ジャズメガネのセンチなジャズの旅
114. 鈴木宏昌『ロック・ジョイント琵琶~組曲 ふることふみ』
このアルバムが発売された頃、1970年の前半、日本人による和のテイストのジャズ・アルバムが多く発売された。それらの企画意図は未だに不明だが覚えているだけでもこんなにある。「詩仙堂の秋/菅野光亮」「銀界/山本邦山&菊地雅章」「こけざる組曲/三保敬太郎」、そしてこのアルバムなど。
外国勢もマル・ウォルドロンが〈龍安寺の石庭〉を好んで演奏したり、ゲイリー・ピーコックは京都に住んで、〈イーストワード〉という東洋指向のアルバムをこの時期に発表している。アメリカのジャズとは一線を画したジャズを求めていたのだろう。同時期、ヨーロッパでも独自の香りがするジャズを模索していた。それらはジャズの民族運動だったのだろうか。折しも万博が開かれた時期だった。
text & cut by Kozo Watanabe