ジャズメガネのセンチなジャズの旅
106. 菅野光亮『詩仙堂の秋』
菅野光亮さんといえば、映画『砂の器』の主題曲〈宿命〉が必然的に頭に浮かぶ。松本清張の切なく、壮大なミステリーを凝縮したような、心が締め付けられる名曲だった。高校3年の時だろうか、封切りされたばかりの時、映画館へと足を運んだ。自分の人生の中でも、5本の指に入る名画だ。
今回の『詩仙堂の秋』は当時、スイングジャーナルで読んで気になっていた一枚。時系列ははっきりしないが、『砂の器』の一年前、多分、高校2年の時だろう。修学旅行で京都に行ったので、それでタイトルが気になったのかもしれない。もちろん、レコードを買いはしなかったが、70年には菊地プーさんと、山本邦山の尺八、ゲイリー・ピーコックによる『銀界』というアルバムも出ていて、こちらには『龍安寺の石庭』という曲が収録されていたから和なジャズが流行っていたのかも。。
京都とジャズは相性がいいんだな、と学生ながらに感じたものだった。
text & cut by Kozo Watanabe
菅野光亮
『詩仙堂の秋』