DJ OSSHY TOKYOの未来に恋してる!
安心・安全・健康的なディスコ・カルチャーを伝達することを使命とするDJ OSSHYのインタビュー連載
第51回【対談⑭ SAM ×DJ OSSHY[後編]】
OSSHYさんが推進されている「シルバーディスコ」は、僕が学んだ「ジェロントロジー(加齢学)」と密接に関わっていると感じました。(SAM)
今の身体の状態が人生でいちばん最高にあるというSAMさんご自身からご紹介してください。(DJ OSSHY)
①適度な運動 ②規則正しい生活 ③食事 ④コミュニティ。ジェロントロジーはこの4つが柱になります。(SAM)
DJ OSSHY ([中編]からの続き)当時、SAMさんは歌舞伎町のディスコ・キング=日本のディスコ・キングと呼ばれるようなポジションにいらっしゃったと思います。実はそんなSAMさんの姿が、あるときジョン・トラボルタにだぶって見えたんです。先日私が4Kリマスターされた再上映『サタデー・ナイト・フィーバー』のアンバサダーを務めさせていただいていまして、先日もSAMさんが『RADIO DISCO』にゲストで出演していただいた際にもお話しましたが、あらためて大きなスクリーンで鮮明になった映像を目にして新たな発見がたくさんあったんです。若い頃に見たときと映画の受け止め方も違うというか。そこでトラボルタ演じる主人公のトニーがSAMさんだということに気づいたんですよ。
『サタデー・ナイト・フィーバー』
1978年劇場公開作品
TM & CopyrightⒸ1977 Paramount Pictures. All Rights Reserved.TM,Ⓡ&CopyrightⒸ2013 by Paramount Pictures. All Rights Reserved.
SAM え? 僕がトラボルタ!?
DJ OSSHY そうなんです。本当にかぶる。まんまなんですよ。SAMさんはダンサーのとして歌舞伎町のディスコ・キング。トラボルタはニューヨークのブルックリンのディスコ・キングということで、まったくそのデビューの系統が似ているんですよ。『サタデー・ナイト・フィーバー』は続編として、『ステイン・アライブ』が’83年に公開されます。その続編はトニーがその後どうなっていくかを描いているんですが、トニーはプロのダンサーになって成功するというストーリーで、まさに歌舞伎町のディスコ・キングから日本を代表するプロ・ダンサーに大成功する軌跡とまったく同じなんですよ。ストリートから登場して、誰もが知るダンサーに上り詰めた。SAMさん以外にいませんからね。
『ステイン・アライブ』
1983年劇場公開作品
TM & COPYRIGHT Ⓒ2002 BY PARAMOUNT PICTURES. All Rights Reserved.
SAM ありがとうございます。確かに高校を卒業した時に、ダンスでプロになるって親にも宣言してひとり暮らしを始めたんですが、そのときに道を歩いていて誰もが振り返るようなダンサーになるという目標を立てたんです。当時、自分たちが踊っているディスコ・ダンスはすごくかっこいいのにお茶の間レベルの有名な人がいなかった。こんなにかっこいいのにスターがいないのはどうしてなんだって、ずっと考えていて、だったら俺たちがそんな存在になるって言い合っていたんです。(菅原)一秀とも、将来、億の金を動かすダンサーになろうぜって話したことをおぼえています。
DJ OSSHY そんな思いがあったんですね! 本当に『サタデー・ナイト・フィーバー』じゃないですか。僕のSAMさん=トラボルタ説は間違っていなかった(笑)。さらにSAMさんは映画『フラッシュダンス』の公開時に行われた「全国フラッシュダンスコンテスト」という、日本最大のダンスコンテストで全国優勝もされているんですよね。この話もびっくりなんですよ。
SAM 今回、『フラッシュダンス』も4Kリマスターで再上映されたんですよね。『サタデー・ナイト・フィーバー』と『フラッシュダンス』は自分にとっての、まさにルーツ。コンテストの時はジェニファー・ビールスが審査員で来日したんですよね。優勝したときにチュッってしてくれました(笑)。
『フラッシュダンス』
1983年劇場公開作品
CopyrightⒸ1983 Paramount Pictures Corporation. All Rights Reserved.Ⓒ2019 Paramount Pictures.
