ジャズメガネのセンチなジャズの旅
77. 中本マリ~横内章次トリオ&セクステット『MARI』
日本人のジャズを聴き始めた1970年代、ギタリストは杉本喜代志さんや10代でデビューした渡辺香津美さんが活躍していて、若々しいパワーに溢れていた。なので、その上の先輩たちのジャズ・ギタリストにはなかなか接する機会がなかった。沢田駿吾さん、小西徹さん、横内章次さんなどは、当時ちゃんと聞いた覚えがないし、多分、TBMの再発に関わるまで聞いていなかったのかもしれない。
中本マリさんのこのアルバムを聞くとよくアレンジされた伴奏をぬって軽快にスイングする横内さんのギターがとてもスタイリッシュなことに驚く。昭和のダンディな大人の世界だ。
中本さんのスキャットに「ディバ・ディバ」と洒落て歌わせたのも横内さんのアレンジなのだろう。60年代から活躍していた日本のジャズメン達は大人の雰囲気にあふれていたのだろうな。
text & cut by Kozo Watanabe