ジャズメガネのセンチなジャズの旅
53. 太田邦夫クインテット『俺たちの青春』
1976年、自分がジャズを初めて二年目の時だった。なんとなくアドリブも出来るようになってきて少し自信もついてきた頃、太田邦夫という名前も知らないピアニストがTBMからデビューした。TBMはその頃、大好きなレーベルでチェックをしていたものだが、このアルバム、現役の大学生も参加しているという。大きなショックを受けた。
学生でレコーディング出来る人なんかいるのか、という思いだった。自分との実力の差に愕然としたものだ。
今でこそ、10代でデビューするアーティストは多い。でも、当時はそんなチャンスなどなかった。今、改めてそのグループを聞いてみる。フレッシュだけれど、いぶし銀のような演奏を繰り広げている。そんな若者達に声をかけたプロデューサーの藤井さんには脱帽だ。
text & cut by Kozo Watanabe