DJ OSSHY そんなこともあったんですか! しかも、この「全国フラッシュダンスコンテスト」を超える規模の大会が行われていないというのも驚きです。
SAM いや、すごい規模だったと思います。まず、全国の都道府県にある各ディスコで予選が行われるんですよ。1店舗につき30~40人くらいが参加して、そのお店の優勝者がほかのディスコの優勝者と決勝を行う。そこから全国大会に進むというようなかたちで。
DJ OSSHY まさにディスコの甲子園!
SAM 本当にそんな感じでしたよ。決勝大会は東京なんですけど、まず午前中に東京の予選が開催されて色々なディスコのチャンピオンたちが集まったんですが、それだけでも500、600人くらいいましたね。その東京予選で残った30人ぐらい、全国から来た200 人ぐらいで決勝大会を行って、予選決勝含めて総勢1万人くらいが参加したと思います。しかも、振り付けなしのフリーダンス。『フラッシュダンス』のサウンドトラックから課題曲として1曲選んで、自由に踊るんです。僕はマイケル・センベロの「マニアック」を選びました。
DJ OSSHY めっちゃテンポ速いじゃないですか。BPM135くらいありそうな。
SAM 予選はホテルニューオータニのクリスタルルームで行われて、30~50人ずつぐらいステージで、フリーで踊っているところを審査員がチェックして、予選通過したダンサーは呼ばれて抜けていくんですが、実はそのとき落ちたんですよ。後輩は通過してすごくがっかりしていたところを、やっぱり君も残ってと言われて決勝に進めたんです。決勝は大きなステージで、ソロで踊るんですが、そのときに「マニアック」を選びました。
DJ OSSHY 敗者復活からの優勝って、それもすごい!
SAM 反響も大きくて、色んな取材を受けたりしましたね。
DJ OSSHY いや、まさに映画そのものですよ。その『サタデー・ナイト・フィーバー』なんですが、実はもうひとつ以前から気づいたことがあって。私が2017年からスタートさせた高齢者のみなさんと楽しむディスコイベント「シルバーディスコ」の要素があるんですよ!
SAM 存じております。
DJ OSSHY 『サタデー・ナイト・フィーバー』劇中ダンススクールでジョン・トラボルタ演じるトニーとステファニーが一緒にレッスンを受けるシーンがありますが、そのダンススクールのオーナーが教えている中で、高齢の方々を相手に高齢者ディスコ的なことを教えているシーンもあるんですよ。あ、この’77年の時からもうシルバーディスコ的なエッセンスをストーリーの中に組み込んでいたんだと驚いたわけです。80 代ぐらいの人たちが横一列になって、ヘイ! とか掛け声をかけながら踊るんですよ。ディスコが若者だけのカルチャーとして始まっていたはずなのに、もうその時に高齢の方々にも目線が向けられていた。
SAM まさにOSSHYさんが推進されている「シルバーディスコ」は、僕が学んだジェロントロジーと密接に関わっていると感じました。ジェロントロジーは年齢を重ねることに対してネガティヴになるのではなく、ポジティヴに捉えることを提唱しているんですが、ディスコやダンスも若い人だけのものじゃない。年齢に関係なく楽しめるし、自分の年に合った楽しみ方をすればいいと思うんです。
DJ OSSHY まさにそのとおりなんですよ。SAMさんは今年還暦になられましたが、とても還暦とは思えない若々しさで、その秘訣が4月に出版された『いつまでも動ける。』に詰まっていると思うんですが、その内容について、今の身体の状態が人生でいちばん最高にあるというSAMさんご自身からご紹介していただけませんでしょうか。
『いつまでも動ける。』 SAM
2022年4月1日発売
クロスメディア・パブリッシング
SAM はい、まず、身体を動かすことが身体にいいとみなさん思っていますよね。でも、なかなかアクションを起こせない。そんな方が多いんではないでしょうか。また、何からやればいいかわからないという方もいらっしゃると思います。実は何でもいいんです。例えば、拭き掃除をするのも結構な運動量になります。掃除機もそう。身の回りのことをやるだけでも運動していることと同じだと思うんです。そこに筋力アップとかを考えるのならば、椅子から立ったり座ったりする運動をしたり、つま先立ち、腕立て伏せ、腹筋をするといいでしょう。
DJ OSSHY 続けられる。
SAM はい。でも、自分にノルマを課してしまうと続かないというのが僕の考えで、回数を決めちゃうと大きな壁になってしまうんですよね。1日、2日はクリアできても、3日目に仕事で疲れて帰ってきて、今日も何回やらないといけないのか、明日にしようって止めちゃうことが多い。ですので、ノルマをつけずに1日1回でもいいのでやる。1回でもやると、2回目もやってみようかという風に続いていくわけです。そうして習慣化していくわけで、その習慣化がいちばん大事なんです。やらないと何か気持ち悪い、罪悪感をおぼえるというところに持っていくのが重要なんですよね。そこまで自分を持っていくためには最初騙し騙し積み上げてくっていうのがいいかなと思っています。
DJ OSSHY それならハードルがぐっと下がりますね。ちなみに睡眠時間は、どのくらい必要なんでしょうか?
