ジャズメガネのセンチなジャズの旅
82. 松本英彦『サンバ・デ・サン』
前にも書いたなぁ。高校生の時、松本英彦グループと日野皓正ソロを静岡で見た。松本さんのアグレッシヴなフルート演奏がとても印象に残っているが、30代の日野さんと比べ、松本さんはかなり年配に見えた。実際は40代後半で、今だったらまだまだ若いうちなのだろうが、当時はすでに大御所だった。
このアルバムはその時より数年後の録音だから、松本さんは53歳。大御所は多分、自分のスタイルを貫く年齢なのだろうが、松本さんはそれまでのスタイルとは違う新たなコルトレーン的アプローチにトライしている。今だったら当たり前かもしれないが、この年齢で当時トライしたということは、かなりチャレンジングなことだったのでないのだろうか。先頭を切って歩んできた先輩のチャレンジ精神は後進に大きな勇気を与えてくれる。
text & cut by Kozo Watanabe