ジャズメガネのセンチなジャズの旅
73. 今田勝トリオ『スタンダード』
今田勝さんは大好きなピアニストなのだが、このアルバムはなぜか記憶にない。ジャケットがTBMにしてはエキセントリックな要素がどこにもないからだろう。女性と会話を交わすような、どことなく日常的な写真がカバーになっている。そのせいか同じ今田さんの作品の中でも「ナウ!!」や「ポピー」、「グリーン・キャタピラー」などと比べて印象に残りにくかったのだと思う。
それはこのアルバムの題材、スタンダードによるところなのだろうか。。 TBM作品でオリジナル曲が収録されていない作品は珍しい。この作品は有名なスタンダードばかり。そのせいか、日常風景のように優しい時間が流れているのだ。
サムライ・ジャズではない日常の音感触。当時は刺激的ではなかったけれど、時間が磨きをかけてくれると心に染みる作品に醸成されていくものなのだなぁ。
text & cut by Kozo Watanabe