私が欲しいレコード

幻の名盤から架空の一枚まで。今聴きたい、今欲しいレコードを、各界のレコード愛好家のみなさまに、自由な発想で綴っていただきます。

第13回【鈴木慶一】 ミュージシャン
第13回【鈴木慶一】 ミュージシャン

スペースメンと言えば日本にたくさんあった。アワ・クレイジー・ダンスのザ・スペイスメン、ワンツーなんとか(清水だったかなあ)とスペースメン。謎のビッグ・バンドサウンドとエレキインストが混ざったような、記憶の中で鳴り続ける音楽。



 出てないであろうアルバムでよろしいのならシャンバローかな。シャンバローはボーイズで三味線とアコーディオンの3人組。アコーディオンの邦一郎さんの美声は60年代のテレビでやってた寄席中継の中でも、ひときわ素晴らしかった。多分シングル「やってるネ」しかないと思うけど、アルバムがあったら是非欲しい。芸そのままが聴きたい。映像も、もはや記憶の中だけだし音だけでも聞きたい。なんて、調べてるうちに映画「銭形平次捕物控・美人鮫」に出演してるようで、ぽちっと押してVHSを注文してしまったよー。

 さて、さらに出てないであろうアルバム、麻生征二とスペースメン。1975年にアグネス・チャンのツアーバンドをやってた時のホーンセクション。全国都道府県の主な都市は全部一緒に回った。サウンドはアグネス・チャンのライヴと「火の玉ボーイ」の「火の玉ボーイ」という曲で聴くことが出来る。私たちはツアーバンドを辞めようとしていて、その記念に演奏して貰った。アレンジは矢野誠さん、録音は難航した記憶がある。さらに、幻かも知れないが、麻生さんの家は私が1980年代から90年代に住んでた家の真向かいのアパートだったのではないかと勝手に思っている。当時のギターの椎名和夫さんが、車で抜け道を行くとき、「あそこが麻生さんの家だよ」と言ったその景色が、10年後くらいに住み始めた家の周りに似ていたのだ。妄想かもしれないが。

 スペースメンと言えば日本にたくさんあった。アワ・クレイジー・ダンスのザ・スペイスメン、ワンツーなんとか(清水だったかなあ)とスペースメン。ワンツーなんとかも欲しいアルバムで中古レコード屋に行くと必ず探すのだが見つからない。60年代の深夜ラジオでオン・エアーされていた。スペース・エイジの音楽だ。謎のビッグ・バンドサウンドとエレキインストが混ざったような、記憶の中で鳴り続ける音楽。

 もう一つ、記憶のみの音楽は、子供の時、テレビの終了時に流れたターバンを巻いた男性のオルガン弾きだ。ティム・バートンの映画「エド・ウッド」にもちらりと登場する。その名はコーラ・パンディット。これは努力すれば手に入りそうだ。と、まあ大体こんな具合だがポール・マッカートニーとリンゴ・スターのデュオ・アルバムも欲しいなあ。出さないかなあ。マッカートニー&スターキー。全曲共作。







鈴木慶一

1951年 東京生まれ
1970年頃より音楽活動を開始し、あがた森魚、はっぴいえんど等のサポート、また数多くの録音セッションを経験する。
1972年に、"はちみつぱい"を結成。日本語によるロックの先駆的な活動を展開しアルバム『センチメンタル通り』をリリース。はちみつぱい解散後に、ムーンライダーズを結成し1976年アルバム『火の玉ボーイ』でデビュー。
バンド活動の傍ら膨大なCM音楽、アイドル、演歌など幅広い楽曲提供とプロデュース、『Mother/Mother2』などのゲーム音楽に関わり、人々に大きな影響を与えている。
映画音楽では北野武監督の『座頭市』、『アウトレイジビヨンド〜最終章〜』で日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。今敏監督の『東京ゴッドファーザーズ』でシッチェス国際映画祭最優秀音楽賞を受賞した。
2015年に音楽家生活45周年を迎え、東京メルパルクホールで記念ライヴ(チケットはソールドアウト)を行なった。
俳優としての顔も持ち映画やドラマへの出演も多数。


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