ジャズメガネのセンチなジャズの旅

50. 大村憲司/渡辺香津美/リー・リトナー『アランフェス協奏曲』
50. 大村憲司/渡辺香津美/リー・リトナー『アランフェス協奏曲』

   このアルバムが発売された1978年頃はフュージョン全盛時代だった。学生バンドをやっていた自分もフュージョンのレパートリーを取り入れたり、オリジナルを書いて演奏していた。先輩諸氏からは受けが悪く、ストレート・アヘッドなジャズを求められたりもしたが、当時のフュージョンは完成度も高く、とても心地良いものだった。そして、80年代も半ばになると、安易なフュージョンが粗製乱造され、自分も一般リスナーも離れていく。

   以来、ずっとフュージョンを聞くことはなかったが、最近、また聴き始めている。このアルバムのようにクオリティが高いものがたくさんあったからだ。時代は巡る。

text & cut by Kozo Watanabe