ジャズメガネのセンチなジャズの旅

128. 「ボサ・ノヴァU.S.A./デイヴ・ブルーベック・カルテット」
128.  「ボサ・ノヴァU.S.A./デイヴ・ブルーベック・カルテット」

   バークリーから帰国したばかりの渡辺貞夫さんがボサノヴァを日本のジャズ界に紹介したのが1965年。スタン・ゲッツがギタリストのチャーリー・バードと組んで『ジャズ・サンバ』を発表したのが1962年。大ヒット・アルバムの『ゲッツ/ジルベルト』が1964年という流れをみるとボサノヴァがジャズに浸透したのはあっという間だったと思う。貞夫さんはアメリカでゲイリー・マクファーランドやガボール・ザボらとソフトなボサノヴァを演奏し、帰国してからもギタリストの中牟礼貞則さんなどを起用してボサノヴァを浸透させた。あのシリアスな演奏スタイルの菊地雅章さんや冨樫雅彦さんまでもがボサノヴァの演奏をしていた。以来、ジャズには欠かせないスタイルとなったが、なぜかジャズ・ボッサというと、ゲッツ、ポール・デスモンド、貞夫さんをイメージするから、サックスとは相性が良いスタイルだったのだろう。特にデスモンドは自分のアルバムではもちろんのこと、最強人気グループ、デイヴ・ブルーベック・カルテットの『ボサノバU.S.A.』でもそのイメージを確立していったはずだ。

text & cut by Kozo Watanabe