ジャズメガネのセンチなジャズの旅
115. 佐藤允彦『アモーフィズム』
佐藤允彦さんといえば、秀才ジャズ・プレイヤーというイメージがつきまとう。1960年代、まだ慶応の学生ピアニストだった頃、日野皓正さんがステージ脇で聞いていて「トーサは何を弾いているんだろう?」と首をかしげたという。以来、クールで鋭角的なピアノ・スタイルで奇才と言われ、シンセサイザーもいち早く取り入れた。根性というような作法は無く、どちらかと言えば理系脳の持ち主なのかもしれない。
佐藤さんは私がコロムビア在籍時代、ナンシー・ウィルソンのアルバムや映画「夜叉」のサントラ、等の制作でご一緒した他、エディ・ゴメス、スティーブ・ガッドとのトリオで「As if」というアルバムも制作した。ガッドとゴメスとキャンティで食事したのもいい思い出だ。佐藤さんは、その後も日野さんのグループでプーさんのトラを務めたり、やはり秀才的役どころが多い。いまだに現役。今後の展開が楽しみなのも秀才の証だ。
text & cut by Kozo Watanabe