SAM ジェロントロジー的には7~8時間と言われています。長寿の方たちは6~8時間くらい睡眠されています。でも、僕は極端なショートスリーパーなんで、3、4時間くらいしか眠らないんですよ。どんなに寝ても5時間。もうちょっと睡眠を取った方がいいかもしれないんですけどね。
DJ OSSHY ぼくも現場がない日は23時前には寝るようにしていて、4時に起きるようになりました。完全に朝型になって、普通のテンションで5時くらいに業務連絡メールとかを送っちゃうから、スタッフから困られています(笑)。
SAM 同じです、同じです。みんなもう起きていると思っちゃうんで(笑)。あと、自分が心がけているのは、天気のいい日は絶対日の光を浴びるということ。
DJ OSSHY それは大切ですよね。まず起きたらカーテンを開けて、日の光を浴びる。朝いちばん大事なことです。SAMさんは歌舞伎町のディスコ・キングだった若かりし時代から体で実践する、体が資本というスタイルを取られてきたと思いますが、還暦を前にしてジェロントロジーという学問を理論的に学ぼうと考えてきっかけは何だったんでしょうか。
SAM TRFの20周年の時に『イージー・ドゥ・ダンササイズ』という、初めてのエクササイズDVDを発売したんです。それまでは人に見せるダンスだったりとか、How toにしてもプロ・ダンサー向けのものしかやったことがなくて。でも、初めて一般の方向けにエクササイズ的なダイエットDVDを出して、それが思いのほか、大きな反響があって驚いたんです。その前から高齢者向けのプログラムをいつかやりたいという考えが頭の中にあったんですよ。それは従兄弟で参議院議員の古川俊治の影響で、彼が国会議員でも踊れるような、じじばばダンスをいつか考えてよってずっと言っていたんです。それが頭に残っていて、『イージー・ドゥ・ダンササイズ』がきっかけで高齢者向けのプログラムを作り始めるんですけど、それが6年前くらいのことでした。
DVD+CD
『リバイバルダンス』
TRF(SAM、CHIHARU、ETSU)考案
エイベックス・エンタテインメント
2022年3月14日発売
DJ OSSHY ジェロントロジーのきっかけは『イージー・ドゥ・ダンササイズ』だったんですか。
SAM そうなんです。作り始めた時に高齢者のことをすごく勉強し始めたんです。何に困っているのか、どういうことが必要なのかとか。その勉強をしてうる流れで、スタッフからジェロントロジーという加齢学が、SAMさんが今考えていることに合うんじゃないですかって教えてもらったんです。確かにそうだと思って、ジェロントロジーを学ぶことによって、自分がやっていることに説得力がつくと思ったんですよね。なんとなく自分の体験でやっていることに学問を身に着けたら、これはもう最強だなと思って。還暦を前に一念発起して、南カリフォルニア大学のデイビススクールで学び始めました。全部で60講義あるんですけど、地道に一講義ずつ学んでいって。全部受講するのに、だいたい1年くらいかかりましたね。
DJ OSSHY すばらしい。みごと修士号を取られて、エヴィデンスに基づいた実技と理論をアピールされるようになったわけですね。
SAM 学んでみると自分が今までやってきたことは正しかったんだなっていうことが、すごくわかったというか。人間の体は何で老化するかとか、老化にちょっと抗うためにはどうしたらいいかとか、老化を科学する、老化を紐解いていく学問で、色々な角度から加齢、老化について研究しているのがジェロントロジーなんです。でも、最終的に行き着くところが、①適度な運動と②規則正しい生活。あとは③食事、そして④コミュニティ、社会とのつながりですね。この4つの柱になります。規則正しい生活は送れていないんですが、残りの3つは自分とリンクしている。それがわかっているけどできないという方のためのヒントを本に書いたつもりです。自分に合ったやり方も見つけられると思います。「身体にいいことを始めるのに、早すぎることもないし、遅すぎることもない」。僕がジェロントロジーを学んで、いちばん心に響いた言葉です。
DJ OSSHY 身体にいいことをするのに年齢は関係ないということですね。
