ヨーガクトクセンMY BEST
2019年末~2020年始に展開される洋楽キャンペーン『ヨーガクトクセンBEST』全53タイトルに連動した著名人MY BEST洋楽! 短期連載でお届けします。
第2回【永井博】イラストレーター|DJ
永井博(Nagai Hiroshi) イラストレーター|DJ
1947年12月22日、徳島県生まれ。グラフィック・デザイナーを経て、湯村輝彦に師事し’78年よりフリーのイラストレーターとして活躍。サザンオールスターズの3か月連続リリース(’80年5月~7月)シングル「いなせなロコモーション」「ジャズマン」「わすれじのレイド・バック」、大瀧詠一のアルバム『ロング・バケイション』(‘81年)『ナイアガラ・ソングブック』(’82年)などに代表されるトロピカルでクリアな風景イラストレーションが特徴的で現在まで多くのアナログ/CDジャケットを手がけている。主な出版物として、『A LONG V・A・C・A・T・I・O・N」(’79年/CBS・ソニー出版)『HALATION』(’81年/CBS・ソニー出版)『NIAGARA SONGBOOK』(’82年/小学館)『time goes by…永井博作品集』(小学館/’08年)がある。イラストレーションだけでなく趣味のブラック・ミュージックのレコード収集を生かしてクラブDJを長く務めている。
永井博 オフィシャルInstagram
25歳。40日間の西海岸の旅で見たアメリカの光景は、今でも僕のイラストの原点になっていると思います。
20代の頃はアメリカ文化に憧れていました。東京都美術館でスーパーリアリズムの展覧会があって、アメリカの風景をリアルに描いた作品に刺激を受けたりしてね。1973年、アメリカ西海岸に40日間の旅に出たんです。25歳でした。当時は米1ドル300円ぐらいだったかな。僕はまだグラフィック・デザイナーで、その旅は先輩のイラストレーター、湯村輝彦さん、河村要助さん、ペーター佐藤さんたち男9人ぐらいで。楽しかったですよ。サンフランシスコからロサンゼルス、サンディエゴと南へ移動して行きました。
え!? ウエスト・コースト・ロックの吸収? ロック史的にはそうかもしれないけど、僕には全然関係ないです(笑)。僕は根っからのブラック・ミュージック大好き人間ですから聴きまくっていた60年代ソウルのレコードをこの旅先で100枚くらい買い漁っています(笑)。ちょうどフィリー・サウンドが出できた頃でもあり、マンハッタンズとか、ハロルド・メルヴィン&ザ・ブルーノーツとかにそのままハマっていきましたね。なんか行くところ行くところで無我夢中だった気がします。あ、でも今にして思うと格好はロックな感じたったかもしれないなぁ(笑)。
南カリフォルニア大学のドミトリーに宿泊した時に目の当たりにしたキャンパスの広大さ、アメリカの広さを実感した記憶は今も忘れられないですね。サンフランシスコの駐車場で車に当たっていた眩しい光なんて東京都美術館のスーパーリアリズムの展覧会でみた作品のまさに現物でしたから感動しましたから。あの40日間でこの目に焼き付けた光景は、今でも僕のイラストの原点になっていると思います。
翌年には師匠の湯村さんと今度はふたりでグアム島に旅行したんですよ。いまと違ってまだグアム旅行なんて珍しいころだったと思いますよ。そこで大きな実がなっているヤシの木と出会い、都市と島の生えかたの違いを知るわけですよ。これがその後の僕のイラストの重要なモチーフになっていくんです。実際に描くときは、都市の風景にはロサンゼルスのような真っすぐに空に向かっていく“パーム・トゥリー“、島やリゾート地では実の重さで木がしなってからもういちど空に向かおうとする“ヤシの木“と使い分けているんですよ。倒れてから起き上がってくるのが島の“ヤシの木“ですからね。これはこまかいこだわりなんですけど、実際に種類が違いますから(笑)。そのあたりはみなさんがよく知っているジャケットでも確認することが出来ますよ。
- 大瀧詠一
『A LONG VACATION』
1981年発表
SONY MUSIC
<<永井博が選ぶヨーガクトクセンMY BEST>>
① ボズ・スキャッグス「ロウダウン」
仕事中だったかな。初めてラジオから流れてくる「ロウダウン」(’76年)を聴いた時はあのヴォーカルは絶対に黒人だと思いました。演奏もクロいよね。正直、だからこの曲を好きになったぐらい(笑)。僕はめったに白人のレコードは買わないですから。ボズが白人だと知った時は本当に驚きました。バックを務めていたTOTOがソウル・ファンに人気あるのも納得ですよね。普段DJの時には、Brand New Funkのカヴァー・ヴァージョンをかけています。
- ボズ・スキャッグス
『ヒッツ!』【期間生産限定盤】
発売中|SICP-6260|¥1,000+税
SONY MUSIC
② ジャクソンズ「今夜はブギー・ナイト」
前身のジャクソン5からけっこう聴いてたよね。ジャクソンズに改名してからは「シェイク・ユア・ボディ」(’79年)とか「ハートブレイク・ホテル」(’80年)とかあるけれど、「今夜はブギー・ナイト」(’78年)がフィリー録音でいいよね。ディスコでよく踊った? オレのいわゆるフィーヴァー時代はここじゃなくてもっと前の60年代だから(笑)。
- ジャクソンズ
『ザ・コレクション~キャン・ユー・フィール・イット』【期間生産限定盤】
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SONY MUSIC
③ エルヴィス・プレスリー「好きにならずにいられない」
アメリカ西海岸、グアムのあとに影響を受けたのがハワイだったんですよね。70年代にはとっくにお金持ちの観光地として人気リゾートになっていたから少しバカにしていたんだけど、たまたま行ってみたらエルヴィスの映画『ブルー・ハワイ』(’62年)に出てくるような石を積んだような壁の家とかを目の当たりにしちゃうわけ。この風景はいいな~って感化されちゃいましたね。作品に影響を与えてくれるハワイも好きにならずにいられないですよ(笑)。
- エルヴィス・プレスリー
『ELVIS~30ナンバー・ワン・ヒッツ』【期間生産限定盤】
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SONY MUSIC
文/安川達也(otonano編集部)
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