にジーン・ピットニーがヒットさせた曲のカヴァーです。作者はバート・バカラック&ハル・デヴィッド。
7. I Think It’s Gonna Work Out Fine / Linda Ronstadt With James Taylor

1982年、リンダ・ロンシュタットのアルバム『ゲット・クローサー』にゲスト参加したときのデュエットです。アイク&ティナ・ターナーが1961年に放ったヒットのカヴァー。
8. Woman’s Gotta Have It / James Taylor

1976年のアルバム『イン・ザ・ポケット』より。ボビー・ウーマックが1972年に全米R&Bチャート1位に送り込んだヒットのカヴァー。JTのヴァージョンもシングル・カットされ1977年に全米アダルト・コンテンポラリー・チャート20位にランクしました。
9. Handy Man / James Taylor

1959年から60年にかけてジミー・ジョーンズが全米2位に送り込んだ大ヒット。以降、1964年にデル・シャノン、1977年にこのJTのヴァージョンがそれぞれリヴァイヴァル・ヒットを記録している名曲です。作者はエルヴィス・プレスリーなどに多くの名曲を提供しているオーティス・ブラックウェル。JTは1977年のアルバム『JT』でカヴァーしてシングル・カット。全米4位、アダルト・コンテンポラリー・チャート1位にランクさせました。
10. Everyday / James Taylor

これも前出「(The Man Who Shot) Liberty Valance」同様、1985年のアルバム『ザッツ・ホワイ・アイム・ヒア』より。シングル・カットされ全米ポップ・チャートでは最高61位と奮いませんでしたが、アダルト・コンテンポラリー・チャートでは3位まで上昇しています。バディ・ホリーが1957年に放った大ヒットのカヴァー。
11. Walking My Baby Back Home / James Taylor

1997年のアルバム『アワーグラス』より。ナット・キング・コールやジョー・スタッフォードの名唱でおなじみ、1930年代に生まれたスタンダード・ナンバーのカヴァーです。
12. Here Comes The Sun / Yo-Yo Ma With James Taylor

JTが最初はビートルズが設立したアップル・レコードからソロ・デビューしたことは番組でも触れましたが。そんなビートルズの曲もいくつかカヴァーしています。アルバム『フラッグ』収録の「デイ・トリッパー」も面白い仕上がりですが、今回はこちらを。世界的チェロ奏者、ヨーヨー・マが2008年にリリースしたアルバム『ソングズ・フォー・ジョイ&ピース』にJTが客演したときの音源です。おなじみビートルズのアルバム『アビー・ロード』に収録されていたジョージ・ハリスン作品のカヴァー。ヨーヨー・マのチェロとJTのギターと歌だけで綴られた素敵なヴァージョンに仕上がっています。

解説:萩原健太

祝・来日!ジェイムス・テイラー特集

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萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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第349回 萩原健太のotonanoラジオ#232

2024/03/12 公開

ボブ・ディラン『はじめてディラン』&ロッド・スチュワート来日記念盤特集

今週のオンエア曲

ボブ・ディラン『はじめてディラン』&ロッド・スチュワート来日記念盤特集

1.

ボブ・ディラン

時代は変る

『はじめてディラン』

ボブ・ディラン『はじめてディラン』&ロッド・スチュワート来日記念盤特集

2.

ボブ・ディラン

シングス・ハヴ・チェンジド

『はじめてディラン』

ボブ・ディラン『はじめてディラン』&ロッド・スチュワート来日記念盤特集

3.

ロッド・スチュワート

ビヨンド・ザ・シー

『ベスト・オブ・ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック』

ボブ・ディラン『はじめてディラン』&ロッド・スチュワート来日記念盤特集

4.

ロッド・スチュワート

愛に狂って

『グレイト・ロック・クラシックス』

ボブ・ディラン『はじめてディラン』&ロッド・スチュワート来日記念盤特集

5.