SAM あと、筋肉はいくつになっても鍛えられるんです。60歳でも70歳でも筋肉は強くなります。やったら、やった分だけ。心臓を始めとする内臓や血管も、筋トレや運動をすることで強くなるんですよ。だから病気しづらくなる。
DJ OSSHY そうした色々な教えが、とてもわかりやすく本に書かれていますが、本とタイミングを合わせて、『リバイバルダンス』のDVDも発売になりましたね。こちらは60歳からの身体と脳の健康を考えて作られた“60歳からの筋トレ・脳トレDVD”ということですが、まさに「シルバーディスコ」ともリンクしてくる内容だと思います。9年間のプライベートなお付き合いを経て、ようやくSAMさんと私の活動をジョイントして一緒にお仕事として生まれるようなタイミングが近づいてきたという実感を抱いています。
SAM ぜひ、ご一緒して何かやりましょう!
DJ OSSHY その日が来るのを楽しみにしています!! [終わり]
対談進行・文/油納将志 写真/島田香
- ●SAM(サム)
- 15歳でダンスの面白さを知り、10代でディスコダンス、ブレイクダンスに出会う。単身ニューヨークへ。帰国後、TRFコンサートの振り付け、構成、演出はもちろんV6、浜崎あゆみ、BoA、東方神起、郷ひろみ他アーティストの舞台もダンスクリエイターとして手掛ける。2018年に行われた日産スタジアムでの東方神起ライブは、史上初3日連続計22万人を動員。総合演出で観客を魅了する。
近年、次世代ダンサー育成、リサーチの為、多くのダンサーオーディションを手がけ、自ら主宰するダンススタジオ「SOUL AND MOTION」でレッスンも行っている。
2016年、一般社団法人ダレデモダンスを設立、代表理事に就任。この団体での活動を通じて、誰もがダンスに親しみやすい環境を創出し、子供から高齢者まで幅広い年代へのダンスの普及と質の高い指導者の育成、ダンサーの活躍の場の拡大を目指す活動を始めている。最近では、日本最古の伝統芸能「能」の舞台にダンサーとして初めて出演した。
南カリフォルニア大学デイビススクールジェロントロジー学科通信教育課程修了
ダンサー・ダンスクリエイター・演出家・ジェロントロジスト。
ダレデモダンス www.daredemodance.or.jp
BOOK
『いつまでも動ける。』SAM
クロスメディア・パブリッシング
2022年4月1日発売
DVD+CD
『リバイバルダンス』
TRF(SAM、CHIHARU、ETSU)考案
エイベックス・エンタテインメント
2022年3月14日発売
●SAM(TRF)× ELLY/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE の熱いダンスバトル・ムービー公開中!
BMW JAPAN 「人生を駆け抜ける歓び」を分かち合うプロジェクト「JOY MOVES ME」の新たなダンスムービーが公開! ダンス界のパイオニアであるSAM(TRF)と、ダンスの新時代を築くELLY/三代目 J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE の二人の熱いダンスバトル!!
www.bmw.com/ja/events/joymovesme
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DJ OSSHY 出演スケジュール
6月3日(金) | 《EVENT》ナバーナマンスリーパーティ@渋谷キャメロットB2 |
6月4日(土) | 《RADIO》interfm RADIO DISCO |
6月5日(日) | 《RADIO》Fm yokohama 横浜Disco Train |
6月6日(月) | 《TV》BSフジ DJ OSSHY DISCO TV |
6月17日(金) | 《EVENT》DJ OSSHY ワンマン DJ NIGHT@アロフト東京銀座 |
6月19日(日) | 《EVENT》サンデーディスコ@渋谷キャメロット |
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