ジャズメガネのセンチなジャズの旅

96. 今田勝カルテット『リメンバー・オブ・ラヴ』
96. 今田勝カルテット『リメンバー・オブ・ラヴ』

   PCM録音というレコーディングの新しい技術が1970年代に開発された。いわゆるデジタル録音で、CDが発売される1982年以前から録音では使用されていた。開発はソニーや日本コロムビアで行われていたが、マイナー・レーベルのTBMが1978年に導入していたのは驚きだ。ソニーがTBMの録音技術を評価していたからだろう。スタジオは芝浦ソニー技術研究所、使用機材はPCM-1。
   TBMの今田勝さんのリーダー・アルバムが抜擢されたのは、その美しいピアノ・タッチが評価されたのだろうが、今田さんはピアノの他、電気ピアノ、コルグ・シンセサイザーも弾いて、録音に際して色々な音色でのトライをしている。TBMにたくさんの名盤を残している今田さんだが、録音技術の面でも意欲的に取り組んだのだろう。恐るべしTBM!の一面だ。

text & cut by Kozo Watanabe