DJ OSSHY TOKYOの未来に恋してる!

安心・安全・健康的なディスコ・カルチャーを伝達することを使命とするDJ OSSHYのインタビュー連載

第24回 【対談③ マイケル・フォーチュナティ×DJ OSSHY [前篇]】
第24回 【対談③ マイケル・フォーチュナティ×DJ OSSHY [前篇]】

いわゆるユーロビートのレコードはほとんどノータッチだったんです。でも、マイケルさんの作品はすべて揃えていました。マイケル・フォーチュナティ作品にはソウルを感じるからです。ユーロビートという枠を超えて現場でもプレイしていたんですよ(DJ OSSHY)



僕の音楽にソウルを感じてもらえたという言葉は、とても嬉しいな。そう感じてくれたOSSHYさんたちがいたから、僕もこれだけ長くキャリアを積み重ねて来られたんだと思うよ(マイケル・フォーチュナティ)




── DJ OSSHYの連載「TOKYOの未来に恋してる!」の新しい対談シリーズの3人目となりました。今回登場していただくのは「ギヴ・ミー・アップ」「イントゥ・ザ・ナイト」といった80sディスコ・アンセムで知られる“ユーロビートの帝王”こと、マイケル・フォーチュナティさんです。まずは先日8月24日に、お2人が共演したイベント『Summer 80s LIVE & DISCO』の感想からお聞かせいただけますか。

マイケル とにかく素晴らしいイベントだった。あのイベントで何にびっくりしたかっていうと、オーディエンスがあんなにたくさん集まったくれたことだよ。それと、日本人のお客さんのノリがとても良くて、みんなで歌って踊って夢のようだったね。

DJ OSSHY 私も今回は、本当に素晴らしい時間を過ごさせていただきました。マイケルさんのライヴを観てびっくりしたのは、声がデビュー当時から全然変わっていないこと。歌声は本当に素晴らしかったし、サウンドもさることながら、オーディエンスとの一体感と盛り上がりぶりが予想以上でしたね。アーティスト力と楽曲の説得力がすごいなということをあらためて実感しましたよ。


『Summer 80s LIVE & DISCO』2018年8月24日・グランドハイアット ボールルーム
Photo by Ryota Mori


マイケル 僕はOSSHYさんたちがこういうイベントを日本で行っているということが、本当に素晴らしいと思ったよ。いろんな音楽活動をしてきたけれど、やっぱり一番好きなのはステージなんだよね。歌ってオーディエンスにメッセージを送れば送るほど、こちらにもパワーで返してくれる。そのコミュニケーションこそ、僕がアーティストとして活動している価値だと思うんだ。あのイベントでは、そのことをあらためて肌で感じられたよ。その次の日は、ショッピングモールで公開イベントをやったんだけれども、そこに親子孫の3世代という幅広い年齢層のお客さんが来てくれた。きっとOSSHYさんたちが、ディスコ・ミュージックを日本で広めていってくれたからだよね。今でも僕たちの音楽を親しんでもらえていることが、すごく嬉しかったよ。

DJ OSSHY 『Summer 80s LIVE & DISCO』はグランドハイアット東京という、日本でも有数の高級ホテルが会場だったのですが、ここ数年のひとつの流れとして、ホテル・ディスコというのが話題になっているんです。北海道から沖縄まで、様々なホテルでディスコ・イベントを行うというのが、ひとつのトレンドなんですよ。マイケルさんの住むヨーロッパでは、こういったムーヴメントはあるんですか。


『Summer 80s LIVE & DISCO』2018年8月24日・グランドハイアット ボールルーム
写真提供:エス・オー・プロモーション


マイケル いや、ホテル・ディスコは日本独自の試みだと思うね。でも、80年代に活躍したアーティストのリバイバルという動きはあるよ。10人くらいのアーティストが集まって、5千人以上のキャパの会場でツアーをするっていうライヴが多く、僕もよく呼ばれて出演するんだ。そこも日本と同じで、3世代のお客さん来てくれる。だからスタイルは違うけれど、80年代リバイバルという意味では、日本とヨーロッパは共通しているかもしれないね。

DJ OSSHY ヨーロッパでも、3世代がディスコを楽しんでいるというのは嬉しいですね。

マイケル こういった80年代ディスコ・ミュージックのリバイバルは、10年前から始まったんだ。フランスでひとりのコンサート・プロモーターが、80年代だけに特化した音楽イベントをやろうって言い始めてね。80年代は生活と音楽がぴったり密着していたし、すごくエネルギーがあった。もう一度あの頃を思い出してもらおうとやり始めて、10年経ったよ。この動きは今、ヨーロッパ全土に広がっているし、これから日本でも一般的になるんじゃないかな。


