ジャズメガネのセンチなジャズの旅
109. 本田竹曠『マイ・ファニー・ヴァレンタイン』
本田竹曠さんの存在は自分のジャズ史の中ではかなり古い。中学生から高校生だった頃、当時のトリオ・レコードが一押しで展開していた。リーダー・アルバムを70年代前半に立て続けにリリース。スイングジャーナルでも広告を目にして、欲しいなぁ、という気分にさせられたものだった。そして、何枚も買うわけにはいかないのでまず買ったのが『浄土』というアルバム。レジー・ワークマンがベーシストで参加していて、本田さんが彼の故郷である浄土ヶ浜をモチーフに作ったワイルドなアルバムだ。ジャケットでの、本田さんの全裸の後ろ姿が少し恥ずかしかったが、太平洋の荒波が岩に砕けるような演奏に心が躍ったものだった。
その後、渡辺貞夫さんのグループに入り、我らが師匠、河上修さんとモントルーで実況録音も残している。貞夫さんのレギュラー番組「マイ・ディア・ライフ」での「虫明亜呂夢のブラバス・エッセイ」のBGMも本田さんのオリジナル〈ロンギング〉だった。好きだったなぁ、本田さん。。
text & cut by Kozo Watanabe