ロッド・スチュワート

トラックス・オブ・マイ・ティアーズ (featuring スモーキー・ロビンソン)

『ソウルブック』

萩原健太 選曲|otonanoラジオ プレイリスト#232

『ポップ・フィールドのアーティストによるジャズ・スタンダード名演集Part2』

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1. Don't Get Around Much Anymore / Rod Stewart

ボブ・ディランの入門編ベスト『はじめてディラン』と、今月20日に13年ぶりの来日を果たすロッド・スチュワートの来日記念リリース『ベスト・オブ・ザ・グレイト・アメリカン・ソングブック』『グレイト・ロック・クラシックス』『ソウルブック』の特集をお届けした今週の『otonanoラジオ』。さて、プレイリストのテーマはどうしようかなと悩みましたが。ディランさんもロッドも、いわゆる“グレイト・アメリカン・ソングブック”、つまり懐かしのポピュラー・スタンダード曲のカヴァー・アルバムを何枚も出しているので、その路線でセレクトした12曲。非ジャズ系のアーティストがスタンダード・ナンバーのカヴァーに挑んだ楽曲の中からパッと思いついたものを並べてみました。以前、山下久美子さんをゲストに迎えたとき、同趣向のプレイリスト作ってますが、その続編ってことで。半分くらいシンガーの顔ぶれがダブってますが、まあ、ぼくの好みが偏っているということでお許しを(笑)。
まずは番組の主役のひとりだったロッドから。番組でもお話ししましたが、ロッドは甲状腺癌克服のため喉の手術を受け、以前のような激しいシャウトや高音を繰り出すことができなくなってしまったのだけれど、大御所プロデューサー、クライヴ・デイヴィスの助言の下、逆境をポジティヴに乗り越えるため、2002年かち2005年にかけてポピュラー・スタンダードものをカヴァーしまくったアルバムを5作作って新境地を拓いたわけですが。そんなアルバムのうちのひとつ、2003年の『ザ・グレイト・アメリカン・ソングブックVol.2』から、この曲を。1940年代にデューク・エリントンが書いた超名曲です。
2. It's Only A Paper Moon / Paul McCartney

続いてはポール・マッカートニーがジャズ・ピアニスト&シンガーのダイアナ・クラールのバックアップの下、米国のスタンダード曲のカヴァーに挑んだ2012年のアルバム『キス・オン・ザ・ボトム』より。久美子さんを迎えたときのプレイリストでも「ウィー・スリー」って曲をセレクトしていましたが、今回はエラ・フィッツジェラルドやナット・キング・コール・トリオの名演でもおなじみ、1933年生まれのこちらの曲を。
3. The Nearness Of You / Norah Jones

「スターダスト」や「ジョージア・オン・マイ・マインド」など多くの名曲を残した作曲家ホーギー・カーマイケルが1938年に書いたナンバーを、みんな大好きノラ・ジョーンズが歌ったヴァージョンです。2001年の特大ヒット・アルバム『カム・アウェイ・ウィズ・ミー』より。
4. Gee Baby Ain't I Good To You / Bill Wyman

元ローリング・ストーンズのベーシスト、ビル・ワイマンが自身のバンド、リズム・キングスの面々に加えてエリック・クラプトン、クリス・レア、アルバート・リー、ジョージー・フェイム、アンディ・フェアウェザー・ロウ、ミック・テイラーといった豪華ミュージシャンによるドリーム・チームをフィーチャーして制作した1998年のアルバム『エニーウェイ・ザ・ウィンド・ブロウズ』より。1929年に作られ、1944年にナット・キング・コールが取り上げて世に広めたブルージーなナンバーです。
5. I've Got A Crush On You / Linda Ronstadt

ロックの歌姫リンダ・ロンシュタットが1980年代、フランク・シナトラのアレンジャー/コンダクターとして知られるネルソン・リドルと組んでスタンダード・ナンバーをカヴァーしまくった3作のアルバムも大いに売れました。その最初の1枚、1983年の『ホワッツ・ニュー』に収められていた曲を聞きましょう。ジョージ&アイラのガーシュウィン兄弟が作った傑作曲。フランク・シナトラの当たり曲としておなじみです。
6. Speak Low / Boz Scaggs

