ジャズメガネのセンチなジャズの旅
130. 「鈴木勲トリオ/カルテット / ブロー・アップ」
1970年代前半の高校生時代、TBMやCBS・ソニーの和ジャズのアルバムをたくさん聞いた。当時、アメリカではマイルス・デイビスやマッコイ・タイナーなどの巨匠たちが最前線で活躍していて、日本のジャズはまだまだアメリカの模倣に過ぎないと思われていたが、身近にある日本のジャズメンはライブを聴けることもあり、レコードを購入して聞いたものだった。CBS・ソニー時代の渡辺貞夫さん、日野皓正さん、フィリップス時代の菊地雅章さん、そしてTBMの鈴木勲さん。どれも聴き込んでそのプレイに憧れたものだった。当時、それぞれ評価はされていたが、アメリカのアーティストと比べての評価ではなかった。ただ、今改めて聞くとそれぞれ世界標準で優勝クラスだな、と思える作品が多い。鈴木勲のこのアルバムのピアノ・トリオを聞くと、こんなにスイングするトリオがあの当時、日本にあったんだ!と改めて驚かされる。和ジャズはこんな感じで今、世界中で再評価されているということなんだろう。
text & cut by Kozo Watanabe