ジャズメガネのセンチなジャズの旅
107. 笠井紀美子『ホワッツ・ニュー』
笠井紀美子さん、番組でも何度か特集しているが、1970年代のある時期にジャズを聴き始めた人は笠井紀美子さんの魅力に翻弄されたことがあるのではないだろうか。初期はキングやビクターからレコードが出ていたが、1972年からCBS・ソニーの専属になり、かなりのプロモーションが展開された。当時、ジャズ・ボーカルは本場アメリカのシンガーより、ヨーロッパのアン・バートンやカーリン・クローグ、そして日本の笠井紀美子などにレコード会社は力を入れていた。そんなこともあり、みんな笠井紀美子にぞっこんだった。ちょっとアンニュイなイカした女。背伸びして聴きたくなるシンガーだった。
このアルバム、『ホワッツ・ニュー』はシンプルなピアノ・トリオがバックで、企画色がない分、一番好きなアルバムだ。そしてジャケがいい。笠井の横に本人の古びたポスターが貼ってある、という手の込んだ写真。これを部屋に飾りたいなぁ、と背伸びして思った高校生のあの頃。。
text & cut by Kozo Watanabe
笠井紀美子
『ホワッツ・ニュー』
品番:SICP-10043税込価格:¥2,860