ロッドの一足先に来日を果たしたボズ・スキャッグスもスタンダード・カヴァー・アルバムを2作ほど出してます。そのうち2008年リリースのアルバムからそのタイトル・チューンを。もともとは1943年にクルト・ワイルがミュージカルのために作曲したナンバー。それをギル・エヴァンスにも通じる精緻なアレンジでカヴァーしています。
7. (There Is)No Greater Love / Amy Winehouse

1936年にサックス奏者でバンド・リーダーでもあったアイシャム・ジョーンズが作曲したナンバー。2011年に27歳という若さで亡くなった英シンガー・ソングライター、エイミー・ワインハウスが2003年にリリースしたファースト・アルバムに収められていたカヴァー・ヴァージョンです。
8. Stormy Weather / Joni Mitchell

フォーク系のシンガー・ソングライターとしてキャリアをスタートさせ、やがて名うてのジャズ・ミュージシャンたちを従えてジャンルを超越した名曲をたくさん生み出したジョニ・ミッチェル。彼女が壮麗なストリングス・オーケストラをバックに、たくさんのスタンダード・ナンバーといくつかの自作曲を歌った2000年のアルバム『ボス・サイズ・ナウ』からの曲も久美子さん回のプレイリストにセレクトしましたが。今回はそのときとは別の、この1930年代の傑作トーチ・ソングを。ネルソン・リドルと並ぶ名指揮者/オーケストラ・リーダー、ゴードン・ジェンキンスが編曲を手伝っています。
9. This Is All I Ask / Harry Nilsson

と、そんなゴードン・ジェンキンスの全面的バックアップの下、ハリー・ニルソンがスタンダード・ナンバーを歌いまくった1973年のアルバム『夜のシュミルソン』は、この種の非ジャズ系アーティストによるスタンダード・カヴァー・アルバムの先駆けとなった名盤でした。それだけにこれは外せないってことで、もちろん久美子さん回にも別曲をセレクトしましたが、今回はジェンキンスが作曲しフランク・シナトラが歌って世に出たこちらの曲をどうぞ。
10. All Of Me / Willie Nelson

カントリー界の大御所、ウィリー・ネルソンが1978年にリリースしたスタンダード・カヴァー・アルバム『スターダスト』もバカ売れしました。もともと個性がジャズっぽすぎるということで保守的なカントリー・シーンで異端扱いされていたウィリー翁が、その持ち味を全開にしたこのアルバムで大当たりをとってカントリー界を見返してやったアルバムでした。そこからルイ・アームストロングやビリー・ホリデイの持ち歌としても知られる1930年代のこの名曲を。
11. In A Sentimental Mood / Billy Joel

デューク・エリントン作品をもうひとつ。1935年に書かれた名曲です。今日は1992年の映画『プリティ・リーグ』のサントラ盤のためにビリー・ジョエルが提供したカヴァー・ヴァージョンで。
12. Polka Dots And Moonbeams / Bob Dylan

で、ラストは番組のもうひとりの主役だったボブ・ディランの歌声を。彼も2015年から2017年にかけて、フランク・シナトラのレパートリーを中心とするスタンダード・ナンバーばかり歌ったアルバムを3作リリースしています。その第2弾、2016年のアルバム『フォールン・エンジェルズ』から、シナトラの初ヒットとしても知られる曲のカヴァーです。

解説:萩原健太

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●萩原健太プロフィール
萩原健太(はぎわら・けんた)。1956年生まれ。 早稲田大学法学部卒。 早川書房に入社後、 フリーに。 TBS系『三宅裕司のいかすバンド天国』(’89~’90年)の審査員として出演。 テレビ朝日系『タモリ倶楽部』の「空耳アワード」(’93年~)審査員も担当。 また、 音楽評論の傍ら、 音楽プロデュース、 コンサート演出、 作曲等も手がける。 主なプロデュース作品に米米CLUB『Go Funk』『米米CLUB』、 山崎まさよし『HOME』、 憂歌団『知ってるかい!?』、 鈴木雅之『ファンキー・フラッグ』など。 また、 自らもギタリストとして多くのユニット楽曲にも参加している。

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