『Summer 80s LIVE & DISCO』2018年8月24日・グランドハイアット ボールルーム
写真提供:エス・オー・プロモーション


── OSSHYさんのディスコ・イベントでは、青春時代にディスコで遊んでいた50代、60代の人たちが集まって盛り上がっているんですが、マイケルさんのライヴやイベントでも同じような状況なのでしょうか。

マイケル まったく一緒だね。なかなかすごいツアーをやるんだ。80年代にヒット曲を飛ばしたアーティストを集めて、その当時のディスコで着ていたようなスパンコールが付いている衣装を身につけたりして(笑)。僕もこの10年間は、このようなツアーでとても忙しくしているんだ。だから、そのツアーでいつか日本にも来るかもしれないね。

DJ OSSHY ヨーロッパのツアーでは、他にどういったアーティストと一緒に回っているんですか。

マイケル フランス人の80年代ディスコのアーティストに、インターナショナルのアーティストが加わるという感じだね。サマンサ・フォックスとかドルチェ・ヴィータ、ブライアン・パリスといったところかな。あと、あの頃ってイタリア発信ですごくいいアーティストがたくさんヒットを出したよね。

DJ OSSHY 日本で言ういわゆるイタロ・ディスコですよね。

マイケル ガゼボ、サンディ・マートン、ケン・ラズロなどがイタリアからヒットしていった。ユーロビートのスタジオがイタリアにあったから、当時の音楽はイタリア・レコーディングが多いんだ。今のエレクトロがフランス中心であるように、その当時のディスコはイタリアなくして語れない時代だった。だから僕も時代の申し子だね。たまたまイタリア人だったということもラッキーだった。


『Summer 80s LIVE & DISCO』2018年8月24日・グランドハイアット ボールルーム
写真提供:エス・オー・プロモーション


DJ OSSHY ところで先ほど気になっていたのですが、マイケルさんはイタリア人なのに、今日みたいになぜフランス語をしゃべるんでしょうか

マイケル あ、それは、今はフランスに住んでいるから。実は僕はフランスで生まれているんだ。イタリア系移民なんだよ。

DJ OSSHY なるほど。マイケルさんは、1986年にデビューし、翌1987年に初めて来日をされています。その頃の日本において、マイケルさんはもう神様というか、ユーロビートの世界では飛び抜けてブレイクされていました。このユーロビート全盛期には、マイケルさんはまさにディスコ・キングでしたね。とくに「ギヴ・ミー・アップ」は、ディスコでもすごく人気がありました。


Michael Fortunati「Give Me Up」(2018)

マイケル 「ギヴ・ミー・アップ」のデモテープを作ったとき、ベルギーのプロデューサーに聴いてもらったんだ。すると「これは絶対にいける!」って、彼がフランスのレコード会社に売り込みに行って契約が決まった。それで、イタリアのスタジオでレコーディングをしたんだ。初めてだったからかなり気合を入れてアレンジして作って「これでいこう」ということになったんだけど、フランスに帰ってきてレコード会社のスタッフに聴かせたら、「これではまだ十分じゃない。イメージしていたのとは違うので、お金を出すからもう一度イタリアに行ってくれ!」っていわれてレコーディングをやり直した。だから、あの曲がものすごくお金をかけて作ったんだ。

DJ OSSHY なんと、あの 「ギヴ・ミー・アップ」には、そんなドラマがあったんですね!

マイケル 今だと信じられないようなことだし、良くも悪くもそこまで進言してくるレコード会社のスタッフはいないと思う。でも、当時はそんな風に「ヒットする!」と信じてくれたスタッフがいて、そういった人たちの熱量がこの曲のパワーになっている。「ギヴ・ミー・アップ」は、些細なことも妥協しないというプロフェッショナルがいたから、これほどまで長い間いろんな人に愛されてきたんだと感じているよ。

DJ OSSHY たしかに「ギヴ・ミー・アップ」には熱量を感じさせるものがありますよ。

マイケル この曲に関わった人々全員のこだわりが詰まっているんだよ。そもそもヒット曲の作り方にはセオリーってないんだけれど、いかにみんなが同じ方向を向いて、諦めずに追求し続けたことが、結果につながったのかなと思うね。

DJ OSSHY 日本のバブル全盛期のディスコでは、独自の振り付けが流行っていたんですが、「ギヴ・ミー・アップ」でも決まった振り付けがあります。ヨーロッパでも、同じような振り付けはあるんですか。

