DJ OSSHY TOKYOの未来に恋してる!
安心・安全・健康的なディスコ・カルチャーを伝達することを使命とするDJ OSSHYのインタビュー連載
第35回【対談⑧ クリス松村 × DJ OSSHY[後編]】
自分が選曲するCDにはこだわります。「この曲とこの曲の間は詰めてください!」とかディレクターさんにお願いしたりして。レコード会社からはめんどくさいやつだと思われているかもしれませんが(笑)(クリス松村)
作る側とリスナーの気持ち。私もこれまで35枚くらいコンピCDを作らせてもらいましたが、そのせめぎあいの連続でした(DJ OSSHY)
── [[前編]からの続き]さて、ここからはクリスさんにお持ちいただいたディスコのシングルを眺めながら、「選曲する楽しみ」「コンピCDの面白さ」についてもお伺いしていければと思います。クリスさんは『クリス ミュージック プロマイド』というコンピレーション・シリーズを、OSSHYさんもたくさんのコンピレーションをリリースされていますので、その制作へのこだわりについてもお話していただけますか?
DJ OSSHY 今日、クリスさんがお持ちいただいたのはすべて7インチ・シングルのようですが、7インチでディスコのシングルを集めていたんですか?
クリス松村 12インチが出始めた70年代終わり頃は2000円くらいしていたから、なかなか買えなかった。80年代前半にタワーレコードが国内でもできて安くなってからは買いましたが、それまでは安い7インチ中心。でも、愛着があるんですよね。ダサいタイトルでも。アルティミットの「愛でブラジル」とか。
DJ OSSHY わかります、わかります(笑)。でも、名曲ですよね。いまだにかけます。
クリス松村 「愛でブラジル」とか、哀愁ディスコとイタロ・ディスコは日本独特だと思うけど、すごく気持ちがいい。なんか大人になった気分にさせてくれる。当時、ディスコへ行くということじたいが大人への扉だった。不良とも言いかえられるけど。まずエントランスからドキドキする。ここで止められたらどうしようって。中に入ったら、最高の音楽と恋愛の駆け引きとか、これはこれでまたドキドキする。『サタデー・ナイト・フィーバー』のジョン・トラボルタじゃないけど、現実を忘れて踊って、その場限りのスターになれる。
DJ OSSHY 大人への扉という表現はまさに的を射ていますよね。緊張感がありながら、何もかも忘れて楽しめたのがディスコ。今のその本質は変わっていないと思っています。
クリス松村 その頃から芸能界を目指していたんだけど、セリフのないエキストラばかり。でも、ディスコのフロアでうまく踊ると不思議に自分の周りに人の輪ができて、自分とうまい人だけが踊っているタイミングが訪れる。その快感が最高なんですよ! 何分、その状態を保てるかということを競い合っていた。空気読めないと言えば、それまでなんだけど(笑)、ディスコでは思い込みの主役になれたんですよね。
DJ OSSHY 今でこそDJは注目されるようになりましたが、当時は曲をかける人というくらいの認識で、まさに主役はお客さんでした。もちろん、今もお客さんが楽しんで踊れるということを念頭に選曲していますし、現在のディスコはDJとお客さんがよりよい関係で楽しめていると思います。
クリス松村 そこがOSSHYさんとの違い。私は音楽も大好きだけど、踊る方だから、かける方には行かなかった。そもそも、どうしてDJを目指すようになったんですか?
