ジャズメガネのセンチなジャズの旅
49. 戸谷重子/中本マリ+山本剛トリオ『シゲコ&マリ』
戸谷重子はレアな歌手だ。1970年代TBMに録音された2枚のリーダー・アルバムと本作だけしか残していない。そのヴォーカル・スタイルはユニークだ。まっすぐに出る声はジャズというよりはクラシックの声楽のよう。弾き語りのピアノもクラシック的な弾き方をする。スイングするタイプではないのだが、慣れてくるとニーナ・シモンのような味わいが染みてくる。
一方、中本さんは日本を代表するジャズ・ボーカリスト。ハスキー・ヴォイスでスモーキーにスウィングする。好対照な二人だ。
text & cut by Kozo Watanabe