マイケル いや、ヨーロッパでは他人に合わせず勝手に自分たちで踊っているからね(笑)。決まった振り付けなんていうのはないよ。自由に踊っているね。

DJ OSSHY じゃあ、やっぱりあれは日本独自のものなんですね。

マイケル うん、きっと日本だけだね。他の国では見たことがないから面白いね。




── 初来日が1987年ということですが、その頃の日本のオーディエンスはどんな雰囲気だったのでしょうか。

マイケル 最初に来日した時、それまで話に聞いていた“おとなしい日本人”というイメージはさっぱり消えたよ(笑)。バブルという時代背景もあったのかもしれないけれど、おそらく世界中のどこよりも一緒に歌って踊ってくれた。それ以来、日本人は踊るのが得意な民族だと思っているくらいだよ。その思いは今もあまり変わっていないね。それと、日本が特別だと思うのは、「ギヴ・ミー・アップ」がいろんなシンガーにカヴァーされるなど、何度もブームがやってくることだね。だから、日本に対してはとても思い入れがあるんだ。

DJ OSSHY 今回で来日は何回目になるのですか。

マイケル もう20回以上になるんじゃないかな。最初のアルバムを発表した時だけでも、プロモーション、イベント、コンサートと何度も来日したので、そういうのも入れると数え切れないくらい来ているね。北海道から沖縄まであらゆる場所に行って、ディスコで歌った記憶がある。

DJ OSSHY 日本でとくにお気に入りの街や場所はありますか。

マイケル バカンスにはやっぱり沖縄がいいよね。京都も大好きだよ。日本の歴史を知るなら京都がいいね。でも、やっぱり一番好きなのは、ここ、東京かな(笑)。

── マイケルさんがデビューされた1986年には、OSSHYさんはすでにDJとして活躍されていましたが、その頃のマイケルさんやユーロビート・シーンについてどのように感じていましたか。

DJ OSSHY 私がDJを始めたのは1982年なのですが、当時はブラック・コンテンポラリー全盛期でした。ただ、その数年後には、ユーロビートが台頭してくる。そしてどんどん細分化されて、ヒップホップやハウスなどいろんなジャンルが出てくるんです。その時に私はニュー・ジャック・スウィングなどのブラック・ミュージックに傾倒してしまったので、いわゆるユーロビートのレコードはほとんどノータッチなんです。でも、マイケルさんの作品はすべて揃えていました。それはなぜかというと、マイケル・フォーチュナティ作品にはソウルを感じるからです。だからマイケルさんのレコードは、ユーロビートという枠を超えてギリギリ現場でもプレイしていたんですよ。

マイケル 僕の音楽にソウルを感じてもらえたという言葉は、とても嬉しいな。そう感じてくれたOSSHYさんたちがいたから、僕もこれだけ長くキャリアを積み重ねて来られたんだと思うよ。

DJ OSSHY こちらこそ本当に感謝しています。DJはアーティストの方々が作った名曲を使わせていただいているだけだし、何かを生み出しているわけではないんです。名曲を活用させていただいて空間や時間を作るのが、DJの仕事ですから。そして、DJは曲と曲のつなぎが大事なのですが、ユーロビートでいうと、マイケルさんの「ギヴ・ミー・アップ」とバナナラマの「アイ・ハード・ア・ルーモア」をいかにかっこよく繋ぐかっていうことに時間をかけたのが、すごく思い出に残っています。




マイケル 素晴らしい! それはとても光栄だよ。

DJ OSSHY マイケルさんは“ユーロビートの帝王”といわれていましたが、そんな帝王から見て、ユーロビート界、もしくはディスコ界の帝王というと誰になるんですか。

マイケル なんといってもマイケル・ジャクソンだよ! マイケルなくして今の音楽はないと僕は思っている。とにかく彼は天才だね。

DJ OSSHY マイケルさんがディスコ・キングとしてマイケル・ジャクソンの名前を挙げるというのがちょっと意外でした。ユーロビートのルーツというと、ジョルジオ・モロダーが手がけたドナ・サマーやシルバー・コンベンションといったユーロ・ディスコのアーティスト名が出てくると思っていていましたから。

マイケル もちろん他にもいいアーティストはたくさんいると思うけれども、マイケル・ジャクソンにはかなわないよ。いまだに彼の音楽や映像に触れると、やっぱりすごいなと思うし、どんな音楽を聴いても彼からの影響受けているように感じられる。マイケル・ジャクソンも最初は兄弟で音楽を作っていたし、そういうところも共感を得るところかな。デビュー当時だったと思うけれど、日本でヒットチャートを見た時に、マイケル・ジャクソンの曲が3位で僕の曲が5位くらいに入っていたことがあったんだ。同じところに、名前が並んでいてとても感動したのを覚えているよ(笑)。