DJ OSSHY もとを正せば、オーディオマニアで自分の選曲したカセットテープをいつも作る少年で、いかに曲と曲の間を詰めて録音できるかを試行錯誤していたのがきっかけといえばきっかけですね。しかも一台のプレイヤーで(笑)。そんなことに精魂を傾けていたときにディスコに行ったら、ノンストップで音楽が流れていることに衝撃を受けたんです。なぜノンストップでできるんだ!? とすごく不思議に思って、ブースの近くに行って確かめたら、DJが2台のターンテーブルとミキサーを使っていることに気づいた。その瞬間にDJになろうと思ったんです。
クリス松村 そこは同じ。DJじゃないけど、自分が選曲するCDは「この曲とこの曲の間は詰めてください!」とかディレクターさんにお願いしたりして、やっぱりこだわってしまう。その「間」にも選曲する自分の思いが込められていることがわかってもらえたら本当にうれしい。でも、OSSHYさんの中でも嫌いな曲とかはあるんですか? 私は意外に80年代に日本でウケていたディスコの曲が苦手だったりすることが多くあるんですよね。
DJ OSSHY ありますよ(笑)、もちろん。でも、嫌いという曲はこの年になってからはなくなったんですよね。楽曲自体の魂みたいなものを1曲1曲に感じるようになってきて、どの曲も同じような気持ちで平等に接するようになってきた。それこそ、クリスさんがお持ちになったホット・ブラッドの「ソウル・ドラキュラ」は10数年前までは敬遠しがちの曲だったんですよね。こういう怪奇系の曲は苦手だったんですけど、この楽曲の背景や作者を知っていくと楽曲に罪はないという思いに至った。でも、曲の取り扱い方、つまり選曲によっては罪が生まれる。曲はすべて素材であり、どう料理するかは料理人=DJの腕にかかかってくるんですよね。
クリス松村 すごい音楽料理人! あまり美味しくない素材も料理の仕方によって生かされるという。
DJ OSSHY そうなんですよ、むしろそういう曲を前にするとやる気が湧いてきます(笑)。クリスさんはCDもラジオの番組もたくさんお持ちですが、、選曲する際はどのようなこだわり、心構えで臨まれるのですか?
クリス松村 毎週日曜日20時からラジオ日本で放送中の『クリス松村の「いい音楽あります。」』は5年目に突入しましたが、この番組では同じ曲を二度かけないというルールで選曲しています。村田和人さんが亡くなった時や、本当に大好きでみんなにも知ってほしいという特例以外はすべて初めての番組内オンエア曲。ディスコにも忘れ去られる曲というのがあるじゃないですか。OSSHYさんがそうした曲を掘り起こして、日の目を見させるのと同じで、私も使命感を持ってやっている。私たちが忘れてしまう、かけなかったら本当になくなってしまう。それが忍びない。みんな一生懸命作って、歌って、売れた曲もあれば売れなかった曲もある。そういう埋もれていきそうな曲を救い出していくことにこだわっている。ヒット曲をかけるのもいいけれど、それは私の番組がやることじゃない。OSSHYさんもそうでしょう?
DJ OSSHY まさにおっしゃるとおりです。僕の仕事場、ディスコはそういう場所でもあるので。
クリス松村 例えばピンク・レディー。ヒット曲と言えば、「UFO」以外にも「ウォンテッド(指名手配)」や「カルメン'77」などがあるけど、今はCMで使われた「渚のシンドバッド」くらいしか若い世代は知らない。取り上げ方によって、若い世代への伝わり方が違ってくる。百恵ちゃんもそう。「プレイバックPart2」か「いい日旅立ち」、「秋桜」を取り上げておけばいいというような風潮があって、「プレイバックPart2」の次にリリースされた「絶体絶命」なんかかかりっこない。「夢先案内人」って何ですか? って言われて悲鳴を上げるくらい驚いたけど、だったらもう「乙女座 宮」なんて今の若い子は誰も知らないはず。それが嫌なんです。ホントにイヤなんです! ディスコも同じで、実はそうした忘れ去られそうになっている名曲を聴きたい人が多いはず。そんな風に思ってラジオやコンピCDでは選曲しているんです。
DJ OSSHY コンピレーション・シリーズの最新作『クリス ミュージック プロマイド~あの空と旅のカセット~』も聴かせていただきましたが、まさにその選曲スタイルに貫かれていますよね。これはびっくりしました。ぼくもコンピを作る際に毎回苦労していますが、収録許諾を取るのが大変じゃなかったですか?
クリス松村 それはいま目の前に座っているソニーミュージックさんたちが理解があるからですよ(ニヤリ)。でも、私もソニーさん音源のサーカス「アメリカン・フィーリング」を入れたり、そこは大人なのでちゃんと考えてますよ(笑)。もちろん、名曲だから入れているわけですが。世の中に出ているコンピの大半が有名な曲ばかりで構成されていて、音源の重複がはなはだしい! また同じこの曲がコンピ名をだけ変えて入っているのかって、がっかりすることが多いんですよね。だから、自分も買ってくださる方の側にも立って選曲している。コンピを買う層ってある程度は決まっているんだから、もっと買う側のことを考えて発売してほしいですよね。ベストヒットが売れるのはもちろんわかるんですが、それではさっきも言ったように良い曲がどんどん忘れ去られていってしまう。
DJ OSSHY そう、私もこれまで35枚くらいコンピを作らせてもらいましたが、そのせめぎあいの連続でした。
DJ OSSHY 選曲・監修
『HAPPY DISCO 2 -Solar Night- mixed by DJ OSSHY』
発売中
クリス松村 でも、OSSHYさんのSOLAR音源を集めた『HAPPY DISCO2 -SOLAR NIGHT』は初CD化も多かったし、特にシャラマーは「ダンシング・イン・ザ・シーツ」とかの12インチ・ヴァージョンは長くCD化されていなかったので、ようやく聴けるようになったのはうれしいですね。
DJ OSSHY いや、そこまでわかっていただいている方に聴いてもらえるのは選曲者冥利につきますね。うれしいです、ありがとうございます!
