私が欲しいレコード
幻の名盤から架空の一枚まで。今聴きたい、今欲しいレコードを、各界のレコード愛好家のみなさまに、自由な発想で綴っていただきます。
第18回【鈴木祥子】 シンガー・ソングライター
大瀧さんに教わったものが何だったのか、というと、それは自分の求める音楽、自分の欲しい・聴きたい音に絶対的に純粋である、というそのことに尽きるのです。
私の欲しいレコードは、大瀧詠一さん「青空のように」の初回盤・モノミックスのシングル盤です。
大瀧さんに教わったものが何だったのか、というと、それは自分の求める音楽、自分の欲しい・聴きたい音に絶対的に純粋である、というそのことに尽きるのです。
しかしそれを実現してゆくなかで訪れてくるさまざまな物理的な障害・自分で自分を疑う気持ち・時代的な限界――等々をなぎ倒し(笑)跳ね除ける(涙)術が何なのか、このたびわたくし発見してしまったのであります。それは――。
誇りをもつ
ということです‼︎ は? 何それ? というあなた様の呆れた表情が今、わたくしの目に浮かんで参ります…。が、これは永年の経験が導き出した絶対的な結論、だったりするのです。
誇りをもつ、って所謂プライド、とはあまり関係がありません。心の底から、もっと言うと存在の奥から沸き起こってくるような喜び・信頼・希望――あらゆるポジティブなワードが大集結・全員集合したかのような、自分自身の過去・現在・未来へと継く誇り。誇らしさ。私は、私たちはもしかして、ひょっとしたら、ずいぶん永いことそれを奪われていたのじゃないでしょうか?
自分の作ったもの/行ったことを誇りに感じる。それは誰の評価とも関係がありません。とりあえず先に挙げた時代的限界・物質的障害・自己懐疑と何~んにも関係無いのです。こんなパワフルで普遍的な認識ってほかに在るでしょうか。凄く無いですか?
じゃあどうやってその認識を得るか、ということですが、それこそが大瀧さんが私に教えてくださったことです。自分の求める音、聴きたい音に純粋であること。「音」はどんな人の、どんな状況にも置き換えられると思います。奇しくもお誕生日である7月28日に、アナログ・テープで録音しアナログ・コンソールでミックスをしていただいたニュー・シングルが発売になります。ビクタースタジオのチーフ・エンジニアである中山佳敬さんがその牙城であるスタジオで、共同プロデューサー/エンジニアとして大変力強く素晴らしいお仕事をしてくださいました。
メインは7インチのレコード、NashvilleのSterling SoundでTed Jensenさんのお手を煩わせたデジタル・マスタリングによる同内容のCDが封入されています。
この作品を大瀧さんに捧げます。大瀧さんが教えてくれたこと、それは「生きること」そのものだったのだと今、心から想っています。
大滝詠一 / 青空のように
(1977年)
※画像はステレオ盤ジャケットです。
- 鈴木祥子
1965年8月21日東京生まれ。
1988年9月EPIC SONYよりデビュー。
現在までに13枚のオリジナル・アルバムを発表。
演奏楽器はPiano,Drums,Guitar。
ミュージシャン/マルチプレイヤー/職業作家。
BEARFOREST RECORDS主催。
曲・詞を提供したアーティスト
小泉今日子「優しい雨」
松田聖子「We Are Love」
坂本真綾「NO FEAR/あいすること」「風待ちジェット」「ユニバース」「SAVED.」他
渡辺満里奈「胸がいっぱい」
PUFFY「きれいな涙が足りないよ」
吉村由美「わたしの望み」
石川ひとみ「星のまばたき」―etc...
Syoko Suzuki Official Site:www.bearforestrecords.com