ジャズメガネのセンチなジャズの旅

31.「ムバリ・アフリカ/渡辺貞夫」1974年録音
31.「ムバリ・アフリカ/渡辺貞夫」1974年録音

  1970年代前半、すでに僕のアイドルだった渡辺貞夫さんがアフリカ志向になった。シンプル なメロディーと強力なリズム。ジャズにおける強烈なリズムを意識したのも、この頃の貞夫さんからかもしれない。コルトレーンのソプラノとは違うソプラニーノでのモードのアプローチも魅力的だった。トロンボーンの福村博さん、ピアノの板橋さんが参加したライヴも何度か見たことがある。それ以来、バップもフュージョンも追いかけ、真似をしたものだ。
 先日、クラシック・ピアニストのコンサートのパーティーでお話する機会があった。貞夫さんは開口一番「彼女はピアニシモがいいね」と微笑みながら言われた。音楽を愛する心と人柄に触れて、至福の一瞬だった。


text & cut by Kozo Watanabe