私が欲しいレコード
幻の名盤から架空の一枚まで。今聴きたい、今欲しいレコードを、各界のレコード愛好家のみなさまに、自由な発想で綴っていただきます。
第9回【小川美潮】 歌手
つまりは、さぁ聴くぞと、音の前に居ることがレコードの基本なんですね。
レコードを聴くことについて、今更ながら気がついたことがあります。
それは、家でしか聴けない、と云ふことです。もちろん家以外でも聴けるんですが、CD、DATやカセットテープ、あるいはMDのように、車で聴いたり外に持ち歩くことはまずしない。できないと言った方がいいかもしれません。そう、できないんですよね。針飛んじゃいます。そもそもレコードプレーヤーにヘッドフォンを挿して聴きながら歩けません。
つまりは、さぁ聴くぞと、音の前に居ることがレコードの基本なんですね。
考えてみれば当たり前だし、だから何だってことでもないんですが、まぁ改めて確認したわけです。そしてそこから、昨今の「音」について思いを巡らせました。
ここ数十年で音の世界も随分変わりました。つまみやフェーダーからボタンやマウス。アナログからデジタルへの移行期には混乱もありましたが、バイク便で運んでたマルチテープはパソコンで送れるようになりました。便利です。便利は大好きです。でも便利とともに音の劣化も始まりました。便利ついでにと色々な機能が勝手について、聴きたい音から聴かされる音になって、素の音も本来の音もよくわからなくなってしまいます。そうすると今度は、悪い音に慣れる為に耳の劣化が始まります。その時点がデフォルトの人も、いい音を知ってた人も、耳の劣化には気をつけたい所です。
いい音で音楽を聴くのは大切な事です。音に好みはあっても、本当にいい音を聴いた時はみんな、いい音だとわかるもんです。高いオーディオセットじゃなくてもいい音はあるはずだし工夫したいです。いい音を聴くと身体がふわっとピカッと喜ぶんですよね。みんなそうですよ。
この度、めでたく『おかしな午後/窓』の7インチヴァイナル化が決定しまして、先日その試聴盤を聴き比べると云ふミッションがありました。しかし最近プレーヤーの調子が悪い。内側のある地点へ行くと針飛びする、と云ふ現象が起こっていてちょうどシングル盤が聴けない(泣)。そこで、内臓イコライザーをオンオフできる今どきのスリムで廉価なものを、とりあへず買ってきました。そうして無事、聴き比べはできたのですが、なんだ高校生の時から使ってたやつの方がいい音だったじゃんー!(笑) やはり単純な作りのものは強いですなぁ。
小川美潮
『4 to 3』(1991)
『ウレシイノモト』(1992)
『檸檬の月』(1993)
さて、今レコードで聴きたい作品ですが、やっぱりまずは自分のアルバム、です。
'90年代にEPICで潤沢な予算で作らせてもらったソロ3部作。私にとっては初めてのCDリリースとなった『4 to 3』『ウレシイノモト』『檸檬の月』、この3枚です。
それから、このあと作ったバンド、ウズマキマズウで2009年に初めて自主制作した『宇宙人』これもいい音で録れてますので、やはりレコードでも聴いてみたいです。
アナログの醍醐味はダイレクト、やはりいい音で聴きたい!
ウズマキマズウ
『宇宙人』(2008)
詳細はこちら
- ●小川美潮(おがわみしお)歌手
- 1980年“チャクラ”のヴォーカリストとしてデビュー。
'84年チャクラ解散後、作詞に加え作曲もするようになる。
'90年にはEPIC/SONYよりシングル『おかしな午後』 で本格的ソロデビュー。
'97年バンド“ウズマキマズウ”を結成、自主レーベルよりアルバム3タイトルをリリース。
その後もいろいろ。
CMロゴも沢山歌ったので知らぬ間に耳にしてるかもしれない声。
言葉では言ひ尽くせない宇宙真理のかけらを見つけ歌にするのが仕事です。
小川美潮 Official Web Site: www.mishio.com
おかしな午後/窓
小川美潮
7inch / 45RPM
品番:DQKL-7114
価格:¥1,900 +税