ジャズメガネのセンチなジャズの旅
86. 和田直『ブルース・ワールド』
ギタリストの和田直さんが亡くなられ、今回は二回目の追悼特集。ブルースばかりがレパートリーの多くというのは、日本のジャズマンとしては珍しい。やはり、スタンダードを中心に組み立て、どこかにスロー・ブルース、速いブルースを混ぜるという選曲をする人が多いからだ。ブルースはシンプルなだけにソロも同じような感じになりやすい。ただ、ブルースの名人たちはテンポやリズムやキーを変えていろいろなブルースに挑む。
このアルバムのソロイストたちにも聞かれるように、ロング・トーンやブロウを繰り返し、長尺になろうがソウルフルに展開していく。そうしているうちに演奏者も聞き手も恍惚の域に達するのだ。
アルト・サックス奏者の僕自身はブルースは苦手だ。パーカーのブルース・フレーズの束縛があって、頭を空にしてブロウする前にいわゆるビバップ・フレーズをうまく吹こうとしてしまう。本来、何の拘束も無い、シンプルな構成なのに。。歳を重ねた今、もう一度ブルースに挑戦してみたくなった。
text & cut by Kozo Watanabe