ジャズメガネのセンチなジャズの旅
79. 大野俊三『マヤ』
1990年代前半は何故かジャズの記憶が薄い。ジャズの仕事もしていたけれど、幅広く新譜を聴いていなかったからかも知れない。だから、この大野俊三さんのニューヨーク録音新譜も、ここに参加しているメンバーも当時は余り気にしてはいなかった。
70年代のジャズの記憶は濃い。大野さんは高校生の時に彼のデビュー・アルバム「フォルター・アウト」を聞いてその斬新さに衝撃を受けた。そしてその後、ジョージ大塚クインテットの虜になっていく。しかし、その熱が冷めぬ間に大野さんは1974年に渡米してしまった。
ジャズも70年代後半、80年代と変遷した。ジャズの吸引力が弱かった時代も確かにあった。ただ、このアルバムを聴くとやはりニューヨークの当時の若手は頑張っていたのだなぁ、と改めて驚く。そしてリーダーは当時ニューヨーク在住歴17年の日本人。素晴らしいことだ。今、改めてこのアルバムを聴ける幸せに浸りたい。。
text & cut by Kozo Watanabe