ジャズメガネのセンチなジャズの旅
44. 大野雄二トリオ『マイ・リトル・エンジェル』
ルパン以前の大野雄二が好きだった。リリカルにスイングしていて、どこか漂う優雅なピアノ・タッチは当時の他のジャズメンにはない香りだった。最初に聞いたのは日野皓正の初リーダー・アルバム「アローン・アローン&アローン」。ブルースを弾いていてもどこか優雅さがあった。それから、笠井紀美子のライヴ盤の歌伴。この演奏もビル・エヴァンスを彷彿とさせるリリカルなタッチ。笠井紀美子のMCにかぶる様にイントロを弾き始める大野さんのセンスにしびれたものだ。そして、このアルバム。冒頭のワルツにやられた。TBMとは違う洗練されたジャズ。
そして、大野さんは映像の作編曲家として日本を代表するアーティストになった。
text & cut by Kozo Watanabe