ジャズメガネのセンチなジャズの旅
102. 中村照夫グループ『ユニコーン』
中村照夫さんがニューヨークで活躍をしていたのは1970年の頃からなんとなく知っていた。スイングジャーナル誌で見たチック・コリア&スティーブ・グロスマン・グループの「日輪」というアルバムの録音に絡んでいて、日本人なのに凄いなぁ、と思った覚えがある。それから、数年して「ユニコーン」が発売された。当時はこのアルバムを持っていなかったが、75年に早稲田のダンモ研に入部すると、先輩たちがアルバム収録曲の〈ニュー・ムーン〉と〈サム・アザー・ブルース〉をやっているのを良く耳にするようになった。共にスティーブ・グロスマンのテナーとソプラノをコピーをしていたのだが、その音源がこのアルバムだったという訳だった。学生ジャズ界では人気アルバムだったのだ。
その後、このアルバムはグルーヴしているファンク・トラックが世界で人気となり、レア・グルーヴの代表的なアルバムになる。新主流派のジャズ、レア・グルーヴ、どちらを切っても中村照夫というアーティストのグローバル性が分かるというものだ。
text & cut by Kozo Watanabe