DJ OSSHY 日本でのエピソードがたくさんあるのが、マイケルさんらしいですね。

マイケル だから、日本が大好きなんだよ。[後編に続く]


インタビュー・文/栗本斉 
写真/島田香(インタビュー)






●Michael Fortunati  マイケル・フォーチュナティ
1955年9月4日、イタリア南部のプッリャ州生まれ。’86年にベルギーのインディ・レーベル経由で、「ギヴ・ミー・アップ」でデビュー。この曲がベルギー、フランスでヒットチャートのNO.1に輝き、日本でも大ヒットを記録。続く2ndシングル「イントゥ・ザ・ナイト」も、日本やヨーロッパ全土で大ヒットを記録し、ユーロビートの大スターとなった。’87年には東京音楽祭に出演する為に来日し、ディスコ&ダンス部門でグランプリを獲得。2010年1月に来日して、日本のテレビ番組にも出演しています。
https://www.universal-music.co.jp/michael-fortunati/






マイケル・フォーチュナティ
『ザ・ベスト・オブ・ディスコ・カバーズ』





DJ OSSHY 出演スケジュール

9/28(金)NHKラジオ第1「ごごラジ!」(全国生放送)
DJ OSSHYのプレミアム・ディスコタイム
9/29(土)RADIO DISCO/InterFM897 15:00-18:00 生放送
9/29(土)DISCO Groovy 7th anniversary Party
9/30(日)サンデーディスコ@西麻布エーライフ
10/5(金)ナバーナマンスリーパーティー@エスプリトーキョー
10/6(土)RADIO DISCO/InterFM897 15:00-18:00 生放送
10/7(日)surfers LIVE & DISCO 2018 Vol.2
10/13(土)RADIO DISCO/InterFM897 15:00-18:00 生放送
10/14(日)RIKKYO DISCO NIGHT
10/19(金)ナバーナマンスリーパーティー@DiA tokyo
10/20(土)RADIO DISCO/InterFM897 15:00-18:00 生放送
10/26(金)NHKラジオ第1「ごごラジ!」(全国生放送)
月イチ!「DJ OSSHYのプレミアム・ディスコタイム」
10/27(土)RADIO DISCO/InterFM897 15:00-18:00 生放送
10/31(水)Dynasty Tokyo Surfer's Night @ 恵比寿アクトスクエア






イベントは変更になることもございます。 詳しくはDJ OSSHY公式サイト(www.osshy.com) をご参考ください。

プロフィール

DJ OSSHY
DJ OSSHY (公式サイト www.osshy.com)
7月22日「ディスコの日」制定者。80′s ディスコ伝道師。
MCとミキシングを両方こなす、DISCO DJのスペシャリスト。
安心・安全・健康的でクリーンなディスコの魅力を全国に伝えている。
テレビ司会者の第一人者「押阪 忍」の長男。

親子で楽しめる「ファミリーディスコ」、高齢者向け「シルバーディスコ」など、 世代を超えて楽しめるイベントを開催。
東京スカイツリー、東京タワー、羽田空港、大型客船シンフォニー、 小金井カントリー倶楽部などでのディスコイベントのメインDJを務め、郷ひろみ、鈴木雅之、角松敏生との共演イベントも大きな話題を呼んだ。
売野雅勇 作詞活動35周年記念コンサートでは、総合司会を務めた。

民放テレビ初のディスコTV番組「DISCO TRAIN」(TOKYO-MX)を始めとした、ディスコ放送番組DJのパイオニアでもある。

【レギュラー番組】

●「DJ OSSHY DISCO TV」(BSフジ)毎月第1・第3月曜日 24:00~24:25
●「DJ OSSHY × まつきりな 推しナイト!」(BSフジ)アーカイブ配信中!
●「Family Disco」(JFN系列)全国FMラジオ放送
●「RADIO DISCO」(InterFM897)毎週土曜日15:00~17:45
●「横浜DiscoTrain」(FMヨコハマ)毎週日曜日15:20~15:30

他、2018年6月4日 テレビ朝日「徹子の部屋」など様々な番組に出演。

2021年9月22日には最新mix CD『 SURF DISCO 2 -NO SURF, NO LIFE.- mixed by DJ OSSHY 』をリリース。
2016年10月には、初の書き下ろし・エッセイ『ディスコの力』(PHP出版)を出版した。

今、日本で一番集客力のある、ディスコ世代に支持されているDJタレント。

DJ OSSHY公式サイト
www.osshy.com

公式ファンクラブサイト
osshyfan.com

公式オンラインショップ
djosshy.theshop.jp

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