クリス松村 コンピも嫌というほど買ってるから、OSSHYさんの選曲意図も私なりにわかるし、自分が選曲する際も絶対にテーマを持っている。レコード会社からはめんどくさいやつだと思われているかもしれませんが(笑&周囲を見渡す)、いまCDを買っていただくにはやっぱりそれなりの価値がないといけない。その価値を創出するためのこだわりの選曲なんです。さらに私のコンピ・シリーズ『クリス ミュージック プロマイド』はストーリーにもなっているんです。1曲1曲が互いに輝くような曲順はもちろん、テーマに沿った楽曲を選んで、まるでドラマを見ているかのように進んでいくんです。こないだも寺尾聰さんにさんざん説明しました(笑)。
クリス松村コンピシリーズ第3弾!!!
『クリス ミュージック プロマイド~あの空と旅のカセット~』
「飛行少年」(寺尾聡)ほか全18曲収録
発売中
DJ OSSHY いや、まさにDJ的な選曲である上に、歌詞を熟知されているからこその選曲でもある。ぜひ、今度はディスコでDJもご一緒したいです!
クリス松村 BPMの合わせ方とかがまったくわからないんですが、いちどはやってみたかったのでぜひ教えてください!
対談進行・文/油納将志 写真/島田香
- ●クリス松村
- オランダの政治都市ハーグで誕生。日本に帰国後も、学生時代にアメリカ、カナダ、ブラジル、メキシコ、フランス、オーストリア、ポルトガル、エジプト、ギリシャなどの海国、各都市をまわる。 邦楽,洋楽問わずの音楽好きが高じて、番組出演にとどまらず、テレビやラジオの番組監修、CDの音楽解説、 航空会社の機内放送オーディオプログラムの構成,ナレーションなども手掛けた。 出演するラジオ番組の構成はすべて自ら行う。 アナログ盤、CD、DVDなど約2万枚所有、現在も収集中。 大物アーティストとの対談もこなすなど、アーティストからも認められるほどの、大の音楽ファン。
DJ OSSHY オフィシャルファンクラブ オープン!
DJ OSSHY 出演スケジュール
8月2日(金) | DISCO LEON @ グランドハイアット東京 |
8月3日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
8月4日(日) | DISCO Soka City Premium Night @ 草加アコスホール |
8月10日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
8月13日(火) | Family Disco 80’s Night Fever in CITTA’ 2019 令和元年スペシャル! 第1部 @ CLUB CITTA’ http://www.osshy.com/schedule/view/969 |
8月13日(火) | 80’s Night Fever in CITTA’ 2019 令和元年スペシャル! 第2部 @ CLUB CITTA’ |
8月15日(木) | CHERYL LYNN @ Billboard Live TOKYO |
8月15日(木) | BSフジ「DJ OSSHY DISCO TV」#5 |
8月16日(金) | ナバーナマンスリーパーティー @ エスプリトーキョー |
8月17日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
8月18日(日) | IKURA'S AMERICAN FESTIVAL アメフェス @ 富士スピードウェイ |
8月20日(火) | イベント出演予定 |
8月23日(金) | BACK TO THE 80’s DISCO NIGHT @ グランドホテルニュー王子 |
8月24日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
8月25日(日) | サンデーディスコ @ 西麻布エーライフ |
8月27日(火) | 企業イベント出演予定 |
8月28日(水) | EVVIVA!DISCO Special Day @ ららぽーと海老名 |
8月30日(金) | BON DISCO 2019 @ グランドハイアット東京 |
8月31日(土) | 「RADIO DISCO」InterFM897 15:00~18:00 生放送 |
イベントは変更になることもございます。 詳しくはDJ OSSHY公式サイト(www.osshy.com) をご参考ください。